仮差止め決定/第81回/第80回/第79回/第78回/第77回/第76回/第75回/第74回/第73回/第72回/第71回/第70回/第69回/第68回/第67回/第66回/第65回/第64回/第63回/第62回/第61回/第60回/第59回/第58回/第57回/第56回/第55回/第54回/第53回/第52回/第51回/第50回/第49回/第48回/第47回/第46回/第45回/第44回/第43回/第42回/第41回/タクシー協議会/第40回/第39回/第38回/第37回/札幌協議会/第36回/第35回/第34回/第33回/第32回/第31回/第30回/第29回/第28回/第27回/第26回/第25回/第24回/第23回/第22回/第21回/第20回/第19回/第18回/第17回/第16回/第15回/第14回/第13回/第12回/第11回/第10回/第9回/第8回/第7回/第6回/第5回/第4回/第3回/第2回/第1回





タクシー再規制について 仮差止め決定
司法判断に私たちはサービスで応えます

MK新聞バックナンバーより

拝啓 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

国の運賃変更命令を仮差止め決定
大阪地裁の英断に感謝します

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

公定幅運賃にNOの判断
今の運賃で営業を続けられます

 この度、平成26年5月23日、京都MK、大阪MK、神戸MK、滋賀MKの4社と個人タクシーMKパートナー14名が公定幅運賃の下限割れ運賃に対する運賃変更命令の仮の差止めを求めていた申し立てについて、大阪地方裁判所は、MKグループの主張を認め、国が運賃変更命令を出すことを仮に差し止める決定を行いました。
 去る4月1日より、改正タクシー特措法に基づき、全国的にタクシー運賃は「公定幅運賃」と呼ばれる統制価格が導入されました。しかし、MKグループは東京を除く7都市で公定幅運賃への大幅な値上げを見送り、消費増税3%分だけを転嫁する運賃等で営業を継続しております。そのため、近畿運輸局より口頭指導を3度受け、続いて4月22日には「勧告書」が出され、5月8日には運賃変更命令の発令を前提とする弁明通知を受け、5月22日に弁明書を提出していました。各地の運輸局からの指導もおおむね同じような日程です。  MKグループでは、公定幅運賃に仮に入ったとすると特に値上げ幅が大きい近畿と福岡で去る5月1日に前述の申し立てを行っており、早ければ5月23日には運賃変更命令を受け、このままでは車両停止処分や最も重い事業許可取消という行政処分が控えているという緊迫した状況下での大阪地裁の英断でした(本稿作成時点では福岡地裁の決定はまだ出ていません)。

公定幅運賃を狭く解する必然性なし
社会通念に照らして妥当性を欠く

 大阪地裁は、「公定幅運賃の範囲を狭く解する必然性があるとは解されない」とし、さらに「下限割れ運賃で認可を受けていた事業者の営業の自由に裏付けられた利益を具体的に斟酌したとはうかがわれない」として、「前提となる事実の基礎を欠き、社会通念に照らして妥当性を欠くものとして、近畿運輸局長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したもの」と断じました。
 今回の4社とも、改正特措法施行前の3月まで法律が定める基準に適合するとして、認可を受けてきた運賃で、大阪、神戸、滋賀にいたっては、平成24〜25年に近畿運輸局自らがこの金額であれば適正に営業できるとして算定した運賃にもかかわらず、突然1〜3割の値上げとなる命令です。福岡MKの大型車はこれまで中型運賃として認可を得ていましたが、公定幅運賃ではそれも認められず4割の値上げが必要とされています。

<大阪地裁の決定要旨>
・公定幅運賃制度は、その規制の程度は小さくないものの、運賃以外での健全な競争を促すためにどのような規制手段が適切であるかは、立法機関の裁量的判断に待つ他なく、裁量権の逸脱又は濫用を認めることができないから、憲法に反するとはいえない。
・公定幅運賃は、自動認可運賃をスライドしたものであるが、自動認可運賃は下限割れであっても個別審査するのに対し、公定幅運賃は下限割れ運賃を厳しく禁じるものであって、その法的効果は全く異なる。
・これを下限割れで認可を得ていた事業者側からみると、従前の運賃によって営業することを禁じられる結果となる。そうすると、公定幅運賃を自動認可運賃のように狭く解する必然性があるとは解されないし、下限割れで認可を得ていた事業者の営業の自由に裏付けられた利益を具体的に斟酌したともうかがえない。
・かかる公定幅運賃の範囲は、その前提となる事実の基礎を欠き、社会通念に照らして妥当性を欠くものとして、近畿運輸局長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものといえる。
・運賃変更命令が発令されると、申立人らに償うことのできない損害が生じると認められ、これを避けるために緊急の必要があると認められる。
・運賃変更命令を仮に差し止めたとしても、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとは認められない。

公定幅運賃「知らない」市民の声
生活に大きな影響も

 大幅な値上げの結果、しわ寄せを受けるのは、結局のところ利用者です。
 その点を明らかにするために、本紙前号でも途中経過を紹介したとおり、東京を除くMKグループ(京都、大阪、神戸、滋賀、名古屋、福岡、札幌)では、改正特措法の施行に伴う運賃値上げによる影響の有無、内容及び改正特措法に対する意見を記載するアンケートを実施しました。そして、わずか2週間の間に、利用者から1万7636通もの回答を得ました。
 その結果、公定幅運賃制度に従った場合のMKの運賃値上げによる影響の有無については、回答者のうち約72%が「ある」と回答し、大半の利用者に影響を与えるということがわかりました。その影響の内訳は、「暮らしに少し影響」が最も多かったものの(49%)、「タクシー利用を減らして他の手段を利用する」(40%)、「家計に大きな負担」(31%)、「MKを選んで乗らなくなる」(19%)、「外出を減らさざるを得ない」(10%)が続いて多い結果となりました。
 さらに、具体的にどのような影響があるのか、寄せられたご意見の一部を左記に紹介します。

○タクシーは生命線です。高くなったからと言って回数を減らせません。
○自分は車がなく、目が不自由な障害をもった人間はどこにも行くなと言っているようにとれる。タクシー(MK)があるから外出も出来て、助かっているのに国は何も考えていない。
○高齢者の外出の足はタクシーです。限られた年金をやりくりして人とのつながりを深め心豊かに過ごすための手段が値上げにより奪われる法改正には断固反対いたします。
○免許を返納しこれから老いていく当方には大切な乗り物です。いつでも安心して乗せて頂けるタクシーが弱者の味方であって頂きたく願います。

 これらを見てわかるとおり、大幅な値上げは障害者や高齢者などタクシーを必要とされる方の生活を直撃します。MKグループは創業以来、「お客様第一主義」と「タクシー乗務員の社会的地位の向上」を掲げ、その実践として「身障者優先乗車運動」や全国に先駆けて「身障者割引」の導入を行い、市民の足となれるよう努力してきました。
 超高齢化社会を迎えるにあたり、タクシーは唯一のドア・トゥ・ドアの公共交通機関として、重要な役割を果たさなければなりません。公定幅運賃による大幅な値上げは、交通弱者を見捨てることにほかなりません。
 改正特措法に対する賛否については、回答者の58%が反対の意思を示しました。回答者の過半数が改正特措法に反対していることも重視すべき点ですが、さらに、利用者の半数近く(39%)が、改正特措法のことをよく知らないのです。すなわち、この改正特措法は、国民間の議論を経て、国民の真摯な理解のもとに、制定された法律ではないのです。そのような法律によって、交通弱者が見捨てられようとしているのが、公定幅運賃制度の大きな問題です。

タクシー議連による議員立法では
利用者の声を聞くことができなかった

 タクシー再規制は、平成21年の特措法(改正前)から始まりました。しかし、改正前の法律は内閣法制局の審査を受け、憲法が保障する営業の自由や、経済の憲法とも言われる独占禁止法とのバランスを取るため、事業者の権利やお客様の利便にも一定の配慮がされていました。一方で、業界や労働組合の意向をくんだ行政は、法律を拡大解釈して「低額運賃事業者への値上げ圧力」「最高乗務距離規制」「非減車事業者への加重処分」「増車を事実上認めない」という施策を実行しました。しかしながら、MKグループが提起した裁判によってこれらのことごとくが「裁量権の逸脱」として司法判断が下されました。そのため適正に営業しているかを問わず全ての低額運賃を排除したい一部の業界と労働組合は、業界は自民党に、労働組合は民主党の政治家にさらに強く働きかけ、参議院ではみんなの党18名を除く全会一致で、衆議院は同様賛成多数で、公定幅運賃制度や強制減車を含むこの改正特措法が成立しました。
 裁量権の逸脱と判断されたならば、次は法律に明記してしまおうという発想にほかなりません。今回の改正特措法は、多くの識者からも憲法違反ではという疑義が呈されており、憲法の番人と言われることもある内閣法制局の審査を受けずに済むように議員立法によって成立しました。衆参両院で大多数の賛成をもって成立したのは確かですが、前述のとおり国民間の議論を経たものではなく、多くの国民が知らない間にできていたというのが実態です。立法権を否定するつもりは全くございませんが、やはり利用者を置き去りに作られた「業界保護法」である感は否めません。出来上がってしまった法律の範囲内でルールを作る立場にある運輸局は公定幅運賃の幅の設定をもっと広くすべきであったとは思いますが、法律で決ったことをただ粛々と遂行する立場にあるという点においては、「行政」に対して思うところはございません。
 業界や労働組合が政治献金や票を武器にして働きかけを行い、既得権益を守ろうということ自体は、旧態依然たる業界であればよくあることです。しかし、国民の代表である政治家は、業界や労働組合だけでなく、利用者を含めた国民全員の声にも耳を傾ける義務があります。今回の司法判断が、今一度、国民の声を聞き、改正法の改正のきっかけになることを望みます。

お客様の一方的犠牲は法ではない
MKはサービスで司法判断に応えます

 この度の仮差止めの決定では公定幅運賃制度そのものは、その趣旨からして憲法違反ではないという判断ではありましたが、運賃値上げが、タクシー議連が根拠とする「タクシーの安全性を確保する」ことと直接的にどのように結び付くのか、これまでのタクシー運賃値上げの歴史を振り返る必要があるのではないでしょうか。安全性を議論するのであれば、運賃以外にももっと直接的な規制方法はあるはずです。すべての運賃値上げを否定するつもりはありませんが、お客様の一方的な犠牲の上に成り立つものであれば、立ち止まるべきです。
 安倍総理が岩盤規制を打ち砕く努力をされている中、新たな既得権益保護の規制を生み出すことに違和感を抱いてきましたが、この決定がこの国の規制のあり方に一石を投じることとなればと思います。そしてこの改正特措法がどのような成り立ちで出来上がったか、この先どのように変容するかについて報道各社には絶えず点検していただき、タクシーが真の意味で利用者とそこに従事する者が共に栄えるものとなることを望みます。
 MKタクシーとして今回の司法判断に応える道は、更なる利便性の向上による利用者へのサービス提供を通じて社会に貢献することしかありません。MKにとってはこの司法判断がゴールではなくこれが始まりであり、利用者目線を忘れずに姿勢を正し社員一同事業にまい進することをここに誓います。


(左)地裁決定直後の記者会見(左から3人目が共栄法律事務所・水野武夫弁護士、4人目がMK・青木信明社長)
(右)地裁決定翌日、各全国紙が1面で大きく取り上げる

MK新聞 2014年(平成26年)6月1日発行 第814号1面

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タクシー再規制について 第81回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(81)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏 殿

運賃変更命令の処分差止訴訟へ
公定幅運賃は利用者を苦しめる

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

値上げ指導そして勧告書
運賃変更命令が近づく4月1日公定幅運賃始まる

 去る4月1日より、改正タクシー特措法に基づき全国的にタクシー運賃は「公定幅運賃」と呼ばれる統制価格が導入されたことは本紙前号にてお伝えした通りです。そしてMKグループでは熟慮の末、東京を除く7都市で公定幅運賃への大幅な値上げを見送り、消費増税3%分だけを転嫁する運賃で営業を継続しております。
 早速4月3日以降2、3度にわたって各社に運輸局より口頭指導がありました。4月22日には「勧告書」が出され、来る5月7日までに公定幅運賃内の設定の届出をしなければ、弁明書の提出の通知を行ったうえで、改正特措法に基づく運賃変更命令が発令されます。運賃変更命令の先には車両停止処分や最も重い事業許可取消という行政処分が控えています。これからも公定幅運賃の違法性を訴え続け、でき得る限り現行運賃を続けたいと考える一方で、事業許可取消はすなわちMKタクシーが社会から消滅することであり、いずれは運賃変更命令に従わざるを得ない状況にあることも事実です。仮にそのような状況になってもいきなりお客様にとって高い運賃にならないよう高齢者割引や深夜早朝割増の変更などの割引申請を運輸局に申請しております。

利用者利便の向上の
趣旨に背く公定幅運賃制度

 行政庁が、各地域における運賃の幅を決定し、その範囲内での運賃しか認めない内容の改正特措法は、かつて違法とされた同一地域同一運賃への回帰であり、タクシー事業者の営業の自由を不当に侵害し、タクシーを使わざるを得ない高齢者や身体障がい者に重い負担をもたらす結果となり、違憲であると考えております。「悪法も法」とも言い法治国家においては決められたことに従う義務がありますが、一方で利用者不在の業界の論理で成立した法に対して、本当にそれが国民の福祉のためになるのか司法に問う権利は誰しもが持つものです。この改正特措法はタクシー事業を規定する道路運送第1条にある法の目的である「道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図る」趣旨に反するものです。
 また公定幅運賃の幅については、その範囲を吟味することなく、従来の自動認可運賃をそのまま引き継いでいるのが実態ですが、現に運輸局から認可を得て営業している安い運賃(自動認可運賃の下限を下回る運賃)を公定幅に含めずに、わずか3?5%の幅に入っていない運賃は違法だとする運輸行政のやり方には到底納得できません。社員教育や設備投資などサービス向上に努め利用者に選ばれることで安い運賃でも経営が成り立つ(事実、その収支を運輸局が認めて毎年継続認可している!)ように、お客様と従業員と共に作り上げてきたものが一瞬にして否定されるのです。質の高いサービスをより低価格で提供するよう企業努力する、至極当たり前のことがなぜかこのタクシー事業においては通用しないのです。

「値上げは困る」
お客様の声に耳を傾ける

 弊社が改正特措法の違憲性を司法において明らかにする方法としては、一旦は公定幅内の運賃を届け出た上で、改正特措法の違憲性を主張することも考えられました。
 しかしながら何よりもMKタクシーを日頃からご利用いただくお客様に、突然1?2割の値上げを強いることは出来ませんし、ご理解いただくことは困難です。どこの世界にサービス業でいきなり1?2割(京都MKに至っては3割近い)の値上げをする事業者がいるでしょうか。「ご理解ください」とお客様に求める方がおかしいと、私自身が利用者の立場であってもそう思います。
 そこで4月14日より、通常のサービス内容をご評価いただくアンケートはがきに、この度の特措法についての質問も追加した形で、タクシー車内でお客様に手渡しする活動を行いました。代表的なお客様の声には次のようなものがありました。

・値上げは困ります。歩行困難なためタクシーを利用しているのに、弱者に対してますます不安を大きくさせるものです。
・子どもがいたりすると、どうしても乗る機会が増えるので、そういう子育て世帯のことを考えてほしいと思います。
・消費税他、商品も値上がりしているのに、障がい者は駅まで歩くこともできないので、タクシーで外出を少なくするより他ありません。
・女性は夜道を歩くのが不安なので、夜は必ずタクシーを使いたいですが、タクシーが高くなると本当に困ります。
・赤ん坊のいるとき、タクシーを選びたくなるが、毎回となると料金が心配。
・市民にとっては、タクシーは困ったときに頼れる心強い存在。これ以上の値上げは避けていただきたい。

 このような利用者の声を見て、やはり改正特措法は利用者不在のタクシー値上げ法であることを確信しました。

公定幅運賃の違法性を問うため
ついに法的対応に踏み切る

 このような経緯があり、MKグループでは運賃変更命令やそれに従わないことで来る行政処分の差止めを求め、現行運賃で営業を継続できる地位を確認する訴えを起こすと共に、公定幅運賃の違法性を問う裁判を行うことにいたしました(註:本稿執筆は4月25日)。まずは京都MK、大阪MK、神戸MK、滋賀MKが近畿運輸局を相手取り訴訟を提起し、残る地域についても状況をみながら提訴に踏み切る判断をしてまいります。
 4年前の福岡MKや名古屋MKに対する値上げ指導に対して、値上げ指導は国の裁量権の逸脱という司法判断を得て、運賃認可の仮の義務付けの決定を得ました。そしてこの1年の最高乗務距離裁判は名古屋地裁を皮切りに大阪、福岡、札幌、東京全ての地裁で違法判決が下されました。MKタクシーを応援いただく多くの市民の声に司法が動かされたのだと思います。この度の訴訟も決して低いハードルではありませんが、お客様により良いものをより安く適正な価格で届けるという商売の常識が認められることを信じて、粛々と対応を進めていきたいと思います。
 お客様におかれましてはMKタクシーの企業理念やこれまで汗を流してお客様の足を守ってきた現場の社員たちの努力をご理解いただきますとともに、今後とも弊社をご支援願いますようよろしくお願い申し上げます。

MK新聞 2014年(平成26年)5月1日発行 第813号1面

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タクシー再規制について 第80回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(80)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏 殿

試練に耐えてお客様のご支持を!
MKは増税対応のみで続けます

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシー値上げ法いよいよ
4月1日公定幅運賃始まる

 4月1日より、消費税増税とともに改正タクシー特措法に基づき全国的にタクシー運賃は「公定幅運賃」と呼ばれる統制価格が導入されます。改正タクシー特措法は、労使一体で規制強化を望むタクシー業界による働きかけで議員立法として昨年11月に成立したものです。利用者不在の値上げ法案にはMKグループをあげて反対の主張を展開してきましたが力及ばず、4月から値上げの強制が可能な公定幅運賃制度が始まることになりました。これにより当社もお客様よりご評価いただいている現在の低価格の運賃を続けることが困難となり、大幅な運賃値上げを余儀なくされます。
 前号でお伝えしたようにMKグループでは2月中に全国各地で開催された地域協議会に出席し、公定幅運賃に対する反対意見や、運輸局から提示された公定幅運賃の案に対して幅をもっと広げるべきであることを主張致しましたが、結果的に2月28日に正式に公示された公定幅運賃は案通りであり、上限運賃から下限運賃の差が3?5%程度で、たとえ下限運賃を採用したとしてもMK各社は10%以上の運賃値上げになってしまいます。特に京都地域においては昨年12月に京都業界全体の運賃改定が4月1日に同時に行われ、京都MKは20%以上の運賃値上げとなります。

「消費者無視」「営業の自由侵害」も
法治国家では「悪法も法」か

 MKグループでは、これまでもできる限り値上げをせずに企業努力を続けてきました。自動認可運賃の下限を下回る運賃(下限割れ運賃)はコスト構造など収支が償えば認可されることが道路運送法で担保されていました。そのため福岡MKや名古屋MKでは、運輸当局からの必要のない運賃値上げ指導に対し、仮の義務付けを求める行政訴訟によって「行政の裁量権の逸脱」であるとの司法判断を勝ち取ってきました。しかしながら今般の新法は、法律によって公定幅運賃(国が指定する運賃)が義務付けられ、従わない場合は強制力のある運賃変更命令や最も重い処分として事業許可取消もあり得るため、従来のような行政の指導への反対行動がとれなくなりました。
 なお、この法律は憲法が保障する「営業の自由」を侵害するものであることは多数の識者からも指摘されており、違憲の疑いが濃いものであるという考え方は変わりません。しかしながら一方で、法治国家である以上「悪法も法」であることは認めざるを得ません。利用者に支持されるタクシーとしてドライバーの接客マナーの向上、グレードの高い車両の導入、GPS無線配車システムや専用乗り場など選んでいただきやすい環境のための設備投資など他社との差別化をはかってきた結果として現在の低価格運賃でも十分収益を確保できる体制を作り上げてきた企業努力をいとも簡単にこの新法は打ち砕くのです。  なぜこうまでして生産者に焦点を当てた政策がまかり通るのか、資本主義社会の原点を逸脱して利用者に負担を強いることが理解できません。

少しでもご負担を軽減
続けられるところまで

 熟慮の末、MKグループでは4月1日以降も消費税増税分のみを運賃に転嫁することとし、この度の強制値上げは見送ることといたしました。仮に大幅な運賃値上げをするとしてもお客様にご理解いただく周知期間が足りません。
 しかしながら、このままでは新法の規定により違法な運賃となってしまうため、近い時期に国からの指導や処分(最終的には事業許可取消処分)により、やむなく現行から1割以上値上げをせざるを得ない状況となります。それまでは何とか地域の実情を鑑みつつ、消費税増税分のみの転嫁で継続できるよう努力を続けたいと考えます。なお4月1日の時点では、名古屋MKは昨年12月に運賃値上げをしたばかりですので料金は据え置き、東京MKは公定幅運賃へ移行いたします。
 強制的に値上げさせられるという消極的な理由からですが、もしもそうなった場合に少しでもお客様の負担を軽減するため、現在様々な割引申請やポイントカードの導入を目指して各運輸局に割引申請を行っております。深夜早朝割増の割増率の低減や高齢者割引の導入によって、深夜早朝の公共交通がタクシーしかない時間帯のお客様と、昼間を中心とした通院などの高齢者の足を守ることで、少しでも公共交通機関としての役割を果たしていきたいと考えております。
 お客様におかれましては何卒ご理解と少しでも強制値上げの時期が遅くなるようMKタクシーへのご協力ご支援を賜りますようお願いいたします。

MK新聞 2014年(平成26年)4月1日発行 第812号1面

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タクシー再規制について 第79回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(79)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏 殿

サービス向上・安心利用の推進は
時代錯誤の統制価格では不可能

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

距離規制にまたしても違法判決
4都市目、札幌地裁も判断示す

 平成26年2月3日、札幌エムケイが最高乗務距離規制の撤廃を求めていた訴訟について、札幌地方裁判所は、当社の訴えを認め、最高乗務距離は違法であると判決を下しました。北海道運輸局は控訴せず、同月18日をもって判決は確定しました。
 昨年5月の名古屋地裁、7月の大阪地裁、本年1月の福岡地裁に続く勝訴判決で、全国5地域で提訴した結果、現在のところすべての地裁で違法判決が出されております。本紙前号で福岡地裁判決にも触れましたが、こちらも九州運輸局が控訴せず判決確定しました。
 この距離規制は、行政が「乗車拒否」を指導するタクシーの利便性と信頼性を揺るがす問題が多いもので、労働者の働く権利を制限するものでした。お客様に選ばれる結果として走行距離が伸びるタクシーを狙い撃ちにした規制であり、企業努力の否定と、何より「利用者がサービスを選ぶ」ことを軽視するものです。札幌地裁の英断と、署名活動などにご協力いただき裁判所の判断を後押しいただいた札幌市民の皆様に改めて厚く御礼申し上げます。

改正タクシー特措法による
公定幅運賃への強制値上げ

 運賃値上げ指導や最高乗務距離規制など2009年タクシー特措法によってもたらされた再規制の違法性が次々と明らかになる中、改正タクシー特措法が昨年12月に議員立法として成立し、本年1月に施行されました。これは2009年の特措法では規制が不十分であるというタクシー業界・労働組合が強く国会議員に働きかけてできたものであり、現行の自動認可運賃の下限よりも安い運賃の存在を認めず、本年4月からすべてのタクシー会社が上限〜下限わずか3〜5%程度の公定幅運賃にすることを法律で義務付け、強制的に減車を行っても独占禁止法の適用除外となることなど更なる規制強化を定めたものです。
 この改正タクシー特措法の問題点は本紙上において指摘してきましたが、何より利用者不在のままに事業者の理論によって法律が成立したことです。本年2月には全国各地で行政機関やタクシー事業者、消費者団体などによる「タクシー地域協議会」が作られ、そこで公定幅運賃の幅の案について運輸局から提示され、協議会は意見をとりまとめて運輸局に答申するという手続きが踏まれました。MKグループは全国8都市の地域協議会に参加し意見を述べました。各地の地域協議会において会長(座長)になられた学識経験者の先生方にはお手数をかけて大変申し訳ないことだと思いますが、地域協議会での意見聴収はおそらく形式的なものであり、既に決められたものをアリバイ的に開催しているように思えてなりません。

憲法違反の統制価格に反対
さもなくば公定幅を拡げよ

 各地の地域協議会にて私どもが公定幅運賃について申し上げた意見は主に次の通りです。
●憲法に定める営業の自由や財産権などを不当に侵害するものであり、憲法違反の疑いがある。特に運賃を公定幅内でしか認めないという規定は、時代錯誤の統制価格制度であり、営業の自由を不当に侵害する。
●道路運送法は「輸送の安全」と「旅客の利便」、改正特措法は「交通の健全な発達」をそれぞれ目的としているが、公定幅運賃制度は事業者間の健全な競争まで抑制する。
●仮に公定幅運賃を認めるとしても、3〜5%程度ではなくもっと幅を広げるべき。
 公定幅運賃を導入する目的として、過度な運賃競争により所得が低下したタクシードライバーの待遇改善と考えられており、最低賃金割れなど労働基準法違反状態の改善を労働組合関係は期待していますが、そもそも運賃値上げをすれば賃金があがるということは幻想です。それは経営者の仕事です。そしてタクシー事業者は低運賃のタクシーがなくなれば、その分利用者は別のタクシーを利用すると期待しているのでしょうか。
 タクシー運賃値上げの歴史はそのまま利用者離れの歴史であることを今一度思い起こさなければなりません。昭和50年代、2年おきに運賃が値上げされた時代がありました。運賃値上げ理由として金科玉条とされたのは「ドライバー所得待遇改善」でしたが、値上げの度に利用者減少に歯止めがきかなくなりました。 MKは運賃値上げが逆に自分たちの首を絞めると考え、昭和57年に京都大学工学部の故佐佐木綱教授の研究に協力しました。タクシーの研究理論は今でも珍しいものと思われますが、 佐佐木教授は経済成長率以上に運賃値上げをすると利用者が減ることを理論的に説明されました。



外出の足を脅かす影響
行政はこれでよいのか

 公定幅運賃によって全国から低額運賃をなくし、強制的に値上げしていくとタクシー自体を乗らなくなる人が増えます。消費税3%転嫁だけでも、昨今の成長率と比べると厳しいのではないでしょうか。一般の利用者にとっても非常に影響が大きいのは当然ですが、高齢者や身体障がい者の方など日々病院に通うためにタクシーを利用せざるを得ない立場の方にとって、外出の足を失うことになりかねない懸念があります。タクシーは唯一のドア・トゥ・ドアの公共交通機関であり、来るべき超高齢社会においては公共交通の中心を担う重要な交通機関です。ユニバーサル交通機関となりうる可能性を捨てることは、タクシー業界の未来を奪うものでもあります。
 当社は昭和47年より鉄道やバスに先駆けて「身障者優先乗車運動」を行い、昭和58年には全国に先駆けて身障者割引を行うなど、社会的弱者の足を担うことこそがタクシーの使命であり、タクシーの社会的地位を高めるものであるという信念を持って経営を行ってきました。
 現在、京都MKであれば実車kmベースで法人タクシーの29・6%(H23実績)のシェアがあり、いうなればタクシーを利用する京都市民4人に1人が突然の値上げの影響を受けるということです。特に京都市の発行する福祉タクシー利用券のうち49 ・7%(H24実績)は京都MKで使われています。この影響たるや市の交通行政に収まらず、福祉行政の観点からも多大な影響があることは間違いありません。
 改正タクシー特措法を成立させた国会議員はおそらくそのような実態など知らないことでしょう。法律の付帯決議として参議院・衆議院ともに公定幅運賃は利用者利便の確保の観点を十分に踏まえて安易な値上げが行われないことを求めていますが、そのような想定をはるかにこえた事態を引き起こしているのです。

事業者の手足を縛っては
サービス向上も安心もない

 改正タクシー特措法を国土交通省は「タクシーサービス向上・安心利用推進法」と位置付けているようですが、護送船団方式の時代に戻る悪法であると敢えて断言します。従前より私は規制のための新しい法律を作って利用者に支持されるタクシーを苦しめるのではなく、今ある道路運送法や道路交通法や労働基準法などを適正に運用すれば、不適格事業者はおのずと淘汰され、供給過剰問題など自然と解決します。それをせずに「減車すれば監査を免除する」などのモラルハザードを引き起こす施策をするなど、実はタクシー産業を破滅に導こうとしているのではないか、とすら思えます。
 事業者には運賃や台数などの商売の根幹にかかる部分への自由は与えて、安全面や労働面などはしっかりと監督していただければよいのです。一度減車すればもう増車できない、そのような状態であるからこそ減車が進まないのです。ドライバーの充足具合や1台当たりの売上を勘案して供給調整できる自由を奪うから経営者として正常な判断を実行できないのです。台数規制のなかった平成18年から21年にかけてMKはその時々の状況に応じて増車を行いながらも67台の減車も行いました。
 事業者の商売の根幹に関わる部分を縛り、どうしてサービス向上・安心利用を促進できるというのでしょうか。4月1日からの公定幅運賃適用に向けての時間が刻々と迫っておりますが、当社は最後までこの法律の欺瞞を指摘し続ける所存です。

MK新聞 2014年(平成26年)3月1日発行 第811号1面

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タクシー再規制について 第78回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(78)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏 殿

福岡でも距離規制に違法判決
行政は新規制法の運用を見直すべき

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

3都市目の最高乗務距離に違法判決
福岡地裁が名古屋・大阪に続く

 平成26年1月14日、福岡MKが最高乗務距離規制の撤廃を求めていた訴訟について、福岡地方裁判所は、当社の訴えを認め、最高乗務距離は違法であると判決を下しました。昨年5月の名古屋地裁、7月の大阪地裁に続く勝訴判決で、全国5地域で提訴した結果、現在のところ全ての地裁で違法判決が出されております。
 この規制は、距離オーバーの可能性がある場合は行政が「乗車拒否」をするように指導しており、お客様の利便性を大いに阻害し、タクシーの信頼性を揺るがす点で非常に問題が多いものでした。また定められた労働時間内であっても、距離オーバーしないよう途中で営業を終えて帰らざるを得なくなるなど、労働者の働く権利を制限するものでした。お客様に選ばれて実車率が高く、結果として走行距離が伸びるタクシーにとっては適正な営業に支障を来すもので、質の高いサービス、快適な車両、安い運賃を提供しようとする努力を否定するものでした。何より「利用者がサービスを選ぶ」当たり前の行動を軽視したものであり、タクシー事業の健全な発展を妨げるものでしかありません。
 私どもとしましては「一般的な商売の常識が認められただけだ」という感想ではありますが、やはり福岡地裁におかれましては国を負けさせる判決を行うことは英断であったかと思います。そしてその裁判所の判断を後押ししたのは福岡市民の熱いご支援があってのことです。署名活動をはじめ、多大なるご支援を賜りました皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

福岡地裁の判決要旨
・実態調査では異常値を看過したと推認でき、信頼性を揺るがす
・営業の自由を過度に制約しないための配慮に欠け、合理性を欠く
・高速自動車国道の乗務距離を除外し、自動車専用道路の乗務距離を除外しないことに合理性を見出せない
・総合的に考慮すると、裁量権の範囲を逸脱しており違法である

運輸局のずさんな検討過程は
行政のタクシーへの認識そのもの

 訴訟にあたり、九州運輸局が日勤270qの規制を決めるにあたっての検討過程が明らかになりましたが、裁判所も指摘する通り、非常にずさんなものでした。元となった実態調査はサンプル数が少ない上、明らかな異常値があってもそのまま採用するなど信頼性がなく、計算方法も不合理なものでした。場合によってはタクシー会社の存亡に関わるということを果たしてどれだけ理解していたのでしょうか。また乗車拒否多発なども容易に想像できたはずですが、利用者の視点に立っての検討は行ったのでしょうか。こういったことが当たり前のように行われてきた点でも、タクシー行政の前近代性がわかります。また福岡で異を唱えたのは福岡MK1社のみで、業界から疑問の声が上がることもありませんでした。
 営業の自由を過度に制約しないための配慮に欠けたという指摘は、まさにタクシー行政が事業者横並びの発想で実は企業努力など後押ししようとしない考え、そして利用者がタクシーを選ぶ権利などは発想もしていない姿勢の表れではないでしょうか。
 また、5年半にわたる訴訟の継続に対しては、相当な費用がかかっているはずですが、その原資は加盟している札幌のタクシー会社のドライバーが必死で稼いだお金です。その貴重なお金を無為に費やしたことに対して納得できる説明はされているのでしょうか。
 なお、九州運輸局が控訴するかについて現時点(1月28日現在)では判明しておりませんが、大阪地裁に算定方法の不合理さを指摘された近畿運輸局が地裁判決を受け入れて新たに公示をやり直したことを鑑みると、九州運輸局も判決を受け入れるのではないかと考えております。

改正特措法が1月27日施行
百害あって一利なし

 一方でタクシーの再規制へ向けて時々刻々と環境が整備されてきました。昨年11月20日に議員立法として成立し、本年1月27日に改正タクシー特措法が施行されました。これまでもこの改正法の問題点は本紙で何度も指摘してきましたが、力及ばずこのような悪法が施行されてしまうことは非常に残念です。しかし、どのような法律も運用次第であるということは、くしくも過去のタクシー行政で国土交通省が証明しています。
 仮に輸送の安全と利用者の利便が深刻な事態に陥っており、また事業者がどんなに努力をしても新規需要が生まれないという地域が仮に存在するのであれば、憲法の保障する営業の自由や財産権を否定してでもこのような法律の枠組みを使うという選択肢ももしかするとあり得るかもしれません。しかし、現実にはそのような地域は存在しません。業界団体や労働組合の主張は、自分たちの努力が足りないことを糊塗しているだけではないでしょうか。
 この法律は業界団体や労働組合が国会議員に強く働きかけることでできたものであり、必ずしも国土交通省として望んだものではなかったと推察します。「営業の自由」を定める憲法や、「利用者利便と輸送の安全」を目的とするそもそものタクシー事業の基本となる道路運送法の精神に従い適切な運用をしていただくことを強く望みます。

全国でMK運賃が値上げ?
時代錯誤の価格統制

 改正タクシー特措法では、準特定地域に指定されると「公定幅運賃」制度が導入され、下限を下回る運賃は一切認められなくなります。既に全国のほとんどの大都市を含む地域が準特定地域に指定されており、本年4月1日より制度が導入されます。
 これまでの運賃は個別審査が原則であり、事業者ごとに「適正な原価を償うか」「不当な差別的取り扱いにならないか」「不当な競争を引き起こさないか」といった観点から審査されることになっておりました。MKグループの多くの地域では、1年ごとに運賃の審査が行われ、その都度認可要件に適合しているとして運賃認可が更新されてきました。しかし、今後は個別の事業者の状況は無視され、いかなる事情があろうと下限割れ運賃は認められなくなり、全国のMKグループは運賃値上げを強制されてしまいます。資本主義社会では、価格の設定は、それが不当廉売等に当てはまらない限り事業者の自由です。その価格が適当かどうかを判断するのは消費者です。これまでのタクシーや航空、鉄道、電力などのように価格が認可制度や届出制の業種もありますが、どの価格で申請(届出)するかは事業者の自由という点では変わりありません。しかし、公定幅運賃はこの事業者の自由を認めないという点では統制価格制度と同じです。戦後の混乱期はあらゆるものの価格が統制されていましたが、復興に伴って次々と解除され、現在では統制価格制度が維持されているのは銭湯だけとされています。現代社会において新たに価格統制が行われるなど、全く前代未聞です。

ハイブリッド車が存続の危機
車種区分の見直しを

 MKグループでは、平成24年以降全国でトヨタ「カムリ」を導入してきました。この車両はハイブリッド車で燃費が非常によく、車内空間についてもお客様からの評価も上々だったので、次世代の主力車両の候補でした。寸法での基準や「車格」としては中型タクシーなのですが、排気量が2000tを超えるため、運賃制度上、大型タクシーの車種区分に分類されていました。そのため、これまでは認可申請によって大型タクシーと中型タクシーの運賃を合わせることにより、中型タクシーと同じ運賃で提供してきました。
 ところが前述の公定幅運賃制度の導入により、大型タクシーと中型タクシーの運賃を合わせることができなくなります。お客様に快適に乗っていただける車両で、企業としてもLPガス代の高騰の折、低燃費であるハイブリッド車両となる中型車相当の車格を求めていて、行き着いたものがカムリという車種です。環境問題や自動車産業へのテコ入れを背景にハイブリッド車など低燃費車の導入は国策として行われていることは誰の目にも明らかで、国土交通省としても推進する立場は同じでしょう。それに従ってMKグループでは積極的に導入を進めてきましたが、それがある日突然、運賃が高くなって事実上使えなくなるなど大変な問題ではないでしょうか。利用者も中型タクシーと認識しています。是非とも、何十年も変わっていない車種区分の見直しや、大型車であっても中型車と同運賃を可能とする運用をするなど、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 2009年に施行されたタクシー特措法は「活性化・適正化」を標榜していましたが、実際のところ「適正化」の名のもとに「減車」や「安い運賃をなくす」圧力を強め、ときに違法判決とされた行政の裁量権の濫用を生んだだけでした。この度の改正タクシー特措法においてもタクシー事業の「活性化」が置き去りにされ、利用者も企業努力を続ける事業者も不利益を受けることがあってはなりません。

MK新聞 2014年(平成26年)2月1日発行 第810号1面

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タクシー再規制について 第77回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(77)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 一般社団法人札幌ハイヤー協会会長 加藤欽也殿

消費者の利益を軽視する札ハ協は
タクシー業界の縮図でもある

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

協会が突然の控訴取り下げ
札幌地裁の勝訴判決が確定

 この度、平成25年12月2日付けで、札幌ハイヤー協会が札幌MKの許認可取消を求めていた訴訟について、一審で敗れて控訴中であったハイヤー協会は札幌高等裁判所に控訴取り下げを行い、国とMK側の勝訴が確定しました。事業者団体が一事業者の許認可取消を求めるという前代未聞の訴訟は、ハイヤー協会の突然の控訴取り下げにより終結しました。これにより弊社で働く従業員が安心して、これからも札幌市民の皆様に質の高いサービスを提供できることをうれしく思います。
 またハイヤー協会の理不尽な訴えに対して、労働組合が中心となった署名活動では、わずか1ヵ月余りで59万1326名もの署名をいただき、裁判所に「お客様の支持」を示して全面的な勝訴判決を確定させることができました。応援いただきました札幌市民の皆様には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

誤りは正直に訂正して
業界レベル向上こそが本務

 札幌高裁での控訴審では、ハイヤー協会は何ら主張らしい主張をすることなく引き延ばした末に、いまだ理由も明らかにしないまま一方的に取り下げを突きつけてきた協会の真意ははかり知れません。ただ貴殿は、提訴時の記者会見で、「MKの低運賃は乗務員の犠牲のもとに成り立っている」など、全くの事実誤認に基づく誹ひ謗ぼう中傷としか言いようのない発言をされ、それがマスコミで報道されるなど、当社としては多大な迷惑を被りました。
 控訴を取り下げ、それらの誹謗中傷を一切事実認定しなかった札幌地裁判決を受け入れたということは、貴殿自身の発言は単なる誹謗中傷であったことを認めたということですが、現在にいたるまで貴殿からの釈明は全くありません。記者会見の時点ではMKについての偏った情報しかなかったため誤解していたのかもしれませんが、その後の札幌MKに対する市民の評価を見れば、発言が誤りであったことに気づかないはずがありません。一般社団法人札幌ハイヤー協会会長という公人として、事実と異なることを発言したのであれば、誤りを認めた時点で訂正を行うのは当然ではないでしょうか。
 また、5年半にわたる訴訟の継続に対しては、相当な費用がかかっているはずですが、その原資は加盟している札幌のタクシー会社のドライバーが必死で稼いだお金です。その貴重なお金を無為に費やしたことに対して納得できる説明はされているのでしょうか。
 当社としては、貴殿が安易な形で責任を取るのではなく、今一度初心に帰り、創意工夫と企業努力によって札幌のタクシー業界のレベル向上に取り組むのであれば、喜んで協力させていただきたいと考えております。

悪しき前例を残さないため
公取委に判断を求める

 しかしながら一点だけ明確に断ち切っておかなければならないことがあります。
 確定した札幌地裁判決では、事業者団体である札幌ハイヤー協会には道路運送法上も原告として訴える資格がないとされています。加えて、本紙上でも以前から指摘している通り、そもそも事業者団体による新規参入の阻止は、独占禁止法第8条の規定に違反している可能性が高いのです。 「(独占禁止法第8条)事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
一 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。 二 (略) 三 一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。(以下略)」
 本訴訟は事業者団体が一事業者の参入を阻止する「前代未聞の訴訟」と言われてきました。常識的な判断として違法行為であることが当たり前すぎて前例がないだけなのかもしれませんが、このような行為が独禁法違反に該当するかどうかはいまだ明確ではありません。もしそれを曖昧なまま放置すると、今後も同じような事例がタクシー業界に限らず頻発する可能性があります。仮に新規参入者に訴訟参加できる体力がない場合、泣き寝入りせざるを得ないことも考えられます。このような社会が健全であるはずがありません。
 私は、今回の協会の行為が独禁法違反であることを明確にしてもらい、タクシーのみならず日本の産業界において二度と同じような過ちが繰り返されることなく、社会の健全な発達に寄与できればと願っております。
 本訴訟が終結したのを機に、協会の行為が独禁法に違反するのかどうか、公正取引委員会に申告して、その判断を仰ぐことも検討しています。

独禁法を軽視する業界の体質
損なわれるのは一般消費者の利益

 独禁法の目的は「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」とされており、「経済の憲法」とも言われています。
 しかし、この独禁法を軽視しているのは、何も札幌ハイヤー協会に限ったことではなく、タクシー業界全体の体質とも言うべきものです。古くは昭和60年「MKタクシー値下げ裁判」地裁判決において、当時の同一地域同一運賃が独禁法違反と示された事例があり、他にも事業者団体が独禁法違反で排除措置命令や勧告を受けた事例も多々あります。
 最近では、タクシー業界の強い働きかけにより平成26年1月27日に施行される「改正タクシー特措法」に、独占禁止法の除外規定が設けられています。世界各国を見ても、よほどの合理的な理由がない限り、独禁法に相当する法律の適用除外は行われません。今回の改正タクシー特措法は内閣法制局の審査を受けない議員立法によりなされたこともあり、合理的な理由の有無について十分な検討が行われておらず、専門家からも疑義を呈されています。
 このような規定を業界の意向を受けて安易に設けたことにより損なわれるのは、独禁法の目的である一般消費者の利益です。改正タクシー特措法は、独禁法とは正反対に「公正かつ自由な競争を阻害して、事業者の利益を確保する」とも言うべき内容です。このようなタクシー業界の体質改善なくして、一般消費者の利益は確保できません。

学識者からも規制反対の声
早急に悪法の改正を

 様々な点で問題をはらむ改正タクシー特措法に関しては、政府の規制改革会議議長である日本郵船相談役・草刈隆郎氏らをはじめとする学識者から「タクシー規制再強化法案の早急な見直しを求める」声明も出されました。規制によってタクシーの台数を減らし、料金を値上げさせることは、「そもそもの目的であるドライバーの健康や処遇、タクシーの安全性そのものを改善させる効果がない」と指摘し、「タクシー利用者の犠牲の下に、主としてタクシー経営者の利潤を増加させることを意味する」と断じています。行きすぎた規制緩和により弊害が生じたという認識は誤りであるという点。再規制による需給調整と運賃規制の強化は、既得権業者の利益を守るだけで、一般消費者や労働者の利益を害する政策であるという点。過重労働や賃金低下、事故率の高止まりなどの問題は安全規制の強化によって対処すべきものであるという点。これらは、まさに私の考えと同じものです。
 本来こういった声は、タクシー業界から上がらなければならないものですが、真にタクシー業界の将来を憂え、再規制に対して真っ向から反対をしようとする声はごく一部に限られています。再規制に対する意見自体はたくさん上がっていますが、総論賛成各論反対で、少しでも自分に有利な規制にしたいという利己的なものがほとんどです。独禁法を軽視する態度を捨てるのはもちろん、「タクシーは他の産業とは違い、お上の顔色さえうかがっていればよい」という旧態依然たる態度をも捨て、一般消費者を向いた商売をしなければなりません。業界の要望によってできた改正タクシー特措法ですが、規制強化による弊害が深刻化する前に、業界自ら先頭にたって廃止させることができれば、タクシーは衰退産業から脱し、成長産業として生まれ変わることができるはずです。
 貴殿におかれましては、生まれ変わるタクシー業界をリードする立場になっていただきますようよろしくお願いいたします。

MK新聞 2014年(平成26年)1月1日発行 第809号4面

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タクシー再規制について 第76回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(76)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 内閣総理大臣 安倍 晋三殿

改正タクシー特措法が成立
利用者にとって百害あって一利なし

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

国民に情報を知らせないまま
タクシー運賃値上げが起きる

 これまで本紙上にて取り上げておりましたタクシー特措法の改正案は11月8日に衆議院を通過し、20日に参議院にて可決されました。政府の規制改革を基調とした成長戦略と真逆の業界保護の色合いが強い本改正法の成立により、いよいよタクシー産業は成長の機会を自ら捨て去り、衰退への道をたどる心配が現実のものとなってきました。
 本改正法は各新聞・テレビ報道において「タクシー減車法」として紹介されていますが、世論はタクシーが減ったり増えたりすることには違和感は覚えないでしょう。しかし、減車のみならずタクシー業界が長年求めてきた「同一地域同一運賃」に近づけるために、ほとんどの都市圏において「公定幅運賃」しか認めない「タクシー運賃強制値上げ」があることがあまり報道されておりません。消費者にとって身近なことは「価格」についてであり、供給過剰と報道されればむしろ今より価格が下がるのでは、と受け取られる方もいるのではないでしょうか。特に関西において弊社をはじめとする「低価格のタクシー運賃」は今回の規制によってなくなるということを理解している国民は、残念ながら少数と思われます。
 デフレ経済下においては価格の据え置きは実質値上げ同然とも言える中、これまでは個別事業者がそれぞれの判断で運賃の値下げ申請をすることがありましたが、今後公定幅運賃内にすることが義務付けられると個別申請もすることはできません。一度上がった公定幅運賃を地域業界全体の努力によって引き下げようとすることは、これまでのタクシーの歴史を振り返ってもほぼあり得ないことで、原価に一定の利潤を上乗せする「総括原価方式」によって求められる公共料金がはらむ課題が浮き彫りとなる形で、将来的には運賃値上げが繰り返され、利用者離れが加速するだけです。
 早ければ来年4月に公定幅運賃へ値上げと言われておりますが、アベノミクス効果や2020年オリンピック需要などはまだまだ一部の盛り上がりであり、地方への波及の実感はなく、4月の消費税増税によりタクシー需要などは一層冷え込む可能性があります。

経営者が判断すべき領域に
行政が立ち入るべきではない

 本改正法は、急いでいるからこそすぐに乗りたいタクシーが減るということや、毎日タクシーを使用しなければならない高齢者や体の不自由な方々など交通弱者とされる方にとっては利用しやすい価格のタクシーが無くなるということを意味します。消費者にとって当たり前の「タクシーを選択する」という行動がとれなくなり、まさに「利用者にとって百害あって一利なし」と言えます。利用者から支持されるタクシーは増車も事業拡大もできず、本来であれば市場から退出すべきである支持されないタクシーは存在し続けます。
 例えるなら100の需要が90になったとき供給を90にするのは経営判断として当たり前ですが、規制があると次に需要が100に戻ったときに供給を戻すことができない。それどころか企業努力によって需要が110になったとしても、他の事業者の需要が90なので一緒に90にまで減らすということです。企業の創意工夫を無視し、十把一絡げに規制をかける。自由競争社会においてこのようないびつな産業があるでしょうか。
 安全や労働については国が規制を強化し、国民に安心して利用いただけるタクシーとすることに反対はございません。しかしながら、需要に対する「供給」や「価格決定」など事業者が判断すべき領域に国や行政が踏み込むべきではありません。加えて根本原因とされる供給過剰問題については、国土交通省には監査を行い不適正な事業者を正し、時には退出させる義務があります。本改正法などなくとも労働基準法、道路運送法、道路交通法をしっかりと適用すればよいのです。2009年のタクシー特措法において減車した事業者は監査を免除するとした「減車インセンティブ」は利用者の安全をないがしろにした言語道断の施策であり、行政の不作為であると断言します。その行政の怠慢のツケを利用者と企業努力を続ける事業者に押しつけることに他なりません。選ばれない事業者は淘汰されるか、自ら退出する自由もあります。行政は利用者に迷惑がかからぬよう安全面に厳しい監視の目を光らせればよい、至極単純な競争原理を働かせるだけです。そんな普通のことができない経営者、とタクシー経営者は見なされていることに早く気づくべきです。
 お上がタクシー事業を経営するのではない、我々事業者が経営するという基本的なことが忘れ去られています。何より行政は利用者に対する責任をとりません。

行政の拡大解釈により
またもや矛盾をはらむ

 2009年タクシー特措法の「増車禁止」「値上げ指導」「最高乗務距離規制」「減車しない事業者への加重処分」といった諸規制はことごとく司法によって国の裁量権の濫用と判断が下されたことは記憶に新しいことです。なぜならタクシー特措法の土台となる2002年改正道路運送法の第一条(目的)は、これまでの事業者保護ともとれる「道路運送事業の適正な運営」から「利用者利便の向上」を趣旨とすることへと画期的な進化を遂げました。その法の精神は今も生き続けており、よって2009年のタクシー特措法は行き過ぎた規制とされたのです。道路運送法の目的が再び「業界優先・事業者優先」へと先祖返りすることはあり得ません。減車への強制力について独占禁止法の適用除外と明記しましたが、本改正法は議員立法であり内閣法制局を通っていないと思われます。すなわちこの度のタクシー特措法改正も、道路運送法や独占禁止法、ひいては憲法に照らし合わせればいくつもの矛盾をはらんでいることは想像に難くありません。
 ますます高齢化が進むタクシー産業ですが、新規参入がなく利用者から選ばれる企業が拡大もできない状況が続けば、若い働き手は飛び込まず、新しい発想も生まれず、タクシー産業はやがて衰退します。規制によって一時は「得をした」と思うかもしれませんが、それにはあまりにも大きな代償を支払うことになります。事業者側は自民党、労働者側は民主党へそれぞれ再規制を働きかけ、利用者不在のまま本改正法が成立したことは誠に残念なことです。
 現時点では法律という枠組みが出来上がったところで、これから官僚が省令や通達によって具体的な運用面を定めていきます。「拡大解釈」のないよう、来年4月の消費増税への対応も含めて今後も注視していきたいと思います。2009年特措法のときも、自民党、民主党それぞれ意見交換をした政治家は減車しない事業者に対する加重処分のことなど知らないということがありました。
 安倍総理におかれましては、引き続きタクシーが将来の日本国民の足として精一杯努力することができるようにご考慮賜りますようよろしくお願いいたします。

MK新聞 2013年(平成25年)12月1日発行 第808号1面

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タクシー再規制について 第75回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(75)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 内閣総理大臣 安倍 晋三殿

規制法成立は日本国による
成長分野からの除外通知と思え

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

政府成長戦略と反する
タクシー再規制

 安倍内閣による金融政策と財政政策によってデフレマインドは徐々に払拭されつつあり、日本経済の再生はいよいよ第三の矢と呼ばれる民間活力を引き伸ばすことができるか、その成否にかかってくる段階となりました。来年4月の消費増税によって景気の腰折れを起こさせないためにも、矢継ぎ早に規制改革をはじめ成長戦略分野において政府主導で構造改革が進んでおります。サービス業、特にタクシー業に景気回復の影響が大きく出るのはいわゆる公共投資などで世の中にお金が出回った状態から半年経った頃だろうと思います。連日、農業や雇用といった分野で「岩盤規制」の存在が取り上げられておりますが、新聞紙上に「タクシーの再規制」についても話題が上がり、数少ない情報ながらも国民の皆様に判断いただける機会が増えてきました。
 本紙上にて前回まで、今回のタクシー特措法改正案の問題点について取り上げてきましたが、10月22日に自民党の国土交通部会で特措法改正案が了承され、23日には民主党にも党内合意が得られました。公明党はこの規制が中小規模のタクシーに大きな影響を与えるとして慎重な姿勢を取っていますが、25日には国土交通部会で了承されました。臨時国会への議員立法による法案提出は間近とタクシー業界団体は期待していますが、法案が提出されたとしても、衆参両院で過半数の賛成が得られるとは限りませんし、重要法案が山積みの臨時国会で特措法改正案を審議できるかも不明です。何より規制回帰の法案は安倍総理が推し進める規制改革による成長戦略とは真っ向から対立するものです。

消費者利便・安全性・雇用の
総合的見地から対応すべき

 これらの動きは各党の総意というわけではありません。菅義偉官房長官は10月22日の自民党国土交通部会の決定を受けて「消費者利便、安全性、雇用など総合的な見地から適切に対応するべきだ。政府としても注視する」と記者会見で述べています。内閣の要である官房長官の、タクシー業界への利益誘導による票集めに捉われない広い視野からの見解は政府の方針はもとより、国民意識にかなったものです。
 では、「消費者利便」「安全性」「雇用」という見地からこの特措法改正案を見るとどうでしょうか。「消費者利便」「安全性」は前回まで述べてきた通り高まることはあり得ません。逆に新規参入やお客様に選ばれる会社の規模拡大など「競争」がなくなることによる利便性の低下と、モラルハザードによる安全性の低下が目に見えています。
 3つ目の「雇用」に関しても、悪影響があるのは間違いありません。再規制によるタクシーの利便性・安全性の低下は利用者離れを加速させ、タクシー運転者の待遇悪化を招き、ただでさえ運転者の減少が進んでいるタクシー業界は、運転者減少に歯止めがかからなくなるでしょう。減車より先に運転者の減少による自然減を狙っているのであれば別でしょうが。
 また、平成21年の特措法が施行された時も、減車を理由とした解雇が各地で行われ、札幌のあるタクシー会社では裁判で解雇無効判決が出るという事例もありました。特措法改正による強制減車が行われれば、このような違法解雇が各地で起こる可能性も否定できません。

規制回帰の動きを「注視」
国会で徹底的な議論を

 総理大臣といえども、議員の法案提出を止める権限があるわけではありませんし、そのようなことがあってはなりません。そのような思いから、安倍総理もこれまで再規制法案提出に関してあえて発言を控えてこられたのだと推察します。しかし、このような政府の方針と全く相反する法律ができては、成長戦略の実行も根本から崩壊しかねません。一方、同じ交通分野で安倍内閣は重要法案として「交通政策基本法」を提出しようとしています。この法律は「国民の移動する権利」を定めようとするものです。しかし特措法改正案は、運用を誤ればこの権利をいくらでも侵害することができます。このように、特措法改正案は、規制緩和を基本とする成長戦略に相反するだけでなく、安倍内閣が進めようとする交通政策とも全く整合性が取れないものです。特措法改正案が「利用者利便」「安全性」「雇用」にどのような影響を与えるかについてきっちりと検証し、「注視」しなければ、成長戦略も骨抜きになりかねません。
 タクシー政策について国会の場で論戦が行われることはそう多くはありません。今回の特措法改正案の審議を機に、特措法の是非にとどまらず、本当に国民のためになるタクシー政策とは何なのか、徹底的に議論を戦わせ、よりよいタクシーを作り上げる機会としていただけるようよろしくお願いいたします。

時代から取り残される
なぜ気付かないのか

 特に私が懸念しているのは、新聞報道でこの件が取り上げられることはあっても、「強制減車等の参入規制」については指摘されますが、タクシー業界の念願である「幅運賃(自動認可運賃)しか認めずに、下限割れ運賃に値上げ命令を出す」ことについて触れられることは極めて稀まれである、ということです。おそらく「タクシー運賃値上げ」には消費者が敏感であるため上手く情報を誘導しているのではないか、とさえ考えます。  経済産業省を中心に将来的に公共料金の総括原価方式(あらかじめ一定の利潤を上乗せして価格を決定する方式)を見直していこうとする動きがある中で、タクシーだけが全く逆方向に行こうとしています。
 これまでタクシー産業は「雇用の調整弁」としての役割を担っていました。景気が悪くなればタクシー産業に就職する、その結果タクシー会社は稼働が増えて売上が増えて儲かるという構造でした。ちょうど平成14年の規制緩和の時期、平成19年のリーマンショック後などは全国的にそのような兆候が見られました。しかしリーマンショックを最後にそのような「雇用の調整弁」とは言えない状況が続いており、昨年までの不況下においても全国的にタクシー運転者数は不足し、どこも採用に苦慮しています。その上、これからは公共事業をはじめ製造業などに求職者が集まっていき、ますますタクシー運転者のなり手は減っていきます。

成長分野からの除外通知
そのことを恐れてほしい

 以上のような問題点があるにも関わらず、このタクシー規制法案が成立するということは、裏を返せば政府がタクシーを「成長戦略分野ではない」と切り捨てたことを意味します。タクシー業界団体が規制を求めて自らの首を絞めることは今に始まったことではありませんが、私は政府のタクシーに対する認識を恐れています。
 日本は超高齢化社会に突入しており、タクシーの役割は今後ますます重要になってさらなる成長分野へと発展していきます。その重要性を認識して国民の移動する権利を定める交通政策基本法を定めようとしながら、一方でタクシーは再規制して成長戦略分野としての芽を摘む「タクシー外し」、まさにこのようなことが起こりつつあります。タクシー業界は10年後、20年後の将来を見て、このことを恐れてほしい。
 安倍総理におかれましては、タクシーが将来の国民の足として精一杯努力することができるようにご考慮賜りますようよろしくお願いいたします。

MK新聞 2013年(平成25年)11月1日発行 第807号1面

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タクシー再規制について 第74回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(74)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 内閣総理大臣 安倍 晋三殿

タクシー再規制を見直し
成長戦略に位置付けを

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

司法に否定された
強引な再規制圧力

本紙が発行される10月1日には、来年4月の消費税を8%に増税するかの最終判断が予定されており、いかにして景気の腰折れを起こさせることなく成長分野への注力や規制緩和を推し進め、社会福祉の充実など国民生活における不安を払拭する制度改革と企業活動の活性化を両立させるかが問われています。タクシー産業は景気をはかるバロメータと言われていますが、夜の繁華街におけるタクシー利用状況は回復には至っておらず、この点において川下であるタクシー業界へ景気回復の影響が波及するのはまだまだ先のことかと思われます。  さて、わずか7年で再規制へと逆戻りした平成19年10月に施行された「タクシー特措法」(「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」)は、タクシーの適正化・活性化を目的とし、民主党への政権交代が起こる直前の自民党政権時代に衆参両院の全会一致で成立したものでした。  この特措法によってタクシー業界全体で「減車」についての注目が高まりましたが、減車とは「適正化」の一手段として必要に応じて計画することが可能なのであって、減車自体が最終目的でもなければ、希望しない事業者に減車を強制できるものでもありませんでした。また増車に関しても届出制が認可制となったものの、過去の「需給調整」とは異なり、要件さえ満たせば合法的に可能とされています。業界として「同一地域同一運賃」をも特措法に盛り込みたいようでしたが、さすがに自由化に向いたタクシー事業においてそのような消費者を無視したことは為し得るはずもなく、特措法の付帯決議として「同一地域同一運賃が望ましい」を記載することで業界に顔向けしたとも言えるでしょう。  このように、タクシー特措法は平成14年の道路運送法改正による規制緩和に一部修正を加えるものの、基本的には規制緩和を前提としたものでした。このことは行政がタクシー特措法施行を機に強引に行おうとした「最高乗務距離規制」「減車しない事業者への監査の加重処分」「低額運賃への値上げ圧力」「増車を事実上認めない」といった施策が、司法によってことごとく法的根拠が無いと断じられたことからも明らかです。

再規制は公約になく
国民の信は問うていない

特措法施行当初よりこの法律では「減車が進まない」と懸念した業界や労働組合の要望を受けて、当時の政権与党であった民主党のタクシー政策議員連盟(民主タク議連)は早くも平成20年4月には再規制を強化し、減車を強制できる改正法案の検討に入りました。一方の自民党でも業界からの働きかけにより、自民党タクシー・ハイヤー推進議員連盟(自民タク議連)が改正法の検討を始め、平成24年8月には民主案と自民案が出そろい、異なる点はあるものの、いずれも減車を事実上強制できるという点では一致しており、国土交通省も関与し両案の調整が進められてきました。  自民、民主両党とも新法案の検討を行っていたのは、タクシー業界・労働組合の利益を代弁するタク議連で、党としての統一見解ではありません。そのため、平成24年12月の衆院選挙では、自民、民主のいずれもタクシーに関する公約が掲げられず、タクシー再規制に関して国民の信を問われることはありませんでした。  平成25年4月には、自民、民主両党のタク議連で両案を折衷した「調整試案」としてタクシー特措法改正案が了承され、6月には自民、民主、公明の3党が議員立法を進めることに実務者レベル(自民党タクシー・ハイヤー推進議員連盟会長・金子一義衆議院議員、民主党タクシー政策議員連盟会長・大畠章宏衆議院議員、公明党国土交通部会長・高木陽介衆議院議員)で合意し、今月15日招集予定の臨時国会での議員立法に向けて党内手続きが進められているとされています。

政府成長戦略に反する
規制回帰の新法案

そのような経緯があってタクシー特措法改正案は、法的根拠がないとして司法にストップをかけられた「減車強制」「増車禁止」「安い運賃を認めない」を法律に明記しようとするものです。  減車に合意しなかった事業者に対しては、地域内の事業者や自治体、学識経験者らでつくる協議会から申し出があった場合は営業時間や営業形態等を制限する営業制限命令を発することができるとされています。もし命令に違反した場合は処分することが可能で、行政は事業者に減車を強制することが可能となります。また協議会による減車に関しては独占禁止法の適用除外とすることで、合法的なカルテルを可能とします。  新規参入や増車はいかなる理由があろうと禁止され、車両数を増やす道は完全に閉ざされます。運賃は協議会の意見を聞いた上で、行政が公定幅運賃を指定し、その範囲内の運賃しか認められなくなります。いわば時代錯誤の統制運賃です。今現在自動認可運賃を下回る運賃で営業しているタクシー会社にとっては強制的に値上げをさせられるということです。  そしてこれらのことは利用者の意見を吸い上げることなく事業者・労働組合の意を汲くみ進められており、平成14年のタクシー規制緩和の成果を検証することなく、規制時代に回帰しようとするもので、安倍政権が成長戦略の柱とする規制緩和策とは全く背反するものなのです。

今タクシーに必要なのは
成長ビジョンである

国全体では程度の差はあれ様々な産業・分野で規制緩和の方向に向いています。一旦自由化すれば何が何でも戻ってはいけないということではなく、規制緩和による成果と弊害をしっかりと検証し、成果をさらに伸ばして弊害を少なくするよう制度を常に改めていく姿勢が、あらゆる面でスピードが求められる現代では必要です。さりとて今般の特措法改正案は「見直し」というにはあまりにも規制への逆戻りが大きく、資本主義社会の基本である自由競争を否定し、独禁法の適用除外も含めて憲法や経済法の専門家からも疑問を提示されています。「利用者を取り残した時代錯誤の業界保護法律」、後年このような評価が待っているのではないでしょうか。  私はこの特措法改正案が成立するかどうかは、すなわち安倍首相がタクシーを成長分野としてお考えか否かにあると思います。モータリゼーションが未発達であった時代、タクシーは人々の足を守り大活躍をしていましたが、車社会の成熟とバブル崩壊後の長い景気の低迷とがあいまってタクシー需要は年々低下してきたことは事実です。だからといってタクシーにとっての古き良き時代に回帰することは不可能であり、過去を向いては嘆いて政治家や行政に新規参入の停止や減車、運賃値上げを嘆願するのではなく、未来を向いて少子高齢化が進む我が国、外国人観光客が多数訪れる我が国において唯一のドアトゥドアの公共交通機関であるタクシーこそ活躍すべき時代になりますので、それに備えた環境を作るべきなのです。今は全国的にタクシードライバーの平均年齢は高まっており、若い人たちがほとんど入ってきません。タクシーが成長産業であり様々なチャンスと創意工夫の余地があるものだという「成長ビジョン」を示し、労働人口の新陳代謝を活性化しなければなりません。「移動」は国民生活にも経済活動にとっても切り離せない要素であり、成長戦略を語る時、決して無視できる存在ではありません。  次号以降、タクシー特措法改正案の問題点について指摘してまいります。安倍首相におかれましては、我が国の成長戦略の一翼を担う存在としてタクシーを認識していただき、今般のタクシー特措法改正案についてしっかりと国民の声をお聞きいただきたく存じます。

MK新聞 2013年(平成25年)10月1日発行 第806号1面

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タクシー再規制について 第73回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(73)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏殿

日本のタクシーへの注目
活性化を目指す最後の機会
全国104万名の署名ご協力いただいたお客様に感謝

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

日本のタクシーの
サービス水準が問われる

本年9月7日、国際オリンピック委員会は2020年の第32回夏季オリンピックを東京で開催することを決定しました。トルコのイスタンブール、スペインのマドリードといずれも歴史と魅力あふれる都市をおさえて、1964年東京五輪から56年ぶりの開催となり、招致活動にご尽力されました関係各位には心よりお祝い申し上げます。  タクシー業界としましては最終プレゼンテーションのキーワードにもあげられる「おもてなし」を最前線で海外からのお客様にご提供する役割を担う重責にさっそく気を引き締めるところであります。なぜならばまだ7年先のことではなく、わずか7年しかないからです。国交省が推進する「ビジット・ジャパン」を原動力として、本年の訪日外国人数はこのままのペースでいくと年間1000万人の大台を突破するのではないかと目されており、同時にそれだけ多くの海外のお客様に我が国の「サービス水準」を審判されることに他ありません。ある調査では世界主要40都市の中で東京のタクシーサービスが第一位だったとされていますが、そのような結果に安住できる状態ではありません。  私はこれまで「日本の消費者は世界一厳しい」と申し上げてきました。その消費者の目に日々さらされ、事業者同士が切磋琢磨し、市場における淘汰も当然あり、時には行政に厳しい品質管理水準を突きつけられたり、公正取引委員会から事業者同士の慣れあいを糾弾されることもあるでしょう。そうした周辺環境と変化に対応する企業努力の結果として競争力ある産業が育ち、生き残った企業がお客様から支持されているのです。私の言わんとすることは既におわかりかと思いますが、それと真逆のことが脈々と行われているのがタクシー産業です。

適正化と活性化を名目
しかし活性化は骨抜き

前号より申し上げている通り、今年の秋の臨時国会でタクシー特措法改正案を議員立法で提出することを自民、公明、民主の三党が合意したことが新聞報道されており、「利用者利便につながるのか不透明」などの指摘を受けています。2009年のタクシーの適正化と活性化を目的とした再規制(タクシー適正化活性化特措法)をさらに強化し、罰則規定を設けた強制減車と独禁法の適用除外、新規参入や増車の禁止、公定運賃(自動認可運賃)より安い運賃を禁止しようとすることなどがその主な内容です。  2009年の特措法はその名にあるように「適正化」に極端に偏っており、「活性化」には全く資することがなかったと私は考えています。しかもその「適正化」たるや繰り返し申し上げる通り「@最高乗務距離規制」「A減車しない事業者への監査の加重処分」「B低額運賃への値上げ圧力」「C増車を事実上認めない」ことであり、しかもそのことごとくが司法によって「裁量権の逸脱」との判断がなされました。加えて減車に応じた事業者には監査を免除するインセンティブを設けましたが、国民の安全を守るべき立場の行政が「減車した事業者は安全だから監査は必要ない」ともいえる判断を示したことは、事業者の安全に対するモラルを低下させる行為です。  「最高乗務距離規制」も「低額運賃への値上げ圧力」も「道路状況や労働実態に関係なく長く走れば事故が発生する」「運賃が安い事業者は安全対策コストをないがしろにする」など明確に根拠を示せないまま規制が公示通達されました。この背景には「利用者に選ばれるタクシーを走れなくする」ことを望む既存事業者と、「タクシー会社はどこも同じ、行政が守らなければ生きていけない」と考える運輸行政の思惑が見事に合致した産物であったと思われます。まさにこの点が、2002年利用者利便の向上に舵を切った道路運送法改正からわずか7年足らずで再規制へと逆戻りしたタクシー特措法が持つ唯一の国民に対する免罪符である「タクシーの活性化を目指す」という精神が骨抜きとなり、ただ既得権保護・護送船団方式の時代への回帰を目指しただけの法律であったことを物語っています。

行政も政治家も
経営者を信頼していない

冒頭で申し上げた「わずか7年」とは、タクシーの活性化なくして利用者の信頼を取り戻すことなど叶わないにも関わらず、今般自公民の三党が合意したタクシー特措法改正案はより一層活性化を遠ざけるものであるため、これが成立することになれば創意工夫を無くしたタクシーへの信頼など再び築けるはずもないからです。  新聞報道によれば早速オリンピック関連株が値上がりし、来年4月に控えた消費税増税の判断にも一定の影響を与えることは間違いないでしょう。景気の回復はありがたいことだとしても、タクシー運賃の値上げは確実に利用者数に影響を与えます。消費税転嫁分は百歩譲って置いておくとしても、今現状の運賃で経営できているタクシー会社をなぜ全社一律に自動認可運賃までに強制的に値上げさせる必要があるのでしょうか。非常にシンプルな問いです。値上げが活性化になる理由は何ですか。この点一つとってもいかに矛盾に満ちたタクシー政策であるかご理解いただけると思いますし、タクシー産業だけがなぜこれほどまでに規制によって保護されているのでしょうか。  残念なことに行政も政治家も、タクシー経営者の自助努力を信頼していないからです。貴殿におかれましてはどうか我々事業者を信頼し、今の道路運送法の趣旨を尊重し、創意工夫によって利用者利便を向上する機会を奪わないようお願いいたします。

第8回MKチャリティカップ開催
身障者優先乗車の原点に返る

さて、本年も9月5日〜7日の3日間、MKボウル上賀茂にて「第8回MKチャリティカップ」を無事開催いたしました。天候の悪い中、足を運んでいただきました2400名の観客の皆様にはプロボウラーの白熱の試合をご覧いただき、特に決勝戦は男女とも一投ごとに、会場全体が緊張感に包まれました。大会開催を支えていただきました270社の協賛会社の方々に改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。  MKチャリティカップはチャリティを目的とした日本初のプロアマオープントーナメントです。大会期間中、会場に設置したチャリティBOXやプロにご提供いただいたグッズによるチャリティオークションをはじめ約200万円のチャリティ金が集まりました。京都市・京都府の福祉課等を通じて、本年も府市の福祉施設等に必要な物品などを寄贈させていただきます。また当日は障害者施設の方々をご招待し(MKタクシーでの送迎付)、観戦や食事をお楽しみいただきました。  当社では昭和47年、「タクシーを市民に返す運動」として、車いすで手をあげる方への乗車拒否が日常茶飯事であった当時、「移動のためにタクシーを最も必要とされているのは身体障害者の方。MKは本日より身障者・車いすの方を優先乗車いたします」と身体障害者優先乗車を実施しました。タクシーのドアに身障者優先のステッカーを貼り付けたところ、最初の頃こそドライバーは「格好悪い」と言って嫌がり、出庫してからひそかにステッカーをはがしていましたが、いつの間にか京都市民より「MKはいいことしてるね」の声を受け、徐々にではありますがドライバーの心は変化していきました。今では当たり前かもしれない身体の不自由な方に親切にするという「常識的なこと」も、それを実行し根付かせることには長い時間がかかるのです。  毎年、MKチャリティカップ開催の時期には全社員がタクシーの原点に返って、タクシーを必要とされるお客様への親切なサービスという「常識的なこと」を見つめ直しています。

MK新聞 2013年(平成25年)9月16日発行 第805号1面

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タクシー再規制について 第72回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(72)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏殿

運輸行政の違法と怠慢か
利用者不在の新規制法の温床に
全国104万名の署名ご協力いただいたお客様に感謝

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

四大再規制に違法判決
恣意的な通達行政を正す

前号で述べた通り、タクシー再規制はその四本柱である「@最高乗務距離規制」「A減車しない事業者への監査の加重処分」「B低額運賃への値上げ圧力」「C増車を事実上認めない」という施策の全てが司法により否定されました。  法律に何ら根拠なく「通達」を駆使して強引に行ってきた行政の恣意的な姿勢が司法によって正されたということですが、同時に、そのために不合理な再規制に疑問を感じた当社を含むタクシー会社が時間と費用と当局と対峙するというリスクを冒してまでも元々国(行政)が負けることは稀と言われる行政訴訟を提起した側面も無視できません。「行政無謬説」と言われるように行政が行うことは全て正しいと事業者も利用者も思い込むことで、どれほど利用者利便の向上の妨げとなってしまったか、今回のことはよい証左と言えるでしょう。法の趣旨を逸脱することは事業者はもちろんのこととして行政であっても許されることではありません。問題はそれを「おかしい」と声を上げることができるかどうかなのです。

<裁判所の判決要旨>
@最高乗務距離規制
・営業の自由に対する影響の大きい距離規制を始めなければならなかった状況にあったとはいえない(名古屋地裁/原告:名古屋エムケイ)
・算定した上限距離は合理的なものとはいえない(大阪地裁/原告:エムケイ、大阪エムケイ、神戸エムケイ)
A減車しない事業者への監査の加重処分
・合理的な理由なく顕著な差別的取り扱いをする点で、平等原則に違反し、明らかに不合理である。(名古屋地裁/原告:名古屋エムケイ)
B低額運賃への値上げ圧力
・事業者が安価な運賃等を設定することを著しく困難ならしめるような審査をすることは、法の趣旨に反し許されない(福岡地裁/原告:福岡エムケイ)
・特措法制定後も道路運送法の趣旨は変わっておらず、運賃認可基準を満たす限りは、他社より安い運賃を制限しているわけではない(名古屋地裁/原告:名古屋エムケイ)
C増車を事実上認めない
・新規需要の立証という実際には立証することが困難な要件を課すことは、需給調整と同視することができ、違法であって許されない(東京地裁/原告:ロイヤルリムジン社)

経営者に意識改革を
求めるべき行政は

タクシーは平成14年に道路運送法が改正、いわゆる規制緩和が行われ、事業者のための交通機関から、利用者のための交通機関へと位置付けが変わりました。改正道路運送法の第一条(目的)には「(中略)〜利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図る〜(中略)」とはっきりと記されています。  この規制緩和により、これまでのタクシー事業の在り方は根本から変わり、新規参入や事業者間の健全な競争によってサービスが向上し、利用者利便の飛躍的な向上が期待されました。MKグループが新たに進出した都市(神戸、大阪、名古屋、札幌、滋賀、福岡)では利用者から高い評価を得ると同時に、他社タクシーもMKのサービスを意識するようになった、という声をよく聞きます。特に経営者に「意識改革」が求められたのです。  しかしながら多くの既存タクシー事業者は規制緩和には反対であり、護送船団方式の「需給規制・同一地域同一運賃」時代への回帰を望みました。最大の原因は私たちタクシー事業者の意識の改革を怠ったことと言われても仕方ありませんが、運輸行政もまた既存事業者の声に耳を傾け続けた側面もあったのではないでしょうか。運輸行政は規制緩和の趣旨に則り、事業者の意識改革を先導し、新しい取り組みを後押しすべき立場にあったにも関わらず、現実には利用者利便を大切にせず、「タクシーはどれも一緒」という認識の上で選ばれるタクシーを苦しめ企業努力をさせない政策を取っていました。

減車した事業者に
監査を免除とは

規制緩和にあたっては、事前審査型から事後チェック型への移行の表れとして、負の側面に対処するため法令を順守できない事業者の退出促進もセットで行う必要がありました。従前よりMK新聞紙上にて私が指摘し続けているように、既存の道路運送法や道路交通法、労働基準法などを適切に運用し、法令順守の観点から業界の淘汰を促進すれば、供給過剰などと言われる規制緩和の問題点は排除できます。そのような事業者を退出させることもまた行政に求められる義務であったにも関わらず、十分な取り組みを行ってこなかったことはまさに行政の怠慢です。それどころか再規制の一環として「減車した事業者には監査を免除する」という安全モラルの軽視を助長するかのような施策を打ち出しました。行うべき監査を行わない一種の「行政の不作為」ではないでしょうか。  これらの意識改革をなおざりにしたまま、平成21年にはタクシーの「適正化」と「活性化」を目的としたタクシー特措法(タクシー事業の適正化及び活性化に関する特別措置法)が施行されました。  需給規制を撤廃し需要の多様化ニーズに応え利用者利便を向上するものとする前述の道路運送法の趣旨はなお生きています。しかしながら運輸行政も事業者も減車という「適正化」には力を入れるものの、「活性化」には見向きもしていません。それどころか運輸行政は既に述べた通り「@最高乗務距離規制」「A減車しない事業者への監査の加重処分」「B低額運賃への値上げ圧力」「C増車を事実上認めない」といった法律のどこにも書いていないような通達行政を行い、「活性化」の芽を自ら摘んでいるのが現状です。  その結果、タクシーの信頼はますます失われ、利用者の減少には全く歯止めがかからず、タクシー業界はさらなる規制を求めました。

全国紙報道で「新規制法」批判
既存事業者保護・利用者軽視

8月下旬に各紙で報道されたように、今年の秋の臨時国会でタクシー特措法改正案を議員立法で提出することを自民、公明、民主の三党が合意しました。強制的に減車を行わせ、一定幅の運賃以外は一切認めないという、規制緩和以前へと逆戻りする法律です。ここ数年来M&Aなど事業再編で規模拡大した既存事業者にとっては、昔の需給規制時代のように新規参入による競合が起こらないメリットがあるでしょうが、運賃値上げなど肝心の利用者にとってメリットがあるのかという点には新聞各紙も疑問を突き付けています。  先に述べたように、通達行政が法律に根拠がないと司法に断罪されたため、では法律に明記すれば問題ないだろう、という安易な考えが見えてすけます。仮にこの法案が成立したとしても、今度はこの法律自体が違憲であるという国家の根幹を揺るがせる大きな問題が生じます。このような経済的自由を著しく制限する法律は違憲の恐れが濃厚であると指摘する専門家もあります。資本主義社会にとって、また立憲国家にとって、このような法律が成立することはあってはなりません。  貴殿におかれましては利用者、ひいては国民の利益を守るためにいかにすべきかご明察いただきますようよろしくお願いします。

<特措法改正案のポイント>
・強制減車 → 非協力事業者には営業方法 制限命令(流し禁止や乗場利用禁止)独禁法除外を明記
・新規参入・増車 → 禁止
・公定幅運賃より安い運賃 → 運賃変更命令。従わなければ処分

(新聞各社の反応)
・「既存事業者を保護する意味合いが強く、規制強化により新規参入を阻害すると指摘されかねない。利用者の利便性向上につながるか不透明だ」8/17 京都新聞
・「規制でタクシー運賃が下がらなくなる一方で、運転手の実質的な労働条件改善につながらなければ、消費者軽視という批判を受ける可能性もある」8/18 毎日新聞
・「安倍政権が成長戦略の柱として規制緩和政策を推し進めているだけに、改革に逆行しかねないとの批判も上がりそうだ」 8/20 日経新聞

MK新聞 2013年(平成25年)9月1日発行 第804号1面

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タクシー再規制について 第71回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(71)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏殿

四大再規制のすべてが違法判決
異常事態に行政の責任を問う
全国104万名の署名ご協力いただいたお客様に感謝

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

大阪地裁も距離規制は違法と判断
名古屋地裁に続く違法判決

平成25年7月4日、京阪神のMKグループ3社が最高乗務距離規制の取消しを求めていた訴訟について、大阪地方裁判所は、MKグループの訴えを認め、最高乗務距離規制は違法であるという判決を下しました。  距離規制が違法であるという司法判断は、5月31日の名古屋地裁に次いで2例目となります。特に今回の京阪神の訴訟は、他地域と比べても規制の内容が極端に不合理であり、タクシー再規制をめぐる一連の訴訟の「天王山」と位置付けていました。平成22年3月の提訴以来、京阪神を中心に全国で104万名の署名活動を行うなど、MKグループの総力を挙げてこの訴訟に取り組んでまいりました。この度全面的に勝訴することができたのも、市民の皆様のご支援のおかげであり、改めて厚く御礼申し上げます。

運賃値上げ、加重処分、増車禁止
そして距離規制までもが否定

今年度に入り、タクシー再規制をめぐる行政訴訟に続々と判決が出ております。4月18日大阪高裁「加重処分」(原告:ワンコイングループ)、5月31日名古屋地裁「距離規制・加重処分」(原告:名古屋MK)、6月27日東京地裁「増車却下」(原告:ロイヤルリムジン社)、そして今回7月4日大阪地裁「距離規制」(原告:MKグループ3社、ワンコイングループ8社)と、国はことごとく敗北を続けています。平成22年の福岡地裁・高裁(原告:福岡MK)、平成22〜23年の名古屋地裁・高裁(原告:名古屋MK)の「運賃」訴訟も合わせると、平成21年10月から始まったタクシー再規制の四本柱である「@最高乗務距離規制」「A減車しない事業者への監査の加重処分」「B低額運賃への値上げ圧力」「C増車を事実上認めない」という施策の全てが司法により否定されたことになります。国が負けることは稀と言われる行政訴訟で、このように国が負け続けるというのは異常事態です。タクシー再規制がいかに法律を無視したおかしなものであったかがはっきり分かります。法曹界も注目しており、この数年間弊社が関わった再規制裁判は判例として法律雑誌などに掲載され、全国の法曹関係者の目にとまっています。  司法によって加重処分や距離規制に関する処分が覆される事例が相次いだ結果、運輸行政は必要以上に委縮してしまい、全国で行政処分件数が大きく減少していると言われています。違法な行政処分が許されないのは当然ですが、監督官庁としてルールに従い適切な処分を科し改善指導を行うことは国民のためにも必要です。にもかかわらずその機能がうまく果たせていないのは、悪しき「通達行政」を繰り広げた結果ではないでしょうか。  もちろん私もこのような状況がタクシー業界にとって望ましいものとは考えていません。以前から主張している通り、お客様に選ばれる企業努力をするタクシーの手足をただ縛るのではなく、監督官庁としてメリハリのきいた指導監督をすることこそ、業界の健全化や利用者の信頼を回復する唯一の方法なのです。

ずさんな距離設定に驚き
やはり低額運賃排除目的か

近畿運輸局では上限250qかつ高速原則除外なしと、他地域と比べて飛び抜けて厳しい最高乗務距離規制が行われていましたが、今回の訴訟を通じてこの距離設定や高速の扱いにほとんど根拠がないことが明らかとなりました。運輸局の行った算定方法ではそもそも乗務距離の最高限度は計算できず、元となった実態調査も信頼できない、と大阪地裁も厳しく指摘している通り、この250qという距離には全く合理性がありません。また高速道路に関しても、他の地方運輸局は平均速度が大きく異なることを理由に一般道とは異なる扱いを定めたのに対し、近畿運輸局は何ら検討を行うことなく、原則として除外しないことを決めています。  一般に、最高乗務距離規制のような営業活動を直接制限する規制を定めるにあたっては、様々な角度から規制がもたらす効果と弊害とを比較しつつ、必要な規制の程度を検討することが求められます。しかし、近畿運輸局においては、このようにずさんでいい加減な検討しかせずに規制を制定したということには驚きを禁じ得ません。  近畿運輸局が他地域よりはるかに厳しい規制を行った理由は、低運賃事業者の排除が目的だということは、当初から囁かれてきました。普通の労働時間の中であっても長距離が続けば乗車拒否も構わない、利用者は他のタクシーに乗ればよい、のスタンスを運輸当局は持っていましたし、このような規制の前提条件としてあるであろう「安いタクシーは交通事故を起こしやすい危険な乗り物だ」ということも明確な証拠を裁判で提示することはできませんでした。これでは初めから「安いタクシーを走れなくする」という結論ありきで作られた規制であると思わざるを得ません。実際、全国でも特に低運賃事業者が多かった大阪では、ワンコインと呼ばれた初乗500円の法人タクシーは、1700台から300台にまで減少しています。

控訴を断念の決断に感謝
行政の方針転換に期待

7月19日に国土交通省は、控訴を断念し、大阪地裁の判決を受け入れる旨を発表されました。他の訴訟ではいずれも控訴をしているのに対し、今回は司法判断を尊重する決断を下されたことに敬意を表します。  しかしながら同時に国土交通省は、改めて距離算定方法などを見直し規制を作り直すと発表しています。私は、最高乗務距離規制という制度自体が全く合理的ではなく、内容の如何に関わらず非常に問題が多いと考えています。利用者のタクシーに乗る権利と、運転者の働く権利を踏みにじるものです。「安全」は運輸業における何よりも重要なことです。しかし規制をかける立場にあるものはそれを逆手にとって本来許されない不合理な規制(裁量権の逸脱と司法に弾劾されるような行為)をかけることは看過できません。たまたま我々や一部の事業者が「これはどう考えてもおかしい」と国を相手に勝てる見込みも少ない孤立無援の中で訴訟を起こしたために、結果として行政の恣し意的な行為が明らかになっただけのことなのです。もしも黙って従っていればこのようなおかしなことがまかり通る業界でよいのでしょうか。  規制とは反対の場面ですが、減車を推し進めたいがばかりに「減車をすれば監査を免除する」などという減車インセンティブを打ち出すことも運輸当局が「安全」(=国民の生命)についてどのような認識でいるかもうかがい知れます。「監査を受けたくないから減車する」と公言する事業者も少なからずあるのが現実です。  裁量権を逸脱とまで司法に言わしめる規制という「ムチ」、安全に対するモラルハザードを起こしかねない「アメ」、一体運輸行政は「誰のため」に「どこへ向かおうと」しているのでしょうか。私は、今回の控訴断念という方針転換が、業界をただ保護するためだけでなく、利用者のためのタクシー行政へ転換する第一歩であることを強く望みます。そして4年前の四大再規制が軒並み司法によって否定された意味を、再規制を求める業界と運輸行政はもう一度立ち止まって考えるべきではないでしょうか。  現在、そのタクシー業界の意を受けて秋の臨時国会に向け、さらに厳しく規制しようとする特措法改正の議員立法の準備が進められています。このまま既得権益の保護でしかない規制時代へと逆戻りするのか、利用者視点に立った経営ができる時代が訪れるか、まさにタクシー業界の真価が問われる時です。

MK新聞 2013年(平成25年)8月1日発行 第803号1面

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タクシー再規制について 第70回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(70)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏殿

距離規制は違法との司法判断再規制の欺瞞がまた明らかに
全国104万名の署名ご協力いただいたお客様に感謝

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

最高乗務距離規制は違法
初の司法判断で全面勝訴

この度、平成25年5月31日付けで、名古屋MKが最高乗務距離規制の取消しと、増車による加重処分取消を求めていた訴訟について、名古屋地方裁判所は名古屋MKの訴えを全面的に認め、最高乗務距離規制と加重処分は違法であるという判決を下しました。平成22年から丸4年間続いていた訴訟は、名古屋MKの全面勝訴となりました。  MKグループでは、平成21年の11〜12月に相次いで導入された日勤者の最高乗務距離規制に対し、平成22年3月に京都MK、大阪MK、神戸MKが連名で大阪地裁に取消しを求めて提訴したのを皮切りに、同年4月に札幌MKと名古屋MK、同年5月に福岡MK、同年6月には東京MKが、各地の地裁へ提訴しました。各裁判所で審理が続く中、最初に判決を迎える名古屋地裁の判断が非常に注目されていましたが、「違法」という画期的な判決となりました。  あわせて併合審理されていた増車事業者に対する加重処分の取消しを求める訴訟についても、加重処分は違法であるという判決が出ました。こちらについては本紙5月号でもお伝えした通り、同様の事案で大阪のワンコイングループが大阪地裁、大阪高裁で加重処分に対する違法判決を得ていましたが、名古屋地裁においても同趣旨の判決となり、加重処分の違法性がより一層鮮明となりました。  最高乗務距離規制に関しては、平成22年2月1日より4月7日まで、MKグループでは労働組合が中心となって「最高乗務距離規制の撤廃」を求める署名活動を実施しました。期間中には全国で104万2760名もの方々に主旨に賛同いただき、ご署名をいただきました。これらのお客様のご支持のお陰もあり、この度ようやく勝訴することができました。応援いただいた市民の皆様には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

他の手段で事故削減は可能
低額運賃事業者排除目的か

名古屋地裁は、名古屋地区については事故件数、事故率、速度違反件数はいずれも減少しており、1日当りの走行距離も減少しているため、最高乗務距離規制のような営業の自由への影響が大きい規制は不要との判断でした。安全確保のためには、道路交通法の各種規制はもちろん、労働時間規制や車両整備に関する規制など、様々な規制があります。これらを適切に運用することで、事故の削減が順調に進んでいるのです。事故削減のために今新たに規制を設ける必要は全くないのです。また1日当りの走行距離は、道路環境の変化や需要の減少、IT技術による効率走行などにより、距離規制を設けるまでもなく高度経済成長時代以降減り続けており、新たに規制を設ける意味もありません。  これらの事故や走行距離が減少していた事実を、規制を制定した時点においても把握していたにも関わらず、新たに最高乗務距離規制を設けた真の理由は、選ばれて走行距離が伸びる低額運賃タクシーを走れなくし、値上げに追い込むことであるとも言われています。実際、例えば大阪ではワンコインと呼ばれた初乗500円の法人タクシーは距離規制と厳しい運賃査定方法により、約1700台から300台を切るまでに減少しました。名古屋MKも平成22年には値上げに追い込まれかけましたが、お客様の熱いご支持と名古屋地裁の勇気ある判断によって何とか今の運賃を維持しています。

加重処分は平等原則に反する
相次ぐ違法判決

今回の判決では、増車事業者への加重処分も違法とされました。この規制は、増車をした、あるいは減車をしなかった事業者は法令違反の可能性が高いとして、行政処分時に処分を3・5倍等に加重するというものです。しかし、裁判所は、増車した事業者が法令違反を起こしやすいということは認められず、処分の加重という差別的な取り扱いをする合理的な理由はなく、平等原則に違反して明らかに不合理であると厳しく指摘しています。  ワンコイングループによる同様の訴訟では、大阪地裁、大阪高裁ともに加重処分に対して違法判決を下しており、現在国の上告により最高裁に移っています。違法判決が3件続いている中、最高裁がどのような判決を行うか、非常に注目しています。  また、裁判とは直接関係ありませんが、この加重処分規定のより大きな問題点は、減車事業者への監査の免除の「減車インセンティブ」です。たとえ違法事業者であったとしても、減車さえしていれば監査が行われず、処分を受けることがないため、業界のモラルハザードを促すものというほかありません。行政は国民の安全を守る義務を放棄しているとしか言いようがありません。

安易な規制は許されない
利用者の権利が守られた

平成21年のタクシー再規制により、「最高乗務距離規制」「減車しない事業者への監査の加重処分」「低額運賃への値上げ圧力」「増車を事実上認めない」といった施策が行われ、「運賃が安い事業者や増車した事業者は安全性に問題があるから監査で値上げと減車に追い込む」という方針が取られました。しかし、今回の判決で最高乗務距離規制と加重処分は違法とされ、平成22〜23年には福岡地裁・高裁、名古屋地裁・高裁で運賃値上げの強制が違法との判決が出ています。残る増車却下についても、現在裁判所にその是非を問うているところです。  これらの判決で指摘されているように、現在の道路運送法は輸送の安全と旅客の利便性を目的としており、基本方針の規制緩和に変わりはありません。また、再規制の根拠であるタクシー特措法も、タクシーの適正化と活性化を目的としたもので、決して減車や値上げの強制を目的としたものではありません。法律に根拠を持たないことを行政の権限で行ういわゆる「通達行政」によって再規制は進められてきたのです。法治国家である以上、法律に反した不当な規制を行うことが許されてよいわけがありません。それは「安易な規制は許されない」という司法からの至極当然な反応と考えます。平成14年に改正された道路運送法の趣旨は「業界保護」から「利用者利便向上」へと性質を変え、国自らが利用者本位に立ったことを意味します。にも関わらず、国は利用者の選ぶ権利を奪うようなことをし、それに対し、ありがたいことに全国104万名のお客様の応援がありました。今回の判決は「営業する権利」を「商売人」の手に取り戻すきっかけなのです。自由闊かっ達な競争を促進する今回の司法判断は、このタクシーが「まだこれから伸びる産業」である期待の表れであると我々事業者も運輸行政も受け止めるべきです。  また新しいタクシー規制法が議員立法による成立を目指す動きがありますが、利用者の選ぶ権利、タクシー事業者の自助努力をなくすようなことはないようにしなければなりません。

次は7/4に大阪地裁判決
東京、札幌、福岡が続く

名古屋に続いて、7月4日には大阪地裁で距離規制と加重処分の判決が下されます。近畿運輸局による規制は、距離は250q(名古屋は270q)、高速道路は原則除外なし(名古屋は全て除外)と全国でも飛び抜けて厳しく、営業への制限が大きいものです。地域によって実情が異なることからも、必ずしも名古屋と同様の判決になるとは限りませんが、大阪地方裁判所が英断を下してくれることを強く信じて待つのみです。同じく東京、札幌、福岡でも年内には判決が出そろうと見込まれます。  名古屋でも既に国は控訴しており徹底的に争うようですが、私たちとしましても、このような争いを続けることは本意ではありません。今回でも提訴から判決まで4年もかかりました。もし最高裁まで行くようであれば、あとどれだけの時間と費用、労力がかかるのか想像もつきません。国は司法の判断を待たず、再規制の誤りを自ら糺し、よりよいタクシーを作り上げるべく邁進することを強く願います。

MK新聞 2013年(平成25年)7月1日発行 第802号1面

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タクシー再規制について 第69回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(69)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 太田 昭宏殿

新政権はタクシーを成長産業とし
規制見直しと若年層が働く産業に

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシーは成長産業
国の政策転換を求める

昨年12月16日の第46回衆議院選挙は誰もが予想していた通り自民党が圧勝し、再び政権の座をとりました。この約3年間、日本社会は大きく混乱したように見受けられますが、失われた活力をまずは経済の分野から取り戻していただきたいと願います。 新しい政権に、とりわけ運輸行政を担う大臣に期待することは、「タクシーを成長産業とする立場にたった政策」に転換することです。タクシーは一般には「成熟産業」といわれおり、事実として市場規模は年々減少し、働き手も高齢化が進んでいます。しかしながら、私はこれからが成長分野であると考えます。

超高齢化社会における
交通バリアフリーの主力に

このように考える理由には次の4点が挙げられます。1点目に、どれほど技術が進歩し社会が変容しようとも「人の移動手段」の必要性はなくなりません。航空、鉄道、バス、自家用車など様々な交通機関がありますが、中でもタクシーだけが、ドア・トゥ・ドアで移動できる唯一の公共交通機関です。少子高齢化と核家族化により、自らの移動手段を持たない高齢者が増えており、そうした方々の移動ニーズにタクシーは応えることができます。誰もが行きたい時に行きたい場所へ行ける権利を実現するための「交通バリアフリー」は、インフラの整備だけではないと考えています。
2点目は「都市交通改革」への取組みです。MKは昭和50年代から、バスとタクシーの有機的結合によって安くて便利な公共交通体系をつくり、マイカーから公共交通へのシフトを果たす「都市交通改革」を提唱してきました。これによって交通渋滞をはじめとする交通公害や二酸化炭素排出などの諸問題を解決します。マイカーの減少はすでに始まっており、自家用乗用車保有台数は平成18年をピークに減少し、同時に新規運転免許交付件数も近年は連続して減少、かわって高齢者による免許返納数は増加しています。
さらにバスとタクシーに関して、1点目の問題とも関連しますが、路線バスが撤退したエリアや移動の足を持たない高齢者が増えた地区では、バスに代わる「乗合タクシー」が今後必要となってきます。
以上2点は、日本社会が既に直面している重大な課題において、タクシーが人々の生活を支えるため果たす役割があることを示しています。

インバウンド戦略と
IT戦略に可能性広がる

3点目は高付加価値の需要創造への対応です。国土交通省は、観光立国を掲げて海外からの訪日観光客を積極的に誘致しています。観光客が空港に降り立って初めて出会うタクシーが日本の印象を左右するといっても過言ではありません。さらに付加価値を高めるのが、ドライバーが外国語で観光地ガイドを行う観光タクシーです。MKでは50名以上の英会話ドライバーを擁し、観光シーズンを問わず一年を通して、外国人旅行客や国際会議での送迎・案内を行っています。
4点目はIT技術の発展です。特にスマートフォンの普及とアプリケーションの開発環境が整ったことによって、タクシーの利用が便利になりました。タクシーの「常に移動する」という特性と、スマートフォンの携帯性は非常に相性がよいものと考えます。タクシーの配車のみならず、例えば荷物を運ぶサービスなど様々なものに応用できる可能性があります。

規制と業界の高齢化が
タクシーの可能性を阻害する

しかしながらタクシー産業の成長には2つの課題をクリアしなければなりません。1つは、旧態依然としたタクシーのあり方とそれを強要する規制を打ち破り自由な発想で経営できる環境をつくること、もう1つはタクシー就労人口の若返りです。
平成14年の規制緩和からわずか7年で再規制へと逆戻りした結果、既存事業者は守られ、あるべき収斂れんと淘とう汰たが進まないばかりか、思い切ったサービスは運輸行政に妨げられています。それどころか減車した事業者には監査をしないなどといった「減車インセンティブ」は、国民の安全性を担保する行政の義務を放棄したものであり、経営者のモラル崩壊になるでしょう。ここまで利用者視点に欠けている現況を打ち破ることがタクシー復権の必須条件です。
2つ目にあげた人材の若返りも業界全体で取り組まなければならない課題です。私ども経営者がドライバーに対し、「これまでにない新しいサービス・価値を生み出そう」「選ばれるタクシーを目指し励もう」とビジョンを語り鼓舞したところで、ドライバー側が「ある程度の収入があればそれでいい」と考えてしまっていればそれまでです。
下表はタクシードライバーの各都市の平均年齢です。業界平均60歳(MKは49歳)とされるタクシードライバーのモチベーションを上げることは非常に困難ですし、働き盛りが安心して働ける所得や若者が身を投じる魅力がタクシーには必要です。若い人が入ってこなければ当然のことですが、年が経てば経つほど平均年齢は上がります。
タクシーの果たす役割があるにもかかわらず、残念ながらそれを担う人材を受け入れる態勢が整っていないのがタクシー産業の現状です。
国はいたずらに規制をかけてタクシーが成長産業に育つ可能性の芽を摘んではなりません。新たな政権の課題の一つとして、業界を守るのではなく、将来の国民生活を守るためのタクシーのあり方を示していただきたいことを申し上げます。

MK新聞 2013年(平成25年)1月1日発行 第796号4面

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タクシー再規制について 第68回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(68)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

滋賀全域で他社値上げ申請
運輸行政の責任を問う

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

近運局の値上げ指導を
受け入れた滋賀MK

滋賀MKは本年10月5日に近畿運輸局より値上げ指導を受け、結果的に従う形となりました。従来中型初乗り510円だったものが中型初乗り550円になり、去る11月21日より新運賃で営業を始めました。改めまして、日頃よりご利用いただいているお客様には大変ご迷惑おかけいたしますことをお詫び申し上げます。
値上げ後、滋賀のお客様からは「他社と比べてもまだ安いので大丈夫」「値上げしても、他社は近い距離だと嫌な顔をするからMKしか乗りません」といったご理解や、「MKを週に何度か乗るから値上げは辛い」「値上げ分はコールセンターの増強に使ってほしい。利用者にとって一番の窓口だから一番のサービス向上になる」などのお叱り、そして「京都での値上げはないか」「今どき行政が『値上げしなさい』とはおかしい」といった言葉もいただきました。

MK値上げ指導の直後に
他社が運賃値上げ申請へ

滋賀MKに値上げ指導が出された約1ヵ月後の11月8日、滋賀県内のタクシー会社2社が運賃値上げ申請を行いました。中型初乗り1.8q630円から、1.3q500円への改定ですが、いわゆる初乗り短縮型の値上げであり、1.8qまでならば現行より安くなるものの、その後はおよそ10%の値上げです。
自動認可運賃の上限を引き上げる値上げは「運賃改定」とされ、その地域のタクシー台数の7割以上となる事業者が申請を行えば、運輸局が審査に入るという仕組みです。昨年新潟におけるタクシー運賃値上げがカルテルであるとして公正取引委員会より排除措置命令が下されたことは記憶に新しく、この「7割ルール」は多くの問題をはらんでいます。
その後の約2ヵ月間で次々と事業者の申請が続き、まもなく審査開始にこぎつける見通しと言われています。

行政のMK値上げ指導が
引き金となった可能性は

この度の滋賀全域の運賃値上げの機運をもたらしたのは、結果として近畿運輸局による滋賀MKへの運賃値上げ指導でないかと考えています。もちろん値上げするも値下げするも、その判断は行政ではなく経営者の専権事項であると常々申し上げてきましたが、地域最安値であったMKが値上げするとなれば、滋賀県の利用者にとって値上げに対する心理的なハードルが下がるのではないかと考える経営者がいてもおかしくはありません。事業者が自社の業績と収益を見ながら消費者マインドを読んで、ここだというタイミングをつかんで経営に最も重要な「価格」に変化させるのは、むしろ普通の判断とも言えます。最初に値上げ申請に踏み切ることも経営判断ですし、7割ルールに則って追随することも経営判断です。滋賀MKの値上げは全く無関係とは言い切れないでしょう。
しかしながらここで問うべきは、行政が「人為的に」引き起こした価格の引き上げ(滋賀MK。しかも値上げには反対)が、結果として全体の価格上昇をもたらすことになったのではないか、ということです。行政は責任をとりません。事業者に対しても利用者に対しても、です。これこそ行政の裁量権の逸脱ではないでしょうか。

今、値上げが必要なのか
さらなる業界の失速へ

値上げで一時的に収益が上がったとしても、必要以上の値上げはボディーブローのように後から効いてきます。何年か先には業界が失速します。価格と規模は事業者が自社の業績と従業員の所得を見ながら考えることです。価格に関しては、何が何でも値上げを否定するわけではありませんが、動向を見ながらの判断が必要なのです。景気動向によっては逆に安い運賃にすることも選択肢になります。今収益を確保できているのに、なぜ値上げが必要なのかわかりません。
繰り返しになりますが「運賃(価格)」「台数(事業規模)」は経営者の範疇であり、そこに行政が入り込んでくるとおかしくなります。行政は監査などを通して事業の安全性、企業の健全性に監視の目をもっと光らせるべきです。不適格な事業者を排除し、安全・安心なタクシーを築くことが運輸行政の仕事です。
この度の滋賀全域の運賃改定の行く末を案じるとともに、値上げしてサービスも向上しなければ、お客様の信頼は間違いなく離れていくものであると、私たちMKグループも心して事業に取り組む所存です。

MK新聞 2012年(平成24年)12月1日発行 第795号1面

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タクシー再規制について 第67回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(67)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

滋賀MK値上げをお詫び
商売の原点に立ち返るのみ

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

値上げ査定をやむなく
受け入れる判断

この度、滋賀MKは、近畿運輸局の行政指導により運賃値上げとなる査定通知を受けました。熟慮の末、運賃値上げに従うこととし、来る11月21日(水)より下記の通り運賃値上げを行います。日頃よりご利用いただいているお客様には大変ご迷惑おかけいたしますことをお詫び申し上げます。
私どもが営業を継続しつつ、値上げ査定に対抗する手立ては限られており、唯一の手段とも考えられる法的手段の行使も、今回は困難であると判断せざるを得ませんでした(運賃値上げに至る経緯につきましては2面に掲載しております)。

安くて選ばれるタクシーを
なくすのが運輸行政の目的

平成21年、タクシーは平成14年の規制緩和からわずか8年足らずで一転し再規制へと逆戻りしました。再規制の根拠となった「タクシー特措法」は、タクシー車輌の供給過剰が利用者の安全に深刻な影響を与えているという認識に立ち、「低額運賃への値上げ圧力」「増車を認めない、減車圧力」「減車しない事業者への監査の罰則強化」「最高乗務距離規制」などが生まれました。
しかしながら、利用者の目に映っているのは「安くて選ばれるタクシーをなくす」利用者不在の運輸行政とタクシー業界です。値上げを迫ることで、どうして供給過剰が解消されるのでしょうか。安い運賃であれば安全性が低いという根拠についても明確になされていません。
私は前号のMK新聞にて、減車効果により一台あたりの売上は上がったと行政・業界とも喜んでいるが、利用者自体は減少しており、利用者離れは依然続いており、このままでは大変なことになると指摘しました。利用者不在で、既存事業者を守るための規制であれば、本当にタクシーを必要とする人へしわ寄せが来るのです。

「毎日乗る高齢者にはつらい」
お客様から寄せられた声

滋賀MKは値上げ後も引き続き地域最安値となりますが、値上げは値上げです。タクシー車内にてお客様に値上げを告知する掲示をしたところ、「毎日乗る高齢者の私たちにはつらい」「国が規制するのはおかしい」「時代の流れを読んでいるMKと評価していたが残念」「行政はこんなことまで指導してくるのか」というお声をいただきました。値上げによってタクシーそのものを利用できなくなる方がいれば、まさに本末転倒です。
それと同時に、「値上げしてもまだ随分安いから助かる」「MKはサービスがしっかりしているので、値上げしても全然構わない」「MKを呼んでいるのは料金が安いからではなく、乗務員の接客がいいからで、料金が上がっても変わらず乗ります」というお声もいただき、大変ありがたく感じております。これも滋賀MKの社員が一丸となってお客様へ日々丁寧な接客に汗を流しているからです。
寄せられたお声には「値上げは仕方ないが、コールセンターの電話がつながるように改善を」という厳しいお叱りもいただいております。MKをお選びいただくお客様にこのような面でご迷惑をおかけしないよう、改善に努めて参ります。

商売の原点に戻り
信頼をつなぎとめたい

本年4月の大阪MK、神戸MKの運賃値上げに続き、結果として今回滋賀MKも運賃値上げとなりましたことを、重ねてお詫び申し上げます。
運輸当局のとる運賃査定の方法は、滋賀MKの経営実態ではなく、収支の試算を地域の事業者の平均数値に置き換え、企業努力を反映させないことがあります。その結果、滋賀MKは費用面が膨れ上がり現行運賃では収支を賄えない、よって値上げせよという判断がなされました。このような査定方法が行政の裁量権を逸脱するものであることは、福岡MK、名古屋MKの「仮の義務付け決定」による司法判断で明らかになりました。にも関わらず近畿運輸局が3年近く査定を引き延ばした末に、先の司法判断を無視するがごとく値上げ査定をしたこと、それに対抗することなく受け入れざるを得なかったことについて、二重の無念と力不足を感じております。
もちろん利用者にはそのような事情は全く関係なく、ただご迷惑をおかけする結果になることに変わりありません。かくなる上は、MKグループが考える「安くて質の高いサービスを提供する」という「商売の原点」から離れぬよう、値上げしてもMKはよかったとお客様に少しでも思っていただけるよう、新しい料金に見合った、より質の高いサービスをつくり出すために全社員職員が力を合わせて取り組む所存でございます。

MK新聞 2012年(平成24年)11月1日発行 第794号1面

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タクシー再規制について 第66回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(66)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

輸送人員減少が最大の課題
減車効果を喜んでいる場合でない

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシー特措法
「指定特定地域」が3年間の延長

平成21年10月に施行されたタクシー特措法に基づき、新規参入や増車が制限される「指定特定地域」として指定され、本年9月末で期限切れを迎える142地域について、このたび国土交通省は新たに3年間の再指定を行いました。全国639のタクシー営業区域のうち、各都道府県の都市部にあたる157地域が特定地域であるため、そのほとんどが3年間の延長となりました。
指定の条件は簡単に言えば、「平成13年の売上や実車キロ」に比べて減少している、つまり平成14年2月の「規制緩和」以前より悪くなれば、新規参入や増車を規制するということです。タクシー特措法の制定主旨は、タクシーの「供給過剰」によって売上が減少し、そのためにタクシードラバーが過重労働することで交通事故が増加するといった、利用者の安全を脅かす事態を防ぐのが目的とされています。

車輌数は12%減少
日車営収4%改善、しかし

左の表は国土交通省が作成した、平成7年〜23年までの、全国の法人タクシー事業の経営状況等の推移を表すグラフです。車輌台数は規制緩和後に増加し続け、平成19年に22万2522台に達してからは減少に転じ、平成21年の特措法による減車政策によって翌22年には規制緩和当時を下回る台数になりました。平成23年にはさらに減少し19万6502台と、ピークの平成19年に比べ12%減少しました。
「日車営収」という指標は一日に一台の車によってあげられる売上のことですが、この日車営収は特措法施行の年の2万6005円を底に、平成23年2万7154円にまで約4%回復してきました。運輸行政は減車を推し進めることによって日車営収を回復することができた、特措法の制定主旨である供給過剰の解消に大きな効果を発揮することができたと謳っています。
日車営収の改善に一定の効果があったことは確かでしょう。しかしながら、より過去の売上と比べれば依然として低い水準であることには変わりありません。むしろこのグラフで注目すべきは「利用者のタクシー離れ」に歯止めがかからないことです。輸送人員は日車営収の回復とは裏腹に減少を続け、このままでは年間15億人を切ることも否定できません。
これは、タクシー特措法の名称である「タクシー適正化・活性化特別措置法」の「適正化」部分のみを追求し、「活性化」部分については見向きもしてこなかった運輸行政の結果なのです。むしろ監査をちらつかせて減車を押し付け、減車した事業者には監査を行わず、運賃値上げを各地で行い、利用者に選ばれて走行距離が伸びるタクシーを営業させないように最高乗務距離規制を導入するなど、利用者の利便性を低下させる一方であったのではないでしょうか。

タクシー事業者を守り
タクシーを守らず

グラフでは平成20年のリーマンショック以前から車輌減少の傾向があり、タクシー経営者のなかにはリーマンショックが決定打となってタクシー事業からの撤退や規模縮小をいち早く判断した人がいる証です。特措法など作らずとも、運輸行政は経営者の撤退の判断をほんの少し後押しすればよかっただけです。
国土交通省が行ったことはタクシーを守ることではなく、タクシー「事業者」を守ることに過ぎませんでした。このまま利用者がどんどん減少していけば、またそれにあわせて強制的な減車や運賃値上げを行って延命させるのでしょうか。鉄道やバスや自家用車に比べて「高くてサービスの質が低い」乗り物であれば、利用者が使おうと思わない、また本当に必要とする人が使いたくても使えない交通機関への道をただ進んでいくだけです。タクシーを守るとは、利用者が安心して使うタクシーをつくり、育てることです。
利用者数が減少するだけでなく、全国的に見てドライバーへのなり手が減少し、若い働き手がおらず年々平均年齢が上がっているという事実もあります。東京ではタクシーセンターでの登録運転者数が平成21年をピークに減少し、現在は平成19年水準の8万3千人に、大阪では運転者証発行数が平成15年の2万9千枚をピークに、現在は2万5千人にまで減少しています。会社だけが生き残り、利用者も、そこで働く者もいなくなってしまう、そのようなタクシーの未来を作ってはなりません。「適正化」政策を推し進めることで利用者をないがしろにしてきたことに早く気付き、利用者に選ばれるタクシーをつくる環境を取り戻すことが先決であることを、他でもない国土交通省作成のグラフが物語っています。

MK新聞 2012年(平成24年)10月1日発行 第793号1面

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タクシー再規制について 第65回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(65)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

「普遍的価値」と「変化」を理解し
タクシーは商売の原点に戻れ

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

安くて良い商品を生む
社員教育は普遍的だ

「商売の基本」と呼ばれるものは普遍的です。それは消費者に対して質の良い商品やサービスを適正な価格で提供することであり、従業員に対しては会社の精神を教育で浸透させ、しっかりと汗を流した対価として安定した生活を守る、その結果社会にとって必要な企業として信頼され、利益をあげることです。数百年続いた商家であっても、ベンチャーと呼ばれる新興企業であっても、また日本以外の国であってもこの基本は変わらないことでしょう。
そして普遍的な商売の基本があることと同時に、時代時代によって変化する消費者の動向に合わせて経営の志向を変えていくこともまた、基本と言えます。古くは三種の神器、新三種の神器と呼ばれたもののなかで最も高価である自家用車も、いまや必要としない層が現れました。おそらく国民の消費動向は、40代あたりを境に欲しいものが変わっているのではないでしょうか。製薬メーカーや家電メーカーなどでは、女性が動かなければ商品は売れないとばかりに、女性に焦点を当てた商品を世に送り出しています。

タクシーの変化を認めず
昔に戻りたい国と業界

タクシーにおいては、タクシーそのものの需要のあり方が変わってきました。自家用車の所有率が右肩あがりになると同時にタクシーの需要は年々低下しており、バブル期にいっときタクシー不足が喧伝されましたが、長引く経済不況で財布の紐はますます固くなり、ついに東京では初乗りが710円と、語弊がありますが「普通の人には乗れない」乗り物になってしまった印象があります。
タクシーは目的地へドアトゥドアで移動できる唯一の公共交通機関であり、例えばお年寄りなど移動する手段を持たない方にとって必要不可欠です。超高齢社会化した我が国で、高齢者の移動手段であるタクシーの運賃をどんどん引き上げようとする運輸行政に対し、タクシー業界は反対の声をあげるどころか、むしろ安い運賃の事業者の排除を願いさらなる規制を自ら国に求めています。
平成14年まで続いた「護送船団方式の需給調整時代」に戻りたいと願ったタクシー業界の強い働きかけもあって、タクシー事業は平成21年に再規制されました。供給過剰によって売上が低下しドライバーの過重労働が交通事故を招く、というのが再規制の論理です。そのため新規参入や増車は原則不可能となるばかりか、増車した事業者は重点的に行政監査の対象となったり加重処分が科されたり、安い運賃が認められず関西を中心に多くのワンコインタクシーが値上げに追い込まれたりしました。また、利用者に選ばれて走行距離が伸びるタクシーを走らせないようにするため最高乗務距離規制を導入しました。安い運賃の車両は長く走って稼がないといけないから交通事故の危険性が高い、というのが低額運賃排除と最高乗務距離規制の理由です。しかしそのような事実を示すデータはありません。
実際に福岡MKと名古屋MKは運賃値上げを指導されましたが、必要のない値上げは拒否し、国を相手取った訴訟を起こしたところ、いずれも現行法は安い運賃の存在を否定しておらず、2社への運賃値上げ指導は裁量権の逸脱とする司法判断が下されました。
その一方で、減車を行った事業者は安全だからと監査を免除する減車インセンティブを打ち出すなど、事業者のモラルを低下させ、国民の安全を守るつもりが本当にあるのか矛盾を指摘せざるを得ません。

撤退を選ぶことも
経営者としての選択

タクシーの供給過剰が問題であれば、何も安い運賃や増車した事業者を狙い撃ちせずとも、労働基準法や道路運送法、道路交通法を遵守できない不適格な経営を行う事業者を、行政の監査の権限を使ってどんどん淘汰していけばよいのです。その方が何倍も国民の安全を守ることが出来ますし、サービスマナーも向上することでしょう。
これらは経営者の姿勢の問題である、と私は考えます。お客様に選ばれて常に走行しているドライバーと、30分40分乗り場の行列に空車で待っているだけのドライバーでは、どちらが「きつい仕事」でしょうか。私も過去にタクシー乗務をしていた時期がありますが、1時間流し営業をして1組のお客様もご乗車いただけなかったときほど、自分が惨めに感じたことはありません。
お客様に安心して乗っていただきしっかりと働く、そして安定した所得を確保する、このような環境をつくることが経営者としての責務です。全てのタクシー経営者は、選ばれて走るタクシーを過重労働だと言う前に、まずは自身の従業員を振り返ってみるべきです。そして、環境や競争相手、制度のせいにしたりするくらいであれば、名誉ある撤退を選ぶことがよろしいでしょう。国土交通省もそのように経営者を指導するくらいの覚悟を持っていただかなければ、タクシー産業はいよいよ国民から信頼を失い衰退するばかりか、国民の移動する権利を守ることができなくなります。
タクシー事業者は早く護送船団方式の時代から変化し、もう昔には戻ることはできないということを認識し、今一度商売の原点に立ち返るべきであると申し上げます。

MK新聞 2012年(平成24年)9月16日発行 第792号1面

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タクシー再規制について 第64回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(64)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

減車・値上げしなければ許可取消
完全に自由を奪う野党改正法案

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

需要減少はタクシーだけの
特殊な事情ではない

平成21年10月に「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」(以下「タクシー特措法」 という)が施行され、新規事業許可や増車は認可制となり実質認められなくなりました。下限割れ運賃の更新申請をほとんど認めない厳しい査定、監査の加重処分と地域協議会を使った事実上の減車圧力、最高乗務距離規制など、タクシー事業は平成14年の規制緩和から一転、再規制となりました。長引く経済不況を背景としてタクシー需要は年々減少し、供給過剰による売上減少をカバーしたいドライバーが過重労働することで交通事故等、旅客の安全が脅かされる、という理由からタクシー業界が再規制を望みタクシー特措法が生まれました。
需要の減少はこの十数年、どのような分野でも同じように見られる傾向であり、タクシー産業に限ったことではありません。そのため我が国のすべての企業は日夜創意工夫を凝らし、消費者に質の高い商品・サービスを適正な価格で提供する努力を繰り広げています。ところが、タクシー事業においては需要減少についてはほとんど省みず、供給過剰にのみタクシー不振の原因を求め、とにかくタクシー車両を「みんなで」減少させようと、行政と業界あげて取り組んでいるのです。

不適格事業者を退場させ
活性化に早く取り組むべき

私はMK新聞紙上で度々、これ以上利用者がタクシーから離れていかないために信頼回復が急務であることや、タクシーを利用するお客様もそこで働く労働者を守るためにも、労働基準法や道路運送法、道路交通法などの今ある法律をしっかりと適用すれば、コンプライアンスをおろそかにする不適格な事業者はどんどん退場し、結果としてタクシーへの信頼性も供給過剰問題も解決すると申し上げてきました。これらは端的にいえば経営者としての姿勢の問題です。従業員の待遇が労働基準法を侵すような経営を続けることはひとえに経営者自身の責任であり、事業拡大のため増車した事業者や新規参入事業者、ひいては「規制緩和」に責任を転嫁する考えに私は与しません。
「運賃が安い事業者や増車した事業者は安全性に問題があるから監査で値上げと減車に追い込む」という運輸行政の手法はあまりにいい加減であり、減車した事業者への監査免除という減車インセンティブは、本来運輸行政が持つ監査する権利と義務を放棄する、行政の不作為ともいうべきものです。安いから危険、減車したから安全、と言える根拠はどこにあるのでしょう。運賃や増減車のありようで安全性を測るのは不適切極まりないことです。
MKタクシーが利用者に高く評価いただけるのは、まずは質の高い接客マナーへの安心・信頼によってですが、その裏付けとして日々たゆみなく社員教育を徹底しているのです。
タクシー特措法が施行されたものの、その法律名にある「タクシーの活性化」についてなんらかの変化があったのか、ほとんどの利用者に実感はありません。「タクシーの適正化」は前述のように基本的な法律を的確に運用して淘汰を進め、早く「活性化」に取り組んでいかなければなりません。

民主党「タクシー事業法案」
免許制と需給調整復活

「活性化」に取り組むべきところ、さらなる規制強化を求めるタクシー業界の声を受け、民主党は本年3月に道路運送法からタクシー事業だけを抜き出し一層の規制強化を図る「一般乗用自動車運送事業法(仮称)」の案(以下「タクシー事業法案」という)を打ち出しました。
主たる内容は、@タクシー事業を「許可制」から「免許制」に改め、3年ごとの更新制とする。Aタクシー台数の需給調整を復活させ、免許更新時に減車させる。B運賃は決められた範囲内にする、等です。
このタクシー事業法案による免許の更新制について、不適正事業者を退出させる仕組という点に限っては理解できるものですが、基本的には強制的な減車や運賃値上げを含むものであり、増車も新規参入もできない、利用者不在の既得権益を守るだけの法案であることは疑いようがありません。

自民党案も同じ規制強化
タクシーは成長出来ない

民主党のタクシー事業法案に対し、本年8月、自民党はタクシー特措法の一部改正という形で対案を提示しました。
主たる内容は、@特定地域(運輸局が定める輸送実績が低迷する地域)では事業許可や増車は許可しない。A協議会において減車のための地域削減計画や営業方法の制限を作成する(削減計画は独占禁止法の適用除外とする)。B認定を受けた地域削減計画に従わない事業者への事業停止・許可取消。C特定地域の運賃は決められた範囲内とし、従わない事業者は事業停止・許可取消、等です。
こちらも再規制の強化であり、新規参入・増車を認めず、減車・運賃値上げを強制的に行うもので、利用者不在の既得権益保護の法案であることは民主党案と同じであると言えます。

需要減少に歯止めがかからねば
どんな規制強化も意味を成さない

仮にこのような規制強化の法律が成立したとして、タクシー事業が活力を生み、国民の信頼を取り戻すような未来像が描けるでしょうか。新規参入もできない、企業家として拡大発展も望めない、意欲ある事業者やそのようなタクシーが増えることを望む利用者の願いも届きません。また裏を返せば競争がなくサービス向上も期待できません。
競争を過度に制限することは産業として勢いを衰退させるだけであり、タクシー業界保護のための新法は、最も必要な需要を回復することにはつながりません。今こそ労使だけでなく利用者の声に耳を傾けることが必要なのではないでしょうか。

MK新聞 2012年(平成24年)9月1日発行 第791号1面

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タクシー再規制について 第63回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(63)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

距離裁判もいよいよ終盤へ
再規制は誰を向いたものか

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

5都市で提起して
2年以上が経過

MKグループが各都市で国を相手取り、最高乗務距離規制の公示の取消しと、それによる不利益処分の差止めを求めて提訴してから、2年以上が経過しました。これまで、平成22年3月に京都MK、大阪MK、神戸MK連名で大阪地裁へ提訴したのを皮切りに、同年4月に札幌MKと名古屋MK、同年5月に福岡MK、同年6月には東京MKが、各地の地裁へ提訴しました。
本紙上において何度も申し上げるように、一見するとこの規制は利用者を交通事故の危険性から守るもののようですが、実際にはタクシー利用者に不便をかけ、ドライバーに負担を強いるものです。通常のタクシー営業の中で、長距離輸送が続けば走行距離がかさみ、お客様に対して乗車拒否をせざるを得ない局面が頻発することや、定められた勤務時間の中でも最高乗務距離規制があるために途中で営業を止めて営業所に帰庫しなくてはならないからです。
利用者にとってはタクシーを利用する権利を損ない、そこで働くドライバーにとっては働く権利を阻害するこの最高乗務距離規制の撤廃を求めるため、訴訟提起と同時の平成22年2月1日より4月7日まで、MKグループでは労働組合が中心となって署名活動を実施しました。期間中には全国で104万2760名の方々に主旨に賛同いただき、ご署名をいただきました。

旅客利便も輸送安全も脅かし
「営業の自由」までも侵害

距離規制取消しについての私どもの法的主張は、次の通りです。
@国は、憲法に保障される営業の自由をみだりに制限してはならず、最高乗務距離規制の設定にあたっての合理的根拠は無い。また、すでにタクシーには労働時間規制があり、二重規制となる。
A道路運送法の目的とする「旅客の利便」と「輸送の安全」に反し、最高乗務距離規制が乗車拒否を誘発することや、規制自体がドライバーのストレスとなり安全運転に差し障りがある。
B(京都、大阪、神戸のみ)他の運輸局に比べて、高速道路走行分が完全に除外されないなど、著しく不合理な設定である。
MKグループでは、労働時間を適正に管理し、過労運転や交通事故防止を徹底しています。交通事業者として安全運転に関する取組みはあらゆることを行う必要はありますが、それが国の規制として、利用者のためにも働く従業員のためにもならないものは断固として反対しています。
そもそも距離規制とは、高速道路が未発達で労働時間を守る意識が欠けていた昭和30年代に作られたものであり、全世界的に労働は「時間」で規制される現在において、なぜ公共交通機関の中でもタクシーだけが「距離」によって二重規制されているのか理解できません。
特に近畿運輸局管内のみ著しく規制内容が厳しいことに合理性がないこと、走行距離と交通事故に因果関係があることを国側が客観的に示さないことは、そもそもこの規制目的が別のところにあるのではないかと考えられます。
選ばれて走行距離が伸びるタクシーを走れなくすることと併せて、厳しい運賃査定方法によって結果的に多くの低額運賃タクシーが運賃値上げに追い込まれました。ワンコインと呼ばれた大阪の初乗り500円の法人タクシーは約1700台から今では300台を切るまでに減少しました。

運賃値上、加重処分
司法によって正されてきた

国の考えには、「利用者がタクシーを選ぶ」のではなく、「タクシーはどれであっても同じサービス。利用者が選ぶ余地は無い」という前提があります。一方で需要を高めるために「タクシーの活性化」を声高に叫び、その一方で事業者の自由を縛るどころか利用者に選ばれるタクシーを弱体化させる、これは矛盾としか言いようがありません。
タクシー特措法が平成21年10月に施行されてタクシーはわずか7年で再規制へと逆戻りし、本年9月末にはその期限が切れます。特措法が延長されるかどうか、売上や実車率など輸送実績が回復したかを数字で判断する前に、本当に利用者のための再規制であったか、サービスの質は上がったか、利用者のタクシーに対する信頼性は向上したか、減車しない事業者への監査の加重処分だけでコンプライアンス状況は改善されたか、それらをしっかり検証すべきです。
私はかねてより不適格な事業者が退場すれば供給過剰は解消されると申し上げてきました。また、減車した事業者に対して監査を免除することは、行政の一種の不作為であり利用者を危険にさらすものであるとも申し上げてきました。福岡MKと名古屋MKの運賃値上げ指導は裁量権の逸脱との司法判断が出され、近畿では減車しないことを理由とした加重処分の違法性も判断されました。再規制の欺瞞が次々と司法によって正されています。そして最高乗務距離規制に関する裁判もいよいよ終盤を迎えています。タクシー行政は一体どちらを向いているのか、今一度問い直すべき時期ではないでしょうか。

MK新聞 2012年(平成24年)8月1日発行 第790号1面

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タクシー再規制について 第62回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(62)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 羽田 雄一郎殿

札幌MKの増車却下は違法
司法判断を求めて提訴へ

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

高い関心のなか
札幌地裁に提訴 

前号のMK新聞にてお伝えしたとおり、去る3月15日に札幌運輸支局に申請した札幌MKの10台の増車申請は、当局の増車監査を受け「指摘事項なし」でクリアしたものの、5月14日付けで却下処分となりました。却下理由は「提出された収支計画書上の増車車両分の営業収入が、申請する営業区域(札幌交通圏)で当該増車実施後に発生する新たな輸送需要によるものであることが明らかでないため」です。
弊社はこの処分が違法であるとし、6月26日に札幌地裁に国(札幌運輸支局長)を相手取り、却下処分の取消を求めて提訴いたしました。提訴時や記者会見では地元の報道機関が大勢集まってくださり、関心の高さがうかがえました。

需給調整の審査基準は
裁量権の濫用である

訴状にもありますが、弊社の主張としては、道路運送法はタクシーの需給調整を認めておらず、2009年にタクシー特措法施行によって新しく生まれた「新規需要を増車認可の要件とする審査基準」は、需給調整そのものであり違法であるということです。
2002年、需給調整規制を廃止して施行された道路運送法の立法政策は変わっておらず、タクシー特措法でも増車は認可制へとすることを定めているだけで、需給調整規制は定められておりません。これを運輸行政が通達をもって需給調整を行うことは、裁量権の濫用であり、明らかに違法です。
加えて、仮に「新規需要基準」に従ったとしても、すべてのご注文に応えきれないコールセンターや、列をなしてでもお待ちいただけるMK専用のりばの状況、MKタクシーだから乗りたいという車載アンケートなどから、札幌MKには他社では代替できない輸送需要があることは明らかで、増車を認可するべきだと主張いたします。

適正な事業運営を
認められる札幌MK

一方で北海道運輸局は、6月22日付けで札幌MKの運賃継続を認可しています。タクシー特措法施行後、行政は全国で低額運賃事業者に値上げを迫るなか、札幌MKは法令の定める要件を満たしているとして認可しました。1年ごとの更新制ですが、3度にわたる運賃継続認可は全国でも初です。前述したように5月15日、増車に先立つ「増車監査」において「指摘事項なし」であった結果も、札幌MKが適正な事業運営を遂行している証です。
2002年のタクシー自由化は、創意工夫を凝らして利用者利便を向上させる事業者が参入し、競争を生み出すことによってタクシー業界を活性化させることが目的でした。MKタクシーも2002年に大阪・名古屋・神戸で、2009年に福岡・札幌・滋賀でタクシー事業を始めました。徹底したドライバー教育に裏打ちされた質の高いサービスは各都市のお客様に高く評価され、おかげさまで順調に業績は伸びております。
このとき道路運送法は、従来の需給調整の根拠とされた「輸送の秩序の維持」から、「利用者利便の向上」へと立法主旨を改めました。ほとんど新規参入を認めない「事前審査型」の免許制は改められ、一定の要件をクリアした事業者には事業許可を与えて門戸を広げる一方で、監査を通じて適正運営を求める「事後チェック型」へと舵を切りました。

増車すると危険か
減車優遇政策の矛

MKグループは自由化以降、増車や低額運賃を理由に、実に60回以上の監査を受け、そのほとんどは指摘事項なしで終わりましたが、改善すべき指摘を受けた場合は真摯に反省し、管理の再徹底をはかってきました。
札幌MKが開業以来、わずか3年の間に5度の監査を受け、改善の指摘を受けたのは1度であり、その後違反事項はありません。
これまでMKグループは、行政の監査により管理の不備を正し、適正な運営を維持できたと感謝しています。事業の拡大をはかるには、まず適正な事業運営を行い、監査で指摘を受けることがないよう自らを見直し続けることです。増車する事業者ほど管理体制と安全面に心を砕いており、意識が高いということです。
そのため、近年の規制強化のなか、行政の矛盾として私が指摘し続けてきたのは、@「減車しない事業者や低額運賃事業者は安全性に疑いがある」という方針のもと、加重処分や最高乗務距離規制、監査をちらつかせた減車圧力と、A減車した事業者は監査を免除するという「減車インセンティブ」です。減車インセンティブとは、国民の安全を守るため監査するという責任を放棄するものです。
高速バスの見直しのきっかけとなった関越自動車道の大事故によって、新規開業事業者への監査を優先して既存バス会社への監査ができていない実態が明らかとなりました。「既存バス会社は安全で、新規バス会社は危険である恐れがある」など空論に過ぎません。同様に「増車をするタクシー会社は危険で、減車をする会社は監査しなくてもよい」ということがいかに実態からかけ離れた認識であるかが分かるでしょう。
札幌MKの増車却下裁判を通じて、減車インセンティブのような、言わば「行政の不作為」についても、その実態を白日の下にさらしていかなければと考えます。

MK新聞 2012年(平成24年)7月1日発行 第789号1面

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タクシー再規制について 第61回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(61)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

札幌MKの増車却下処分は
行政の責任放棄である

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

新たな需要と認めず―
求める声があるのに何故

去る3月15日に札幌MKが行った、札幌運輸支局への10台の増車申請は、当局の増車監査を「指摘事項なし」でクリアしたものの、5月14日付けで却下処分となりました。却下理由は「提出された収支計画書上の増車車両分の営業収入が、申請する営業区域(札幌交通圏)で当該増車実施後に発生する新たな輸送需要によるものであることが明らかでないため」とされていました。
弊社が増車申請書に添えた、・空車車両が不足しコールセンターへの配車注文依頼をお断りせざるを得ない状況(逸失配車)、・お客様から寄せられる「増車してほしい」という声(顧客の需要)などの増車理由に対する当局の反応は、前者はもともと札幌交通圏全体の需要だから新たな輸送需要ではない、後者はもともとMKの顧客なので新たな輸送需要ではない、ということでした。
弊社としては利用者を無視するこの処分を承服することは到底できません。却下処分が下されたことは地元報道でも大きく取り上げられました。社会的責任を果たすためにも、法的対応をとるべく現在準備を進めております。

これまでも「通達行政」は
司法の場で正してきた  

今回の増車申請に至る経緯としてはすでに前号のMK新聞にて述べましたが、大阪の別のタクシー会社が、減車しない事業者に対する監査の加重処分の違法性を訴えていた裁判で、本年2月に大阪地裁が加重処分の違法性を認めるとともに、特措法があっても安全性など道路運送法が求める条件を満たせば増車も本来認可されるべき、という判断を示したことが挙げられます。特措法により増車ができないという「通達行政」を鵜呑みにし、その一方で車両が不足し弊社を選んでいただくお客様をお待たせしたり配車が出来なかったりするなど、企業として守るべきお客様を守ることが出来なかったことを真摯に反省し、再び商売の原点である「お客様に満足いただけるサービスを提供し、お客様とともに発展する」企業グループとなることを誓います。
日本が法治国家である以上、法律に定められたことの遵守は当然ですが、行政が裁量権を濫用する「通達行政」がタクシー業界ではまかりとおっています。これまで何度も指摘したように、かつての「同一地域同一運賃」、近年では福岡MK・名古屋MKへの「運賃値上げ指導」、増車事業者への行政処分を重くする「加重処分」など、道路運送法を逸脱した「通達行政」を司法が正し続けてきた事実があります。弊社はこの度の増車却下処分を冷静に受け止め、やはりこれは一連の行政の裁量権逸脱と認識しております。

監督権限だけは拡大
目立つ行政の不作為

このように、許認可権を握った監督官庁としての監督権を強化するため、法律にないことまでも行う「通達行政」が存在する一方で、本来行政がやらなくてはならないことをしていないこともまた、大きな問題です。タクシーであれば「減車インセンティブ」であり、これは減車をした事業者に対しては本来数年に一度行うべき監査を行わないというインセンティブです。適正に事業を行っているか、利用者に対して安全を確保する責任を怠っていないかをチェックする監査を、行政が自らしないと言っているのです。
低迷するタクシー需要を背景に供給過剰によって一台あたりの売上が下がり、その結果無理な長時間運転で交通事故など旅客の安全を脅かすとして、2009年に特措法が施行され、タクシーは再規制されました。その実態としては、安全性との因果関係がはっきりとしない「安い運賃に対する値上げ指導や減車しない事業者への加重処分」「最高乗務距離規制」であり、減車すれば監査を免除するという本末転倒な状況になっています。
記憶に新しい関越自動車道の高速バス事故に端を発して、バス事業者数の多さから新規開業事業者優先で監査にあたった結果、既存のバス事業者には監査が行き届かないという実状が明らかになりました。
タクシー・バスとは分野が異なりますが、多くの中小企業の企業年金を消失させたAIJ問題をきっかけに、全国にある厚生年金基金の多くが資産運用の経験もない役人の天下り先となっていること、同時にそのチェック機能も不十分であったことが判明しましたし、東日本大震災による原発問題は電力会社とそれを規制する監督官庁の馴れ合いが問題を拡大化させたことは、いかに言い繕うとも国民の目からすれば周知の事実です。

商売は企業の裁量
安全は行政権限で  

以上のように、行政が本来すべきことをしない「不作為」が、今後も様々な権益のからむ業界で明らかになっていくことでしょう。  
商売そのものである価格や生産規模は事業者の裁量に委ね、労働条件や品質管理など消費者の安全にかかる部分は、行政が決められたことを粛々と守るように権限を発揮すればよいのです。  
このような背景のなか札幌MKの増車認可申請に対してどのような処分が下されるか、わずか10台の申請でありますが、今後のタクシーの将来を占うものであると思料いたします。貴殿におかれましては、何卒利用者である国民のためご理解ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
タクシーでは、行政が道路運送法・道路交通法や労働基準法をきちんと事業者に適用すれば適正な経営を出来ない事業者は自然と淘汰され、供給過剰は解消するでしょう。そういったところに行政の力を発揮せず、新規参入を排除して、安い運賃に対する値上げ指導や減車しない事業者への監査強化に終始するのはなぜでしょうか。
タクシーから消費者の信頼を奪ったのは規制緩和ではありません。不適格な事業者の退場を促すことができず、やるべきことをやらない行政と、サービスの品質向上という経営努力を怠るタクシー事業者です。
数年前に、製造業や航空業界などで行き過ぎたコストダウンの結果として工場災害や整備不良が頻発しました。それでも国民はそれら企業の体質に厳しい視線を注いだのであって、企業同士が自由に競争すること自体が悪いと考える人は少なかったことでしょう。

民主党タクシー事業法で
利用者はタクシーを見限る

今、民主党政府が新しいタクシー事業法の成立を目指していますが、需給調整の復活やタクシー事業免許の更新制、更新時の強制減車、自動認可運賃以外の運賃の禁止など、2009年の特措法と比較にならないような規制強化を行おうとしています。先月、初めて日本経済新聞で規制改革の逆行として報道されました。
この法律のもとでは事業者の創意工夫は生まれないばかりか、既得権の保護によって利用者へのサービスはますます低下することは間違いありません。免許制が不適格事業者の退場を促進するのであればまだよいのですが、一定の減車と安い運賃への値上げ強制が盛り込まれているところからすれば、根本的に安全性が高まる理由も見当たりません。
タクシーが利用者の信頼を失い衰退産業とならないためにも、今の再規制の現状や民主党のタクシー事業法を懸念するタクシー事業者からの声が全国から上がることを期待します。

MK新聞 2012年(平成24年)6月1日発行 第788号1面

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タクシー再規制について 第60回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(60)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

札幌MK増車の可否は
タクシーの将来を問うている

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

5月中旬が標準処理期間
増車監査は「指摘なし」でクリア

前号でお伝えしたように、札幌MKは今後1年間で現在の倍の200台規模への拡大を計画し、去る3月15日に札幌運輸支局に対してまずは10台の増車申請を行いました。運輸局が審査する標準処理期間は2ヵ月となっており、5月中旬には進展があることでしょう。
平成21年のタクシー特措法により、これまでの道路運送法上「届出制」であったタクシー台数は「認可制」と読み替えられ、その上通達によって増車分の売上が新規の需要によるものであることの明示が求められました。私どもとしましても、これは事実上の増車の禁止であると思い込んでおりました。
大阪の別のタクシー会社が、減車しない事業者への監査の加重処分の違法性を訴えていた裁判で、本年2月に大阪地裁が加重処分の違法性を認めるとともに、特措法があっても安全性など道路運送法が求める条件を満たせば増車も本来認可されるべき、という判断を示しました。私どもも、車両が少なくて配車が間に合わないといったお客様へのご不便を、「通達行政」を鵜呑みにして、そのままにしてきたという反省に立ち、このたび増車申請の実施の運びとなりました。
すでに4月11日には、札幌MKに対して北海道運輸局および札幌運輸支局の監査官による増車に際しての監査が行われ、日報や点呼簿などの帳票類、労働時間などを全てチェックされ、安全性への問題や管理不行き届きの指摘事項は一切なく終了しており、あとは当局の判断を待つだけという状態です。

通達行政に司法が「待った」
タクシーだけがなぜ再規制

もともと前号にて指摘したように増車の審査基準は行政が定めたものであり、法律そのものではありません。実際の運用面について行政には一定の裁量権が認められているとしても、法律の主旨に反することはできません。加重処分の違法性のほかにも、過去にも昭和50年代にMKの運賃値下げを認めなかった近畿運輸局との訴訟で大阪地裁は「同一地域同一運賃」は独禁法違反という司法判断を下したり、近年でも福岡地裁、名古屋地裁が福岡MKと名古屋MKへの値上げ指導は行政の裁量権の逸脱であると判断を下すなど、行き過ぎた「通達行政」は司法によってただされてきました。
行政が法律(タクシーにおいては道路運送法)に基づき許認可権を持ち、その運用を通達によって定めるとき、行政の権限強化を図るために本来は事業者の自由裁量に委ねられるべきことまでもが、事細かく規制に縛られることは、多くの許認可事業でありました。しかし時代に合わなくなった規制はどんどん見直され、金融や航空など規制緩和・自由化が進む業界も多くなり、経営努力による企業間の競争と、顧客利便性の向上が必要であるとの社会的要請が高まってきました。
そのなかでタクシーだけが業界をあげて国に再規制を求め、平成21年にタクシー特措法が成立しました。タクシーが供給過剰のため売上が上がらず過重労働が増え、交通事故など安全性が阻害されるから、タクシーの数を減らしましょう、ということです。ここから増車を認可するには増車分の売上が新しい需要によるものでなければ認可しないという「裁量」、減車に協力しない事業者は安全ではないから監査の処分を重くしようという「裁量」、減車をした会社は安全だから監査を免除しようという「裁量」が生まれました。低額運賃の認可のハードルを上げ、ときには裁量権の逸脱とまで指摘された運賃値上げ指導をするのも、利用者から選ばれ結果として走行距離が伸びる会社が通常のサービスを提供できない状態にする最高乗務距離規制も、安い会社は安全でない、よく走る会社は安全でない、という理屈に由来しています。ところがそれが本当に危険な会社なのか根拠は明らかにされておりません(最高乗務距離規制の違法性については係争中)。

不適格事業者を退出させず
利用者利便を低下させる行政

そもそも再規制(特措法)の根拠が利用者の安全性が脅かされていることとしているのであれば、その直接の原因が売上低迷による過重労働であったとしても、安全は最低限度の事業者の責任であり、それができない事業者はタクシー事業から撤退すればよいのです。事業を辞める自由は誰にでもあります。国側も、運輸局や労働基準監督署による監査結果、そのほかにもタクシーセンターをはじめとする外郭団体に寄せられる利用者からの苦情など、タクシー会社の経営に不適格な法人をどんどん淘汰していけばよいのです。利用者が乗りたくないと思うタクシーを減らす、法令を守れない事業者を減らす、実に簡単な方針です。道路運送法、道路交通法、労働基準法などの基本的な法律を厳格に運用していけば3割程度のタクシーは自然と減少すると、かねてより主張してきました。
そうすることなく、運輸行政は減車しない事業者や低額運賃事業者への締め付けを強化することに終始し、供給過剰を解消しようとしています。供給過剰は裏を返すと需要減少ですが、タクシー利用者を増やす努力を放棄しているどころか、創意工夫によって経営努力し利用者の支持のもとで規模拡大をめざす企業活動を封じているのが、残念ながら今の運輸行政の実態です。

売上シェアの不可思議な発想
このままでは市場縮小に

その最たるものが最高乗務距離規制であり、利用者に選ばれることで走行距離が伸びることが処分対象になるのであれば、タクシー会社としてはサービスレベルを落として選ばれないようにしなさい、と冗談のような乗務員教育するしかありません。つまり、利用者に選ばれるタクシーは他のタクシー会社から利用者を奪っているから営業を途中でやめて、売上を全てのタクシー会社で分け合いなさい、という自由主義経済下にあって信じられない状況にあるのです。増車の審査基準として設けた「新しい需要に対応しているか」という観点も、このような「売上のシェア」「護送船団方式」の発想と軌を一にしています。
そこには利用者の視点が欠如しており、業界団体と労働組合がただ既得権を保護しようと一部の政治家を動かし、国土交通省も許認可権の回復のために再規制の議論に乗った、と国民から見られても仕方ありません。
前号でも申し上げましたが、民主党政府はさらに規制を強化し業界保護のため運賃値上げと減車を推し進めるタクシー事業法を立案しています。いくら供給をストップできたとしても、それ以上の利用者がタクシーを見限ればマーケットは縮小する一方であるということは自明の理です。
このような背景のなか札幌MKの増車認可申請に対してどのような処分が下されるか、わずか10台の申請でありますが、今後のタクシーの将来を占うものであると思料いたします。貴殿におかれましては、何卒利用者である国民のためご理解ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

MK新聞 2012年(平成24年)5月1日発行 第787号1面

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タクシー再規制について 第59回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(59)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

札幌MK200台へ増車申請
道路運送法の条件はクリア

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

札幌MK開業4年目に感謝
常に利用者から「増車を」の声

札幌MKは平成21年4月に40台で開業し、札幌でお客様の圧倒的なご支持を得ることができ、1年経たずに100台規模にまで拡大してきました。その後、特措法による再規制により実質的に増車が不可能となり、以降2年間は台数を変えずに営業を行ってきましたが、毎日2000件を超える配車を行う一方、車が足りず手配がつきにくくなることも増えてきましたし、ススキノに2ヵ所設置した専用のりばでは、極寒の中、お客様を長時間お待たせする事態が続いています。
MKをご指名いただいたお客様に対して、しっかりと手配することが最低限の企業としての責務であり、それができない現状を何とかしたいと常々考えておりました。

「増車は新規需要に限る」
明示方法が不明な基準

平成21年10月にタクシー特措法が施行され、タクシー事業の元を規定する「道路運送法」自体は変わることなく、特措法によって「増車」に関する手続きを「届出制」から「認可制」へ読み替える措置がとられました。新しい審査基準も各運輸局によって公示通達され、@収支計画 A運転者確保状況 B車両実働率 C法令遵守状況 の他に、増車による売上が「実施後に新たに発生する輸送需要によるものである」ことを明示することが条件に加わりました。この「新規の需要であることの明示」は具体的な基準のない抽象的な内容であり、制度は存在するものの増車は事実上不可能になった、といわれる理由です。
実際に、昨年6月に東京のあるタクシー会社の増車申請が却下されています。プライベートジェットを管理する取引先からビジネスジェット拡大のために、空港送迎用の車両増車と専属の英会話ドライバーの育成を要請されたためでした。同社は申請にあたり、新規需要による売上の算出根拠等を書面で明示したにもかかわらず、管轄の東京運輸支局は「新たに発生する需要であるかどうか明らかでない」として却下しています。私たちには何故この申請が却下されたのか理由がよく分かりません。全国で見ても特措法施行以降、タクシーの増車申請が認められた事例はありません。

通達行政を指摘する司法
増車は「当然認可されるべき」

その一方で前号のMK新聞で紹介した通り、本年2月、大阪のタクシー会社2社が起こした「増車事業者に対する行政処分の加重取消」を求める訴訟において、大阪地裁は「減車勧奨及び増車抑制を目的とする加重が、法の趣旨、目的に合致しないものであることは明らかであり、監督処分権限を付与した趣旨、目的から逸脱している」として処分取消の判決を行いました。さらに特措法と道路運送法の関係を指摘し、「特措法により増車は認可制となったが、当該事業の計画が輸送の安全を確保するために適切なものであることなど道路運送法の要件を満たしていれば、当然認可されるべきものである」との司法判断を示しています。
つまり、特措法を機に新しく作られた審査基準(増車は新規需要に限られること)は、元々の道路運送法における増車の趣旨を逸脱しているのではないか、ということです。これと同じような司法判断を私たちは知っています。それは福岡MK、名古屋MKへの運賃値上げ指導は裁量権の逸脱、特措法があろうとも元々の道路運送法の趣旨は変わらず低額運賃の存在が否定されたわけではない、という判断です。不当な運賃値上げ、不当な増車事業者への加重処分、元々の道路運送法の基準を満たせば増車は認可されるべき、こういった司法判断が示すことこそが、まさに行政が法を逸脱し恣意的にふるまう「通達行政」の実態です。

MK創業理念に立ち返り
粛々と増車するのが責務

ここで私たち自身も反省しなければなりません。それは特措法による新しい基準によって増車は出来ないものだと自ら思い込んで増車せず、利用者にご不便をおかけしている現状を仕方ないことだと諦めていたことです。MKの創業理念に反する安易な考えであり、常にお客様第一主義とタクシー改革を実践し続けたMKの歴史を後退させていたことに気付かされました。道路運送法の目的は「輸送の安全」と「利用者利便の向上」です。
そこで改めて札幌MKはこの1年間で100台の増車、200台体制へとするべく、去る3月15日に札幌運輸支局にまずは10台の増車申請を行いました。申請の標準処理期間が2ヵ月であり、以降順次増車申請を行ってまいります。先の判決が指摘した道路運送法の要件は満たしておりますので、法の精神に則り、利用者の利便向上に向けて粛々と増車を進めていきたいと考えております。
全営業回数に占める無線配車と専用のりばの回数の割合である「予約率」は9割で、お客様に選ばれて空車が不足し、タクシー車内に車載している「お客様アンケートハガキ」では「増車して欲しい」というご要望も数多く寄せられています。札幌MKのドライバーは平均年齢43歳と、他社(57歳)より若く、時間をかけて教育することで、さらなるサービスの強化とともに、観光ドライバーや外国語ドライバーなど新商品開発、新たな需要も開拓していきます。

業界求める民主党の新法案
全国で値上げと既得権保護

このような中で、業界団体は特措法による再規制は不足であり、同一地域同一運賃や減車を求めて、新しいタクシーの法律の制定を働きかけ、民主党は今国会での成立を目指した議員立法(通称:タクシー事業法)を公表しました。主な概要は、
・現行の許可制(期限なし)を改め、免許制(3年ごと更新)とし、増車は認可制に
・免許更新時には、営業区域の適正台数に対し不均衡であるときは、省令で定める基準に従い指定した台数を減らす条件を付すことができる(=事実上の強制減車が可能)
・運賃は、国土交通大臣が定める適正運賃の範囲内でなければならない(=下限割れ運賃は継続不可能)
・目的に「タクシー事業に関する秩序を確立することにより」を挿入する(=旧道路運送法の概念を復活)
平成14年の規制緩和後から一貫してタクシー業界が求めてきた「需給調整」「同一地域同一運賃」の復活が、まさにこのタクシー事業法案です。多くの日本の産業の中で、業界自体がこれほどまでに監督官庁に規制を求めることも珍しいものです。内容は利用者である国民を無視した運賃値上げの強制や、事業者の拡大を目指す経営努力を認めない強制的な減車など、規制下にあった旧道路運送法の時代(〜平成14 年)よりも後退的で、タクシー産業の衰退をより確実にする、非常に問題ある内容です。
MKグループとしてはこのようなタクシー事業法案には断固反対します。そもそもこのような利用者利便と経営努力を無視した法を作らずとも、今ある基本的な法律―労働基準法や道路交通法、道路運送法など―をきちんと適用して、適正なタクシー事業を行うことができない事業者を積極的に退場させていけば、業界のいうタクシー供給過剰問題も利用者の信頼を失墜させる悪質なサービスを行う事業者もなくなるということを、私どもは長らく主張してきました。しかしながら、実際に運輸行政が近年行ってきたことは、安い運賃の値上げ(福岡MK、名古屋MKの事案では、値上げ指導は裁量権の逸脱との司法判断)や、減車しない事業者への監査の加重処分(大阪のワンコイングループの事案では、実質的に減車勧奨と増車抑制を目的とした加重処分は、法の趣旨に逸脱するとの司法判断)、本来輸送の安全を確保すべきところ減車を行った事業者には監査を免除するなど、利用者視点を欠き、事業者のモラルを低下させる一方であり、理解に苦しむことばかりです。
このタクシー事業法案はまだ再規制を望むタクシー業界と労働組合、それらの声を聞き入れる政治家の間にしか知られていません。多くの国民の目、報道機関の目にとまり、利用者視点から「おかしいのではないか」という声が起こり、この法案が実現化しないことを強く望むとともに、MKグループは利用者利便の向上と従業員一同が一生懸命汗をかく企業であり続けたいと考えます。

MK新聞 2012年(平成24年)4月1日発行 第786号1面

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タクシー再規制について 第58回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(58)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

減車しない事業者への
加重処分は違法の司法判断下る

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

加重罰は行政手続法違反
大阪地裁が判断下す

大阪のタクシー会社、新金岡交通とワンコイン八尾の2社が、近畿運輸局の監査による処分で減車していないことを理由に通常より重い加重処分を受けたことを不服として平成21年9月に処分の取消を求めた裁判で、大阪地裁は本年2月3日付で加重処分は道路運送法の趣旨.目的から逸脱したものとして、処分を取消す判決を下しました。
これはタクシー特措法施行前の平成20年7月に出された、特別監視地域に指定された地域の事業者が指定日現在の台数を基準車両数として、基準車両数より増車した場合、その後の減車の度合いによって監査の処分が1.5〜4倍加重されるという行政通達によるものです。2社はそれぞれ3倍と1.5倍の加重処分を受けました。加重罰については、減車指導という行政指導に従わないことを理由とした加重罰は行政手続法によって違法とされる「他事考慮」に該当するという指摘が早くからなされており、本裁判でも大きな論点となっていました。

法の趣旨目的から逸脱
国の主張を厳しく否定

判決によると、加重処分の目的は「輸送の安全の確保等が最終的な目的」であるとしても直接的には「減車勧奨及び増車抑制を目的」としたものと認められるとされました。その判断の背景には、道路運送法が平成12年の改正で、法の目的を「利用者保護」と「利便の増進」に重点を置き、事前規制から事後規制へと立法政策への転換したことがあります。改正により需給調整規制を廃止したので、事実上の需給調整(減車勧奨と増車抑制)を目的とする加重処分が、道路運送法の趣旨、目的に合致しないものであることは明らかで、監督処分権限を付与した趣旨、目的から逸脱しているとしています。
また判決は行政手続法にも触れ、指導に従わないことを理由に不利益な取扱いをすることは、「行政手続法の趣旨にも反する不合理な取扱いと言わざるを得ない」、「本来考慮にいれるべきでない事情を考慮するものであり、裁量権の行使を誤るものというほかはない」と厳しく指摘しています。
その上で国の主張に対して、「国は、減車を行わない事業者は、法令を軽視する恐れが高いとするが、それを示す十分な根拠はない。仮にそのような恐れがあるとしても、減車を行わない事業者による法令違反が、より『悪質性が高いという実質的な根拠も見当たらない』」と、真っ向から否定しています。

通達行政は法を軽視
減車したら監査免除に異議

この司法判断から明らかになったのは、いかに運輸行政が事業者の創意工夫によって利用者利便の向上を目指すことに舵を切った法律(改正道路運送法)を軽視し、通達によって法を無視した行動をしてきたかです。福岡MK、名古屋MKの運賃値上げ指導も裁量権の逸脱であるとの司法判断が下されたことも、明らかに運輸行政が法の趣旨を軽視し、とにかく安い運賃をなくそうとなりふり構わず行動したことを示しています。新潟市のタクシー運賃値上げが独占禁止法違反として認定され、排除命令を出されたことも記憶に新しいところです。
私は従前より異議を唱えていたことがあります。減車しない事業者を加重処分することが違法であることと同様、減車をした事業者の監査を免除する、という減車インセンティブは、事後規制型の立法政策において、本来輸送の安全の確保のために付与された監督処分権を不当に行使しないことであり、本来やらなければならなことをやらない、一種の裁量権の逸脱(不作為)ではないでしょうか。減車をする事業者が安全で、減車をしない事業者が危険だという根拠はないと先の判決が述べたとおりです。私は今後も、この減車インセンティブの違法性を指摘し続けます。

法の要件満たせば
増車も認可されるべき

さらにこの度の判決は加重処分の違法性の指摘にとどまらず、さらに踏み込んだ法の解釈をしています。特別監視地域であるか否かに関わらず、事業者は、減車すべき義務を一切負わないことはもちろん、増車することについても事前の届出が要求されているに過ぎない。特措法下においても、道運法の要件を満たしていれば、当然増車は認可されるべき、との指摘です。
わずか8年足らずで再規制へと逆戻りし、法の趣旨を軽視した運輸行政と、同一地域同一運賃と一層の減車を求める業界にとって、大きな警鐘といえます。
特措法によって増車が出来なくなった、というのは大きな思い込みで、まさに通達行政によって我々事業者は利用者の増車を求める声から自ら耳をふさいでいたのです。MKグループといたしましては、原点に立ち返って利用者の声に真摯に耳を傾けていく所存です。

MK新聞 2012年(平成24年)3月1日発行 第785号1面

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タクシー再規制について 第57回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(57)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

運輸行政は経営者判断に任せ
事業者保護政策をやめるべき

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

福岡MK運賃2度目の認可
残るは近運局の審査のみ

開業1年目の運賃認可の更新時に初乗500円から570円に値上げ指導を受けた福岡MKは、業績が順調な推移をみせたことを司法に認められ、「運賃値上げ指導は国の裁量権の逸脱」との司法判断を得て、500円運賃を継続してきました。このたび平成24年1月12日付けにて、3度目の更新(1年間)となる運賃認可が九州運輸局よりなされたことに、まずは御礼申し上げるとともに、福岡のお客様のご支持によって500円運賃が守られたことは、揺るぎない事実であります。
MKグループのタクシー運賃申請では今なお、京都MK(大型車のみ)、神戸MK、大阪MK(大型車のみ)、滋賀MKなど、近畿運輸局管内の4社が長いもので2年以上審査の結果が出ることなく期限の延伸が続いております。MK社内から独立し、MKと同じ行灯、GPS無線で営業する「個人タクシーMKパートナー」の第3期も事業許可が出されたものの、1年以上運賃認可が出されず開業できない状態が続いています。

先行投資が重荷となる
査定方法に違和感

MK各社の低額運賃を認可したからといって、お客様が混乱するわけでもなく、当社の従業員に対しての影響もなく、会社も利益を上げている状態の中、一体誰に迷惑をかけるというのでしょうか。例えば赤字に陥っているとか、経営基盤が揺らいでいるとか、もしくは従業員の所得が減少して生活レベルがどんどん低下しているという事実があれば、運賃値上げ査定はありうるでしょう。しかしながら、その査定についても2つの点において異論があります。
一点目に、運輸局はタクシーというものは値上げをすればそのまま売上が増えるものだという前提に立って、赤字収支の解消のために値上げを指導します。すでに当紙上で何度も申し上げているとおり、その考えは何ら根拠もなく、東京が初乗710円になったようにこれまで近年各地で行われた運賃値上げと、その結果利用者が離れてかえって売上の減収要因となったことは記憶に新しいところです。売れない商品・サービスであれば、普通の商売人の感覚であれば「売れないなら商品・サービスを値上げしよう」と考えるでしょうか。商品・サービスの内容を見直したり、原価を圧縮して販売価格を下げたり、お客様の反応を敏感に察知しながら改善を図ります。その当たり前の感覚がタクシーには欠如しているのです。
二点目に、お客様の反応にも関連しますが、そもそも事業の発展には先行投資が必要な時期があり、一時はそのための費用が大きな負担となっていても、それによってより利用者に選んでいただく環境が整い、将来にはねかえってくるという計画や明確なビジョンがあれば「普通の商売」として投資は行われるのです。実績単年度の費用構成をもとに運輸局は査定しますので、先行投資を行わずに現状維持し経費を切り詰めることが運賃認可を得るための何よりの方法であるのが現状です。

司法が認めた
MKのビジネスモデル

選ばれるためには教育という人材への投資のコストがかかり、選びやすい環境をお客様に提供するためにもタクポ(MKのポイントカードサービス)やGPS無線配車システムや専用のりばなどコストがかかります。コストをかけずにできれば名経営者ですが、現代では適正なコストをかけなければなりません。
「商品価格の決定」「先行投資の判断」は経営者の専権事項であり、利用者へ還元の度合いを決めるのは、言うならば経営理念の部分であり、これらはタクシー特措法などをつくって利用者利便を低下させてまで、本来国が関与すべきものではありません。法治国家で、運賃値上げ指導を裁量権の濫用とまで認めていただいた名古屋の司法判断では、既存のタクシーのマーケットとMKのマーケットは同じだが、手法が違うから、同一化して審査することは正しくなく、MKのビジネスモデルは、新規開業から成長する過程に一定期間は見なければならないと認められました。

普通に法を適用すれば
供給過剰は解消される

タクシー会社も一般の会社と同じで、労働基準法や道路交通法など基本的な法律を遵守できない者を助ける必要はなく、利用者に選ばれる事業者をがんじらめにする必要もなく、淘汰を促すことが業界の活性化につながり、何より利用者の利益につながります。
例えば、もともと規制下にあったガソリンスタンドが90年半ばに自由化になって、6万数千店に増えましたが、10年少々で4万店弱に、3割以上減っています。今後は10年ベースで半減していって、20年後には7000〜8000店、5000店ぐらいになるかもしれないと言われています。電気自動車の普及や資源としての石油の枯渇など、ガソリンはいずれなくなるというのが目に見えており、この部分に対して経営努力はなかなか効果を発揮せず、スタンド経営者は自己の判断で店を閉めるなど、自然淘汰で店舗数が減少しています。
それに対しタクシーは経営努力で発展もし、斜陽にもなると考えます。特措法で供給過剰をなぜ解消できないのでしょうか。それは解消策には「供給を減らす」「需要を増やす」という2つしかありませんが、需要増やすには即効薬はありません。一方で供給過剰を解消するためには、それは減車ではなく単純に企業淘汰が普通の考え方です。
利益を出しているのは当然、立派な会社ですが、利益至上主義ではなりません。そこで働く従業員に幸せ感を持ってもらわないといけないし、利用されるお客様にも幸せ感を持っていただいた上で、あがる利益が適正利益なのです。
このようなお客様、従業員、会社のそれぞれ良い状態でバランスがとれているにもかかわらず、不自然な手を加えようとしているのが今の運輸行政です。
そして今非常に業界全体の平均年齢が高いのは、タクシーが産業として魅力がないことの現れです。タクシーはもっと若い人材が活躍出来る、自分の将来のビジョンを描けるものとしなくてはなりません。
貴殿におかれましては何卒ご理解のうえ、タクシーの活性化にお取り組みいただきますよう宜しくお願いいたします。

MK新聞 2012年(平成24年)2月1日発行 第784号1面

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タクシー再規制について 第56回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(56)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

新潟カルテル問題に排除措置命令
運輸行政は運賃政策を見直せ

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

国内外で価値観が変化
タクシーでは歴史的な司法判断

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年3月11日に発生した東日本大震災で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を願います。
振り返れば昨年は東日本大震災やタイの大洪水など未曾有の自然災害や、中東の政治体制の変革、ヨーロッパの経済危機、大阪府市ダブル選挙など、目まぐるしく物事が起こりました。これらを括り合わせて言うことが適切かは分かりませんがまさに「価値観の変化」が国内外で起こった年でありました。
MKグループでは平成21年に開業した福岡MK、滋賀MK、札幌MKが新規会社でありながらお客様より多大なご評価をいただき大きく飛躍し、平成14年に開業した名古屋MKも業績を伸ばしました。一方で平成21年10月施行のタクシー特措法による再規制により、安い運賃の会社、事業を拡大しようとする会社に対して、「監査の加重処分」や「最高乗務距離規制」、「運賃値上げ圧力」によって、作り上げた利用者サービスを放棄するよう迫り、一方で減車をした事業者には監査を免除するという“安全”をないがしろにする政策を進めるなど、長期的な視野に立てばタクシー事業を衰退させるかのような現状に疑問を持たざるを得ません。
特に運賃政策については同一地域同一運賃を望む業界の声を受け、「却下ありきの運賃査定」によって福岡MK、名古屋MKに運賃値上げの指導がなされました。収支採算性に問題のないことを示した結果、「MKへの運賃値上げ指導は裁量権の逸脱」「利用者の利便性向上という道路運送法の主旨は変わっていない」という司法判断によって両社の運賃は守られましたが、法治国家である日本でこのように行政の恣し意的な判断が横行している象徴としてこの司法判断は長く記憶に残るものとなるでしょう。

新潟タクシー価格カルテル
排除命令が出される

本紙においても度々取上げておりました、新潟市のタクシー運賃カルテル問題について、平成23年12月21日付で、公正取引委員会は不正な取引制限として独占禁止法違反を認定し、タクシー会社25社に総額2億3千万円の課徴金納付命令と再発防止の排除措置命令が出されました。
本件は、平成22年2月ごろに新潟市のタクシー会社27社のうち26社が自動認可運賃の下限にあたる初乗1.3q570円に運賃値上げをしましたが、その際各社が協議して決めたとして、本年1月に公正取引委員会が立ち入り調査に入りました。
この度の公正取引委員会の発表によると、運賃改定前の自動認可運賃の「上限運賃は据え置かれたまま下限運賃が引き上げられたことを受けて、遅くとも平成22年2月20日までに」小型車、中型車を新しい下限運賃に値上げすることを「合意することにより、公共の利益に反して、新潟交通圏におけるタクシー事業の取引分野における競争を実質的に制限していた」としています。値上げに応じない事業者にも同一価格への値上げを繰り返し求めたとのことです。

独禁法違反を助長する
運賃改定「7割ルール」

公正取引委員会の調査以来、新潟のタクシー業界側は、運賃値上げは国の指導の結果であると主張しています。
平成21年10月に施行されたタクシー特措法によって、全国各地のタクシーの自動認可運賃は、下限が引き上げられることによって幅が狭まりました。新潟も初乗上限1.3q600円から下限1.3q540円の10%の幅だったものが、下限1.3q570円に引き上げられ5%の幅になりました。このことより新潟の27社全社が一時的にいわゆる「下限割れ運賃」となりました。
繰り返し本紙で申し上げているように、下限割れ運賃事業者には様々な経営実績の報告が求められ、監査の対象になります。運賃を示し合わせるかどうかは別として、ここに運賃値上げに誘導する心理的な圧力があったことは容易に想像できます。
また、この度は運輸行政からの自動認可運賃の改定でしたが、通常は上限運賃が引き上げられる「運賃改定」が行われるための手続きとして、7割以上のタクシー事業者が運賃値上げの申請を行えば、行政は運賃改定の審査手続きに入るという「7割ルール」が運輸局の公示通達にあります。裏を返せば、少数の事業者だけの値上げ申請であれば、審査にすら入られず、結果として多くの事業者に値上げ申請を暗に求める動きが生まれる土壌があるのです。行政は一地域で数十から数百あるタクシー会社の運賃申請を一括に効率的に処理するために一定の枠内であれば自動的に認可するために自動認可運賃という制度があるとしていますが、今も維持される「7割ルール」の根底には「同一地域同一運賃」の復活を狙う考えがあるのではないでしょうか。公正取引委員会には今後、価格カルテルを助長するかのような「7割ルール」に踏み込んでいただきたいと考えます。元を断ち切らなければ、第二、第三の新潟カルテル問題が起こるでしょう。

公取と国交省の利害対立
国民の利益か事業者の利益か

仮に、運賃値上げは国の指導の結果としても、公正取引委員会と国土交通省という国の機関同士の利害対立という構図が浮かび上がりますが、誤解をおそれずに言えば、国民消費者の利益をとるか(公正取引委員会)、タクシー事業者を守るか(国土交通省)ということです。一方は独占禁止法という法律、一方は運賃値上げ指導や公示通達、どちらが優先であるかは明白です。
もともと昭和58年のMKの全国初の値下げ裁判でも「同一地域同一運賃は独占禁止法違反」「道路運送法において運賃認可は個別申請主義」との司法判断が出されています。そしてまた25年後に福岡MK、名古屋MKへの裁量権の逸脱と指摘された値上げ指導を行っています。運輸行政の運賃政策への法を逸脱した恣意的な姿勢は今も昔も変わりません。
あらゆる企業にとって「商品の供給量」と「価格の決定」が、経営者の役割として最も根幹の部分であることは、当たり前のことです。タクシー事業者においては「車両台数」と「運賃」です。ところがタクシー特措法は、その両方を縛るものであり、タクシー事業者は自らの足で立って商売をするな、と言われているのも同然です。なぜタクシー業界団体は再規制を望み、自らの運輸行政の庇ひ護の下に走るのでしょうか。このタクシー業界と運輸行政の馴なれ合いが、護送船団方式が連綿と続くものの正体です。
繰り返し申し上げるとおり、タクシー特措法をわざわざ制定したり、利用者に選ばれるタクシーを走らせなくする最高乗務距離規制を作らずとも、労働基準法や道路交通法、道路運送法など基本的な法律をきちんと適用すれば、継続が難しいと感じる事業者は本来なら自発的に減車したり廃業します。利用者もそちらの方を期待しています。自由な退出を阻害しているのは運輸行政そのものなのです。
本紙前号で述べましたように、来るべき高齢社会において交通バリアフリーの主役となるべきタクシーには信頼の創造が必要です。貴殿におかれましては、タクシー行政において価値観の変化をご理解いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

MK新聞 2012年(平成24年)1月1日発行 第783号4面

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タクシー再規制について 第55回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(55)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

「信頼の創造」と「交通バリアフリー」
再編されるタクシーの将来像を提言

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

名古屋MK400円運賃
正式認可の英断に感謝

本年10月に名古屋MK400円運賃の継続を求める訴訟について国側の抗告が名古屋高裁において却下され、改めて400円運賃の認可の仮の義務付けが決定されました。これを受けて中部運輸局は11月7日、正式に名古屋MKの400円運賃の継続を認可しました。司法判断を尊重し認可をいただきましたご英断を、この場をお借りしまして御礼申し上げます。
さて、前号のMK新聞にて、本年10月でタクシー特措法(特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法)が施行から2年が経過したことや、この間の運輸行政の法律を超えた規制強化について指摘しました。
依然としてこの先タクシーが国民から信頼され、なくてはならない公共交通機関の一翼を担う存在として受け入れられ、成長していくことが出来るか、行き先は不透明であるといわざるを得ません。運輸行政と業界団体は一体となって、減車と運賃値上げに注力しており、いかにしてお客様の信頼を得てタクシー需要を高めるかについては考えているようには見えません。
私はタクシーの将来のために「信頼の創造」と「交通バリアフリー」の2点がなくてはならないものと考えており、以下これから取り組んでいくタクシーの将来像を提言します。

法は利用者利便を求める
需要高める努力をしたか

減車と運賃値上げを主張する側は、「『規制緩和』によってタクシーを取り巻く環境が悪くなった」と規制緩和に全ての原因を求めますが、道路運送法の改正後の目的として最も大きな変更点は「利用者利便の向上」が明文化されたことです。利用者利便の向上は、一社一社のタクシー会社が利用者に選ばれる企業努力をすることで実現するものであり、その企業努力を惜しんだり放棄したりする経営者はもはやタクシー事業に携わってはならないのです。需要を高める努力をせずに、利用者が減ったのに比べてタクシーが多いのが問題、低い運賃の事業者の存在が問題、と言っている状態は利用者から見てどう映るでしょうか。
そして企業努力以前の問題として、最低賃金割れや社会保険未加入・未払いといった労働法規を遵守できない事業者は退出しなければなりません。本来退出すべき事業者が退出していない状態で供給過剰と叫んでいても、社会から見れば所詮は自浄作用のない業界が「内の理論」をかざしているだけに見えます。

退出すべきが退出する
行政は単純なルールを

適正なタクシー台数にしたいのであれば、新規参入や増車を規制するのではなく、常識的なことをしていけばよいのです。現行のタクシー特措法における特定地域の指定は期限延長せず、特措法の役割は終わらせます。特措法がなくなったとしても、それ以前から運輸行政がつくった「特定特別監視地域」という制度は残りますので、「増車を実施する前に監査を行う」ルールによって、管理に自信のない事業者は増車しないでしょうし、きちんと事業を全うしている事業者は増車を行います。
その一方で、労働基準法や道路交通法、道路運送法などを厳格に運用し、前述のような最賃割れ、社会保険未加入・未払い、労働時間や安全対策など不適切な運行管理を行うなどコンプライアンス上問題がある事業者をどんどん退出させればよいのです。
大切なことは本来退出すべき事業者を守らんがための規制となることは本末転倒ということです。増車する事業者は危険性が高い、という前提に立ち、「減車をすれば監査を免除する」とした運輸行政の「アメ」は、一般常識に照らし合わせれば利用者の安全を守ることを放棄したとんでもない政策であることは疑いありません。

必要なコストをかけ
信頼を創造する

タクシー会社は全国に約1万4千社ありますが、今ある法律を厳格に運用すれば2〜3割の会社は今の社会が要請するレベルに達しきれずに淘汰されるでしょう。そうすればタクシー台数も減り、需給バランスはおのずと正常化します。
タクシー台数は全国で約26万台ですが、平均すると20台程度の小規模な会社が数多くあります。都市部と地方では会社規模に違いがあるため全てとはいえませんが、もともとこれだけタクシー会社が多いのは、昔から設備投資を極めて抑えめにしたとしても、そこそこ事業を継続できるからです。極端にいえばタクシー車両さえあれば出来るわけです。自家用車の普及が少ない時代は車そのものが付加価値であったため、それ以上に期待されることが少なかったからでしょう。
ところが現在はタクシーにとって社会的責任が格段に大きくなり、安全性に対するコスト、従業員教育にかかるコスト、利用者利便のために、例えばGPS無線システムなどの設備投資が必要とされてきました。なくても会社を維持することはできるでしょう。しかし大手にせよ中小規模にせよ、これらのコストを払うことが出来るタクシー会社でなければ利用者の信頼を創造することはかないません。これがタクシー会社の集約と淘汰が進むと考える所以です。

タクシーは集約進む
行政のあり方も変わる

将来タクシー会社は3つに分かれます。事業意欲があり投資する事業者、何もしないが赤字にはならない事業者、主に地方ですがコミュニティの足を守る事業者。
そして2番目の事業者はこれまで大多数を占めてきましたが、今後は集約されていくことになるでしょうし、運輸行政はそうなるように後押していかなければなりません。積極的な事業展開を行い、利用者に選ばれる創意工夫を行う事業者を増やします。
その一方で、誰もが移動したいときに移動できる権利を持つ「交通バリアフリー」を実現するのはタクシーだけです。高齢化がますます進むなかで、ドア・トゥ・ドアで移動できる唯一の公共交通機関にもなりますし、交通過疎地域においては路線バスの代替としてオンデマンドの役割を担います。当社も30年以上前から「バスとタクシーの有機的結合によって、安くて便利で快適な交通体系をつくる」都市交通改革を提言してきましたが、いよいよ社会情勢が都市交通改革の必要な状況に近付いてきました。
国民生活と直結し、タクシーはこれからより一層発展する事業ですが、そのとき利用者から信頼される存在になっていることが必要です。私は今ならまだ間に合うと思います。
このようにタクシーの役割を高めていくためには現在の「規制」を前提とした運輸行政では、せっかく生まれたアイデアも実現しません。現在が意欲ある事業者が生まれにくい環境であることを率直に認め、もっと事業者と行政が協力し合って安くて便利で快適な交通ネットワークを作り上げるよう事業者の意識も法規制も変革が必要です。MKがこのパラダイム変換における重要な役割を担い、新しいタクシーの幕開けの最先端を行く一社となれるようこれまで以上に努力して参ります。

MK新聞 2011年(平成23年)12月1日発行 第782号 1〜2面

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タクシー再規制について 第54回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(54)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

規制で消費者の信頼は生まれたか
特措法残り1年を検証せよ

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

2009年10月特措法施行
わずか8年で再規制へ

本年10月でタクシー特措法(特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法)が施行されてから2年が経過しましたが、成立当初は3年間の期限とされていましたので、あと1年を残すのみとなりました。
振り返れば、平成14年2月の改正道路運送法施行によってタクシーは規制緩和され、これまで護送船団方式で守られてきたタクシー業界にも、健全な競争によって利用者利便を向上させるよう新規参入を認め、一方で法令遵守を軽んじる事業者は行政監査によって退場を促されることとなりました。MKグループも平成14年に大阪のタクシー事業(大阪ではハイヤー事業を既に行っていた)をはじめ、神戸、名古屋、平成21年には福岡、滋賀、札幌と相次いで開業しました。京都で培った徹底した社員教育によるサービスとご利用いただきやすい運賃は、各地で高い評価をいただき、流し地域である都市部でありながら非常に高い予約率をいただいております。「MKが来たから他のタクシーもサービスを意識するようになった」という声もいただいております。
その一方で日本経済の低迷と合わせるように、全体的なタクシー需要は減少しました。増車が自由化されたことによって全国的にタクシー台数は増え、規制緩和直後の平成14年3月末に約26万台だった車両数は、特措法直前の平成21年3月末に約27万台と、105%に増加しました。需要減少と増車があいまって、「供給過剰」による様々な悪影響を改善するためにわずか8年経たずに再び規制へと舵を切りました。特措法は、タクシーが「地域公共交通として重要な役割を担っており、地域の状況に応じて、地域における輸送需要に対応しつつ、地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにすることが重要であること」からタクシーの「適正化及び活性化を推進し、もって地域における交通の健全な発達に寄与することを目的」として制定されています。

「供給過剰」解消のために
安い運賃をなくす不思議

ところが本来「供給過剰」とは関係ないはずの「安い運賃のタクシー」を無くすことを国土交通省は積極的に進め、監査による加重処分をちらつかせながら、減車と値上げを迫っています。この過程で従来上限運賃から10%の幅のあった自動認可運賃は全国的に3〜5%に狭められ、各地で運賃値上げが行われました。自動認可運賃を下回る事業者には厳しい審査と値上げ指導によって、関西では特に「ワンコイン」と呼ばれる安い運賃のタクシーが姿を消しましたし、MKグループでは福岡MKや名古屋MKに対する値上げ指導が行われ、「運賃値上げ指導は裁量権の逸脱」との司法判断が下されたことは記憶に新しいところです。
また、減車指導についても「減車をすれば監査を行わない」という監査本来の主旨から逸脱した指導を行い、「法令遵守出来なければ減車すればよい」というタクシー事業者のモラル低下を引き起こしていることにも大きく疑問符がつきます。「供給過剰」といいながら、確かに表面上の車両台数は増加しましたが、運転者数は平成17年をピークに、その後は下がり続け、規制緩和前の約40万人からほとんど変わっていません。

増減車は経営者の判断
行政が指導すべきは他にある

タクシーは1台の車を動かすために1人の人間が必要で、自動運転技術など想像もつかない技術革新が起こらぬ限り、これまでもこれからも同じです。規制緩和後の増車と運転者数のアンバランスは、とりもなおさず経営者の判断であり、国の判断ではありません。運転者数にあわせて効率的な車両稼動を行う事業者もあれば、特定の時間帯に稼動を集中させるために適正台数以上に車両を確保する事業者もあります。繰り返しますが全て経営判断です。結果として過大な車両管理コストをまかなうだけの収益を上げられなければ適正な台数に調整すればよいだけのことで、これまでMKにおいても経営判断として減車を行ったことはあります。再規制により一度減車すれば、今度は増車できないとなれば、将来的な事業展開を考える経営者ほど減車しようにも出来ないというジレンマがあります。
問題は収益をあげられないばかりか利益を確保するため、最低賃金に抵触したり社会保険料を滞納したり、利益を確保するため安全にかけるコストを削減したりする事業者であり、その実態を黙認する今の運輸行政です。そればかりか「安い運賃の事業者は、安いがうえに売上が低く過剰労働や安全コスト削減のおそれがある」とし、安い運賃の事業者への圧力を強めるばかりです。退場すべき事業者が退場する、それには道路交通法や道路運送法、労働基準法など基本的な法律をしっかりと運用すればよいのです。

利用者の信頼は回復したか
既存事業者を守るのが目的でない

私は本紙紙面上で一貫して「利用者に向いた運輸行政とタクシー業界」となる必要性を述べてきました。特措法施行から丸2年が経ちあと1年を残す中で、この特措法によって利用者の信頼を回復できたか、利用者不在でないかを検証する必要があります。
日本の消費者は世界一厳しい目を持っていると思っていました。個人的な体験ですが私は20数年間使っていたブラウン管テレビから、新型テレビに買い替えたり録画機器を買ったりしたところ、今度は数年で故障するということがありました。修理には数万円と、一回り二回り小さいテレビが買えるような費用がかかるといわれ、品質が明らかに落ちていると感じました。これまで10年もったものが4〜5年となり、様々な場面で社会のサイクルが早くなったといわれますが、消費者もそれを受け入れる感覚に変わってきたのかもしれません。しかしタクシーに目を移した時に、だからといって年に1回交通事故を起こしてもよくなった、汚い車内でもよくなったということにはなりません。我々は常にお客様に最高のサービスを提供出来るように自己研鑽を重ねなければなりません。
MKは昨年50周年を迎え、本年10月26日より51年目に入りました。これからはなお一層MKブランドの価値観が日本に、世界に必要かどうかが問われていると考えています。一度最高のサービスの提供を決意した以上はとことん継続していくことが私の役割であり、MKをご支持いただく利用者への信頼に応えるすべであります。運輸行政におかれましては、再規制の検証と利用者のためのタクシーとなるようにご指導ご尽力賜りますよう宜しくお願い致します。

MK新聞 2011年(平成23年)11月1日発行 第781号 1面

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タクシー再規制について 第53回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(53)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前田武志殿

ついに名古屋高裁が国側の抗告棄却
運賃値上げ査定は裁量権の逸脱

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

地裁「仮の義務付け」から10ヵ月
再び司法がお客様を守った

昨年7月、中部運輸局は名古屋MKに対して初乗400円から430円への運賃値上げを指導しました。順調な業績で推移していた名古屋MKにとって必要のない運賃値上げであったため、即座に400円運賃の継続を求める申立を名古屋地裁に行い、同年11月に名古屋地裁は運賃継続を認可する「仮の義務付け」の決定を下しました。先の福岡MKの500円運賃値上げ指導においても同様に「仮の義務付け」が認められるなど、MKグループとして2例目の事案でした。
国側は決定を不服とし即時抗告しましたが、この度本年9月14日付けにて名古屋高裁は国側の抗告を棄却し、地裁と同様に400円運賃を認める判断を下しました。

原価を過大、収入を過小に査定
裁量権の濫用・逸脱あった

初乗400円から430円への運賃値上げ指導とは、端的にいえば、「今の名古屋MKの経営状況であれば、初乗400円という、自動認可運賃より低い運賃で営業を続ければ収支が均衡しない(採算が合わない)ことになるから、赤字にならないために最低でも430円へ値上げをしなさい」ということです。名古屋MKでは事実として平成21年に従業員数と車両台数がほぼ倍増し、新入社員が増えたために1人当たり売上が落ち込み、単年度でみると業績が一時的に悪化していましたが、いわばそれは先行投資でした。平成22年に入ってからは新たに導入したGPS無線配車システムによって配車件数が格段に増えたことと、新入社員が業務に習熟しはじめたことによって売上、実車率ともに向上し、順調な業績の推移を見せていますので、中部運輸局には、今後も400円運賃で安定した収益を確保できるという算定資料を提出していました。
ところが、中部運輸局は、原価は今後の増加する予定の人数の人件費をとり、収入は過去5年平均の低い売上や稼働率をとるというアンバランスな査定を行い、値上げが必要という結論を導き出しました。昨年11月の地裁の決定では、「MKの算定方法の方が合理性において劣るとは認められない」という判断であったのと比べ、今回の高裁の決定では「相応の合理性を有するMKの算定方法を排斥し、整合しない原価と収入の算定を行ったというほかなく、裁量権の逸脱又は濫用があったといわざるをえない」とはっきりと国が違法であったと示しています。

平均的な事業者との違い
MKの特色ある経営を認める

運輸行政は『タクシーは選べないもの』という前提に立ち、すべてのタクシー会社は同じようなサービスを提供するのだから、運賃が安いと同じ時間だけ働いているだけならそれだけ売上は減るため、売上を減らさないようにドライバーは過労運転する、一方会社は売上が減れば利益も減るから、その分安全にかけるコストを削減してでも利益を守ろうとする、だからこそ査定を厳しくして安い運賃をなくしていこうとしています。
この「安い運賃=安かろう悪かろう=社会の害悪」という紋切り型の発想には、良質なサービスを低価格で提供しようとする事業者の経営努力や創意工夫、そして「利用者が選択する」という利用者の主体性の観点が全くといってよいほど欠落しています。この裁判では、神戸大学副学長で交通経済の専門家である正司健一教授の意見書を提出しました。正司先生は、「MKタクシーのビジネスモデルは、他のタクシーのビジネスモデルとは異なるため、自ずと審査のあり方も変わってくるべきである」と指摘しています。
名古屋高裁は、MK側の収支予測の資料を不合理といって取り合わず、標準的な事業者の査定方法に当てはめることに固執する国側に、「原審申立人(=名古屋MK)を含む企業グループの経営手法は、タクシー運転者の採用に関する方針のほか、繁華街に自社専用の乗り場を設置すること、安価な運賃等を採用し、これらにより利用者の予約率が他のタクシー事業者に比べて高く、都市部の平均的なタクシー事業者に比べて実車率が高いという結果を得ていることなど、経営に特色を有することが認められる」と言及しました。

汗をかく全国のタクシー事業者の
創意工夫を司法が認めた意義大きい

この度の司法判断において「経営の特色」が指摘されたことは大きな意義があります。それはMKグループのみならず、お客様の満足度向上のために一生懸命汗をかいてきたタクシー事業者にとって、運輸行政に無視されてきた経営努力を司法によって認められたことに他ならないからです。タクシーは特徴の無い、どれに乗っても一緒、ということではないのです。そしてこのことは利用者にとってもより良いサービスを提供する事業者の誕生を示唆することです。
一昨年の特措法によって再び行政から保護される存在となった事業者は、法令遵守に不安がある場合減車すれば監査が免除され、積極的に事業拡大を求め増車をする事業者には監査が入り違反があれば通常の3・5倍の加重処分が科されます。安い運賃については福岡MK、名古屋MKの例をみるまでもなく司法によって裁量権の逸脱とまでいわれた「値上げの結論ありき」の審査をとってまでも、安い運賃をなくしていこうとしています。
何故こうまでして再規制をかけなければならないかといえば、国側によると「供給過剰による歪みが生じているから」とのことですが、そもそもこの歪みこそ特措法がなくとも今ある道路運送法や道路交通法、労働基準法など関係法令をきちんと遵守するよう指導し、守れない事業者に市場からの退場を促していけば、利用者に支持されなかったり社会のルールを逸脱したりするような事業者は、自然と淘汰されて供給過剰は解消されるものです。またそうしなければ未来永劫歪みは改善されないでしょう。例えば現在、札幌の大手タクシー会社でドライバーの最低賃金の労働争議が起こっていますが、全国の今日この状況を引き起こしたのは、今まで放置してきた運輸行政ではないでしょうか。加えて札幌MKを排除するために札幌MKの許認可取消を求める前代未聞の訴えを起こした札幌ハイヤー協会のような業界団体ではないでしょうか。
MKグループに限らないことでしょうが、申請して認可されるというルールに則って増車し、安い運賃を実施し、利用者にも支持される事業者が何故しわ寄せを受けるのでしょうか。運輸行政はタクシー事業の活性化のために何をするべきか今一度お考えいただきますよう宜しくお願い致します。

MK新聞 2011年(平成23年)10月1日発行 第780号 1面

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タクシー再規制について 第52回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(52)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 大畠章宏殿

『交通バリアフリー』実現への第一歩
車椅子のままお気軽にタクシーを

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

車椅子のままご利用できる
MKの小型タクシー導入

本年8月、京都MKでは車椅子のままご乗車いただけるユニバーサルデザインタクシーとして日産「バネット」を新たに導入しました。まずは10 台を営業所に配置し、その後順次拡大の計画です。バネットは通常の小型タクシーと同様流し営業を行っておりますので、出先でMKタクシーをお探しの方は、空車のバネットを見かけられましたら小型タクシーとして安心してご利用ください。
全国的にもこのようにまとまった台数の導入は珍しいとされておりますが、1台や2台ではなく、これだけの規模を導入した理由は、「タクシーの新しい価値」を生み出すためです。これまで車椅子のままご利用いただける車両を所有するタクシー会社は少なく、また所有していても台数が限られており、利用したくても数日前に予約しなければ乗れないというのが現状でした。お客様や行政からも改善を求める声がありました。

「行きたいときに行ける」の
実現がタクシーの役割

タクシーの新しい価値とは、これまで数日前に自分の行動を決めなければならなかった利用者が、これからは自分が移動したいときにタクシーを呼んで移動することが出来るようになる、という利用者の生活様式の変化です。
タクシーはドアトゥドアで「好きなときに好きな場所へ行ける」唯一の公共交通機関であり、当社はさらに一歩踏み込み「“誰もが”好きなときに好きな場所へ行ける」ことの実現をタクシーの使命と考えており、「交通バリアフリー」を社会に浸透させることを目指しています。MKグループが昭和50年代より提唱する、バスとタクシーの有機的結合による便利で快適な公共交通体系の実現を目指した「都市交通改革」のひとつの姿です。
そのためには、タクシーはまず安心して快適に乗れる乗り物であること、利用しやすい料金であること、そしていつでも利用しやすい状態にあることが必要です。MKでは、ドライバー教育を徹底し、親切丁寧な接客、安全快適な運転、清潔な車内空間を提供し、適正な料金で運行しています。コールセンターを充実させ24時間電話で配車を受け付けたり、この度のバネットのように車椅子のまま乗れるタクシーをまとまった台数で導入したりして、出来る限り迅速に利用者のご要望にお応えする体制を整えています。

減車と値上げだけの運輸行政では
タクシーの役割は広がらない

一方で運輸行政は、タクシーとは「利用者が選択することが出来ない」からどの会社も減車の影響が同じであるとして減車圧力をかけ、「どのタクシーでもサービスは同じ」だから、利用者利便を守るために運賃は同一地域同一運賃であるべきと、安い運賃のタクシーに値上げを迫ります。事業者による創意工夫や、利用者が選ぶという自主性は全く無いものとし、いまだに護送船団方式の規制時代の感覚でタクシーを考えています。
利用者に選ばれて走行距離が伸びるタクシーを営業させなくするために最高乗務距離規制を定めたのは、「利用者に選ばれること自体が悪である」という行政の姿勢に他なりません。それだけでなく安全性に問題のない通常の労働時間のなかであっても最高乗務距離を理由にして乗車拒否することを指導し、監査での処分を盾に、まるで低下する売上をカバーしたければ運賃値上げすればよいと事業者に選択を迫るのは、行政の怠慢を通り越し、国民に対する害意としか考えようがありません。
 従前より何度も申し上げておりますが、このように「タクシーはどこも同じ」という運輸行政の考え方は、利用者に選ばれるため創意工夫し経営努力を重ねる事業者を阻害するばかりか、道路運送法の目的とする利用者利便の向上をないがしろにすることです。

新しい価値を生み出すことを
積極的に後押しするべき

この度のバネットの導入で、私どもは新しい価値を生み出そうとしています。運輸行政が「タクシーはどこも同じ」「利用者は選べない」という前提で規制を続ける限り、「タクシー事業者に一層の創意工夫を求める」との行政のメッセージに説得力はありません。むしろ利用者の信頼を失い続けることになります。
行政の役割は多様なサービスを認め、積極的に事業者を後押しすることです。タクシーが利用者に信頼される公共交通機関として発展できるよう、MKグループはこれからも新しい価値を生み出してまいる所存です。
(本文作成:8月29日)

MK新聞 2011年(平成23年)9月1日発行 第778号 1面

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タクシー再規制について 第51回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(51)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 大畠章宏殿

「タクシーは選べない」と型にはめる
運輸行政が経営努力を阻害する

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシーはどれも同じだから
利用者のために値上げしよう

運輸行政の想定するタクシーは「利用者が選択することが出来ない」ことを前提としており、利用者は、駅やタクシー乗り場に列になっているタクシーに順番に乗車したり、街中でたまたま通った空車タクシーをとめて乗車することになります。選択がなく順番に利用されるのであれば、すべてのタクシーの収入は、そのエリア全体の利用者数(需要)とタクシー台数(供給)によって均等割りされると考えています。
 「選べない」から利用者利便を守るためにサービスの均質化を求められ、不思議なことに接客マナーや車両の快適さなどを脇におき、何よりもサービスの均質化とは即ち運賃を同一地域同一運賃とすること、と考えているのが今の運輸行政とタクシー業界です。
そこで運輸当局は「利用者の安全性の確保」を理由に、様々な規制をかけて運賃の値上げ圧力をかけます。これまで上下10%の幅のあった自動認可運賃が各地でおよそ3%程度に圧縮され、この下限を新たに下回ることになった事業者の多くは、当局の指導や下限割れ運賃事業者に対する調査・監査を避けるかたちで値上げに応じました。下限割れ運賃の継続を求める認可申請に対する審査も格段に厳しくなり、全国で却下処分が相次ぐなか、福岡MK500円運賃や名古屋MK400円運賃の事案のように、裁量権を逸脱した値上げ指導が行われ、司法によってただされることもありました。
また利用者に選ばれて走行距離が伸びるタクシーを営業させなくするために最高乗務距離規制を定め、乗車拒否を容認し、低下する売上をカバーしたければ運賃値上げすればよいと、監査での処分をちらつかせます。

値下げすれば減収
昔からの国の考え

これらの規制の背景にあるのは、前述のように「タクシーは利用者が選べないもの」「どのタクシーでもサービスは同じ」という前提に立った「全タクシーの売上はそのエリアの需要を均等割り」されるという認識です。運賃を値下げすればそれだけ単価は下がるのだから日々の売上が下がり、減収分を補うために無理な営業をするタクシーが生まれ、結果として過労運転や速度超過など利用者の安全が脅かされる、だから規制をかける、ということです。A社とB社が同じ運賃であれば、A社が10%値下げすれば売上も10%下がるため、B社と同じ売上を上げるためには、A社は10%長い時間を働くか、10%速い速度で走行して同じ時間でもより多く仕事をしなければならないのです。
しかしながら、この運輸当局の考えるタクシー像は、「事業者が創意工夫しお客様に選ばれようとする」ことも「利用者が主体的にタクシー会社を選ぶ」ことも一切考慮されていません。タクシーはどこも同じ、利用者も選ぶという発想を持たない、だから国が一から十まで指導しなければならないという「護送船団方式」の考えが未だに生き続けているのです。昭和60年にMKが勝訴した運賃値下げ裁判の時代から国の考えは変わっていません。変わっていないのはタクシー業界も同じなのかもしれませんが。

ビジネスモデルの違いが
輸送実績の違いを生む

タクシーの営業形態は会社によって様々です。駅や街なかのタクシー乗り場に並ぶ営業が中心の会社、流し営業を中心とする会社、予約営業を中心とする会社などです。
「タクシーはどこも同じ」という運輸行政の考え方は、利用者に選ばれるため創意工夫し経営努力を重ねる事業者を阻害するばかりか、道路運送法の目的とする利用者利便の向上をないがしろにすることです。
MKでは社員教育を徹底し、挨拶、接客マナー、ドアサービス、言葉遣い、清掃の行き届いた車両、制服制帽でお客様に快適にご乗車いただき、GPS無線配車システムや専用のりばなど利用者に選ばれる環境を整えています。MKは創業以来、まずは乗車拒否を絶対にしない、お年寄りや女性や身体の不自由な方への親切丁寧な接客で選ばれてきました。そこにご利用いただきやすい適正な運賃が加わったのは平成5年の全国初のタクシー運賃値下げからです。
10%値下げをすれば10%長く働かなければならないのは、利用者に選ばれることがない場合です。10%値下げしてもそれ以上にお客様が増えれば売上は高まります。どれだけお客様にご乗車いただくか、即ち「実車率」を高めることがタクシー事業にとって必要不可欠です。
駅などで長時間待機して、1日100q走行して40qお客様がご乗車になれば実車率40%ですが、予約が多く次々とお迎え場所に移動し1日200q走行して100qご乗車になれば実車率50%になります。例えば初乗550円の神戸MKと初乗660円の神戸一般他社を比較すると、神戸MKは走行距離に比べて実車率が高く最終的な売上も高いことが分かります。実車率を無視して、単純に運賃設定の高い低いが直接売上の大小につながりません。もちろん神戸MKがそれだけ過労運転や危険走行をしていることはありません。
このようにビジネスモデルの違いにより結果は大きく異なります。MKの無線予約率は全国のタクシー事業者のなかでも群を抜いており、実車率に結びついています。

創意工夫を求めるのか
求めていないのか

運輸行政が「タクシーはどこも同じ」「利用者は選べない」という前提で規制を続ける限り、たとえ一般論として「タクシー事業者に一層の創意工夫を求める」と行政がメッセージを発したとしても、矛盾したこの状況が続けば利用者の信頼を失い続けることになります。
規制緩和によって参入も自由になりましたが、退出も自由になったのです。行政当局の役割は事業者の創意工夫を支援することであり、利用者に支持されない事業者の退出を促すことでタクシーの活性化を図ることです。いまだ護送船団方式から脱していないことに、一事業者としても、一タクシー利用者としても懸念する次第です。



MK新聞 2011年(平成23年)6月1日発行 第775号 1面

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タクシー再規制について 第50回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(50)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 大畠章宏殿

わずか3週間で署名37万人集まる
国土交通省は利用者の声を聞いて

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

神戸MKに距離規制で処分
このままでは会社が消滅

昨年9月、近畿運輸局兵庫陸運部により、増車を行った神戸MK芦屋営業所に対する監査で最高乗務距離違反の指摘がありましたが、神戸MKとしては、乗車拒否を引き起こし労働者の働く権利を阻害する最高乗務距離規制の違法性を再三にわたって行政当局に説明してきました。ところが、本年3月に近畿運輸局より当該違反によって車両停止処分を課すとする「弁明通知書」が出され、当社の試算では105日車の車両停止処分が下されようとしています。
神戸MKでは処分の差止めを求め、訴えを本年3月29日付で大阪地方裁判所に提起しました。もしも神戸MKが現状どおり24時間いつでもお客様の予約注文にお応えする運行を続けるならば、行政当局の継続した監査と行政の指導に従わずに減車をしない事業者には、処分点数が累積し事業停止、ひいては事業許可取消へと発展する危険性があります。なぜこのように事業許可取消になるかといえば、行政の指導に従わずに低運賃にしたり減車しない事業者には、通常の3.5倍の処分日数となる加重処分が下され、何度も行政当局の監査が行われるからです。今や近畿運輸局はいともたやすく神戸MKを消滅させることが出来る立場にあります。
行政に訴えても何ら理解を示すことはありませんが、もしも処分を免れるためにこの規制に従えば、通常の労働時間内であっても走行距離を理由にお客様のご乗車をお断りして帰庫しなければならなくなり、タクシー事業者にとって利用者を安全迅速に目的地までお供する、という最低限のサービスを提供することが出来なくなります。売上は大きく減少しますので、ドライバーの所得もそれに応じて下がります。走行距離の伸びる夜勤者では月間20万円以上売上が下がる試算もあります。このことから神戸MKとしては苦渋の選択で運賃を大幅な値上げに迫られることになります。乗務距離規制はこれまでタクシー事業者が何十年と繰り返してきた「ドライバーの待遇改善のために運賃値上げを行う」ということをMKにも強いる規制なのです。
この最高乗務距離規制によって、現実問題として運輸行政の意に沿わないタクシーは売上が減少し、意図せざる値上げに追い込まれるのです。

「国は何を考えているのか?」 お客様からも疑問の声届く

MKグループではこの利用者利便とそこで働く労働者の権利を守るため、労働組合と全社一丸となって4月1日〜22日の間「最高乗務距離規制撤廃を求める署名」活動を行いました。わずか3週間という短い期間で37万4387名分(4月26日集計現在)の署名をいただくことができました。ご協力いただいたお客様の皆様にはこの場を借りて深く御礼申し上げます。
署名活動を通じて、最高乗務距離規制に対するお客様の反応は、まずドライバーの耳に伝わります。「国は何を考えているのか?タクシー利用者の立場で全然考えてくれていない」という声を多数いただきました。特に神戸市民のお客様にはドライバーが説明すれば皆様積極的に署名に応じていただき、非常に関心が高いことを実感するとともに、神戸に進出してわずか10年経たずにこれだけお客様に評価され、喜んで選ばれるタクシーを何としても守らなければならない、という決意を新たにする次第です。
本署名は4月28日に近畿運輸局に渡す予定で、お客様の総意として最高乗務距離規制を撤廃することを要望してまいります。

安くて良質なタクシーを
なくそうとする悪しき規制

最高乗務距離規制は、一昨年10月のタクシー特措法の一環で全国の都市部にかけられ、お客様に選ばれて走行距離が長くなるタクシーをがんじがらめにする、問題の多い規制です。
定められた労働時間内でより多くご利用いただき最大の生産性を上げるための企業努力を否定し、さらに行政は距離オーバーしそうなら乗車拒否をするよう指導しています。これはお客様の利便を損なうばかりでなく、乗車拒否によるブランドの低下やドライバーの所得減少までも引き起こしかねず、実際に始業から5時間足らずで帰らざるを得ない例も発生しております。
神戸MKは良質なサービスと安い運賃で、お客様に選んでいただき喜んでいただくため開業当初から徹底したドライバー教育により「これまでタクシーに乗るのが嫌だったが、MKならタクシーを使う」という声をいただくようになり、今ではご利用の9割以上が電話予約または専用のりばからの営業となっております。繁華街の一角に設置した「加納町のりば」では、周りに他社タクシーの空車車両が列をなす中、わざわざMKを選び10分、15分とお待ちいただくこともあります。国は最高乗務距離規制によって、お客様に選んでいただき自然と走行距離が伸びるタクシーに「これ以上営業をしてはいけない=これ以上お客様に選ばれてはいけない」とでも言うのでしょうか。
そもそも距離規制とは、高速道路が未発達で労働時間を守る意識が欠けていた昭和30年代に作られたものであり、全世界的に労働は「時間」で規制される現在において、なぜ公共交通機関の中でもタクシーだけが「距離」によって二重規制されているのか理解できません。さらに近畿運輸局のみが、高速道路走行分を完全除外することなく、高速道路を走行しても50km分まで走行距離に算入します。経済圏が一体であり人の流れの多い京阪神エリアでは、都市間や関西空港など長距離運行をするタクシーはあっという間に最高乗務距離をオーバーします。1日の限度距離とされる250kmも事業者の平均から導き出された数字であり、駅やタクシーのりば、または路上でお客様がご乗車になるまで延々と待機するタクシーと、MKのように予約注文が多く常に走行しているタクシーとは、そもそも基礎となる1日の走行距離が異なるのです。都市の渋滞を引き起こすような二重三重のタクシー行列を基礎として運輸当局は距離を作り上げていることに、大きな矛盾を感じざるを得ません。
実際に営業に出て、折角選んでいただいたのに距離規制を理由にご乗車をお断りするのは他でもないドライバーであり、常に走行距離を意識しての営業は心理状態にも悪影響を及ぼしかねません。ある一定の距離を超えたら帰りなさい、という規制ではなく、超えないように帰りなさいという規制であり利用者のお供先をお聞きするまで行き先が分からないのがタクシーの仕事です。様々な心配によるストレスは、安全運行にも悪影響が避けられません。神戸MKのドライバーの心情書の一部を紹介します(下に記載)。

利用者を無視した規制に
タクシーの未来はあるのか

MKグループではこの最高乗務距離規制の公示の取消しと、それによる不利益処分の差止めを求め、平成22年3月に京都MK・大阪MK・神戸MKの連名で国を相手取り提訴したのを皮切りに、札幌、東京、名古屋、福岡のMKグループ各社で現在も係争中です。
国によって神戸MKに突きつけられた「利用者に選ばれて走行距離が伸びてはいけない」から「消滅」か「売上激減」か「減収分を利用者に転嫁して運賃値上げ」かの選択肢は、どれをとっても利用者利便を阻害するうえ、後に残るのは高い運賃のタクシーと、需要が減少し所得が下がり一生懸命働く魅力のなくなった職場と、国から突きつけられた理不尽な規制に従うというMKタクシーの創業理念を放棄した先例です。
今回は当社の意思ではなく、行政の規制によって所得を下げられ、それを補填するためには運賃値上げしか方法がないところに追い込まれました。本来であれば営業効率を高め時間当たり売上を増やすためにお客様に選ばれる努力をすることが、事業者として全うであると考えますが、今回はその選ばれる努力をしてはいけない、ということです。乗務距離規制は本来の安全性の確保という目的ではなく、運賃値上げさせることが目的ではないかと疑ってしまいます。
また仮に、運賃値上げを行ったとしても、今まで通りお客様がMKを選んでいただけるかは分かりません。接客サービスについては揺ぎ無い自信を役職員社員一同持っておりますが、MKの評価は「最高のサービスでしかも適正な価格」というところにあります。
実際にお客様から選ばれないタクシーになるためには、社員教育にかけるコスト、コールセンターへの設備投資や人員配置、専用のりばの維持、手入れの行き届いた綺麗な車両、お客様へ情報を届ける広報活動など、タクシー会社としての付加価値を高める経営努力は過大な負担となり不要となり、手放していかなければなりません。コールセンターなど間接部門の従業員も職を失います。
これが「タクシーの適正化・活性化」の末に起こりうることとして、立法者が求めたものでしょうか。運輸行政が実現したいタクシーでしょうか。何より利用者が求めたことでしょうか。
貴殿におかれましては37万人の声に耳を傾け、何卒ご理解賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

MK新聞 2011年(平成23年)5月1日発行 第774号 1面

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タクシー再規制について 第49回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(49)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 大畠章宏殿

タクシーは最小単位の公共交通
国民の足を守る使命を遂行させて

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

被災者の皆様に心より
お見舞い申し上げます

本年3月11日に発生した東北地方太平洋地震に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
MKグループでは、地震直後には東京MKにおいて、鉄道運休によるタクシーへの注文が集中したことや、東京MK社員の出勤がままならないことなどで、お客様にはご希望通りタクシーを提供することが出来ないことが多々あり、大変ご迷惑をお掛けいたしました。加えて東京MK「新木場営業所」が液状化現象により使用不能状態となり一時車庫を移転しておりましたが、現在は復旧しております。東京MKに対して3月12日よりコールセンター業務応援、営業所の復旧作業など京都MKより職員、労働組合が共同して10名単位でスタッフを派遣し、出来うる限りお客様の足を守るために努めました。また、札幌MKでは通信障害により数日間、コールセンターに電話が通じにくい状態が発生し、札幌のお客様にもご不便をおかけいたしました。現在はMKグループ全社とも通常営業を致しております。

MKグループが今出来ること
これから出来ること

神戸MKではポートアイランドの企業有志で3月14日に被災地に救援物資を届け、同時に米3300kgを提供しました。昨年より新しく開始したMKグループのお財布カード「タクポ」の貯まったポイントを被災地への義援金に変換できることをお客様に呼びかけております。また自治体の注文により被災地へ自治体職員の派遣のお供を業務として受けております。
平成7年の阪神淡路大震災においては京都MKの隣接地域であったため、自治体の要請により医師や看護士の送迎のため震災救援ジャンボタクシーなど23台を8日間運行し、日替わりで社員200名以上が携わりました。この度の被災地へ支援も要請があればMKグループとして出来ることであればご協力致します。現状では遠く関西から赴けばかえって被災地の皆様のご負担になるかもしれませんが、MKグループのタクシー、バス、警備、整備、燃料油、アミューズメントで組織的に培ったものが復興支援に活かされる時期がいずれ来ると考えます。

緊急時ほどタクシーが
需要を満たす柔軟さを

この度、東京MKの体験を通じて「タクシーが最小単位の公共交通機関」であることを改めて強く実感しました。鉄道の運休によって都民の通勤の足や移動手段が大きく制限された場合に、タクシーは生活の足を守る最小かつ最後の砦であるということです。特に東京MKでは地震直後より成田空港や羽田空港など空港送迎の注文が集中しました。お年寄りや身体の不自由な方でなくとも、移動が困難となる場面が都市圏でも容易に起こりうるのです。
一方で私どもも車両はあるが出勤できず運転するものがいない、燃料が不足している、そのような状況下で輸送力を何とかして確保する備えが必要であることが分かりました。目の前でお客様が困っており、現にコールセンターへの注文が殺到しお断りせざるを得ない状況下において、公共交通機関としての役割を痛感致しました。緊急時に需要にお応えする方法を、事業者としても行政としても今後考えていく必要があると考えます。

利用者の選択する意志を
運輸行政は無視し続ける

近畿運輸局は京都MK、大阪MK、神戸MKが2008年7月に申請していた営業区域拡大の申請を本年3月8日付けで却下処分としました。この申請は3社がそれぞれに分かれている営業区域について京都市、大阪市、神戸市、滋賀県南部を一体化するもので、認められれば観光シーズンの繁忙期の京都で大阪や神戸の空車車両を投入したり、京都から大阪へ送迎した車両が空車で京都に帰るのではなく必要に応じて大阪で営業するなど、営業効率を高めることが出来ました。
利用者に選択されるべく社員教育を徹底し質の高いサービスを提供する、その結果として利用者に選ばれて実車率が向上し売上が高まる、このサイクルを作り出すのは事業者としての当然の経営努力です。運輸行政も利用者サービスの増進と創意工夫を推進しています。しかしながら営業の効率を高めるにはある種の法的規制が壁となります。
MKでは本申請に至る数年前より近運局に対して「利用者がMKを選んだということが明確に分かる無線営業や貸切業務に限っては区域外営業の規制を受けない」「利用頻度がタクシー程頻繁ではないハイヤー車両についてはグループ会社間で共有して利用できる」などの要望をあげてきましたが、全く回答がなくこの度の申請を行いました。しかし、運輸当局はこの申請に込めた意図を全く考慮しません。却下処分に際しては「その営業区域で発生した輸送は、その営業区域の事業者が行う」と従来の見解を繰り返すばかりであり、運輸行政が「利用者のタクシーを選択したいという考え・行動」を尊重しないことが改めて浮き彫りとなりました。この利用者不在の考えは、運賃却下、最高乗務距離規制、減車圧力と相まってある意味で一貫しており、利用者に支持されるタクシーを排除しようとする圧力はこれからも続くことと考えます。
しかしながら、運賃値上げと最高乗務距離規制に反対する署名活動で104万人のお客様のご賛同を得たことや、福岡MKや名古屋MKの運賃裁判において、2社に対する国の値上げ指導は裁量権の逸脱であるとの司法判断が下されたように、利用者視点で事業に邁進すれば必ずや道は拓かれるものと確信しております。今後タクシーが復興のために活躍出来るよう私どもも常に備えたいと考えます。

MK新聞 2011年(平成23年)4月1日発行 第773号 1面

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タクシー再規制について 第48回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(48)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 大畠章宏殿

新潟のタクシー運賃カルテル問題は
消費者に不信を生む氷山の一角

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

公正取引委員会の立入検査が
新潟のタクシー協会に行われる

本年1 月26日、公正取引員会がタクシー運賃の一斉値上げを話し合いで決める独占禁止法(不当な取引制限)違反の疑いで、新潟市ハイヤータクシー協会やタクシー会社数十社に立ち入り検査を行ったと、新潟の報道各社が一斉に取上げました。報道では昨年の春に新潟のタクシー各社が運賃値上げを行うあたり、協議して27社中26社が570円へ値上げする談合があったとされています。
平成21 年10月に施行されたタクシー適正化活性化特措法の国会の付帯決議にて「自動認可運賃の幅の縮小」と「下限割れ運賃の審査の厳格化」が盛り込まれたことにより、これまで事業者が自由に設定できる自動認可運賃の幅は約10%でしたが、各地で3〜5%に縮小されました。例えば京都であれば小型車初乗570円〜640円だった自動認可運賃が620円〜640円になりました。その結果620円を下回る運賃の事業者は自動認可運賃の下限を下回る「下限割れ事業者」として運輸局より行政監査の対象となるなど値上げの厳しい圧力を受けるようになりました。全国的に約1200社あった下限割れ運賃事業者は約400社に減少するなど、特措法のもと全国的にタクシー運賃の値上げが進みました。この度の新潟のタクシーも自動認可運賃の下限引き上げを機に行われました。

タクシーは一斉値上げが多い
国民の目から見れば疑問では

このような全国的な値上げ圧力が高まるなか、この度の新潟のタクシー運賃カルテル問題は、最終判定はまだ先ですが、私どもタクシー事業者のみならずタクシーを利用するお客様、国民に大きな示唆を与えました。タクシー運賃を値上げする際、タクシー会社同士の談合による値上げは新潟のみならず全国的に行われているのではないか、新潟の問題は氷山の一角に過ぎないのではないかという利用者である国民に不信を植え付けたことです。
MKタクシーはよく他の事業者から運賃値上げを求められます。「MKタクシー1 社だけが安い運賃で利用者を他のタクシーから奪っている、MKタクシーが安いままでは他の事業者が運賃値上げ出来ない」と。福岡MKや名古屋MKに至っては運輸行政そのものより運賃値上げ指導がなされ、私どもは必要のない運賃値上げに反対し、2社への運賃値上げ指導は行政の裁量権の逸脱という司法判断を得たことは記憶に新しいところです。
全国各地で運賃値上げはほとんど地域のタクシー会社一斉で行われています。一方で独占禁止法は複数の事業者が示し合わせて価格を上げることを禁じており、国民の目から見れば疑問を抱かれる方も多いと思われます。

同一地域同一運賃の原則は違法
しかし今でも7割ルールがある

タクシー業界は「同一地域同一運賃」の復活を望んでいますが、MKの値下げ申請の却下処分を不当として訴えた運賃値下げ裁判(昭和60年大阪地裁判決、平成元年和解)において、同一地域同一運賃は独占禁止法違反の疑いがあるとされ、これを機にタクシーの規制緩和が進んでいきました。道路運送法上、運賃申請は事業者が個別に行うものとされるので、同一地域同一運賃の原則という行政の処理方針は法を逸脱した裁量権の濫用ということです。当時、運賃値上げにはその地域の全事業者が値上げ申請しなければ値上げ出来ない、裏を返せば1 社だけ値下げをすることは認められませんでした。
その後、今日でも運賃改定(上限認可運賃の引き上げを伴う値上げ)の際は、その地域の7割以上の台数を占める事業者の申請が3ヵ月以内に出揃えば運賃値上げの審査に入るという「7割ルール」が、運輸当局の公示する審査基準において定められています。7割に到達しなければ行政による運賃改定手続きに入りません。すると値上げをしたい事業者はどうするでしょうか、事業者の集まりであるタクシー協会でどのような話題が上がるでしょうか。このような「7割ルール」の存在自体が価格カルテルを引き起こす温床となっているではないでしょうか。

価格は利用者が決めるもの
保護行政下の値上げと決別を

特措法によって進められる各地の減車についても、事業者団体が各事業者に減車の割り当てを行うことも独占禁止法違反(事業者団体の禁止規則)に抵触します。
いずれにせよ「商売」としてのフロントの部分である運賃や台数については個々の経営者が判断すべき問題です。行政は「安全」や「法令遵守」についてもっと厳格に対応すれば、適正な競争によって利用者に支持されないタクシーの淘汰が起こります。
タクシーの規制緩和によって参入も自由になりましたが、退出も自由になりました。例えばガソリンスタンドでは全国5万8000店あったのが特石法廃止(1 996年)により一時は6万2000店に増えましたが、今では4万店に減少しています。事業として成り立たないのであれば経営者が自分で判断して退場します。今の運輸行政は退場を促すことなく参入のみストップをかけていますので、既得権保護と国民の目に映るのです。特措法などなくとも、労働基準法や道路交通法、道路運送法などを厳格に運用すればタクシーの適正化・活性化を成し遂げられます。
運賃についても、現在のような経済低成長の時期に値上げは出来ません。価格が安いのが全て良いということではなく、その時代時代に合った値段があるのです。東京では710円への値上げがありましたが利用者が減り続けているようです。価格は事業者が決めるものではなく、利用者がその「サービスの対価」として適正と思う価格が適正価格なのです。それはタクシーを取り巻く環境全体を考慮し、マイカーや他の公共交通機関、さらにはレジャーや外食などとの相対的な位置で決められるものと言っても過言ではありません。資本主義社会としては至極当たり前の価格決定のメカニズムが働かず、タクシー産業はこれまで保護行政の下で値上げを繰り返しては需要を減少させ続けて来たのです。
今回の新潟運賃カルテル問題がどのような帰結を迎えるかは分かりませんが、消費者の不信を呼び起こすこのような状況は長くは続かないものと考えます。

MK新聞 2011年(平成23年)3月1日発行 第772号 1面

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タクシー再規制について 第47回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(47)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 大畠章宏殿

福岡MK500円再申請に正式認可
司法尊重の九州運輸局の英断に感謝

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

仮の義務付け決定から半年
九州運輸局が正式に運賃認可

この度、九州運輸局は福岡MKの500円運賃の申請を平成23年1月14日付けで正式に認可しました。これまでの経緯として昨年2月、福岡MKの500円運賃の継続申請を認めず九州運輸局が570円への値上げ指導を行ったことに対し、福岡MKは即座に認可を求めて申立てを行いました。5月には福岡地裁が福岡MKの主張を全面的に認めて国(九州運輸局)の審査が裁量権を逸脱していたことを指摘し、仮の認可を認める「仮の義務付け決定」を下しました。国側は地裁の仮の義務付け決定の判断を不服とし福岡高裁に即時抗告を行っていましたが、高裁より棄却されています。福岡MKは直近の業績を反映させた審査結果であれば認可されるのではないかという司法判断に従い、再度500円運賃の申請を行い再び九州運輸局の審査を待つ状態でしたが、この再申請に対してこの度九州運輸局が認可したということです。
福岡地裁が示した判断を九州運輸局が尊重し福岡MKの再申請を認可されたものとして、そのご英断について敬意を表します。

道運法で利用者利便の精神は
今もなお生き続けている

福岡MK同様に名古屋MKも昨年7月に中部運輸局より値上げ指導を受け、名古屋MKは認可を求めて申立てを行い、名古屋地裁は11月に仮の義務付け決定を下しました。福岡と名古屋の両地裁が共に指摘するのは、平成21年に施行されたタクシー特措法により再規制が進んだものの、もともとのタクシーの法律である「道路運送法」の第1条にある、「輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図る」という法の目的は変わっておらず、平成14年の規制緩和時に法の目的として盛り込まれた「利用者利便の向上」という精神は生き続けている、そのため運賃の審査基準を満たす限りは、他社より安い運賃を制限しているわけではない、ということです。
つまり私たちタクシー事業者は道路運送法という法律のなかで事業を行っており、それを指導監督する運輸行政もまた道路運送法という法律に基づいて行っています。もしもルールに逸脱して事業を行えば当局の監査などによって行政処分を受けることになりますし、その反対としてルール(法律、さらに大局的な観点から憲法)に逸脱した行政指導を行えば、その指導は覆されることになります。行政の「裁量権の濫用」は裁判によってのみ正されるのみであり、この度の福岡MKと名古屋MKの事例はそのことを端的に表しています。

誰がための再規制か
適正な競争を禁止しては自浄せぬ

法治国家として法律に従うことはもちろんとして、憲法にある「職業選択の自由」「営業の自由」から、行政当局が規制を行う際には必要最小限に止めるべきという考え方があります。他人の権利が著しく阻害される場合を除いては、事業者が経営努力をしてサービスを充実させ利用者の支持を得て規模を拡大することは、資本主義社会であれば真っ当なことですが、タクシーにおける再規制推進の潮流はこの大原則を覆い隠そうとしているように感じられます。
平成21年タクシー特措法は、小泉構造改革が持つ新自由主義的な一面の行き過ぎ感からの揺れ戻しとしてある種の国民感情を受けて衆参全会一致で成立した法律ではありますが、この法律の目指すところに「安い運賃を認めずに値上げさせる」ことや「利用者に選ばれて走行するタクシーであっても最高乗務距離制限によって途中で仕事を終える」ことや「減車しない事業者には加重処分を課す」「利用者に望まれても増車出来ない」「新規参入による競争を否定」といった規制まで望まれていたのでしょうか。
競争力の無い事業者が淘汰されることはどのような産業でも同じですし、そこまでドライな見方をせずとも、タクシー事業においては乗車拒否や横暴な接客をする従業員への教育を放棄する会社や、労働法規を遵守しない違法状態の会社が半ば公然と存続しており、そのような例は東京や大阪の公的機関であるタクシーセンターや、労働基準監督署などは良く把握しています。そのような事業者に積極的に退場を促す方が適正化にも活性化にもつながると同時に利用者の信頼を取り戻すことが可能なのではないでしょうか。
にもかかわらず現実問題として、値上げする必要のない福岡MKや名古屋MKは値上げを指導され、半年以上かかりましたが司法判断によって運輸局の審査が裁量権の逸脱であると指摘されて、ようやく今の運賃を維持できるという状態です。
誰が望んだ再規制が、誰によって描かれた再規制になっているのでしょうか。利用者不在の再規制は望みません。

創業50年はMK飛躍の通過点
努力と苦労の先にお客様の支持がある

MKグループでは福岡MK、名古屋MK、札幌MKなどで運賃認可や司法判断による仮の認可の義務付けを得ましたが、今なお滋賀MKや神戸MKでは運賃審査が長期化しております。また最高乗務距離規制についても不合理なものであるとして同規制の公示取り消しを求めて全国的に争っています。
特措法は時限立法で平成24年までの3年間ですが、今後も厳しくなる規制のなかでMKグループとしてはこれまで以上に利用者に選ばれるタクシーとなるため、安全運転と挨拶励行で質の高い接客サービスを提供し続けるとともに、昨年京都と滋賀で開始した「TACPO」カードを順次全国のMKタクシーで水平展開するなどより一層の質の向上をはかり、来るべき拡大発展の時期に備えます。
おかげ様で一昨年の福岡、滋賀、札幌の3社の新規開業は先行投資の期間を過ぎ昨年は業績の向上に多いに寄与しました。まだまだ伸び代はありますが、地に足をつけた事業を行い着実に成長していきたいと考えます。そしてグループ全社とも良いものを作るには何事にも正面突破しかなく、努力を惜しまず苦労を乗り越えたところにお客様の評価があって、お客様の支持が発展の原動力になります。MK社員職員においては一致団結して創業50年から新しい第一歩を踏み出したいと考えます。

MK新聞 2011年(平成23年)2月1日発行 第771号 2面

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タクシー再規制について 第46回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(46)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 馬淵澄夫殿

名古屋MKの400円運賃に
認可の仮の義務付け決定出る

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

名古屋MKに対して中部運輸局より400円から430円への値上げ指導がなされた平成22年7月27日の翌日に申立を行いました400円運賃の認可を求める仮の義務付け申立につきまして、この度名古屋地裁は11月8日付で仮の義務付けを認める決定を下しました。本年5月に福岡MKが福岡地裁より同様に運賃継続の決定を下しており、MKグループとしては2件目となる仮の義務付けの決定、そして札幌MKの運輸局による正式な認可とあわせると3件目の運賃継続の事例になります(名古屋地裁の仮の義務付け決定文の要旨を下に別掲します)。
値上げ指導の直後より、「値上げせずに頑張れ」といった励ましの声を多数の方々からいただき、値上げ反対を訴える署名活動も6万名を超える方々に短期間の内にご協力いただきました。名古屋MKは営業開始から7年目になりますが、市民の皆様に受け入れていただいたのだと、有難く感じております。
おかげさまで名古屋MKは昨年より76名から212名へと約136名の新規雇用を拡大し、また車両も増やしました。そのことによって、経験の浅い者の割合が増え、1人当たりの売上が落ち込み、単年度でみると業績が非常に下がりました。しかしそれもいわば先行投資であって、年明けより業績は回復し、おかげさまで本年度は順調な業績を推移しております。
本年7月GPS無線配車システムを導入し、受注業務の効率化のためグループ本部がある京都MKのコールセンターへ統合も行ったところ、受注件数は1日あたり572件から1635件へと280%に増加し、いっとき43.5%へと落ち込んだ予約率は72.4%に達しました。新入社員が社歴を積んだことと合わせて、実車率は向上し、1人当たり売上も向上しました。
この度の決定では、多くの新入社員が社歴を積むことによって業績が回復するという私どもの収支予測に合理性があると認めていただいたのです。

MK認めた判断をきっかけに
一層の規制強化が進む懸念が

再規制のきっかけなった「タクシー特措法」によって、中部運輸局は安い運賃を認めることが公共の福祉に反すると主張します。しかし名古屋地裁は、「タクシー特措法があるものの、もともとのタクシーの法律である『道路運送法』の第1条にある、『輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図る』、という法の目的は変わっておらず、平成14年の規制緩和時に法の目的として盛り込まれた『利用者利便の向上』という精神は生き続けている、そのため運賃の審査基準を満たす限りは、他社より安い運賃を制限しているわけではない」と判断しました。
この「利用者利便の向上」という法の目的が変わっていないという点がまさに重要です。と同時に、私たちの思いとは逆に、タクシー業界による実質的な同一地域同一運賃の復活を望む声を受けて、もともとの法律である道路運送法を改正し、規制緩和前のように「利用者利便の向上」という法の目的を消してしまおう、ということにならないよう、立法に携わる方にはお願いしたいと考えます。また司法におかれましても、「利用者利便の向上」がこの先も守られるように見守っていただきたいことをお願い致します。

企業努力で選ばれる存在に
ビジネスモデルの違いを見て

私たちは、運輸行政の「タクシーは選べないものである」という前提条件に同意できません。「運賃が安いと客単価が減る、客単価が減るからドライバーは減収分を取り返すために長時間労働する、長時間労働すれば安全性が阻害される。会社としては売上が減って収益が減らないように安全にかけるコストを削減する、だから安い運賃のタクシーはけしからん」というのが運輸局の考えです。
ところがMKタクシーであれば、運賃が安いことももちろんありますが、徹底した社員教育で質の高い接客サービス、行き届いた清掃で快適な車両、専用のりば、コールセンターの充実など様々なサービスを提供することによって、お客様から選ばれ、多くのお客様にご乗車いただきます。言い換えれば実車率を高めて、単価ではなく総売上で考えており、結果として他社より高い売上、ドライバーの高い所得を実現しています。「安い」=「安全性を脅かすドライバーや会社」ということには当たりません。
今回「選ばれるタクシー」であることを示す様々なデータや資料を説明してきましたが、中部運輸局は「タクシーは選べないもの」として、取り合うことはありませんでした。
裁判では神戸大学副学長で交通経済の専門家である正司健一教授の意見書を出しましたが、正司先生は、「MKタクシーのビジネスモデルは、他のタクシー会社のビジネスモデルとは異なるため、自ずと審査のあり方も変わってくるべきである」と指摘されています。
私は「タクシーは選べないもの」という運輸行政の姿勢こそが、護送船団方式による旧態依然とした今のタクシーを生み出したと考えます。何をやっても、何をやらなくても、結果が同じであればこれほど楽な経営はありません。このままではタクシーはいつまでたっても信頼されない存在でしかありません。

「選ばれる」タクシーを
「選ばれなく」する規制

タクシー特措法をきっかけに再規制が進んでいますが、言い換えれば「選ばれるタクシー」を無くしていく規制であり、この運賃裁判の背景事情とも重なりますので、簡単に説明いたします。
@運賃審査基準
「タクシー特措法」の付帯決議として「タクシーの安全を確保するための適切な運賃水準が確保されるよう、自動認可運賃の幅を縮小するとともに、下限割れ運賃の審査を厳格化する措置を講じること」が決議されました。このため運賃審査が厳しくなり、名古屋MKに運賃値上げ指導がなされました。
仮の義務付け申立の時陳述書で述べたように、中部運輸局は名古屋MKの運賃に対して却下ありきの結論をもって審査に臨んだのではないでしょうか。現状の名古屋MKの好調な実績はもとより、この度の決定において中部運輸局のとった審査方法が不適切であると指摘し、私どもの収支予測が合理的であると認めたことからも、「却下ありき」が伺えます。
A減車
これまで「届出制」で自由に増車できたものが、「認可制」になりました。各運輸局が定める認可基準のハードルが高まり事実上増車も新規参入も不可能といわれています。
また運輸行政は減車をおしすすめており、減車に応じない事業者にはヒアリングや監査を行うという圧力をかけています。
MKタクシーは、お客様からもっと台数を増やしてほしいと言われますが、この規制によって増やすことは出来ません。それどころか減車を迫られています。
B最高乗務距離規制
1日に走行できる限度距離の規制が設けられました。営業スタイルの違いを考慮せずに定められおり、MKタクシーのように駅待ち営業を行わず、無線営業など予約を多数いただくことによって、必然的に走行距離が伸びるタクシーにとっては、著しく営業を阻害されています。
先に述べたとおり、安いタクシーは走行距離が伸びて危険、という考えに基づく規制であり、規制する理由の合理性に欠け、営業の自由を侵害するものとして、別途訴訟を提起しています。
C加重処分と監査免除
増車をしたり安い運賃の事業者には、行政監査が普通より多く行われます。そして減車を行わない事業者には、監査で違反があった場合に、処分の重さが3.5倍の車両停止日数になる加重処分が行われます。逆に減車した事業には監査を免除します。本来、法令遵守や安全性をチェックするために行われている監査を免除するということは、「何か問題があっても減車すればよいだけ」という事業者のモラル低下をもたらすのではないでしょうか。
D選ばれるタクシーを無くす
以上のように「タクシーは選べないもの」と考えるどころか、規制によって「選ばれるタクシー」を「選ばれないタクシー」にしてしまうのがこの度の規制です。お客様に選ばれる企業努力をなぜ否定するのでしょうか。「利用者利便の向上」の精神をこれ以上ないがしろにすることは許されません。

普通に商売をしたい
お客様との接点は委ねて

この度の決定では、1年間の運賃認可をいただきました。現在の行政による安い運賃の認可期限は原則として1年更新になっていますので、実質的に運輸局に代わって裁判所が認可していただいたとものと考えております。
京都で生まれたMKは本年10月26日に50周年を迎えましたが、企業理念には「お客様第一主義」「タクシー乗務員の社会的地位向上」を掲げて、まずはドライバーの住環境の整備と所得の向上を果たし、挨拶運動や身体障害者優先乗車に取り組み、乗車拒否を根絶してきました。このMKの歴史は商売という前に人間として当たり前の道徳として、お客様に「ありがとうございます」という挨拶をする、お年寄りや身体の不自由な方に親切にすることなどを徹底しただけです。
そしてまた、今は「普通に商売をさせてほしい」と考えています。労働時間超過や最低賃金問題、違法駐停車、交通事故などの、法令遵守や安全性などお客様の命を預かるタクシー事業として屋台骨となる部分については行政監査など厳しくしていただくことは構いません。しかしながら車両台数や運賃のことなどお客様との接点については経営者の判断を尊重してほしいのです。
運賃認可の審査基準として行政が数値目標として打ち出す「適正な利益」や「適正な運転手の所得」とは一体何でしょうか。それらはすべて結果論として事業を遂行するなかで導き出されるべき数値であり、いかに利用者に選んでいただくか、という視点が第一にあるのです。再規制を推し進める人々が「安い運賃が他社タクシーのお客様を奪う」という言い方をしますが、成熟した資本主義国家である日本では、弱肉強食ではなく、その時代にあった適正な価格で良いサービスや良いものを作る企業努力の結果として、たまたまお客様に選んでいただいたということです。安さだけでは選ばれ続けることはできません。ユビキタス交通ネットワークといいますが、「いつでも、どこでも、誰でもが、安くて便利で快適に自由にご利用いただける交通体系」にはタクシーは欠かせません。しかしながらオイルショック以降、マイカーを中心に世の中のモータリゼーションは発達したことで、30〜40年スパンで考えれば、タクシーの利用者が減少していることは周知の事実です。そのような中で、運賃を値上げするということはお客様を離反させることであり、経営者としてやるべきことはその反対のこと、つまり料金を高くしてお客様を減らすのではなく、適正な価格でサービスを提供することです。私どもも未来永劫何が何でも安い運賃が良いということではありません。ただ現在の経済環境とお客様を見て判断すれば、今はこの値段でなければならないと考えています。
商売人である以上はお客様から離れてはいけません。タクシー事業を行うための法律は道路運送法ですが、商売を行うための法律はお客様です。最後の拠り所はお客様に選んでいただけるか、という判断だと考えています。利用者である国民やお客様を無視して、自分達の勝手で値上げをしたり、値上げをさせたりするような業界であればもたないでしょう。タクシーの利用者、そこで働く従業員、そして会社、これら全てが喜ぶ「三方よし」を踏み外せばどのようなことになるかは明白です。

敬具
名古屋地裁 仮の義務付け決定文の要旨
・平年度の運送収入を算定するために、運輸局が査定に使用した過去5年の実績を基礎資料とすることは、平成21年に車両数、社員数が倍増した名古屋MKにおいて「不適切である」。
・社歴を積むにつれて売上があがるとする名古屋MKの平年度の運送収入の予測方法は、「将来の収支の予測方法としては、相応の合理性を持つものと認められる」
・名古屋MKの申請における「実車率及び収支率の実績値は、計算書の数値にほぼ等しいものであると認められる」「全体の営業効率性を示す実車率(総走行`のうち実車`の占める割合)及び収支のバランスを示す収支率(費用に対する収益の割合)についての計算書の予測はおおむね正しかったことになるのであり」「全体として見れば、将来の収支について合理的な予測をしていたと認めるのが相当である」
・「実働率は、申請者の保有車両の活用の度合いを示す指標にすぎず」、認可基準の判断は収支率によるもので、重要となるのは実車率である。
・特措法の制定後も道路運送法第1条の趣旨は変わっておらず、運賃認可基準を満たす限りは、他社より安い運賃の設定を制限しているわけではない。
・この運賃で「名古屋交通圏のタクシー事業者の間で不当な競争や混乱が引き起こされていることをうかがわせる証拠はない」。この運賃の仮の義務付けで「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあると認めることはできない」

MK新聞 2010年(平成22年)12月1日発行 第769号 1面

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タクシー再規制について 第45回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(45)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 馬淵澄夫殿

創業50周年に感謝しMKは
これからもタクシー改革に挑みます

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

平成22年10月26日にエムケイ株式会社は創業50周年を迎えました。これもひとえに弊社をご利用いただくお客様、市民の皆さまと、暦年に渡りいかにして利用者に信頼され評価されるタクシーになるべきかご指導ご鞭撻を賜りました監督官庁である国土交通省の御蔭でございます。この場をお借りいたしまして改めて心より感謝申し上げます。
今から50年前の昭和35年10月26日、創業者である青木定雄がMKの前身となるミナミタクシーをわずか10台で創業してから50年で全国8都市、約2000台へと成長を遂げ、各都市でお客様より高い評価をいただいております。

50周年にふさわしい
新サービス「TACPO」

この50周年を記念して、MKタクシーでは平成22年11月1日より長らくご要望を頂戴しておりましたポイントカード「TACPO(タクポ)」のサービスを開始します。京都・滋賀のMKタクシー、MKボウル、MK石油などMKグループの各施設にてご利用可能で、将来的には全国のMKタクシーに拡大する予定です。
このカードはご利用金額に応じてポイントが貯まるだけでなく、プリペイドカードとしての機能も備え、入金時もボーナスポイントがつく大変お得なカードです。11月1日から5日まではタクシー運賃の50%分を還元する大キャンペーンを実施します。

京都MKが最高の手本に
お客様の期待に応えて

創業50年を迎えた京都MKの質の高いサービスに、全国のお客様がご期待されています。京都MKが最高のサービスを提供すれば、他の全国7都市のMKタクシーの評価も高まります。京都MKが最高のお手本を示さなければなりません。
お客様がMKタクシーを選んでくださるのは決して運賃が安いからだけではありません。安全で、快適なタクシーだからこそお客様から選ばれるのです。だからこそ私たちは、お客様の期待を裏切ることのないよう、グループ一丸となって日々努力しなくてはなりません。MKタクシーの責務は、24時間365日、市民の皆様の足を守ることであり、社会に貢献することです。「今日もMKタクシーに乗ったおかげで朝から爽やかな気持ちになった」と、お客様から言っていただけるよう、MK社員は誠心誠意まごころの営業をお願いいたします。

歴史と伝統の積み重ね
企業理念の引継ぎを

さて、MK社員職員一同は、50年というMKの歴史の重みを一人一人理解しなければなりません。かく言う私自身、開業4ヵ月後の昭和36年2月生まれで来年50歳になります。幼少時より父の働く姿を見て育ち、グループ会社を経て27年前にMKに入社しましたので、MK50年の歴史の全てを理解しているとは言えません。
歴史という過去を変えることはできませんが、歴史の積み重ねが伝統あるMKブランドを創ったのです。この先、時代に応じて企業の理念や目的そして夢が変われば、その新たな道筋を辿った歴史の積み重ねによって新しい伝統が生まれ、新しいMKブランドが生まれます。そこには変えてはいけない根本の精神もあり、変えていかなければならないものもあります。これまでのMKの伝統を重んじながら、次の100年に向かってどのような伝統を創るか、なのです。現在のドライバーも役員幹部職員も次の100年を迎える時には誰もいません。今後、私どもが次の世代に私どもの理念をいかにして引き継ぐかが問われているのです。
生物には個体としての死滅がありますが、子孫を残すことで種として受け継がれるものがあります。それと同様に企業や組織は、構成員が変われども永続できるものです。にもかかわらずしばしば企業は30年で淘汰される、50年で潰れるとよく言われます。それでも京都には何百年も続く老舗、半世紀以上の歴史を持つ企業はたくさんあります。企業や組織の永続のために必要なものは、「メンテナンス」と「理念を具現化する行動力」です。
メンテナンスとは、ゆるぎない企業理念の構築と、同じ理念を共有し常に外部と内部の双方に対して訴えること。個々人に対するたゆみない教育と自己啓発の機会により軌道修正することです。
個が集まって組織は成り立ちます。MKは一人一人のドライバーの質の高いサービスが集まってMKブランドになっています。誰か一人だけスーパープレイヤーがいたところでMKブランドは高まりません。
質の高さとは、一人一人の個人が考えて行動することであり、MKにおいては挨拶をする、笑顔で接客する、安全運転でお供する、事務職であればミスをなくす、全員が車両もトイレも机周りも本社や営業所をきれいに清掃する、MKの企業理念は当たり前とも言える人間としての道徳です。このように当たり前のことを徹底して行うことが、理念を具現化する行動力と言えるのではないでしょうか。

非常識なことは続かない
お客様が判断の拠り所

ところで本年は記念すべき年ではありますが、タクシー業界においてMKがおかれている状況は厳しいものとなっています。「安い運賃の排除」「1日の走行距離の制限」「減車しない事業者への加重処分」など、お客様に信頼されてきた「選ばれるタクシー」が走れなくなるという矛盾した状況が進行しています。全国で100万人以上の方々に署名活動にご協力いただきましたが、依然として運輸行政は業界団体、労働組合と三位一体となって再規制による「選ばれないタクシー」作りに邁(まい)進しています。しかし、私どもはこれまでと変わらず安全・安心・快適かつご利用いただきやすい運賃のタクシーを提供し続け、さらに「選ばれるに値する」質の高いサービスをご提供できるよう、社員一同一層気を引き締め努力してまいります。
「選ばれないタクシーになりなさい」と国はタクシー政策を進めていますが、率直に言えば、非常識なことはいつまでも続きません。タクシーが崩壊する前に必ずや利用者である国民が気付くことでしょう。
立法により法律ができ、行政により法律が運用され、司法により運用の正否に判断がなされます。司法が判断の最後の拠り所ではありますが、それ以前に商売の司法はお客様であり、企業活動を行うにあたって判断の主体となるべき拠り所はお客様です。業界や事業者の理論を優先させ、利用者をないがしろにするようなことや、お客様に迷惑かける仕組みは長続きません。運賃を強制的に値上げさせ、利用者に支持されるタクシーを減車させ、企業努力を否定することが今後も続くのであれば、タクシー産業は衰退します。

精神文化を共有する企業
同じ志を持つ企業は強い

京都MKをはじめ、東京MK、大阪MK、神戸MKの頑張りが土壌となって、札幌MK、福岡MK、滋賀MK、名古屋MKの順調な業績となって花開いています。入社1日目の社員も50年の社員も同じ志を持つ企業は強いものです。MK社員におきましてはこれからも自信を持って当たり前のことを実践してください。
「TACPO」サービスはご利用のきっかけとなる表面的なサービスであり、MKタクシーにご乗車いただいたお客様が私どものサービスに感動してリピーターとなっていただくことが肝心です。そのような精神文化を共有できる企業をつくっていきたいと考えていますので、お客様におかれましては、今後ともご理解ご支援を賜りますよう宜しくお願いいたします。

敬具

MK新聞 2010年(平成22年)11月1日発行 第768号 1面

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タクシー再規制について 第44回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(44)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 馬淵澄夫殿

規制は運賃値上げしか生み出さず
適正収益による利用者還元を阻む

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

馬淵大臣におかれましては平素より運輸行政にご尽力賜りまして誠にありがとうございます。またこの度は、陸海空問わず様々な課題が山積するなか国土交通大臣として、国民の安全と生活を守るため日夜奮闘されることと存じます。
さて、馬淵大臣におかれましては「タクシー」における諸問題についてこれまでも深く取組んでこられたかと存じますが、改めて私どもMKグループの考えを申し上げます。

本年50周年、MKの歴史は
お客様、社員、会社の3つの和

MKグループの中核となるエムケイ株式会社は昭和35年にわずか10台のタクシーで創業し、その後も増車を重ねるとともに規制緩和を機に全国8都市で展開、現在では約2000台の規模にまで拡大しました。その拡大発展の基礎にあるのは「ドライバー教育の継続」と、「お客様の圧倒的なご評価」でした。
創業当初、勤怠不良の原因は住環境の劣悪さであることに気付き、創業の翌年には社員寮を建設、その後も持ち家率を高めた結果、事故や遅刻欠勤は激減しました。ドライバーの住環境の改善が収益に繋がることを実感し、次いで挨拶や丁寧な接客などサービス教育によって選ばれるタクシーを目指し、売上を高めると同時に高所得となる給与体系を導入しました。売り手市場で乗車拒否が横行する時代のなか、MKは昭和47年に「タクシーを市民に返す運動」を展開し、乗車拒否の根絶や全国の公共交通機関に先駆けて身体障害者優先乗車を実施しました。
こういった取組が市民の間に「MKタクシーは親切だ」と広まって、お客様が選んでお乗りいただくことで売上が高まり、ドライバーは高収入を得て、会社も利益を生み出してさらなる教育投資を行う、このような良い循環が起こりました。お客様への挨拶を実行するMKタクシーに他社タクシーからの誹謗中傷が続きましたが、MKはその姿勢を崩すことなくお客様第一主義のサービスを貫き通して来ました。

全国初の運賃値下げ
行政と同業者との闘いの歴史

一方で昭和50年代、ほぼ2年おきにタクシー運賃値上げがなされると、タクシーの実車率は低下し続けます。MKは「値上げが利用者離れを起こし、かえって売上を低下させる」と主張、ただ1社値上げ反対を表明しました。行政、同業者などから四面楚歌の状況にあり一時は値上げに同調しますが、その結果予想通り売上は値上げ前に比べて低下したためMKは全国初のタクシー運賃値下げを申請します。同一地域同一運賃を理由に大阪陸運局(当時)に却下されると、値下げ申請却下は不当と提訴、昭和60年大阪地裁は「同一地域同一運賃は独占禁止法違反の疑い」とMK全面勝訴の判決を下しました。
その後運輸省と和解しますが、その和解条項には「国は、MKがタクシー事業の活性化及びこれによる利用者の利便向上に対し果たしてきた役割を評価する」と記載されました。
この運賃値下げ裁判がきっかけとなり運輸行政は規制緩和へと方向を転じ、平成5年、細川内閣の規制緩和第一号として運賃値下げ申請が認可され、全国初の値下げタクシーが誕生しました。その後、段階的規制緩和を経て東京MK、大阪MKを設立、平成14年の改正道路運送法施行による自由化によって神戸MK、名古屋MK、平成21年には福岡MK、滋賀MK、札幌MKを開業しました。
いずれの地域においても創業の精神のままに、安心親切な接客サービスと清潔で快適な車両、ご利用いただきやすい低運賃によってお客様から高いご評価をいただいており、新規開業の各社も開業1年で収益が安定してきました。

特措法による再規制で
利用者に負担を強いるのか

ところが、長引く景気の低迷と相まってタクシー業界は業界保護のため再規制を陳情し、全会一致で成立したタクシー特措法が平成21年10月に施行されると、自由化後わずか7年でタクシーは再規制となりました。増車や新規参入は実質的に制限され、1日に走行できる最高限度が設けられ、安い運賃の継続更新はほぼ認めない、減車をしない事業者には監査での処罰を強化する、このような厳しい規制は「利用者視点」を欠いた規制であると言わざるを得ません。
昨年2月に福岡MKが初乗500円運賃を初乗570円へ70円の値上げを九州運輸局より指導されると、その是非を巡って司法判断を仰ぎ、本年5月には運輸局の査定は「裁量権の逸脱」として、全国初のタクシー運賃の仮の認可を認める「仮の義務付け」の決定が下されました。新規開業会社は会社の知名度の浸透や、新規採用のドライバーが経験を積むにつれて売上が高まることにより、開業時は赤字ですが、一定の時期が経過すれば収益は改善します。それは各社の実績が示しています。
この画期的な司法判断(国側は抗告しますが、福岡高裁によって抗告棄却される)の後も各地方運輸局の対応は分かれ、札幌MKの初乗550円運賃は北海道運輸局により正式認可を得ましたが、名古屋MKの初乗400円運賃は中部運輸局により初乗430円への30円への値上げを指導されました。私どもは必要のない運賃値上げは行わないと、再び司法判断を仰いでいます。

最高乗務距離規制により
運賃値上げに追い込む

お客様から選ばれている指標となる無線配車や専用のりばからのご乗車である「予約率」も一般的な政令都市のタクシーが約23%(国土交通省/平成18年度)であるのに比べ、MKグループは50%〜90%以上あります。一般的な駅待ち営業や流し営業主体の営業スタイルとは異なり、MKはお客様のご予約を中心とした営業効率の高いビジネスモデルを構築しています。
ところが、最高乗務距離規制によって1日に走行できる距離が制限されると、所定の労働時間の中であっても距離が超えそうになると途中で乗車拒否をしてでも営業所に帰庫しなければなりません。輸送の安全性の確保のためには従前より労働時間による規制がありますが、他の交通機関にはなくタクシーにだけ走行距離で二重規制を行うことは、利用者に迷惑をかけるだけでなく、労働者の働く権利すら奪うものであり断じて許されるものではありません。しかも近畿運輸局は高速道路の走行した分も一定距離をこの走行距離に含むなど、合理的な説明も無く全国でも突出して厳しい規制をかけています。
このままではお客様に選ばれて走行距離が伸びるタクシーは仕事が出来なくなり、ドライバーの売上や会社の収益が減少するか、やむを得ず運賃値上げをして「選ばれなくなる」かの選択を強いられます。大阪に「ワンコインタクシー」事業者が多いことから考えると、最高乗務距離規制は運賃値上げによる同一地域同一運賃の実質的な復活を目的としていると考えざるを得ません。

選ばれるタクシーを苦しめ
何故国は利用者を困らせるか

馬淵大臣におかれましては、タクシーで行われている「利用者視点」を無視した規制の実態についてご理解いただきますようお願い致します。ドアトゥドアで移動できるタクシーは最も身近な公共交通機関であり、お年寄りや身体の不自由な方などどうしてもタクシーを使わなければならないという立場の方も数多く使われています。そのような方々はわずか10円、20円の差であっても生活に大きな影響を受けるのです。徹底したドライバー教育、無線配車設備や専用のりば開設など、タクシー事業への積極的な投資を行うなど企業努力によって獲得した顧客の信頼や社会的な企業評価をこの度の再規制は否定するものです。企業間の健全な競争を禁止した時にどのような事態が起こりうるか、これまでのタクシーの歴史が物語っています。
収益をあげれば従業員に還元することも出来ますし、さらには利用者にも還元することが出来ます。特措法による規制はこのような「当たり前の企業の社会的責任を果たす義務と権利」を奪うものであり、将来的には国民生活の負担増とタクシーのさらなる衰退を招くものです。
馬淵大臣におかれましては賢明なる判断をなされますよう何卒宜しくお願い致します。

敬具

MK新聞 2010年(平成22年)10月1日発行 第767号 1面

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タクシー再規制について 第43回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(43)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

国家の緊急課題「雇用問題」に
タクシー行政は逆行している

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

特措法施行から間もなく1年
本当に適正化・活性化されるか

2009年10月1日に「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」(タクシー特措法)が施行され、間もなく1年が経過します。この特措法により、国から供給過剰と指定された地域においては「地域協議会」が設立され、地域におけるタクシーの適正化に関する取組の決定、事業者に対する減車や休車の要請が行われました。
また増車は認可制となり、実質的に新規参入や増車が制限され、日勤者への最高乗務距離規制の導入や、自動認可運賃を下回る運賃(下限割れ運賃)の審査の厳格化、減車を行わない事業者への監査強化と罰則強化がなされるなど、2002年の規制緩和からわずか7年で再規制されただけでなく、単なる再規制以上に事業者の創意工夫とそれによる適正な事業者間の競争をも制限する「逆行」と言わざるを得ない状況となりました。
私はこれまでMK新聞紙上において、今般の再規制による「適正な競争の制限」は行政の失策と、事業者の怠慢のツケを消費者である国民に押し付けるものであり、ゆくゆくは事業者のモラルハザードを引き起こすものとして指摘してまいりましたが、その再規制の抱える矛盾が昨今噴出してくるようになりました。

政府の緊急課題は雇用政策
国交省はそれに反する行政指導

政府は本年6月に国家ビジョンとして「新成長戦略」を発表し、「安心して働き、能力を発揮する『雇用』の場が与えられることによって、所得を得て消費を拡大することが可能となる」として、「雇用が内需拡大と成長力を支える」ことを強調し雇用政策が政府として取り組むべき緊急の課題であることを明らかにしました。
2020年度までに、環境分野や医療介護分野を始めとして約500万人の新規雇用創出を目標とし、依然として続く5%超の完全失業率と300万人を超える完全失業者数の受け皿となるよう大胆な数字を掲げています。進学も就職もしなかった今春の大学卒業者数も約9万人と年々その数を増やしています。
全国民の注目が集まった民主党代表選においても菅氏、小沢氏ともに雇用問題が最重要課題であるということは報道を通じて私たちもよく知るところです(注:本稿作成時は代表選の結果は出ていません)。
ところが、国が雇用問題を最も重視している状況の中、本年7月に減車を理由にした雇い止めは不当だとして、札幌の中堅タクシー会社の元乗務員3人が解雇無効を求めて札幌地裁に提訴した事案の新聞報道がなされました。「元乗務員側は『タクシー適正化・活性化法に基づく指針は、減車によって乗務員に不利益な扱いをすることを禁じている』と主張。会社側は『人員削減には合理性がある』と請求棄却を求めた」とあります。
国土交通省は政府の雇用問題に関する認識とまったく相反する状況を引き起こしています。MKグループでは規制緩和前の2000年に発表したMKグループ10万人雇用創造計画、リーマンショック直後の2008年の1万人緊急雇用計画などにあるように、積極的な採用を行ってきましたが、特措法により制限されました。

一律減車は雇用を脅かし
選ばれるタクシーはなくなる

前述の札幌のような雇い止め事案は、行政当局が減車指導を推し進めれば、いずれ発生することが予期されたことです。車両数に対して乗務員数が少ない会社であれば遊休車両を減車すれば事足ります。私どもは、規制緩和後に全国で数多く増車されたが、乗務員数は減少し実際に市場を走るタクシー車両(実働率)は減少している、ということを指摘しました。しかしながら例えばMKグループのように1車2人制を基本に効率的に車両を稼働させている事業者にとっては、一律に減車を強いられることは社員の雇用問題に直結しているのです。
減車指導と並行して最高乗務距離規制や低運賃審査の厳格化もまた社員の生活を脅かすものとなります。通常の労働時間内であっても定められた距離を超えないように乗車拒否をしてでも営業所に帰庫しなければなりません。MKグループにおいては一般的なタクシーとは異なり、駅待ち営業や辻待ち営業を行わず、予約率50%を超えるGPS無線配車やMKタクシー専用のりばからのご利用が多いため、高い実車率となって必然的に走行距離が伸びます。それでも限度内の走行距離に収めるために、お客様に「選ばれない」ように運賃を値上げし、コールセンターへの電話注文も制限し、接客サービスレベルの水準を低下させるべきであると行政当局は言うのでしょうか。
また低運賃審査の厳格化についても、却下処分という結論ありきの行政の姿勢が見えます。福岡MKはすでに初乗500円から570円への値上げ指導を不服とする訴訟を提起し、福岡地裁には九州運輸局の却下処分は裁量権の逸脱として、運賃認可の仮の義務付けの決定を下していただきました。名古屋MKに対しても中部運輸局は初乗400円から430円への値上げを指導し、福岡MKと同様に司法判断を待つ状況です。

消費者不在のタクシー行政
都市交通改革で雇用創出を

タクシー特措法は、供給過剰によって疲弊したタクシー事業の適正化と活性化を目指すものとされていますが、そこには利用者の視点が全くなく、本来であれば市場から退場を促されるべき事業者を保護し、一方で利用者に支持されるタクシー事業者の競争力を奪うものです。そして国交省が目指すものは同一地域・同一運賃の復活とも言えるでしょう。
しかしながら、このような減車政策が需給バランスの調整に効果をもたらすかは疑問が残ります。MKグループでは昨年「地球温暖化防止に対する都市交通改革の提言(自家用車のみに頼らない社会つくりに貢献する)」を提言し、バスとタクシーの有機的結合などにより移送ニーズの拡大(=雇用拡大)は可能であり、また環境問題の改善にも貢献することができることを訴えましたが、これは「新成長戦略」における雇用政策にもタクシーの活性化にも通じることです。
大臣におかれましては、国土交通省が推し進めるタクシー特措法と国の雇用政策が正反対になっていることを認識いただき、利用者不在のタクシー特措法を見直しいただけま すよう何卒宜しくお願いいたします。

MK新聞 2010年(平成22年)9月16日発行 第766号 1面

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タクシー再規制について 第42回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(42)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

中部運輸局が認可期限の延伸認める
400円運賃は司法の場で判断へ

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

名古屋MKの初乗400円運賃に対して、去る7月27日付で中部運輸局より初乗430円への値上げ指導が行われました。8月10日までに430円以上への値上げを行わない場合は、現行の400円の運賃継続申請は却下され、無認可運賃状態となり事実上営業が出来なくなります。弊社としては必要のない値上げは到底受け入れられないため、値上げ指導があった翌日7月28日に名古屋地裁に運賃認可を求める提訴を行い、合わせて、正式な判決が出るまでの間、運賃認可期限を超えても400円運賃が継続できるよう運賃継続を仮に認可していただく「仮の義務付け」申立を行いました。

9月10日までの運賃延伸
400円での営業は継続

値上げに応じることの出来る期限である8月10日の前日、裁判の進行に合わせる形で、中部運輸局より現行400円運賃の継続をまずは9月10日まで認める延伸通知が出されました。これにより運賃認可の仮の義務付けの司法判断が出されるまでは現行400円運賃で営業を続けられる見込みが大きくなりました。
本年5月、同様に値上げ指導を受けたグループ会社の福岡MKは、福岡地裁よりタクシー運賃認可について全国で初めてとなる仮の義務付けの決定をいただきました。国側は即時抗告しましたが、福岡高裁は地裁の判断を支持し、7月には抗告棄却の決定が出ました。国側の却下処分と認可をしないことは裁量権の濫用と司法の判断がなされたのです。

値上げに反対する名古屋市民の声
タクシーの日パレードにも反響

名古屋MKでは、値上げ指導があった日より直ちにタクシーのリアウインドウに値上げ反対を訴えるステッカーを掲出し、ご乗車いただいたお客様を中心に値上げ反対を主旨とする署名活動にご協力をお願いしました。署名には多数の方が快くご協力いただき、8月24日現在で6万1,530名の署名が集まり、関心の高さを示しています。
ドライバーが直接お客様の声を聞き取ったところ、「値上げには反対」「なぜ行政が無理に値上げさせるのか分からない」「値上げになると通院に困る」といった声をいただきました。

お客様の声(一部)
・ MKさん、値上げをしないでください。ニュースで見たけど国が値上げ指導することは間違ってるよ。
・ 値段だけでMKを選んではいないが値上げには反対、サービスの悪い他社には乗りたくない。
・ 国の考えが理解できない。MK頑張れ、応援しますよ。
・ 近くだけど毎日乗ってるので安くて安心して乗れるタクシーはMK以外ないと思う。だからなくならないでほしい。
・ 週一の通院ですが距離もあるので少しでも安い交通費と思いMKさん頼りにしています。足が悪く駅が利用できないため、当局は弱者をこそ助けて欲しい。
・ 会社組織として採算が健全であるのに行政が値上げ勧告するのは理由が解らない。他の会社も値段を下げて競争してもらえれば利用者は助かる。本来自由競争であるべき。
・ 企業努力をしない会社を助けるためにMKに値上げをさせるのは国交省はタクシー業界に甘い。

また8月5日は、大正元年同日に日本で初めてメーターをつけたタクシーが走ったことを記念した「タクシーの日」とされ、全国各地でタクシーのPRがなされます。MKグループでは毎年、京都において社員とその家族を中心にパレード行進を行っています。本年は値上げ反対を市民へ訴えることも兼ねて、初めて名古屋でもパレード行進を行いました。
パレード行進を行いながら、通行人の方々に値上げ反対署名への協力をお願いしたところ、多くの方に応じていただきました。

却下ありきの不合理な審査方法
値上げを必要とする理由は全くない

名古屋MKが400円運賃を継続すれば収支を償わない(赤字になる)というのが値上げ指導の理由ですが、その査定方法をみると福岡MKの例と同様に、安い運賃を排除するがために実態を全く無視した査定を行っています。
まず第一に、名古屋MKは平成22年4月度より大きく収益を上げ続けており、赤字化する心配は全くないということです。平成21年度は車両数と従業員数を倍増したために、いわば先行投資的な赤字でしたが、新入社員の売上も高まり同年下半期からは業績回復に向かっていました。再三説明していたにも関わらず、査定においては最近の実績は無視されたのです。
第二に査定の売上と費用の関係ですが、中部運輸局は、売上は過去数年間の実績を参考に低く見積もり、費用(特に人件費)は当社が申請値として使った平成23年度の今以上に増員したときの費用を採用しており、明らかに不合理なことをしています。
第三に、MKグループは接客サービス教育を徹底するために原則タクシー未経験者を採用するため、入社後1年間程度は社歴を積むにつれて売上が向上します。経験上明らかな部分を試算方法として採用し、当局にも再三説明しましたが全く採用されていませんでした。

中部運輸局は無料タクシーの時も
司法判断を無視した

平成13年、弊社が名古屋において約40日間「無料タクシー」を実施しようと道路運送法に基づいて「無料旅客自動車運送事業」の届出を行った際に、中部運輸局は法の規定を無視して届出の受理を拒否しました。名古屋地裁によって不受理処分の違法性を指摘されたにも関わらず、次はナンバープレート発行を拒否し、2度目の裁判でもプレート発行拒否は違法だという判断が下されたことがあります。
このように、中部運輸局の意的な裁量行政の姿勢には疑問を持たざるを得ないところがあり、名古屋MKとしましては、これからもお客様が安心して使いやすいタクシーを貫くために様々な努力をしてまいります。

平成22年7月30日
名古屋地方裁判所 御中
名古屋MK株式会社
鶴田 浩
上申書
 私は平成22年3月4日に入社いたしました。入社5ヵ月の新入社員でございます。今月の給与は約30万円です。今月よりGPSが導入されて売上も伸びています。現在私は妻と2人暮らしです。娘2人とも結婚して家庭を築いています。今年始めに医療関連の会社を退職いたしまして、50歳にしてMKに入社いたしました。第一印象はとても厳しく規律正しい会社だと感じました。タクシーに乗務することになって色々な人と出会うことができました。
 今回の料金値上げの指導について、毎日会社に出社される身障者の女性の姿が浮かびます。400円の区間で身障者割引1割で360円です。会社の正面玄関までだと50円上がるので少し手前で降車されて30mほどの距離を足を引きずり杖を突いて出社されています。毎日のことですから30円の値上げはかなり負担になると話されていました。「バスではステップを降りることができないし、MKさんだけが頼りなんですよ。やっぱり値上がりするんでしょうか・・・」「MKさんと出会うまでは距離は短いし乗り降りにも手間はかかるし前利用していたタクシーの人に迷惑そうな顔をされていましたが、MKさんはみんな優しく接してくださるのでうれしい」と言っていただきました。
 私は入社して厳しい教育や会社の指導もタクシーがなければ困る方々に対してあるものだと確信しています。どうかタクシーがなければ困る方々へのご配慮をよろしくお願いいたします。私は社会に奉仕しなくてはならないと教育してくれたMKの社員であることに誇りを持っています。


(左)400円運賃の継続を訴え、「タクシーの日」の8月5日、名古屋市内でもパレードも行った
(右)パレードを行いながら街頭での署名活動を行い、多くの皆様にご署名をいただいた

MK新聞 2010年(平成22年)9月1日発行 第765号 1面

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タクシー再規制について 第41回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(41)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

福岡高裁、国の抗告を棄却
運賃認可しないのは裁量権濫用

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

福岡MKの初乗500円運賃に対し、本年2月、九州運輸局が初乗570円への値上げを指導した問題で、福岡MKは福岡地裁に運賃認可を求める提訴と仮の義務付け申立を行い、福岡地裁は5月12日にほぼ全面的に福岡MKの主張を認める仮の義務付けの決定を出しました。この仮の義務付け決定を不服として、国側(九州運輸局)は福岡高裁へ地裁決定の取り消しを求める即時抗告を行っていました。

自動認可運賃でないからといって
認可基準に適合しない、とは言えない

この度、福岡高裁は7月20日付けで地裁の判断を支持し、国側の抗告を棄却しました。福岡高裁は国側が値上げの理由とした「@福岡MKの500円運賃は自動認可運賃を大きく乖(かい)離していた」「A実績年度(平成21年3月度から同年11月度まで)は収支を償わなかった」「B今後の収支を確実性を持って予測するに足りる過去(5年)の実績を持っていなかった」ことなどに対して、「@自動認可運賃から乖離しているからといって、当然に同条項に適合しないものと推認することはできない」、「A同年3月度から11月度までの実績値との比較をいう抗告人(国)の主張は失当である」、「B過去の実績を有しないのは当然であり、過去の実績を有しないことを根拠とする抗告人の主張は失当である」と明確に否定しました。

将来の増収見込みを考慮せず却下は
裁量権の濫用である、との判断

さらに「福岡MKが処分行政庁が想定するよりも収益性の高い営業を行っていることをうかがわせる」として、「処分行政庁が、将来の増収見込み等を十分考慮することなく、また原認可に付した期限を延伸する間に平成22年1月度以降の運送収入の実績の資料を収集するなどしないまま、平成21年3月度から同年11月度までの実績等に基づいて本申請を却下したこと(本件処分)、及び本件申請を認可しないことはその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると一応認めることができる」と、国側の審査が不合理であり裁量権の濫用にあたると断じています(抗告棄却の決定文の抜粋を2面に掲載)。

九州運輸局は司法判断を
尊重し公正な再審査を

これは、福岡MKの主張が改めて全面的に認められただけでなく、何としてでも安い運賃を排除しようとする運輸行政の姿勢を痛烈に司法が戒めているのではないでしょうか。
福岡MKは現在、一度は申請を却下された状態であるため500円運賃の再申請を行い、改めて運輸当局による審査を受けているところです。九州運輸局におかれましては是非とも司法の判断を尊重し、行政に対する国民の信頼が損なわれることのなきよう公正な審査をなさるようお願い申し上げます。

名古屋MKに430円へ値上げ指導
中運局相手取り仮の義務付け申立へ

初乗400円運賃継続の審査が続いていた名古屋MKにおいて、中部運輸局は7月27日に初乗400円を認めず、430円への値上げ指導を行いました。初乗金額7.5%値上げ、加算運賃4.8%値上げ、全体で約5%の値上げが必要という査定内容です。平成21年度実績を基礎に平成23年度(平年度)の収支状況を査定すると、約7000万円の赤字で、値上げが必要である、という理由付けです。8月10日までに430円以上への値上げを行わない場合は、運賃継続申請は却下され、認可運賃の無い状態となり事実上営業がストップとなります。

安定収益化した現状を無視した
却下ありきの審査の疑い

しかしながらこの査定については、納得出来ない部分が多くあります。まず、運送収入(売上)は過去の実績および現状の人数(22年3月度165名)からなる推計値を使いながら、人件費は将来の増員55名分(年間約2億2000万円)を不当に計上するという矛盾があります。
さらに名古屋MKは平成21年上半期に積極採用により社員数が倍増し、収支を圧迫していましたが、未経験者が半年以上経過すると売上が向上し、21年12月度より単月黒字化、平成22年4月度からは安定収益化となり、赤字には戻らない状況となりました。このような経営における質的・量的変化について中部運輸局に再三説明をしてきましたが、今回の査定では平成22年4月度以降の実績は無視されました(下記グラフ参照)。
以上により、現状では運賃認可基準である収支を償う状態にあるにも関わらず、中部運輸局は現状を無視し、値上げの結論を出しています。
私どもとしましては、却下の結論ありきの審査であると見なさざるを得ません。例えば本年3月に行われた名古屋地区タクシー協議会において、中部運輸局自動車交通部長が名古屋MKの運賃申請は訴訟案件になろうかと思っています、という発言をしています。この発言は正に審査の途中にある申請案件に対して、審査する側の責任者による公の場での却下宣言ではないでしょうか。

名古屋地裁に仮の義務付け申立て
福岡同様、司法の判断を待つ

そのため名古屋MKは、値上げ通知のあった翌日の7月28日に、名古屋地裁に400円運賃の継続申請の認可を求め、福岡同様に仮の義務付け申立と認可を求める訴えを起こしました。
同時にタクシー車内においては、お客様に「値上げ反対」署名活動へのご協力要請を開始しました。
名古屋地域のお客様におかれましては、中部運輸局による不公正な却下の判断をくつがえすべく何卒ご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。

MK新聞 2010年(平成22年)8月1日発行 第764号 1面

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MK新聞バックナンバーより

拝啓 タクシー地域協議会委員各位

誰のためのタクシー協議会か
国民の立場に立ってのご判断を

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシーの社会的信頼を高める
MK50年の歴史

私どもMKタクシーは全国8都市で、お客様第一主義の経営理念のもと、挨拶や丁寧な言葉遣い、ドアサービスなどの親切な接客サービスに加え、清掃の行き届いた清潔な車両をご利用いただきやすい安い運賃でお客様に提供することで、お客様より喜ばれ支持されております。創業期より徹底した乗務員教育に取組み、お客様に選ばれることでタクシードライバーという仕事に誇りを持たせることが経営としての責務と認識し、「お客様が喜び、社員の所得が安定し、会社も適正な経営が出来る」ことを続けております。おかげさまで本年創業50周年を迎え、京都でたった10台で始めたMKタクシーは、いまや全国8都市で2,000台にまで成長発展いたしました。
この間、タクシーの社会的地位を向上させるために、創業時より社宅を整備し社員の生活環境を整え、あいさつ運動、乗車拒否の根絶、他の公共交通機関に先駆けての身体障害者優先乗車運動などを行い、タクシーが接客サービス業であることを示しました。またバスとタクシーが有機的に結合することによって安くて便利で快適な公共交通機関網をつくる「都市交通改革案」を提唱するなどタクシーの役割を高める視点を持ち続けました。
昭和50年代に2年おきに当たり前のようにタクシー運賃が値上げされると、値上げによって利用者離れが加速すると考えたった一社で値上げに反対し、後に国を相手取った運賃値下げ裁判では同一地域同一運賃は独占禁止法違反という司法判断を勝ち取りました。この判決は後のタクシー規制緩和につながっていきました。私どもが行ってきたことは、お客様により良いタクシーを提供することだけだったのです。

わずか7年で利用者不在の再規制へ
利用者に責任を負わせる業界

さて、公共交通機関の一翼を担うといわれるタクシーは、我が国が超高齢化社会に突入し、加えて核家族化が進む中、お年寄りや身体の不自由な方が安心して外出するための、唯一のドアトゥドアの交通機関として重大な役割を担っており、今後もますます国民生活のために活躍することが期待されています。
しかしながら、タクシーは今、大きな岐路に立たされています。2002年に道路運送法が改正され、これまで約半世紀以上にわたって需給調整や同一地域同一運賃に手厚く守られていたタクシーは、需給調整の撤廃によって新規参入や増車を認め、あわせて運賃認可の弾力化も進めるなど、護送船団方式から事業者の創意工夫によって利用者利便の向上を目指すことが法の主旨となりました。私どもも各地で新規開業を行い、それぞれの都市でお客様より高く評価されました。
経済の悪化と時期を同じくして2008年に運輸行政は一転し再規制の方針を打ち出し、2009年にはタクシー特別措置法が国会で成立、施行されるなど、規制緩和はわずか7年で逆行しました。この再規制の最大の矛盾は、業界団体と労働組合が一体となって「利用者不在」のまま決められていったことです。
再規制論者の主張する論点は、「タクシーの窮状を引き起こしたのは増車による供給過剰」であり、新規参入や増車を一切認めず、最高乗務距離規制によってお客様に選ばれて走行距離が伸びる事業者を走れなくしたり、地域協議会という隠れ蓑をつくって減車圧力をかけながら、行政は安い運賃を排除すべく運賃値上げを迫ったりしています。事実上の同一地域同一運賃の復活を行政と業界は共に目指しているのが現状です。私どもはタクシー事業者が本来負うべき責任が、値上げという形で利用者に押し付けられていることを看過できません。このままでは利用者から信頼を失い、タクシー産業は衰退してしまいます。

福岡地裁はMK500円運賃を認める
北海道運輸局も札幌MK運賃認可

MKグループでは前述のとおり、各地で一般的な事業者より安く、自動認可運賃を下回る下限割れ運賃で認可を受けて事業を行っております。行政当局よりこのような下限割れ運賃には1年間の認可期限しか与えられず、毎年継続の認可申請を行っています。運輸行政にとってはMKグループの運賃継続を認めることは再規制の方針に反することとして、却下ありきの審査を行っているといっても過言ではありません。
まず対象となったのが、2009年1月に開業したばかりの福岡MKの500円運賃でした。審査にあたった九州運輸局は福岡MKに対して、500円運賃では収支が償わないとし570円へ値上げ指導を行いました。福岡MKは収益ベースに乗っていましたので値上げする必要など全くなく、不当な審査であるとして、500円運賃の認可を求める「仮の義務付け申立て」を福岡地方裁判所に提起しました。
その結果5月12日、福岡地裁は「タクシー特措法後も本来の道路運送法の持つ利用者利便の確保と向上を図るという立法主旨は変わっておらず、安い運賃だからといって排除してはならない」として、「国(九州運輸局)の査定方法は開業したての時期の売上等を参考としたものであり過小評価するものとして不合理であり裁量権を逸脱している」と指摘し、全国で初めてとなるタクシー運賃の仮の認可を認める決定を下しました。
それから約1週間後の5月21日には審査の延長が続いていた札幌MKの運賃継続申請に北海道運輸局の正式認可がおりました。

運賃値上げの追認するための
協議会にしないでください

この仮の義務付けの決定は、司法によって、運賃値上げを狙う運輸行政が推し進める利用者不在の再規制に対して、「NO」がつきつけられた表れだと考えます。
委員の皆様におかれましては、タクシーの問題を考える地域協議会は誰のための地域協議会であるかを、もう一度考えていただきたいのです。必要の無い運賃の値上げを誰も望んではおりません。お客様の立場に立ってお客様を主に考え、国民の立場に立って国民を主に考えていただきたいのです。タクシー事業者を主に考えては、タクシーは良くなりません。
委員の皆様におかれましては、これからもタクシーに対する厳しいご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

特定事業計画は減車ありきでなく
事業者自身が活性化を考えて

全国の各特定地域において、「地域計画」が作成され、各事業者はそれぞれ地域計画に示される「特定事業」のメニューから各社が行う特定事業を選択し、運輸局に対して特定事業認定申請を行います。
特措法の主旨にある「地域の状況に応じて地域における輸送需要に対応しつつ、地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにすることが重要であることにかんがみ」、「地域における交通の健全な発展に寄与する」ことを目的として、タクシーサービスの活性化、タクシー事業経営の活性化・効率化、安全・安心な輸送サービスの維持・向上、タクシー運転者の労働条件の悪化の防止・改善、地域における交通問題・環境問題への取組みを達成するために数10種類の特定事業メニューが挙げられています。これらの特定事業メニューはMKグループとしてすでに長年実施しているものも多くあります。
そして地域計画では「事業再構築」として減車や休車の協力を事業者に求めています。実際には減車を行わない事業者には一層厳しい監査を行うといった強い圧力をかける運輸局もあります。

特定事業の一例

・接客サービスの向上に向けた運転者教育の実施
・ワンメーターキャンペーン等短距離利用の環境整備策の実施
・デジタル式GPS-AVMの導入とそれを利用した効率的配車
・専用乗場の整備
・対策ソフト(ドライブレコーダー、デジタルタコグラフ)による運転者教育
・交差点付近における乗降、待機禁止の徹底
・勤務形態の見直し等による長時間労働の改善

需要が増えれば増車、減れば減車
当たり前の事業者の判断で

私どもMKグループでは、質の高いサービスを提供するために徹底した社員教育を行っております。そのため優秀な人材を確保するために広く異業種から人材を募り、ほぼ全ての新入社員が自社養成であります。雇用を創出することは企業として地域で果たすべき役割と認識するとともに、同時に雇用者には安定した健全な待遇と働き甲斐のある職場を提供することも使命と認識しています。
地域の状況に応じて地域における輸送需要に対応しつつ、地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにすることが重要と考え、従前より1車2人制による勤務形態で車両を24時間、効率的に稼働させることで、早朝深夜の需要にも確実に応えています。経営効率のために1台当り乗務員数を意識し無駄な増車は行わず、積極的な雇用創出と当社の利用者需要(増車によって実車率や無線率が低下しないか、これらの値が低下すれば最終的に社員の所得が下がる)を見極めながら必要な増車を行ってきました。現在も社員の所得は業界トップクラスです。
よって現状では、減車することは働く機会を失うことですので従業員の雇用問題にたちまち発展します。また、業界平均と比較して高い売上、実車率、無線率などを鑑みますと地域の輸送需要に良く応えているところであり、減車しなくてはならない特別の事情はございません。
また、私どもMKグループでは、お客様にご利用いただきやすくするために、駅前や繁華街などで独自にMKタクシー専用のりばを設置し、空車タクシーを待機させています。お客様にとってはいつでもMKタクシーを選んで乗ることが出来ますので、「タクシーの選択性と利便性の向上」に貢献しています。
さらにこのようなのりばの設置はMKグループ全体で多額の設置維持費用がかかるものでありますが、二重駐車問題や違法駐車問題をはじめとするタクシーが道路交通法を無視することによって生じる交通渋滞や交通事故の原因になるという社会問題の解消にもつながり、地域における交通の健全な発展に寄与することであります。

利用者利便向上の取組みには賛同
MKは自然体で地域計画に向き合う

MKグループといたしましては、地域計画において安い運賃がタクシーサービス全体を悪化させる要因となっているという捉え方や、各社の運行形態の違いや利用者の選択性を一切考慮せずすべての事業者に一方的に一律の減車を求める考え方には安易に同意することは出来ません。
しかしながらタクシーが社会から今以上に信頼されるための取組みであるならば、個々の事業者の判断ですでに行っていることと、これから出来ることを是々非々の態度で当社の特定事業計画として策定してまいります。委員の皆様におかれましては、重ねてこれからもタクシーに対する厳しいご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

MK新聞 2010年(平成22年)7月1日発行 第763号 1,12面

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タクシー再規制について 第40回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(40)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

福岡地裁が運賃継続の司法判断
利用者不在の再規制に歯止め

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

福岡MK500円運賃は継続
認可の仮の義務付け決定出る

この度、平成22年5月12日付けにて福岡地方裁判所より、2月17日付けで福岡エムケイ株式会社が500円運賃の仮の認可を求めて行った申立について、「仮の義務付け」の決定が下されました。
この決定により運賃認可期限であった5月24日を超えても、500円運賃での営業を継続できることとなり、運賃認可期限は、平成22年9月24日もしくは第一審判決言い渡しまでとされました。
タクシー運賃認可について「仮の義務付け」が決定されることは、全国で初めてのことです。そしてこのことは、利用者不在の再規制に司法がNOの判断を下した運輸行政の歴史的に意義のある決定だと言えます。

当局の値上げ指導から3ヵ月
社員と市民で大法廷が埋まる

平成21年1月30日にタクシー事業を開始した福岡MKの運賃は、当初より平成22年1月21日までの1年間の期限付きの認可だったため、平成21年10月13日付けで運賃の継続申請を九州運輸局に行いました。運賃申請審査の延長のため、一旦は平成22年2月12日まで現行500円運賃の認可期限が延伸されました。
2月10日に九州運輸局より「『500円運賃』を却下する予定で、2月24日までに『570円への値上げ』を指導する旨の通知」が出されました。これを受け、弊社は2月17日、福岡地方裁判所に「福岡MKタクシー運賃認可処分の『仮の義務付け申立』」及び「認可処分の『義務付け等請求』」を行いました。これにより、九州運輸局は2月24日に500円運賃を3月24日まで延伸しましたが、翌2月25日には福岡MKが値上げ指導に応じなかったために、平成21年10月13日付け500円運賃継続申請を却下処分しました。また、平成22年3月23日に九州運輸局より500円運賃を5月24日まで4度目の延伸をしました。
4月20日には福岡地裁にて本案の第一回期日が行われ、社員や関心を持つ福岡市民の皆様が大勢集まり、小雨降る中で傍聴の抽選が行われ、大法廷が傍聴者で埋まりました。そして5月12日、福岡地裁より仮の義務付けを認める決定が出されました。このおそよ3ヵ月の間、不安な中で一生懸命現場でハンドルを握っていた社員、私どもを応援していただいたお客様に深く感謝申し上げます。

不当に低い売上査定の一方で
根拠無く値上げ分は増収とする運輸局

申立のなかで私どもは、開業時から間もない売上の低い頃の実績(平成21年3月度〜11月度)を査定に使用することが著しく過小評価であること、現にその後の業績が伸び続け、(平成21年12月度〜22年4月度)、すでに運輸局の売上査定ラインを超えていること、MKグループ各社も新規参入時には開業から半年間は急激に、1〜2年掛けて緩やか成長することなどから、新規参入事業者に対する運賃審査基準そのものが不合理であることを指摘しました。
社歴を積むことによりドライバーの売上が高まることや、無線や専用のりばでの高い予約率、他社に比べて高い実車率や社員給与所得など「選ばれるタクシー」であることを示す一方で、500円から570円へ14%運賃値上げすれば、売上は12%増えるとする運輸局の値上げの根拠は経済環境を全く無視したものであると指摘し、交通経営学や独占禁止法の専門家による専門的な見地からの意見書も提出しました。
国側からは、福岡MKの運賃認可が公共の福祉に反する、という意見まで飛び出しました。

全面的にMKの主張を認める決定
国は合理性なく裁量権逸脱

福岡地裁の決定によると、2009年のタクシー特措法制定後も「利用者の利便の確保、向上を図るという立法政策自体に根本的な変更はない」とし、「事業者が機動的・弾力的な運賃(特に安価な運賃)等を設定することを著しく困難ならしめるような審査をすることは法の趣旨に反し許されない」とう前提に立ち、「裁量権を逸脱するものと一応いうことができ、本件申請は審査基準公示に基づく条件を付した上でこれを認可すべきであったというべきである」と、福岡MKの安い運賃を認めようとしない運輸局の不合理な査定を指摘しました。社歴を積むことによって売上が高まるという試算も認められました。
さらに、500円運賃によって「実際に過当競争が生じたり、輸送の安全が害されたりしたという主張」はないとして、500円運賃の継続に「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとはいえない」としました。MK側の主張がほとんどすべての面において認められました。

司法判断を尊重し、これからも
利用者利便の向上に努める

「タクシーはどれもサービスの変わらない選択できないもの」という運輸行政の前提は、創意工夫を活かして利用者に喜ばれるタクシーを生み出すという事業者の経営努力を否定します。合理性の無い運賃審査基準によって安い運賃を認めず値上げを強要したり、不適格な事業者の退場を促したりするのではなく、地域協議会に名を借りて業界に一律の減車を求める行政の圧力は、事実上の同一地域同一運賃の復活を目指す動きであり、経営者の怠慢のツケを利用者である国民に押し付けるものであると考えます。
こういったMKグループの経営思想そのものを司法が認めたといっても過言ではないのではないでしょうか。福岡地裁には深く感謝いたしますとともに、その期待と責任に一層気の引き締まる思いであります。
福岡MKは、これからも「福岡にMKタクシーがあってよかった」と市民の皆様に評価していただけるように安くて質の高いタクシーを提供し続けてまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します。

判決文 主文抜粋

処分行政庁は、申立人の平成21年10月13日付け一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請について、平成22年5月25日から同年9月24日又は本案事件の第1審判決言渡しの日のいずれかの早い日までの間、別紙1記載の条件を付して、これを仮に認可せよ。

(争点1 収入算定に関して)
・法は、特措法制定後においても、「利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図る」という目的を維持し、事業開始時の免許制ないし需要調整規制を再び採用することをしていないのであるから、新規参入を容易にして、事業者間の競争を促進し、事業者の創意工夫を活かした多様なサービスの提供や事業の効率化、活性化を図り、もって、多様化した利用者の需要に適合し、利用者の利便の確保、向上を図るという立法政策自体に根本的な変更はないのであって、法9条の3第2項第1号の定める収支採算性に関して、事業者が機動的・弾力的な運賃(特に安価な運賃)等を設定することを著しく困難ならしめるような審査をすることは法の趣旨に反し許されないというべきである。
・少なくとも、前期のとおり、(MKにより挿入:処分庁が開業後まもない)平成21年3月度ないし同年5月度の申立人の実績値を平年度の運送収入の査定の基礎から除外しなかったことは、平年度の運送収入につき蓋然性の高い予測を行うといった観点からすると、不適切であったといわざるをえない。
・運送収入の査定については、処分行政庁に一定の裁量の余地があることを踏まえてもなお、合理性に疑問がある。
・平成21年12月度の実績及び本件算定方法による平成22年1月度ないし3月度の推計値については、合理的と一応認められるから、処分行政庁が、これを不合理として排斥したことは、その裁量権を逸脱するものと一応いうことができ、本件申請は審査基準公示に基づく条件を付した上でこれを認可すべきであったというべきである。
・申立人の事業形態及び社歴別輸送実績に照らせば、現時点で社歴の浅い運転手が今後経験を積み、全体として社歴の長い運転手が増えることによって、一定程度の増収が見込まれる。

(争点2 仮の義務付けの緊急性について)
・本件申請について認可がされない場合、申立人は、原認可に付された期限である平成22年5月24日の経過をもってそのタクシー事業に係る営業を停止せざるを得ないものと考えられるところ、営業停止によって、タクシー運転手である申立人の従業員が減収等を理由に退職するおそれは大きいし、その場合、上記のような教育等を行ってきたことが無為に帰することになり、申立人の営業上の人的基盤が失われることになりかねない。
・また、上記のような申立人の営業方法に照らし、営業停止が、会員となった顧客や予約をして申立人のタクシーを利用してきた顧客に対する営業上の信頼関係を直ちに毀損するものであることも明らかである。

(争点3 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれについて)
・相手方は、本件申請を認可した場合、過当競争を防止して輸送の安全を確保しようとした法9条の3(読替え後のもの)の趣旨に反する認可がなされることによって、認可制度の運用が混乱すると主張する。しかしながら、個別の事情の下に、単独の案件である本件申請の認可を仮に義務付けたとしても、直ちに運賃認可制度の運用に重大な混乱が生じると1認めがたいし、そもそも申立人は平成21年1月30日の開業以来、初乗り運賃を500円と設定してタクシー業を行っているところ、これによって実際に過当競争が生じたり、輸送の安全が害されたりしたという主張及び疎明はなされていないのであるから、現行運賃によるタクシー業の継続を認めることによって、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとはいえない。

札幌MK運賃継続も認可される
北海道運輸局の英断に感謝します

福岡MKに続いて今度は札幌MK
550円運賃の正式な認可

この度、札幌エムケイ株式会社が申請していました「550円運賃」の継続を求める認可申請が、平成22年5月21日(金)付けで北海道運輸局より認可されました。
平成21年4月22日にタクシー事業を開始した札幌MKの運賃は、当初より平成22年3月26日までの1年間の期限付きの認可であったため、平成21年11月27日付けで運賃の継続申請を北海道運輸局に行いました。運賃申請審査の延長のために二度の延伸があり、平成22年5月21日付けにて、北海道運輸局より認可されました。

特措法後、法人下限割れタクシーで
申請が認められたのは初めて

2009年10月のタクシー特措法施行後、下限割れ運賃の継続を認める審査は厳しくなり、これまで大阪で個人タクシーが1名認可されたのみで、法人は2社大阪で値上げ指導と却下処分が出され、その後福岡MKの運賃認可の仮の義務付けの結果が出るまで、各運輸局では様子見の感がありました。
この度札幌MKは法人タクシーで初めて申請通りの運賃額で継続を認可されました。この北海道運輸局の英断には敬意を表しますとともに、これまで以上に利用者に喜ばれ、社員の生活を安定させ、適正なコンプライアンス経営を行うことの重責を自覚致します。

再規制の流れが変わり始めた
2つの判断は歴史の転換点

福岡MKの仮の義務付け決定、札幌MKの運賃認可の判断によって、安い運賃を認めずに同一地域同一運賃を復活させようとする国の考えはどのように方向転換するでしょうか。今後、名古屋MK、滋賀MK、神戸MKなどがそれぞれ運賃認可期限を迎え、審査に臨みます。
前原大臣におかれましては、司法の判断を尊重し、利用者目線で運輸行政にご尽力賜りますよう宜しくお願い致します。

MK新聞 2010年(平成22年)6月1日発行 第762号 12面

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タクシー再規制について 第39回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(39)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

タクシーの存在意義を創り出せば
無理な減車も運賃値上げも不要

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

国交省4.5万台余剰試算では
タクシーの役割を引き出せない

平成22年4月30日付け朝日新聞にて、「国土交通省はタクシー4.5万台を『余剰』とする試算をし、業界に減車を要請する」という記事が掲載されました。国交省はタクシーを今の社会的役割のままであれば供給過剰であるという認識のもと、減車することで問題の解決を図ろうと企図していますが、私どもはそのようなタクシーの捉え方と減車圧力では、離れていった利用者が見向きもせず、やがて需要が先細り、永遠に減車を繰り返さなければならない、タクシー産業の衰退を招くだけであると考えます。
タクシーが社会的な役割を担い、業界が活性化するために、私たちは「都市交通改革」という考えを提唱しています。

都市交通改革で利便性の高い
バスとタクシーの公共交通機関体系

MKグループは昭和50年代より京都市にバスとタクシーの有機的結合によって、安くて便利で快適な公共交通機関体系を実現する提言を行ってきました。平成12年3月に「MKグループ10万人雇用創造計画」を発表し、規制緩和後に全国の政令指定都市をはじめとして各都道府県に約3万4000台・10万人規模の増車・増員および新規参入を行い、雇用対策のほか、都市の渋滞問題や環境問題の緩和、安くて質の高いタクシーのサービスの提供によるタクシー需要の掘り起こしを行うことを目標としました。平成20年12月には「MKタクシー全国緊急雇用創出計画」として切迫する雇用問題に対して1万人の新規雇用を行うことを発表しました。
平成21年12月には、国土交通大臣並びに厚生労働大臣宛に新たに「地球温暖化防止に対する都市交通改革の提言(自家用車のみに頼らない社会つくりに貢献する)」を発表しました。従来の都市交通改革案や二酸化炭素の削減に加え、すぐ乗れるタクシーミニストップ構想によって全国27万台のタクシー台数をそのまま活かして18万人の新規雇用を創出し、平均所得も一般産業並みに向上させることを計画しました。

18万人の新規雇用を生み出し
二酸化炭素を大幅に削減する

前述の都市交通改革の提言では、自家用車のみに頼らない社会作りのためにタクシーを活用することで、以下の効果を生み出します。 @タクシーミニステーションは、市街地では約200m圏内または徒歩5分圏内に設置。山間部を含む地域では1町1ヵ所を基準に設置し無線配車を活用。全国25万ヵ所。
Aマイカー走行需要が2割削減されると、タクシーは2.1兆円から5.4兆円産業に。18万人の新規雇用需要を生み出しながら、27万台のタクシーは全稼働し、タクシー運転者の年収は全産業平均の約550万円まで引き上がり、労働環境も改善される。
B二酸化炭素25%削減のため運輸部門のみで8175万tを削減しようとした場合、その約24%をまかなう削減を達成する。また全体の削減目標である4億2800万tの4.7%を達成する。
本提言は、京都乗用自動車協会に対しても行い、本提案をタクシー業界全体で取り組むことを進言しました。自家用車からバス・タクシーなど公共交通機関へのシフトを促すためには、運輸行政・タクシー業界がそろってタクシーの社会的役割を認識し、質を高めていかなければなりません。もちろんMK一社では出来ないことです。
MKグループとしては「4.5万台余剰」と考えるのではなく、もっとタクシーの役割を高める取組みを行わなければならないと考えています。

増車抑制政策の矛盾
実働車両数は減少している

国土交通省は今の状況を供給過剰としていますが、数字で見る限りは決してそうではありません。
平成14年2月1日のタクシー自由化後に全国で台数は約1万2000台増えましたが、それに対して運転者数は約7800名の増加にとどまり、しかも実働率が86%から80%に減少しています。つまり、これらを掛け合わせると、市場で走っているタクシーの台数(実働車両数)としては平成13年度と比べ97%、約6000台減少しているといえます。
特に、タクシー激戦といわれる大阪においても、運転者数の減少もあり、実働車両数比は自由化前と比べて101%にとどまっています。
また、平成14年を基準として、タクシーが原因の交通事故は、平成16年から17年をピークに減少しており、平成20年には下回っており、輸送の安全が著しく脅かされている状況とはいえません。
国土交通省はタクシーの諸問題を増車したためと捉えていますが、上記の通り実働車両数の増加は顕著とは言えず、交通事故も著しく増加していません。にもかかわらず、増車抑制を法制化しようとすることは、許されないことです。

事業者を守るために利用者に
ツケを押し付けてはならない

事業者によって経営手法は異なるものであり、増車・減車の判断も経営者がすべきものですが、国は地域協議会を作り、その中で減車の計画を事業者にとらせるよう様々な圧力をかけています。国の一律規制の姿勢は、事業者の自由なサービス競争による利益の受け手である利用者を無視することです。国は、交通法規や労働法規(労働時間違反、最低賃金違反など)など法令遵守を行わない事業者や、利用者へのサービス不良の事業者の退場を促すべき立場であり、全ての事業者を守るために、利用者に負担を強いてはなりません。最高乗務距離規制や減車政策の先には、同一地域同一運賃の復活があるのです。
MKグループでは、無線配車・専用のりばの利用者が多く、政令指定都市の平均的なタクシーの無線率が約23%のところ、50%を超えています。これはMKタクシーが利用者に選ばれているということであり、1人当たりの運転者の給与も他社と比べほぼ3〜4割高い水準で安定しています。またMKでは1台当たりの運転者人員と売上のバランスを考え、増車・減車の判断をしてきました。利用者の支持があるにもかかわらず原則として増車ができない制度は問題です。

司法の判断を尊重すれば
減車も値上げも不要である

平成22年5月12日に福岡地方裁判所は、福岡MKの運賃認可の仮の義務付けを決定する判断を行いました。その決定文のなかで福岡地裁は、タクシー特措法が施行されたとしても「利用者の利便の確保、向上を図るという立法政策自体に根本的な変更はない」と明言し、安い運賃を排除してはならないと指摘しています。利用者不在のまま同一地域同一運賃を目指す国と業界にNOを突きつけているのではないでしょうか。
都市交通改革を推し進め、タクシーの役割を高めて生産性が向上すれば、今のように高い運賃でなくとも事業が出来るようになります。全事業者が運賃値下げをすることで、結果として同一地域同一運賃となりうるということも考慮に入れるべきではないでしょうか。
福岡地裁の決定文では、福岡MKの安い運賃の継続が「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとはいえない」としています。むしろ利用者は喜び、タクシーの需要も高まることで、公共の福祉の向上になると考えます。
前原大臣におかれましては、都市交通改革を始めとして、タクシーの社会的役割が高まる取組みをともに行っていただきますよう宜しくお願い致します。

MK新聞 2010年(平成22年)6月1日発行 第762号 1・2面

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タクシー再規制について 第38回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(38)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

最高乗務距離規制の公示取消訴訟へ
全国104万名の利用者署名こそが民意

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

全国でかけられた最高乗務距離規制
乗車拒否や適正に働けない危機

これまでMKでは、昨年10月のタクシー特措法による再規制の一環で、全国の都市部に最高乗務距離規制がかけられたことと、その撤廃を求めて規制による弊害を主張してまいりました。この規制によると、通常のタクシー営業の中で、長距離輸送が続けば走行距離がかさみ、お客様に対して乗車拒否をせざるを得ない局面が頻発することや、定められた勤務時間の中でも最高乗務距離規制があるために途中で営業を止めて営業所に帰庫しなくてはなりません。
利用者にとってもタクシーを利用する権利を損ない、そこで働くドライバーにとっても働く権利を阻害するこの最高乗務距離規制の撤廃を求めるために、MKグループでは労働組合が中心となって、本年2月1日より4月7日まで署名活動を実施しました。期間中には全国で104万2760名の方々に主旨に賛同いただき、ご署名をいただきました(福岡MK、滋賀MK、札幌MKで行った「運賃継続を求める署名」6万8862名分含む)。署名用紙に記された「安全で安くて良質なタクシー」が全国で活躍することを望む、これが「民意」なのです。

3月に京都・大阪・神戸で、
4月に札幌・名古屋で相次ぎ提訴へ

MKグループでは、この最高乗務距離規制の公示の取消しと、それによる不利益処分の差止めを求め、本年3月17日には、国(近畿運輸局長)を被告とし、京都MK、大阪MK、神戸MKが連名で大阪地裁に提訴しました。次いで、4月23日には札幌MKが国(北海道運輸局長)を被告として札幌地裁に提訴、4月26日には名古屋MKが国(中部運輸局長)を被告として名古屋地裁に提訴しました。
今後、福岡MKと東京MKについても準備が整い次第、同様に提訴してまいります。お客様から頂いた104万名分の声は、国土交通省や裁判所に確実に届けてまいりたいと考えております。

憲法の「営業の権利」を阻害する
二重規制に合理的根拠は

最高乗務距離規制の公示の取消しを求めることについて、訴訟上の争点となるよう法的な観点から私どもが主張していることは次の通りです。
@国は、憲法に保障される営業の自由をみだりに制限してはならず、最高乗務距離規制の設定にあたっての合理的根拠は無い。また、すでにタクシーには労働時間規制があり、二重規制となる。
A道路運送法の目的とする「旅客の利便」と「輸送の安全」に反し、最高乗務距離規制が乗車拒否を誘発することや、規制自体がドライバーのストレスとなり安全運転に差し障りがある。
B(京都、大阪、神戸のみ)他の運輸局に比べて、高速道路走行分が完全に除外されないなど、著しく不合理な設定である。
MKグループでは、労働時間を適正に管理し、過労運転や交通事故防止を徹底しています。交通事業者として安全運転に関する取組みはあらゆることを行う必要はありますが、それが国の規制として、利用者のためにも働く従業員のためにもならないものは断固として反対します。

安い運賃を排除する国の包囲網
「選ばれるタクシー」を貫き通す

現在、国が進めているのは、様々な規制や監査によって安い運賃を排除しようとすることです。最高乗務距離規制も「お客様から選ばれて走行kmが伸びる」事業者があることも考慮していません。それどころか、国は走れなくなって売上が減少すれば運賃値上げをすればよい、という考えです。
私たちの知る公共料金においては、電気やガスの値上げを事業者が行う際、国から消費者の家計への影響を懸念し値上げ幅を抑えられることがありますし、通信の分野では値下げを勧告されることもあります。また、同じ公共交通機関であるバスや鉄道、航空の分野でも、事業者自ら値上げの申請をしていないにもかかわらず、国から値上げを強要されることなど聞いたことはありません。いずれの場合も値上げの動きは、必ず事業者側(民間)から申請などの行為があって初めて起こるものです。
それではなぜタクシーでは運賃の継続を事業者が求めているにもかかわらず、国から値上げを強要されるようなことが起こるのでしょうか。タクシーはお年寄りや身体の不自由な方など移動手段を持たない方にとって必要不可欠な公共交通機関であり、値上げによってこのような立場の方を困らせることをどうして国は行うのでしょうか。
あらゆる事業はお客様満足がなければ成り立ちませんし、その上で従業員の待遇がよく、会社も適正な利益を上げなければ事業として継続することが出来ません。そして、三者が満足するために、事業者は継続して必要な投資を行い、教育を行い、サービスの提供を行います。その結果としてお客様がサービスの提供者を「選ぶ」ことになるのは自然なことです。しかしながらタクシー事業においては、なぜか国は「タクシーは選べないもの」という前提に立ち、収益が上がらないことや待遇がよくないことは経営者の責任ではなく、社会が悪い、規制が無いことが悪いと外部に責任を求めています。
弊社としましては、署名活動や裁判にエネルギーを使うのではなく、もっとお客様満足を高めることにエネルギーを使いたいのですが、残念ながら今は国に対してこの経営環境を維持することに費やさざるを得ません。
前原大臣におかれましては、規制によって経営に侵食するのではなく、もっと利用者に選ばれる経営によってタクシーへの社会的信頼が回復するように事業者への指導を行うよう、「民意」を理解くださいますよう宜しくお願いいたします。

MK新聞 2010年(平成22年)5月1日発行 第761号 1面

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タクシー再規制について 第37回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(37)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

九州運輸局の却下ありきの審査に疑問
値上げはタクシーを利用者から遠ざける

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

4度目の500円運賃の延長
運輸局は司法判断を待つ構え

福岡MKの500円運賃継続認可申請に対して、九州運輸局による、500円運賃の継続を認めず、570円への値上げ変更指導の件について、福岡MKでは平成22年2月17日に国(九州運輸局)を相手取り、福岡地方裁判所に500円運賃の仮の認可を求める「仮の義務付け」を申立てるとともに、運賃認可を求める訴訟を行いました。
この間に500円運賃のままで営業することができる運賃認可期限は2月24日から3月24日まで1ヵ月間延長され、裁判所の決定は現在のところまだ出ておりませんが、さらにこの度、九州運輸局より4度目となる5月24日までの2ヵ月間の延長がなされました。これは仮の義務付けの司法判断を待つため当局がとった措置と考えられ、弊社としましては福岡地方裁判所が一日も早く500円運賃認可の判断を下していただくよう強く望むことに変わりありません。

却下に都合いい実績値のみを採用し
弊社の合理的な根拠資料を一蹴する

弊社が査定の開示を求めたところ、運送収入の査定のために採用した数値は平成21年3月度〜11月度の9ヵ月間の実績値であったことが分かりました。運賃審査は実績年度1年間を基礎として次年度、平年度の収支を計算し、平年度の収支によって判断するとされています。実績となる期間が1年に満たず、平成21年1月30日開業の新規会社であるため開業直後の数ヵ月間の売上はまだ低いものであり、しかも売上の実績としては現在も伸びている傾向にあることから考えると、平年度の収支を計算するにあたって九州運輸局が査定に使用した実績値は不当に低いものと指摘せざるを得ません。
また弊社は、サービス教育の徹底のため原則としてタクシー未経験者を採用しているため、社歴を積むにつれて一稼働売上が上がりますので、平年度における社歴別人数構成比をもとに運送収入を試算していました。提訴後、九州運輸局が福岡地裁に提出した意見書によると、弊社が提出した運送収入の計算の根拠資料に合理性が欠けるとして、採用しなかったことが分かりました。
しかしながら、申請当時の試算値とその後の実績値を比べると九州運輸局の査定値よりも、当社の申請値の方がより実績値に近い合理性を持っております。直近3ヵ月をみると、すでに九州運輸局の値上げ後の査定値をも大きく上回っており、九州運輸局が弊社の提出した根拠資料を合理性のないものとして採用しなかったことは不合理としか言いようがありません。

同一地域同一運賃への回帰
利用者の声を無視した値上げ圧力

前述した九州運輸局の審査への疑義は一例です。安い運賃を却下することがまず前提にあり、そのために都合のよい部分だけを使って審査をしていることがうかがえます。
 今、運輸行政は、MKが勝訴した昭和60年にタクシー運賃値下げ裁判(控訴審で和解)における「同一地域同一運賃は独占禁止法違反」という司法判断を蔑(ないがし)ろにし、様々な値上げ圧力によって事実上の同一地域同一運賃への回帰を果たそうとしていることは明らかです。運賃値上げを望むのは誰のためか、運賃値上げを行うことで労働環境が良くなったか、今一度思い起こす必要があります。
福岡MKは平成22年2月18日よりタクシー車内で「福岡MKの500円運賃継続を求める」署名活動を行い、3月10日には九州運輸局に3万150名分の署名を提出いたしました。また、福岡MKの社員一同が福岡地裁に対して500円運賃継続を求める上申書を提出いたしましたが、そのなかの一部を紹介します(12面に掲載)。
福岡MKはこれからも市民の皆様の足を守るため、安全快適なサービスと安い運賃の提供に努めさせいただきます。前原大臣におかれましては、お客様に支持されるタクシーとは何か、福岡MKの実態をみていただき、賢明なるご判断を下していただきますよう何卒宜しくお願いいたします。

MK新聞 2010年(平成22年)4月1日発行 第760号 1面

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タクシー再規制について 札幌協議会

MK新聞バックナンバーより

拝啓 社団法人札幌ハイヤー協会会長 加藤欽也殿

違法状態会社を貴協会は見過ごすか
札幌MKは一年足らずの実績で証明できる

札幌エムケイ株式会社 代表取締役社長 平山 功

地域協議会に札幌MKも参加
北海道運輸局の姿勢には敬意

私は、平成22年2月12日に北海道ハイヤー会館で行われました「第3回札幌交通圏タクシー事業者適正化・活性化協議会」に参加しました。
この協議会は平成21年10月1日に施行されたタクシー適正化特措法に基づき設置され、「特定地域」に指定された地域においては、タクシー事業の適正化と活性化を目的とした「地域計画」を策定するために、運輸局・警察・労働局・市の各行政担当やタクシー事業者団体、労働組合、学識経験者、消費者代表などによって構成されています。全国の地域協議会では、「タクシーの減車」が中心議題に上がっています。
札幌交通圏の当協議会においては、札幌ハイヤー協会に非加盟である札幌MKと札幌北交ハイヤーの2社も委員として参加し自由に発言出来るようになっており、この点につきましては発足当初より参加を呼びかけていただいた北海道運輸局の、様々な意見を取り入れ議論を活発化させようとする公正な姿勢に敬意を表します。

利用者不在の議論
なぜ需要が減ったか自省すべき

協議会においては多くの他の地域協議会と同じく、タクシー需要の低迷によって、業績の悪化とそれによる労働環境の悪化が指摘されました。それは主にタクシーの供給過多によってもたらされたものであり、業界をあげて減車を行うことが第一である、という流れが前提となっているといっても過言ではありません。
私どもはこの種の議論が「お客様不在」で、タクシー業界の都合によってなされているものであると指摘し続けてきました。なぜお客様がタクシーを利用されないのか、そしてA社ではなくB社を利用されるという差異が表れたときに、なぜA社は選ばれずにB社が選ばれるのか、その要因を探り改善していくことが商売として当たり前のことではないでしょうか。
創意工夫をなさずに値上げを繰り返し、利用者離れが加速した護送船団方式時代の考え方は、2002年の道路運送法改正によって、事業者にはお客様本位の商売を行うことの意識改革が求められました。しかし自由化の意義はタクシー業界には理解されず、再規制を求める業界の声がタクシー適正化特措法を実現しました。
本協議会でも札幌ハイヤー協会よりサービスの活性化のため今後取り組むべき新サービス案が紹介されましたが、値上げのため掛け声だけに終始し、これまで長い歴史のなかで不退転の意志を持ち合わせて実効を上げるための取り組みはどれほどあったのでしょうか。

札幌事業者に最低賃金割れ
労働局が協議会で公言

第3回協議会において労働組合の委員より「札幌のタクシー乗務員の給料の半数以上が最低賃金さえ支払われていない」という意見が出ました。私は議長に対して、本会に出席されていた北海道労働局の委員に真実かどうか確認を求めましたところ、「直近で40数社の調査をした結果、30数%が最低賃金割れしている」と回答されました。この事実を札幌ハイヤー協会会長である貴殿に確認を求めましたところ、貴殿は「知りませんでした」と回答されました。労働組合の委員からは「最低賃金さえ支払わない会社を絶対に許すことは出来ない」と発言しています。
貴殿はこの現状をどのようにお考えでしょうか。現に起こっている違法状態を見過ごすことが法治国家である日本において許されることなのでしょうか。札幌ハイヤー協会として北海道労働局の指摘を重く受け止め、即時改善に動くことが貴協会の役目ではないでしょうか。

協会長は自らの足元を見直し
まず違法会社の実態を正すべき

貴殿は札幌MKが参入する直前の平成21年2月19日に、札幌地裁に対して札幌MKの経営許可申請と運賃認可申請を許認可しないよう国(北海道運輸局)を相手取り提訴し、その後の記者会見において貴殿が「MKの給与体系が違法」であり「MKの低運賃は乗務員の犠牲のもとに成り立っている」と発言したことを報道で知りました。どのような事実に基づく発言かは知る由もありませんが、札幌ハイヤー協会として御自身の足元を見直す必要があるのではないでしょうか。
本協議会の資料によれば、札幌交通圏の平成20年の年間実績では実車率30.9%、タクシー1日1車あたり運送収入は2万8901円、札幌交通圏のタクシー運転者の平均年収は227万円となっております。直近の数値として発表されている平成21年9月の実績では実車率27.4%、タクシー1日1車あたり運送収入は2万4662円となっております。
現在、札幌MKは開業約10ヵ月ですが、順調に業績をあげております。同じ平成21年9月の実績で比較しますと、札幌MKは実車率36.1%(業界平均対比132%。直近の2月度では実車率40.5%)、1日1車あたり運送収入は3万4864円(業界平均対比1%)です。毎月の平均給与も開業時より概ね27〜28万円の実績で、平成20年の業界平均を月割りした18万9000円に対して4割高い所得といえます。
札幌MKは開業後も増車し社員数も増えておりますが、それに比例して輸送回数や実車率も着実に向上しているということは、札幌MKが選ばれ続けている証左です。徹底したサービス教育によりお客様に喜ばれ、無線営業や専用乗り場など「お客様に選ばれる営業」を行うことによって、お客様も喜び、社員の所得も安定し、会社も適正な経営を行っています。 またMKは値段が安いからという理由だけで選ばれているのではありません。お客様はその運賃料金に対する価値=サービスを提供出来ているかを堅実に見て判断されています。運賃とサービスを合わせて初めて選ばれているということをご認識下さい。
改めて貴殿の発言がいかに不見識であり、MKグループの信頼を失墜させる誹謗中傷であったか実績をみれば明らかではないでしょうか。

減車するべき会社が減車を
法令遵守で考えれば結論見える

地域協議会では減車の方法を決める場であるように見受けられますが、上記のような現状であれば、どのような事業者が減車するにふさわしいか、賢明なる貴殿であればご判断いただけるかと存じます。
今後とも札幌市民のタクシーに対する信頼感を回復するためのサービスのあり方や経営のあり方であれば、喜んで議論に参加させていただきます。そのためには、マスコミ非公開である本協議会をマスコミ公開にし、利用者の声を反映させて改善していかなければ過去の繰り返しとなります。協議会のあり方として、もっと利用者に求められるタクシーを創り上げていけるようにすることが必要ではないでしょうか。
これからも札幌市民の誇りとなるようなタクシーをつくるため切磋琢磨させていただきたい所存です。



MK新聞 2010年(平成22年)3月1日発行 第759号 8面

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タクシー再規制について 第36回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(36)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

国は商売人の自立精神を尊重すべき
福岡MK、70円の値上げ拒否を司法判断へ!

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシー特措法により
審査が厳しくなった安い運賃

近年の運賃認可制度は国の方針により自動認可運賃を下回る「下限割れ運賃」について、認可にあたって1年間の期間限定とする条件をつけ、毎年認可の更新を審査しています。MKグループの中でも後発の福岡MK(初乗500円)、滋賀MK(初乗小型500円、中型510円)、札幌MK(初乗550円)や、恒久認可であったにもかかわらず、途中で運賃を変更したことによって名古屋MK(初乗400円)、神戸MK(初乗550円)など1年間の条件がついた会社もあります。
平成21年10月1日施行のタクシー適正化特措法によって、下限割れ運賃の審査が厳格化されました。新法施行後のMKグループでは初の500円運賃の継続認可申請となる福岡MKは、運賃認可期限が平成22年1月21日までであったため、平成21年10月13日に継続申請を九州運輸局に申請、その後認可期限までに結論が出ずに審査は延長され、運賃認可の期限は平成22年2月12日まで延伸となりました。

九運局は70円への値上げを指導
福岡MKは値上げの意思はありません

2月10日になり、九州運輸局は福岡MKの「500円運賃の継続申請」について、運賃認可の期限を平成22年2月24日まで延伸すると同時に、査定の結果として福岡MKが500円運賃を継続した場合、原価を償わないものとして、「初乗570円へ値上げ」に変更申請を出すよう、また同日までに変更しない場合は500円運賃の継続申請は却下するという通知を行いました。
福岡MKとしては、お客様に支持され売上も順調に推移しており、運賃値上げを行う意思は全くありません。しかし、このままでは2月24日で運賃認可は切れ、翌25日からは認可運賃の無い状態になってしまうため、営業をストップせざるを得ない状況となりました。
そのため福岡MKは2月17日付で国(九州運輸局)を相手取り、福岡地方裁判所に500円運賃の仮の認可を求める「仮の義務付け」の申立てとともに、運賃認可を求める訴訟を行いました。
2月24日に福岡地方裁判所の判断は出ませんでしたが、一方で、九州運輸局は同日新たに「平成22年3月24日まで500円運賃を延伸する」通知を行いました。私どもとしましては、この3度目の延伸は、一時的な措置であるとの認識を持ち、福岡地方裁判所に一日も早い500円運賃認可の司法判断を下していただくよう強く望んでおります。
この措置によりまして、福岡MKのタクシー営業は2月25日以降も従来通り500円運賃を継続することが出来ました。

九運局は開業当初の低い実績で査定
直近の実績とは大きな差がある

この度の九州運輸局の査定にあたっては、私どもとしましては納得出来ない部分が多く、詳細は司法判断で明らかになってくるものと思われますので、審理に差し支えのない範囲で主な疑問点を指摘いたします。
九州運輸局の査定によると、福岡MKが500円運賃を継続した場合には、年間の運送収入は約4億7000万円と予測され赤字収支となるので、初乗570円へ値上げを行えば運送収入は約5億3000万円への増収が見込まれ収支率100%を満たす、とあります。費用面については私どもの申請数値と査定額とがほぼ変わりありませんので、売上高についての見解の相違が最も大きなポイントと言えます。
平成21年1月30日に開業した福岡MKの毎月の運送収入実績の推移では、開業間もない時期においては知名度も低く売上も低迷していましたが、すでに直近半年間の実績値の平均(月間約4460万円)をもってしても、収支率100%を満たすように値上げした場合の九州運輸局による運送収入の年間査定額を超え、さらに月を追うにつれて売上は上昇傾向にあります。直近3ヵ月であれば1億円近く査定額を上回ります。

無線とのりばで予約率6〜7割
福岡MKの売上は順調に推移

売上が月を追うにつれて上昇する理由としては、タクシー乗務の経験年数(社歴)に関係し、実際に入社1ヵ月目のドライバーと入社1年以上のドライバーとでは平均売上に倍ほどの差がつきます(例:平成21年12月度の平均1稼働当り運送収入は、入社1ヵ月目のドライバーで1万3135円。入社13ヵ月以上のドライバーで2万3689円)。福岡MKでは開業時にサービス教育の徹底のために原則として未経験者を中心に採用しておりますので、社歴が長くなれば経験を積み売上の高い社員の構成比率は高まり、総売上も高まっていきます。
また、福岡MKの営業スタイルは無線予約と専用のりばがメインであり、一般に流し地域におけるタクシーの無線率は1〜2割と言われる中、福岡MKは専用のりばとあわせて約6〜7割がMKをご指名いただく予約のお客様であり、その数は順調に増えております。
このように福岡MKとしての運送収入は今後も順調に推移するという根拠も示していたにも関わらず、九州運輸局は直近の実績を十分に考慮せずに査定したのではないでしょうか。

国は商売に干渉しないで
事業者の自立を促して

国は運賃値上げをすることで、売上も伸びるという前提に立っていますが、東京地域のタクシーが平成19年に約7%値上げしたにもかかわらず、その1年後には昨年比で16%売上が下がったという事実があります。国の指導に従い売上が下がり収益が下がれば、国民の税金を使って補償していただけるのでしょうか。そのような事態は私どもも国民も望みません。
福岡MKはこれからも市民の皆様の足を守るため、安全快適なサービスと安い運賃の提供に努めさせていただきますとともに、2月18日から開始しましたタクシー車内で500円運賃継続を求める署名活動を引き続き行っております。2月25日現在で1万2221名のお客様よりご署名、励ましの声をいただいております。
前原大臣におかれましては、お客様に支持されるタクシーとは何か福岡MKの実態をみていただき、賢明なご判断を下していただきますよう何卒宜しくお願いいたします。

MK新聞 2010年(平成22年)3月1日発行 第759号 12面

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タクシー再規制について 第35回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(35)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

国のため市民のための値上げなら甘んじて受けるが
必要のない値上げは一体誰のためか

MKグループ創業者 青木定雄

タクシーを必要とする人が
困ることをなぜ行うのか

日航問題やトヨタリコール問題に象徴されるように、これまで当たり前のように信頼されていたことが一夜にして無くなることがありますが、政治の最大の目的は、国民生活の安全と安定と幸福の実現であり、この国は今、様々な矛盾を噴出しています。国民生活にとって「移動」に関することは身近で関心の高い問題ではありますが、お年寄りや体の不自由な方など「移動」に困っている方々にとっては本当に大きな問題です。国の方針により、現在、全国で安いタクシーが運賃値上げを強制され、次々と値上げを余儀なくされていることを前原大臣はご存知でしょうか。
タクシーは公共交通機関の中で唯一ドア・トゥ・ドアのニーズに応えることができるため、超高齢化・少子化の進む我が国ではこれからますます重要な役割を担います。人間の持つ、自分の自由に行きたい場所へ行ける「移動する権利」を実現できるのはタクシーです。そのタクシーが安心して利用できなくなれば、一体どうなるでしょうか。

前原大臣はMKタクシーの
社会的評価をご存じでしょうか

昭和47年、MKタクシーでは「タクシーを市民に返す運動」とともに、飛行機や鉄道、バスに先駆けて、全国初の身体障害者優先乗車を実施しました。「タクシーは車いすの人が手を挙げても面倒だからといって止まることが無かった」という声に応えてのことです。この取組みはやがて全国の各交通機関に広がり、後の身体障害者割引の実現にもつながります。
安心して乗れること、そして安くて経済的なこと。これらは何もタクシーに限らず公共交通機関全体にとって必要とされていることですが、最も身近な存在であるタクシーにとっては必要不可欠なことです。
昭和50年代に2年ごとに繰り返される運賃値上げによって、利用者が離れ、売上が下がり、一体誰のための値上げであるのかという問題意識のもと、MKは値上げに反対し、当時の運輸省、他事業者、学者、労働組合の四面楚歌に陥りましたが、利用者の声を信じて行政に立ち向かい、昭和60年には運賃値下げ裁判によって「同一地域同一運賃は独占禁止法違反」という司法判断によりMKは歴史的な勝訴を得ました。
その後、控訴審で国と和解しましたが、その和解条項には「運輸省はエムケイがタクシー事業の活性化及びこれによる利用者利便向上に対し果たしてきた役割を評価する」と明記されました。
このような企業姿勢を通じてMKは社会全体に評価され、平成3年には天皇皇后両陛下をお迎えした京都での「全国植樹祭」におきまして、民間であるMKタクシーが公用車に変わって全ての送迎に利用していただきました。平成13年には日経流通新聞の全国ブランド想起調査の交通部門において、タクシー会社として唯一選ばれました。

松下幸之助氏の商売人の教えは
松下政経塾でも連綿と継がれている

MKの経営思想の原点は、お客様に「ありがとうございます」の挨拶を徹底することにあらわれるように、経営の神様であり、私が最も尊敬する経営者である松下幸之助氏の「商売は前垂れ方式だ。頭を下げなさい」という考えにあります。また、氏の「質が高く安い商品を作って消費者が喜べば会社も喜び、そして国が発展する」という消費者・生産者・国の三方よしの哲学でもあります。
前原大臣は、京都出身の政治家であり、京都市民の代表であります。MKタクシーが京都において市民に貢献し、タクシー改革に努めてきた歴史をよくご存知のことと思います。そして前原大臣は松下政経塾で「商売は前垂れ方式」という松下幸之助氏の思想を学ばれました。
私は、昭和57年に東京の帝国ホテルで行われた第55回全国経営者大会で、講師としてMKタクシーのサービスと経営の実践について講演させていただいたところ、私の拙い話を関係者の方がお聞きになったのか、後日松下電器産業様から役員幹部の前で話を聞かせてほしいというご依頼が舞い込みました。弟子が師の前で説法するようなものであり恐縮の至りではありましたが、MKの精神の原点が松下幸之助氏の経営哲学にあること、タクシーをもって社会貢献することが私の使命であることをお話しさせていただきました。その後もご縁が続き年々松下の工場責任者の方や、労働組合幹部の方へお話しをさせていただき、MKまで会社見学に御越しいただくこともありました。
昭和60年には、私は松下政経塾に講師として呼ばれ、日本の将来を担って立つという志を持つ方々に、労働の尊さとタクシーを通じて社会貢献することの大切さを共感していただきました。PHP研究所からもお声掛けをいただき何度かお話しをさせていただきました。その場で感じたことは、松下幸之助氏の哲学を通じて皆様の熱い思いは、いつの時代でも色褪(あ)せない普遍的価値であるということでした。特に現在のような日本国民全体が逆境と困難に立ち向かわなければならない時代に、社会を勇気付けることができる思想が今も脈々と生き続けることは、氏の先見の明にただただ頭が下がります。

衆院選初当選への協力は
国のため市民のための思いから

昭和60年に松下政経塾でご講演させていただいたことがご縁となり、松下幸之助塾長からは、「将来松下政経塾出身者が選挙に立候補することがあれば応援してあげてほしい」と願われました。そのため、平成5年の衆議院選挙の際には、京都から立候補する松下政経塾出身者である貴殿を応援するため京都の選挙事務所を訪問し、貴殿と貴殿のお母様にお会いしたことが先日のように思い出されます。国民のため、市民のため、お客様のため、松下の思想を受け継ぐ人であれば、必ずや国民や市民の味方となってくれると確信していたのです。その後もMK労働組合を中心に貴殿を応援し続けてきました。私たちが前原大臣を応援したのは、国のため、ひいては市民のためです。
そして今、タクシー運賃を値上げすることが国のため、市民のためになるというのであれば、甘んじて受け入れます。しかし、必要のない値上げはタクシーを必要とされている方々を困らせることです。これは一体誰のための値上げなのでしょうか。前原大臣におかれましてはもう一度松下幸之助氏の原点に立ち戻り、国のため、市民のために賢明な判断をされることをお願いいたします。


(左)ブランド想起調査交通部門でMKタクシーが3位に/(中)平成3年「全国植樹祭」でMKが送迎を担当/
(右)松下政経塾での講演の様子

MK新聞 2010年(平成22年)3月1日発行 第759号 1面

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タクシー再規制について 第34回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(34)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

このままでは全国から「安くて」「良質」で
お客様から「選ばれる」タクシーが無くなる!!

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

不平等な最高乗務距離規制
安いタクシーは値上げさせられる

昨年10月にタクシー特措法が施行され、2002年の自由化から一転しタクシーは再規制され増車や新規参入が認められず、運賃についても自動認可運賃の幅を10%から3〜5%へと狭め、低額運賃の審査は厳格化されることとなりました。
さらに大都市部における日勤勤務者の1日の「最高乗務距離規制」が設けられたため、定められた労働時間内であっても、距離オーバーしないように途中で営業を終えて帰らざるを得なくなります。
すでに大阪の500円個人タクシーが近畿運輸局による値上げの行政指導に従い、法人のワンコインタクシーに対しても同様の判断が迫られています。
お客様に選ばれて実車率が高く、結果として走行距離が伸びるタクシーにとっては、このままでは営業に支障をきたします。
特に近畿運輸局は全国のなかでも最も短い250q、全国で唯一高速道路を完全除外しないという、特に厳しく不平等と言わざるを得ない規制としました。走行距離を制限されて売上が減少すればその分値上げをすればよい、と考えているのでしょうか。そうであれば全く利用者や事業者の創意工夫を無視した考えであり、この流れが関西から全国へ波及すれば、全国から安いタクシーがなくなる恐れがあります。

乗車拒否と賃金カットを助長
距離の規制はバスにもトラックにもない

この規制の問題点は、定められた労働時間内で多くのご予約を頂き、最大の生産性を上げるべく創意工夫を重ねてきた長年の企業努力を否定することです。実際にお客様に選ばれ続けられれば5時間足らずで距離を超過し帰らざるを得ない例もあり、労働者にとっても「働く権利」が守られません。会社によっては8時間労働を満たさなければ就業規則によって早退扱いになることもあり、労働組合をはじめとしてドライバーの不安と不満は高まる一方です。
それ以上に問題視されるのが、労働時間に関係なく距離オーバーしそうなら、行政が「乗車拒否」の許容をしていることです。公共交通機関として、またタクシーとして最も忌避すべきことは正当な理由のない「乗車拒否」であり、タクシーの信頼性を大きく損なうことにつながります。
そもそも距離の規制は、高速道路が未整備で車の性能も低く、労働時間を守る意識が欠けていた昭和30年代前半に隔日勤務者に対して作られたものです。「神風タクシー」が社会問題化した頃のことでした。全世界的に労働は「時間」で規制されるのに、公共交通機関のなかでもなぜタクシーだけが「距離」により二重規制されるのでしょうか。走行距離と規制の必要性(安全・事故)の関係性には、もっと合理的な説明が必要です。
駅待ち、流し、無線予約など会社のスタイルにより、おのずと走行距離は異なるものです。この走行距離規制は、お客様に選ばれた結果として走行距離が長くなるタクシーをがんじがらめにする問題の多い規制と指摘せざるを得ません。さらには走行距離を超過しないために、今まで以上に路上駐車が溢れることが懸念されます。

国土交通省は規制の撤廃を!
MKは値上げをしたくありません

このように昭和30年代前半に制定された距離規制を、タクシー事業者十把一絡げに「改悪」ともいえる形で課したことの真意はどこにあるのでしょうか。この規制によって大きな影響を受けるのは、お客様に選ばれた結果として走行距離が伸びる事業者です。これは交通ルールを逸脱したり、過労運転をさせるなど、社会のルールをはみ出してまで伸びた走行距離ではありません。利用者はタクシーを選んでいるのです。
私どもは、「交通法規」と「労働時間」を守り、「創意工夫」で利用者に「選ばれるタクシー」が、距離規制によって正常な営業が出来ないことは、「利用者利便」とそこで働く「労働者の働く権利」が損なわれると考えます。1日も早く距離規制が撤廃されて「安全で安くて良質なタクシー」が全国で活躍することを望みます。

関西大学商学部 教授 安部誠治殿

安部教授におかれましては、規制緩和見直しの立場から、国土交通省の交通政策審議会タクシーワーキンググループ委員をはじめ、タクシー事業者団体のアドバイザー的存在としてご活躍され、タクシーに対する貴重なご意見を賜りましてありがとうございます。さらに、現在はタクシー特措法による仙台、大阪、京都の3都市の特定地域協議会に学識者として参加されております。去る1月14日の京都乗用自動車協会主催の新春の集いにおいての安部教授のご講演につき、一言申し上げさせていただきます。
まずはじめに、「現状を放置していたらタクシーの質が劣化し利用者が被害を受ける」とのことですが、具体的にどのようなことが起こっているのでしょうか。規制緩和によって増車や運賃値下げが出来るようになり、サービスが多様化するにしたがってお客様はタクシーを選び始めました。そのなかで利用者に支持され選ばれる事業者は業績を伸ばし拡大することで、さらに利用者が選びやすい環境を整えることが出来ます。私どもMKタクシーは全国主要8都市で営業展開しておりますが、半分以上がお客様からの注文による予約営業、9割以上が無線営業でほとんど流し営業が出来ないという地域もあります。そのために無線設備への投資やコールセンターの運営など多額の費用をかけていますが、これも利用者がタクシーを選びやすくする工夫の1つでもあります。駅前や繁華街などに独自の専用のりばを設置し、そこに来ていただければいつでもMKタクシーに乗れるという環境を作っています。規制緩和によって、このようなサービスの充実が加速度的に高まり、利用者利便の向上や「タクシーを選ぶ」環境の整備につながることになりました。貴殿におかれましては、この私どもMKタクシーのような事例についてどのように評価されているのでしょうか。
貴殿は「車両に乗り込むまで利用者はタクシーの安全度や運転者の資質などについて判断のしようがない」「タクシーという交通手段の顕著な特性は、そのサービス要件の基本をなす安全性ならびに安心の確保が、タクシー運転者の資質に大きく依存しているという点にある」(「公共交通が危ない」安部誠治編、岩崎ブックレット、2005年)と指摘されていますが、タクシー運転者に対して接客サービスや輸送の安全に関して指導監督するべき「事業者」の存在がほとんど見受けられません。運輸行政事業者運転者利用者とあるべき関係性が、運輸行政運転者利用者と位置付けられ、運輸行政の問題(とされている規制緩和)が直接運転者に悪影響を与え、そして利用者にその結果が押し付けられるということでしょうか。日本のタクシー制度においては、個々の事業者としての経営方針や取り組みは顧みられることはありません。
このように事業者の存在を重要視しない見方は、ともすれば長らく運輸行政において続いてきた選ばれる事業者も選ばれない事業者も十把一絡げに考える「護送船団方式」的な、「お上」の発想そのものなのではないでしょうか。事業者としての創意工夫や、利用者がタクシーを選ぶ権利を価値あるものとして見なさずに、法律や規則を変えて規制を行うだけで果たしてタクシーの諸問題は解決するものでしょうか。
貴殿におかれましては、全体に網をかけるような捉え方をせず、事業者と利用者の間にどのようなことが起こっているのかにもっと目を向けていただければ幸いに存じます。

事業者は監査に向き合うことが必要
〜大阪タクシー協会の「監査の事前通告」の要望について

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明

タクシー業界紙(交通界ファックスプレス2010年1月23日号)によると、大阪タクシー協会(坂本克己会長)は近畿運輸局自動車監査指導部に対し「監査の事前通告」を要望したとの記事がありました。
現在、運輸行政による監査は原則無通告で行われ、ある日突然当局の監査官数名が営業所を訪れ、そのまま監査が始まり、法定帳票類の記載や拘束時間など労働条件に違反がないかなどを調べます。MKグループでは平成14年法改正以降、全国9社(MK観光バス滑ワむ)で合計48回の監査を受け、残念ながら管理の不行き届きで3回の車両停止処分を受けましたが、その都度、真摯に改善を図ってまいりました(文書警告7回、指摘なし38回)。よく業界では「監査に入られると必ず何か処分を受ける」と言われていますが、私どももさらなる努力が必要と考えております。
私どもは監査の有無に関わらず道路運送法や運輸規則、労働基準法の定めに基づき必要な管理を日々行うことは事業者の社会的責務であり、いつ何時当局の監査が来ようともきちんと提示出来るように努め、管理者勉強会や内部監査を実施しています。監査は日頃の管理体制を私たち国民の税金を使ってチェックしていただく機会と考えています。
この度の大阪タクシー協会による「監査の事前通告」の要望は、残念ながら一般の利用者や社会一般からみれば業界のエゴとして映るのではないでしょうか。労働時間管理や点呼執行など日頃より管理体制を確立していることが法=行政の求めることであり、重箱の隅をつつくようなきわめて小さなミスの指摘は別として、これら管理体制の確立は輸送の安全に直接関わるものであるため、当局も厳しいチェックを行っています。輸送の安全は事業者の大前提であることから、このような要望は自ら管理体制に不安がありますと告白し、タクシーの信頼性を揺るがすようなものであり、関西のタクシー業界団体を代表する大阪タクシー協会としてはいささか不見識な要望であったのではないでしょうか。
私は、MK新聞紙上にて従前より、減車の誘導政策として、行政が減車を行った事業者に対して監査を免除したり処分を減免することは、長い目で見ると事業者のモラルハザードを引き起こすと指摘してきました。事実として多くの事業者が減車しましたが、監査を避けたいという消極的な理由から減車を行った事業者が多かったのではないかと考えています。
タクシーに対する社会的信頼を築くために監査を受け入れ、監査されても問題のない体制を作ることが私たちタクシー事業者にとって必要なことではないでしょうか。

MK新聞 2010年(平成22年)2月1日発行 第758号 1〜2面

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タクシー再規制について 第33回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(33)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

地球温暖化防止にタクシーが活躍
全国事業者一丸で都市交通改革を

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

二酸化炭素25%削減のために
バスとタクシーで快適便利な公共交通を

歴史的な衆議院選挙による自民党政権から民主党政権への政権交代がなされて以降、総理や各大臣は国民の期待を一身に受け、一つ一つの行動に大きな関心が注がれるなか、分刻みのスケジュールで日々奮闘されておられることと存じます。
さらに前原大臣におかれましては航空問題やダム問題など緊急の課題が山積するなか、国民と約束を交わされたマニフェストの実現のためにリーダーシップを発揮されておられます。
今まさにこの国が変革を遂げようとしている、その最も象徴的な表れが諸外国に対して我が国の将来ビジョンを示した、地球温暖化対策における二酸化炭素の25%削減のメッセージです。
私どもは約30年前より一貫して、京都市のタクシーとバスを有機的に結合させることで安くて便利な公共交通機関を実現すれば、マイカー利用者が公共交通機関にシフトし、その結果交通渋滞問題や環境問題が緩和し、公共交通機関の収支改善にも資するという「都市交通改革」を提唱し続けております。私どもの提言が二酸化炭素25%削減目標の実現にお役立ち出来れば幸甚に尽きません。
ここに「地球温暖化防止に対する都市交通改革の提言 〜自家用車のみに頼らない社会作りにタクシーが貢献」を提言させていただきます。

タクシー市場は5.4兆円産業へ倍増
新規雇用18万人、年間所得550万円へ

マイカー走行需要の20%がバスやタクシーなどの公共交通機関へシフトし、そのうち半分がタクシー利用となれば、大幅に実車率が向上し売上が高まります。空車走行を削減するために1町丁1ステーションでタクシーミニステーションをつくり、誰もがいつでもそこにいけばタクシーに乗れる環境をつくります。その結果、タクシーは新規雇用需要を18万人分生み出しながらも、ドライバーの年間所得は全産業平均並みの550万円へと引き上げられます。
超高齢化社会に突入する我が国において、タクシーの社会的役割は今までと比べようのないくらい高まっています。タクシー事業者は萎縮することなく、今こそ積極的にタクシーの役割を拡大させていく時なのです。

全国のタクシー事業者が連携するため
運輸局、事業者団体へ申し入れ

12月初旬より京都運輸局長へのご説明を皮切りに、近畿運輸局自動車交通部長にも本提言をご説明申し上げ、国土交通省として受け入れ体制を整えていただきたい旨を申し入れております。また、12月末には厚生労働省にも提言いたしました。
実際にこの提言を実行するのは私どもタクシー事業者です。京都乗用自動車協会の会長にも本提言を協会として取り組んでいただくことを申し入れており、ここで決議されれば次は全国乗用自動車連合会にも取り上げていただき、全国のタクシー事業者が連携して都市交通改革に取り組めれば、と考えております。
国土交通省におかれましては、特に新規就業者の生活安定の面から、タクシー業務に慣れるまでの約4ヵ月程度失業手当の給付を延長できるよう関係各庁への働きかけや、公営住宅ストックの積極的な活用をお願いいたします。仮に、全国乗用自動車連合会に取り上げていただけない場合にも、私どもMKグループが中心となって実行してゆく所存でございます。

地球温暖化防止に対する都市交通改革の提言
 〜自家用車のみに頼らない社会作りにタクシーが貢献

要約および本文第2章全文掲載

要 約

●自家用車のみに頼らない社会作りのためにタクシーの活用が必要です。都市交通改革案の実現とタクシーミニステーション構想で、利用者にとって安くて便利な公共交通機関とタクシーが誕生します。
●マイカー走行需要が2割削減されると、タクシーは18万人の新規雇用需要を生み出しながら、タクシー運転者の年収は全産業平均まで引き上がり、労働環境も改善されます。
●二酸化炭素25%削減のため運輸部門のみで8175万tを削減しようとした場合、その約24%をまかなう削減を達成します。また全体の削減目標である4億2800万tの4.7%を達成します。

<民主党政権が取り組む課題への対応>

●民主党政権が課題とする、@二酸化炭素25%削減、A「移動する権利」やお年寄り・体の不自由な方の足を確保する交通基本法の制定、B国内の緊急雇用調整問題、の3つについて、タクシーを有効活用することで、それぞれの問題の解消の一助とする。
@二酸化炭素削減については、MKタクシーが30年間提唱してきたタクシーとバスの有機的結合により安くて便利な公共交通機関となれば、マイカーの削減につながり、二酸化炭素の削減効果となる。
A交通基本法については、いつでも気軽に乗れるタクシーにするための1町1ステーションを目標とした「タクシーミニステーション構想」を実践する。1〜2台駐車できるミニステーションを各町に設け、流し地域においては極力空車走行を削減する。
B雇用調整問題については、マイカー2割削減し、その交通需要の半分をタクシーに取り込めば全国27万台のタクシーを増やさずに最大で18万人の新規雇用需要が生まれる。このときタクシー乗務員の平均年間給与は全産業平均(男子)並みに向上する。

【本提言の各論】

都市交通改革案はバスが市街地、タクシーが周辺部で代行路線
○MKは昭和50年代から30年間に渡り提唱する都市交通改革案。バスは市街地でピストン運行、運行経費の安いタクシーは周辺部でバス代行路線で運行頻度を多くすることで、市民に安くて便利な公共交通を提供する。

マイカー走行需要を減らせば二酸化炭素が削減する
●平成19年度の日本の温室効果ガスの排出量は13億7400万t。京都議定書にある1990年比25%削減を目指せば、4億2800万tの削減が必要。
●平成19年度の運輸部門からは2億4900万tの排出があり、ここから25%削減しようとすると、8175万tの削減目標。
●マイカーによる排出量は1億2000万t、タクシーによる排出は430万t。
●マイカーの走行需要が2割削減されれば、2400万tの削減と考えられる。

すぐにタクシーに乗れる、空車走行を削減する全国25万ヵ所のタクシーミニステーション構想
○マイカーを所持する年間の維持費は少なくとも45万円以上。維持費が高ければマイカーを手放したいと考える人は多いものの進まないのは、便利な代替交通がないから。
○タクシーミニステーション構想として、京都市をモデルに考える。お年寄りが気軽に利用できるように市街地では約200m圏内または徒歩5分圏内に設置。山間部含む地域では1町1ステーションを基準に設置し無線配車を活用。
○京都市で3561ヵ所のミニステーション。1平方qあたり4.3ヵ所。この基準を京都市より人口密度が多い都市にはそのまま適用し、京都市より人口密度が少ない都市(県)には比率を用いて算出。全国に25万ヵ所。
○待機車両の無いミニステーションの情報をタクシー乗務員が把握出来るように、タクシー事業者の枠を超えたITSの取り組みが必要。

マイカー走行需要が2割シフトし、うち半分がタクシー使えば2倍以上の5.4兆円市場に
●パーソントリップ調査ではマイカーを持つ人の一日あたり自動車によるトリップ数1.89回とマイカーを持たない人の自動車によりトリップ数0.33回の差分1.56回がマイカー以外の移動手段に移行する。
●自動車の1トリップの平均長5q未満が45%であることから、マイカーから他の移動手段に移行した人の半分がタクシーに移ると考え、1.56トリップ÷2=0.78回の一日あたりタクシーの利用回数。全国のタクシーの輸送実績の平均実車距離は3.75qであり、0.78×365日×3.75×実車キロ当り運送収入272.7円=年間タクシー代29万1141円でマイカー年間維持費より安価。
●マイカー5700万台の2割削減すれば、1140万台×0.78回=一日889万回のタクシー乗車が増える。年間総売上にして3.3兆円の運送収入が今より増え、タクシーは5.4兆円産業になる。

新規雇用18万人でもタクシーは約550万円の全産業平均(男子)の収入
○タクシー需要を満たすために一台あたり2.4人の乗務員が必要で、現在の法人タクシーが1.6人/台なので、台数を増やさずに18万人の新規雇用が可能。5.4兆円を既存41万人乗務員とあわせた59万人の乗務員で割ると一人年間売上913万円。給与支給率60%として年収548万円で全産業平均(男子)並み。
○安定した就職のために4ヵ月程度の失業保険給付の延長など生活手当、公営住宅ストックの活用を。

タクシーを活用して2000万tの二酸化炭素削減を実現
●効率を高めて空車走行削減し実車率70%になるとすれば、タクシー全走行キロは約2倍になる。二酸化炭素排出は430万q×193%=800万t。マイカーに比べて台数の少ないタクシーにエコカーへの代替を推進すればさらに効果がある。
本提言の実現でマイカー走行需要2割削減によって2400万t削減、タクシーの走行距離増加で400万tの増加、差引2000万tの削減になる。



(T.「MKタクシーの取り組み」省略)

U.地球温暖化防止と都市交通改革

冒頭で申し上げました「都市交通改革案」について、過去の提言を紹介しながら、ご説明いたします。

1.バスとタクシーの有機的結合

(1)『市バス民営移管に関する要望書』(昭和53年発表)
昭和48年に京都市の一部地域において下水道工事のために市バスが運休となり、MKタクシーがその区間を代行運行しましたところ、利用者より大変好評でした。この経験を基に、昭和49年にタクシーのバス路線代行により地域住民に必要とされる足となる『新しいタクシー』と題した提言は各方面より大きな反響を呼び、その後京都市議会にも取り上げられました。
その後昭和53年に『市バス民営移管に関する要望書』を発表し、輸送力の大きいバスを市街地に集中させ路線も整理し、周辺部はタクシー代行路線を走らせることで市街地でも周辺部でも運行頻度を増やし利用者利便を高めると同時に、当時問題となった京都市バスの赤字の解消を目指しました。バス1台の運行経費でタクシー6台の運行経費がまかなわれます。この提言は市交通局との間に激しく論議を生みましたが、このことがきっかけで市民の都市交通に対する意識が高まりました。

市バス民営移管に関する要望書の主旨
・京都市街の道路は碁盤の目状なので一道路一路線の分かりやすい系統に整理
・市周辺部のラッシュ時以外は経費の安いタクシーが代行運行
・バスからバス、代行タクシーからバスへの乗換運賃制の導入
・専用バスレーン、急行バス、バス専用信号の設置
・入洛客のために主要観光地間を安く結ぶ観光路線タクシーの導入
・以上を市民出資による新事業体で運営を行い、市バスの赤字解消

(2)『都市交通改革に関する要望書』(昭和55年発表)
昭和55年に改めて『都市交通改革に関する要望書』を発表し、バスとタクシーの有機的結合によって、安くて便利な公共交通機関になればマイカーの削減につながり、ひいては交通渋滞の緩和や省エネルギーと公害の根絶に寄与することを訴えました。同時に都市交通改革はタクシードライバーの社会的地位向上につながることもあわせて強調しています。

都市交通改革に関する要望書の主旨
・都市交通改革の導入、市バスは赤字解消、タクシーは安定収入
・マイカーを2割削減し、京都全体で12.4万klのガソリン消費の減少
・全国で実施されれば国内消費ガソリン3613万klの半分の1800万klを節減
・交通速度が速くなり交通機関の効率が高まり交通労働者の労働条件が改善され、市民の交通所要時間も短縮
この提言は大きな市民運動としてのうねりを起こし、大学教授をはじめとする有識者の手による「京都の都市交通懇話会」が発足し、市民への講演活動やシンポジウム、交通行政関係者との討論などが行われました。「毎月1日は市バスに乗ろう」運動は市長や府知事もが協力し多くの市民に都市交通のあり方を訴えました。

(3)『京都観光業界の発展を目指して』(平成11年発表)
平成11年に、低迷する京都観光業界の活性化のため『京都観光業界の発展を目指して』を発表し、京都の観光業界が抱える問題点は@入洛手段、宿泊、市内交通費、食事、拝観料のすべてにおいて単価が高いこと、A市内交通の便が悪いこと、B寺社仏閣以外の観光資源に乏しいこと、の3点の解決のために京都観光業界が一致団結しなければならないとして、以下を提言しました。

京都観光業界の発展を目指しての主旨
・「一泊二日1万円で京都旅行に行こう」キャンペーンの実施
・入洛手段の値下げ
・外国人旅行者、身体障害者、修学旅行生の受け入れ
・100円バスの導入
・観光型乗合タクシー・観光型定額タクシーなど新しい交通体系の実施
・消費税免税もしくは免税カードの導入
・新しい観光施設の建設
この提言をきっかけに、市交通局による100円バス運行の実現につながるなど観光客へのアピールとなる成果を残し、市や関連産業をあげての観光活性化政策によって平成20年には目標とした年間5000万人の観光客を達成しました。

(4)『京都市の新都市交通体系』(平成13年発表)
タクシー、バス事業の自由化を目前とした平成13年にこれまでの総仕上げとなる『京都市の新交通体系』を発表し、バスとタクシーで分かりやすく路線を整理した幹線路線、循環急行路線、生活路線、観光路線を提言しました。これによりマイカーを1割、観光客の自家用車利用を2割削減することによって、京都議定書に定める二酸化炭素削減目標に大きな貢献をすることを訴えました。

京都市の新都市交通体系の主旨
・全路線1時間6〜8本の待たずに乗れるバス
・幹線路線、循環急行路線、生活路線、観光路線でタクシーも活用
・バス定期券は月額5000円、バス定期券でタクシー割引
・マイカー1割減、観光客自家用車使用2減で二酸化炭素削減、但しタクシーが若干増加する
・京都モデルを全国に導入、新規雇用を生み出す
MKでは実際に提言内容に基づき市内循環路線を近畿運輸局に申請を行い事業許可を取得しました。私共の路線バス事業参入表明を契機に市交通局はじめとするバス事業者や商工会議所、有識者、消費者をまじえての「京都のバス事業を考える会」が発足しました。その議論の経緯をふまえ、MK他数社がバスの赤字路線をタクシーで代行運行する実証実験へ参加することとなりました。
私共が受け持った路線では従来1時間に1本であった運行回数を約2倍としたことで約1年半のうちに利用者が1.5倍に増える実績を残し、これまで提唱してきた都市交通改革案を実践し結果を残したのです。

(5)『都市交通改革が目指すもの』
私共の都市交通改革案は、バス事業とタクシー事業の垣根を越えて有機的に結合すれば、安くて便利で快適な公共交通を市民に提供することが出来て、維持費のかかるマイカーに頼らず暮らせる社会作りを目指しています。その結果として交通渋滞や環境問題が緩和され、ドライバーの労働環境や交通事業者は経営安定化にもつながります。
もちろんバス、タクシー以外にも鉄道や地下鉄、さらには船舶や航空などその地域において連携できる公共交通機関が多ければ多いほど効果は高まります。

2.地球温暖化防止のために

(1)京都議定書
平成9年に採択され平成17年に発効しました京都議定書において日本は1990年(平成2年)対比6%の温室効果ガスの削減目標を掲げました。基準年での排出量が12億6100万tですので6%削減の11億8600万tが目標数値となります。しかしながらその後も我が国の二酸化炭素排出量は傾向として増え続け、環境省の直近のまとめによると平成19年度の排出量は13億7400万tと増加しており、仮に平成19年度の排出量で比較すると目標達成のために1億8800万t、13.7%の削減が必要となります。排出権取引や森林吸収減対策などの間接的な排出量削減を除くと、1億2000万t、9.6%の国内の生産消費活動全般からの直接的な排出量削減目標として考えられています。
この度鳩山総理が打ちたてられた基準年比25%削減であれば、目標値9億4600万t、仮に平成19年度の排出量で比較すると目標達成のために4億2800万t、31.2%の削減が必要となります。この大きな目標に対して前述の「都市交通改革案」が果たす役割を提案いたします。

(2)運輸部門の二酸化炭素排出量
平成19年度の温室効果ガス排出量についての環境省の発表によると、13億7400万tの温室効果ガスのうち、二酸化炭素が13億400万tとほとんどを占めます。そのうち、排出元をエネルギー起源である5部門と非エネルギー起源の3部門の8部門に分けたとき、運輸部門(自動車・船舶等)は2億4900万t、19.1%を占めます。
仮に基準年比25%削減について、排出権取引や森林吸収減対策などの間接的な排出量削減を考慮せず、直接排出量のみで4億2800万tの削減を行おうとするならば、各部門の排出量から単純に按分すると、8175万tを運輸部門で削減しなければなりません。
さらに運輸部門の内訳として、マイカーによるものが7780万t、社用車等によるものが4230万tです。最も排出量が多いのは貨物車・トラックによるもので8850万tですが、マイカーは2番目に多い排出量です。タクシーは430万tです。
このようにみると運輸部門においてはマイカーと社用車等が二酸化炭素排出の約半分をしめており、ここに対して効果的な削減が求められています。

(3)都市交通改革案による二酸化炭素削減効果
私共の都市交通改革案はバスとタクシーの有機的結合により安くて便利な公共交通機関を作りマイカー利用者をシフトすることが目的です。
平成13年に発表した『京都の新都市交通体系』の考えにもとづき、全国でこれを実践すれば自家用車をバス・タクシーにシフトすることが出来ます。平成19年3月末における自家用車の保有台数は全国で約5700万台ですので、約570万台の削減になります。自家用車1割の削減という数値をそのまま前述のマイカー及び社用車等に当てはめると、1億2000万t×10%=1200万tの削減。一方で地域の生活路線を網羅するためにタクシーは若干増加します。同提言においてタクシーはその地域の台数の約14%増車となります。430万t×0.14=60万tの増加。よって差引1140万tの二酸化炭素の削減になります。
これは先ほどの仮定ではありますが運輸部門のみで8175万tの二酸化炭素を削減しようとした場合に、その約14%をまかなう削減量にあたります。また全体の削減目標である4億2800万tの2.7%にあたります。
このように地球温暖化防止のために運輸部門として取り組まなければならないこととして、都市交通改革の有用性についてご理解いただければ幸いに存じます。

(4)国内の課題対処のキーワード
国土交通省は、京都議定書に定める目標の達成のために、自動車・道路交通対策、公共交通機関の利用促進、物流の効率化など総合的な対策を推進しています。
環境負荷の小さい交通体系の構築として、公共交通機関の利用を促進し、従来自家用車を利用していた旅客をより環境負荷の小さい公共交通機関にシフトすることで、自家用車の走行距離を削減する取り組みです。
しかしながらこの政策の対象としてあげられている交通機関は鉄道とバスとLRT(次世代型路面電車システム)のみであり、残念ながら公共交通機関の一翼を担うタクシーは含まれていません。確かに旅客輸送機関の二酸化炭素排出原単位(1人を1q運ぶ際の二酸化炭素排出量)を比較すると、自家用乗用車に比べて鉄道やバスや航空は数分の1の二酸化炭素排出量である一方で、タクシーは約2.3倍の排出量があり、現状では二酸化炭素排出効率の悪い交通機関と認識されているのかもしれません。ならばこそタクシーは輸送面でも環境面でも公共交通機関としての役割を今以上に果たすために、空車走行を減らし、実車走行を増やし、乗合タクシーを認めるなどの効率を高める取り組みを行わなければなりません。
現在鳩山政権が国内課題として掲げる二酸化炭素削減問題、移動する権利やお年寄りや身体の不自由な方のための足を確保するための交通基本法の制定、緊急雇用調整問題について、タクシーを活用し公共交通機関の一つとして明確に定義付けすることがその解決の糸口となると私共は考えます。如何にしてタクシーを活用することでマイカーの走行距離削減からこれらの諸問題への対処となるか、次章より説明致します。

3.タクシーの新しい活用方法

(1)マイカーからの転換の可能性
マイカーの削減を進めるためには、マイカーを所有する方がどうすればマイカーを手放してもよいと考えるかをよく検証し、ニーズにあった代替交通を提供しなければなりません。
『市バスの民営移管に関する要望書』『都市交通改革に関する要望書』を発表した昭和50年代に、弊社が地域住民の方に行ったアンケートでは、「便利な交通機関さえあれば自動車を持ちたくない、持たないでもよい」と考える人は全体の約20%いました。既存の交通機関が不便なためにマイカーを持たざるを得ず、京都のような土地ではマイカーを所有する経済的な負担も高いもので、そのことは昔も今も変わりません。
国土交通省中部運輸局が国土交通行政インターネットモニターに対して行った平成20年度の公共交通利用の意識調査において、通勤等にマイカーのみを利用している人のうち利便性や経済性などの条件が整えば、64%の人が公共交通への転換を可能と回答しました。
情報流通支援サービスのオークネット社が平成20年8月にインターネットで30代の男女を中心に行った、マイカーの維持費に関するアンケート調査では、「車に使う費用は月にいくらまでなら今後も車に乗り続けられるか」という質問に対して、月に2万円までとする回答者が40%、月に1万円までとする回答者が28%ありました。月に2万円以上維持費がかかればおよそ7割の方が車を手放すことを検討するというのです。
一方で年間の維持費については、ガソリン代のようなその都度目に見えて使用金額が意識されるもののほかにも、任意保険、自賠責保険などの保険代、自動車税や自動車重量税などの税金、車検などの法定点検費用など必ず必要な費用があります。これらをあわせると平均年間20万円とされています。その他にも駐車場を借りる場合は毎月の駐車場代、車両購入費用そのものもあります。駐車場代がかからない人で車両代も入れると年間コストは年間平均45万円で月間約3万8000円です。駐車場代が必要な人はさらに月々のコストが上乗せされます。前述のマイカー維持費のアンケートを参考にするとほとんどの方がマイカーを手放したいと考えるように思えます。
それでは何故実際には高い維持費をかけているにもかかわらず、それほどマイカーを手放す方が少ないのでしょうか。マイカーが便利で日常の通勤の足や買い物や病院への移動として使用している人もいれば、休日のレジャーや買い物を中心に使用している人もいます。一方で公共交通機関がないことによりやむを得ずマイカーを所持している人もいます。高齢者の方の運転免許証の返納が都市部以外でなかなか進まない理由として、マイカーを手放してしまうと日常の買い物や病院への移動手段がなくなってしまう、ということが言われています。
そのため私共は日常的な移動需要でマイカーの代替になるような便利で安い交通機関があれば、マイカーでの走行距離が減る人やマイカーを持たなくて済む人が増えると考えます。前述のバスとタクシーによる都市交通改革案もそのひとつです。
さらに私共は、タクシーの公共交通機関として役割を今こそ定義付けるべきと考えます。
・長距離輸送は航空、鉄道
・大量輸送に適した中距離、拠点間輸送はバス
・ニーズに応じたピンポイント輸送、バス停などの拠点からのフィーダー(枝葉)輸送、バス空白地域の乗合輸送はタクシー
このように各公共交通機関がそれぞれの強みを活かしながら互いを補完しあう交通体系を確立すれば、利用者にとっても「自家用車に頼らない社会作り」のためにはタクシーの位置付けが明確となり、利用者の関心もタクシーのあり方に注がれることでしょう。

(2)いつでも気軽に乗れるタクシー
タクシーに対する利用者の不満は、「必要なときに乗れない」「値段が高い」という点に集約されます。
駅前や繁華街にはタクシーが列をなし渋滞を引き起こしているにも関わらず、住宅街や少し市街地中心部から離れるとなかなか空車のタクシーを見つけることは出来ません。そのためにマイカーを所持せざるを得ないという悪循環を生み出しておりますし、自ら運転できないお年寄りや身体の不自由な方のための移動には家族が運転するかタクシーを利用するしかありません。一人住まいのお年寄りの方であれば、外出の機会が少なくなれば徐々に寝たきりになってしまうおそれがあります。
私共は手すりやエレベーターや低床設備など物理的なバリアフリーに加えて、誰もが移動したいときに移動できる権利を大切にするという「交通バリアフリー」という考えのもとに、ドアトゥドアの公共交通機関であるタクシーが究極の交通バリアフリーを実現する役割を担うものであるという考えを持ち、お年寄りや身体の不自由な方には親切に応対するという基本を徹底し、GPS無線配車による迅速なお迎えや、他社より安い運賃で少しでも値段を気にせずに気軽にご利用いただけるタクシーを提供しています。
前述したタクシーの役割としてあげた@ニーズに応じたピンポイント輸送、Aバス停などの拠点からのフィーダー(枝葉)輸送、Bバス空白地域の乗合輸送について、ABについては前章の都市交通改革案で説明しているとおりで、加えてBについては全国で取り組み事例があります。ここでは@の従来からメインとなっていたタクシーの役割をより便利に利用出来る方法について検討します。

(3)タクシーミニステーション構想

a)各町に設置
「必要なときに乗れない」という不満を改善するためには、流し営業や駅・繁華街での付け待ち営業主体の今のタクシーの営業スタイル全般を見直す必要があります。これは利用者の多いところで稼がなければ仕方ない、という事業者とドライバーの立場としての考え方であり、その結果として交通圏全体でタクシーが供給過多と言われながらも細かくみれば空白エリアを生み出しています。タクシーを公共交通機関として位置付けるのであればもっと利用者主体で考える必要があります。
この度提案しますのは、必要なときに乗れるタクシーを実現するために各町単位に1〜2台駐停車することの出来るタクシーミニステーションの設置です。利用者が歩いて行ける距離にいつでもタクシーがあれば利用者は安心して外出の計画を立てることが出来ます。
タクシーは1回の営業が終了するごとに最寄のタクシーミニステーションに移動し次のお客様を待ちます。これによって無駄な空車走行を抑制します。最寄のタクシーミニステーションにどれだけの空車タクシーが待機しているか認識するために、現在多くのタクシー会社が導入しているGPSシステムを活用します。平成20年3月末現在、全国で1643施設、11万7157台のタクシーにGPSが装着されており、これは全国27万3529台あるタクシーの約43%であり、今後も普及率は高まることと考えます。

b)京都市でのモデル
例えば京都市では、現在11区6203町あり、単純に1町1つのミニステーションを設置すると6203ヵ所必要となります。ただし、中には面積が狭い町や人口密度の低い地域もあるため、そのような場所も考慮すべきです。
まずは市街地域と山間部の2つを定義します。山間部は@左京区大原・鞍馬・久多・花脊・広河原、A北区大森・真弓・雲ヶ畑・杉坂・中川・小野、B西京区松尾の一部(嵐山)・大原野の一部、C右京区梅ヶ畑・嵯峨清滝・嵯峨愛宕山・嵯峨越畑・嵯峨樒原・嵯峨水尾とし、その面積が約324平方q(概算)、町数は229。その他の地域を市街地域とし、その面積約286平方q(概算)、町数は4742。平成の大合併によって編入された旧京北町(1232町、約218平方q)は京都市の山間部を基準とします。
 ミニステーションは1町1ヵ所を基準とします。しかし、市街地のような人口密集地においては1町の面積が0.02平方q以下(およそ半径80mの円)ということもあり、そのため市街地では「お年寄りの方がタクシーを乗るために歩くことができるであろう距離」として「市街地であれば200m、およそ5分圏内」を想定し、一辺300mの正方形が隙間なく並ぶ碁盤目状のモデル(面積ベース)を考えました。正方形の中心にミニステーションを設置すると、ミニステーションから最も離れた地点が正方形の角(=交差部)であり、直線距離は約212mとなります。先に述べましたとおり、市街地の面積286平方qから一辺300mの正方形の面積(=0.09平方q)を除すると約3178ヵ所のミニステーション設置が必要となります。
一方山間部とした前述の@〜Cの右京・左京・北・西京区の各町では人口密度の低い山間部地域があるため、1町1ステーションの基準を用います。そうすると229ヵ所の設置が必要となります。この山間部の1ミニステーションあたりの面積が1.41平方qであり、これを旧京北町に適用すれば154ヵ所の設置になります。以上を合計して京都市では合計約3561ヵ所のミニステーションの設置が必要となり、これが達成されると1平方qあたり4.3ヵ所のステーションが確保できます。

c)全国での適用
また京都のモデル例を全国に適用してみます。本提言では分かりやすく考えるため、政令指定都市及び特別区とそれ以外の地域(非政令指定都市・本提言では都道府県のレベルまで考慮)とに分けて考えます。
京都市の水準(面積829.9平方q、約147万人にステーション3561ヵ所)では面積ベースに考えると、ステーションの数は1平方qあたり約4.3ヵ所となります。しかし、この基準のみを用いると、例えば札幌市を除いた北海道であれば33万2400ヵ所ほど必要となり、この場合だと1ステーションがカバーする人口は約11人となってしまいます。そこで、京都との人口密度の比率を考慮します。例えば人口密度が京都市の半分(886.15人/平方q)となれば、1平方q当たりのステーション数も半分(2.15ヵ所)となるように考えます。
つまり、当該地域の人口密度に合ったステーション数を確保できるようにするので、当該地域の人口密度を京都の人口密度約1772人/平方qで割った数値を掛けます。札幌を除く北海道の人口密度は47.2人/平方qなので、京都市との人口密度の比率47.2人/平方q÷1772.3人/平方q=約0.027となり、前述の33万2400ヵ所と0.027を掛けると、必要ステーション数は約9000ヵ所となります。これにより京都市よりも人口密度の低い7都市43道府県では21万2069ヵ所の設置となります。
一方で、京都市よりも人口密度が高い場合、人口密度が高くなるほどステーション数は多くなりますが、都市によっては1平方qあたり十数ヵ所以上というようにステーションの過剰設置の可能性がありますので、その場合は京都市の基準である1平方qあたり約4.3ヵ所のみを用います。例えば横浜市であれば、面積437.38平方q×約4.3所=約1880ヵ所となります。この場合、1ステーションがカバーする人口が京都市412人に対し、横浜市1941人と4.7倍ほどに増加しますが、それは回転率の優れたのりばであるといえます。また、これにより京都市よりも人口密度の高い11都市3都府県では3万7393ヵ所の設置となります。
以上の計算を行いますと、全国で25万3023ヵ所のミニステーションが必要となり、これだけのミニステーションを設置することにより乗りたいと思った時にいつでもタクシーに乗れる環境を整えることができます。
なお、全国の町丁数は2005年国勢調査においては約24万件とされておりますが、重複などを整理した財団法人国土地理協会の住所マスター「全国町・字ファイル」掲載の町丁数(大字町丁目数)では約18万件とされております。これにより政令都市以外では平均して1町につき1ヵ所以上のステーションの設置になると言えます。

d)見直しを絶えず繰り返す
すべてのミニステーションは運用しながらよく利用される箇所へと絞り込んだり移設したり絶えず検討していく必要があります。
地方においてはミニステーションまで歩くよりもGPS無線配車でタクシーを呼んだり、デマンド方式の運行を行ったり利用者にとって便利な方法をとります。ミニステーションの設置については空車走行の削減という目的を共有し、警察や道路管理者など交通行政との連携が必要です。また市役所や郵便局や交番などまずは公共施設への設置からはじめ、徐々に民間施設への設置を進めます。
タクシーミニステーションには一目で空車待機車両が分かる表示灯を置くくらいで特別な設備投資は必要ありませんが、交通の妨げにならないように最大駐停車台数を例えば2台までと制限して歩道をミニステーション化する整備が必要です。
逆に駅や繁華街などの需要が多い場所では現状の収容台数としますが溢れ出る空車車両を制限し、他のミニステーションに移動できるように適切な情報を提供します。国土交通省が推進するITS(高度道路情報システム)と総務省管轄のタクシーのデジタル無線が融合すれば、多くの情報を提供出来ます。どのステーションに何台タクシーがあるか各事業者の枠を超えて情報の収集と提供を行うためのソフトウェア開発は必要になってきます。ミニステーションでの待機車両数はルールを遵守し、地域住民や他の交通に迷惑をかけることのないようにしなければなりません。
空車タクシーであふれかえる駅前タクシープールの整理のための補助金事業を国土交通省が各地で行っておりますが、この主旨をご理解いただきタクシーミニステーション構想について国と事業者が協同して取り組んでいただきますようお願い致します。
タクシーの実車率は全国的に見て地域差はありますが平均で40%前後です。半分以上を空車で走行しており、本構想で都市部の流し地域のタクシーの空車走行距離を削減することが出来れば、タクシー・バスで排出する年間の二酸化炭素も消費燃料も削減することが出来ます。
なお、現状であっても配車効率を高めた事例として、神戸MKの大型タクシー(エスティマ)を紹介します。効率的な無線配車によって流し地域でありながら実車率が約60%、一稼働平均売上は昼勤で3万2964円、夜勤で4万3550円、昼夜平均3万8337円です(平成21年10月度)。

(4)新規雇用需要
全国のタクシーは平成20年3月現在、法人7015社、車両数22万7873台。個人タクシーは4万4769人・台あり、合計すると5万1784事業者、27万2632台あります。全体の運転者数41万494人のうち法人の運転者数は36万5725人ですので、法人タクシーの1台あたり運転者数は1.6人です。
公共交通機関としての役割を担うために24時間365日タクシーを稼動させることを目的に、私共MKグループでは休日などを勘案して1台あたり2.4人の割合でドライバーが居ます。
都市交通改革とタクシーミニステーション構想とタクシー運賃値下げの実行でタクシーの役割が飛躍的に高まれば、全国の法人タクシーで54万6895人の受け入れが可能であり、タクシーを増やさずに最大で18万1170人の新規雇用需要が発生します。
昨年12月に私どもは全国のMKタクシーで緊急一万人雇用創造を打ち出しました。しかしながら本年10月のタクシー特措法施行のために増車することができなくなり、それだけ多くの人員の受け入れが出来なくなりました。昨年12月より本年10月までMKグループ8社では、1645人の乗務員採用を行いました。
この度の提案は私共だけではなく全国のタクシー事業者、運輸行政、労働行政がともに手を携えて行うべき政策なのです。
タクシードライバーという職業に就こうとすれば、二種免許の取得のため自動車学校で約2週間、入社後に道路運送法に定められた新人教育期間として約2週間、そして営業に出てから3ヵ月程度はタクシー運転業務に不慣れなために通常より売上が低く所得も低くなります。これら約4ヵ月の期間に対して失業保険の延長給付、教育訓練や再就職にあたっての生活基盤確保のための手当の検討をお願い致します。安定した就職のためには公営住宅ストックの弾力的な活用も必要です。

(5)タクシーの現状
これまでタクシーは不況になると労働人口が増える、雇用の調整弁だと言われてきました。しかしながらそのことによってタクシードライバーという職業の社会的地位は低く受け止められ、私共はタクシーであっても社会から信頼される存在になろうと、挨拶運動やサービスの徹底など社員教育に大きな力を入れてきました。
厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査において全産業平均(男子)の年間賃金に比べてタクシー運転者は約4割低く、平成20年では全産業平均(男子)550万円のところタクシー運転者は325万円です。この度の提言では都市交通改革を通じてマイカーからバス・タクシーへのシフトをはかると同時に、新規雇用需要を生み出しながら今より売上を高めてタクシー運転者の社会的地位を向上させることが目的であり、ひとつの社会変革を起こすのです。
タクシーの業界団体である全乗連(全国乗用自動車連合会)が詳細に集計した平成20年度の全国の全乗連加盟会社の輸送実績の集計では、年間走行キロ102億7854万6432q、実車キロ41億4001万3109q、実車率40.3%、実働1日1車あたり輸送回数20.0回、実働1日1車あたり走行キロ186.5q、年間総収入1兆5599億6519万8000円、実車キロ当たり運送収入376.8円、1回乗車あたり実車キロ3.75qとなります。
全国の大部分の会社が加盟しておりますが非加盟会社もありますので、この全乗連のデータからは、実車率、実車キロ当たり運送収入や1回乗車あたり実車キロなど単位当たりの数について使います。また全国のタクシーの総運送収入については国土交通省が集計発表しており、年間総収入2兆867億円、総走行距離148億5430万3000qとしています。

(6)マイカーをタクシー利用に置き換える試算
国土交通省が行う人の移動に関する調査であるパーソントリップ調査によると、マイカーを所有する人の平日の代表的な移動手段は自動車が約7割、鉄道・バス・二輪車・徒歩などのその他手段が約3割です。また、トリップ数においては、一日のうち自動車での移動する回数と、それ以外の方法での移動する回数は、自動車で1.89回の移動、その他の方法で0.69回の移動、あわせると一日のうち一人の人間は2.58回の移動を行うという調査結果があります。一方でマイカーを所有しない人は、自動車による移動0.33回、それ以外での移動1.69回、合計2.02回の一日一人当たりの移動回数です。マイカーを所有する人の方が所有していない人よりも移動数が多いことが分かります。
マイカー移動から代替交通に変更する場合、このとき半数の方はタクシーでの移動に、もう半数の方はその他の方法に切り替えるとすると、マイカー所有者のトリップ数の合計2.58回は変わらずに自動車による1.89回の移動がマイカーを所有しない人と同様に0.33回となり、差の1.56回分の移動をタクシーと、それ以外の方法で半々にしますので、タクシーによる移動0.78回、それ以外の方法1.47回になると考えられます。
ここで前述しましたように、利用者が使いやすいように実車キロあたり運送収入を272.7円としますと、マイカー利用者にとっての年間のタクシー代は、0.78トリップ×3.75q×272.7円×365日=29万1141円であり、これは前述のマイカー維持費に比べると安く、マイカーからタクシーへシフトする理由になり得ます。
なお、国土交通省の平成11年道路交通センサスによると、乗用車のトリップ長は5q以下で約45%を占めていますので、半分がタクシーに切り替えると考えました。
ここで私共がかつて調査したアンケート結果から、マイカー20%削減するとしますと、5700万台×20%=1140万台が削減され、その1140万台分のマイカー所有者の移動需要をタクシー需要に換算します。一日一人あたりのタクシーによる移動を0.78回と算出しましたので、単純に1台1オーナーと考え、1140万人×0.78トリップ=889万2000回分の乗車が一日のタクシー需要に置き換わります。すると増加した需要は年間で、889万2000回×3.75q×272.7円×365日=3兆3165億8023万1129円の年間の増収になります。
既存の約2兆円の年間総収入とあわせて、5兆4032億8023万1129円の年間総収入になります。タクシーは2兆円産業から5兆円産業へと成長するのです。

(7)タクシー運転者の収入の安定
それではタクシー運転手の年収はどのように変化するでしょうか。マイカーからタクシーに転換する移動需要を満たすために、タクシーには新規雇用需要が生まれ現在のタクシー台数を増やさずに約18万人の雇用需要が生むことが出来ます。既存の41万人と新規の18万人で合計59万1664人になります。
平均的な会社の賃金分配率を参考に運送収入の60%がタクシー運転者の給与とすると、(5兆4032億8023万1129円×60%)÷59万1664人=547万9407円が一人当たり年収となり、これは全産業平均(男子)と同等の年収です。運送収ベースであれば年間運送収入913万234円、月間運送収入76万1028円と、売上がトップクラスの夜勤ドライバー並みといえるでしょう。
また、一人ひとりの働き方を考えてみますと、1勤務あたりの時間の長い隔日勤務はすべて昼勤、夜勤の日勤二交代制へと集約され、1稼働あたりの走行距離は180qに、勤務日数も平均的な産業に近付けて年間269日労働日数に、月22日勤務とすれば一稼働平均売上3万4592円です。ハイヤー並みの実績です。
一人当たり年間走行距離は4万8420q、一人当たり年間運送収入913万円を実車キロ当たり運送収入272円で割ると年間実車キロは3万3489qで、一日当たり実車キロは124q、よって実車率は69.2%です。非常に高い実車率となりますが、利用者が増えることとタクシーミニステーション構想によって空車走行距離を大幅に削減するからこそなし得ます。このように労働条件を飛躍的に改善することができるのです。本試算の前提として一日当たり実車キロを376.8円から272.7円へとしましたが、マイカーからシフトする利用者がいれば、今より売上が高まるのです。

(8)二酸化炭素の削減
本論は、都市交通改革、タクシーミニステーション構想を実現した場合に、マイカーがあわせて20%減少し、その移動の受け皿として主としてタクシーが活躍すれば新規雇用が生まれ今より価格を下げたとしてもタクシーの労働環境は改善し、そして二酸化炭素の削減となるという提言です。仮にマイカーを所持したままであってもタクシー、バスなどの代替の公共交通機関をあわせて使用することでマイカーでの走行距離が20%削減すると考えてもよく、あわせて「マイカー走行需要の削減」と捉えます。
マイカーの走行需要20%削減により1億2000万t×20%=2400万tの削減になります。一方で新規運転者採用により車両の稼働率が高まれば二酸化炭素排出は増えます。運転者増加後の年間総走行距離は、59万1664人×4万8420q=286億4837万880q前述の運転者増加前約148億qと比べると、193%の増加です。タクシー部門で排出していた430万tの二酸化炭素が830万tとなり、400万t増加します。
よって差し引きは、2400万t-400万t=2000万tの削減効果があります。運輸部門のみで8175万tの二酸化炭素を削減しようとした場合に、その約24%をまかなう削減量にあたります。また全体の削減目標である4億2800万tの4.7%にあたります。
各メーカーで開発が進むハイブリッドカーや電気自動車などの次世代のエコカーを全国5700万台ある自家用車に先駆けて全国27万台のタクシーへの代替えを国が率先して推進すれば、より少ない投資で二酸化炭素削減にさらなる効果が表れます。

まとめ

●自家用車のみに頼らない社会作りのために、タクシーの活用が必要です。
●都市交通改革案の実現とタクシーミニステーション構想で、利用者にとって安くて便利な公共交通機関とタクシーが誕生します。
●マイカー走行需要が2割削減されると、タクシーは18万人の新規雇用需要を生み出しながら、タクシー運転者の年収は全産業平均まで引きあがり、労働環境も改善されます。
●運輸部門のみで8175万tの二酸化炭素を削減しようとした場合に、その約24%をまかなう削減量にあたります。また全体の削減目標である4億2800万tの4.7%にあたります。

タクシーを成長産業へと変換できるのであれば、公共交通問題だけでなく環境問題にも大きな一歩となるのです。
タクシーとバスが活用され、安くて便利な公共交通機関として利用者に喜ばれ、タクシーは売上が向上し現在タクシーが抱える諸問題は解決され、新規雇用需要を生み出したうえで労働環境は今より大きく改善し、タクシー運転者の社会的地位向上につながり、さらにはマイカーの走行需要の減少によって二酸化炭素の削減が実現します。

おわりに

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
二酸化炭素削減のための取り組みとして都市交通改革としてのみ考えた場合、もちろん地域ごとに現状でのバスのあり方、タクシーのあり方も異なりますので、そのまま当てはまることは無いかも知れません。また今の日本経済が自動車産業を中心にあると言っても過言ではなく、自家用車の削減は短期的には国益に反することになるかも知れません。それでも公共交通という社会インフラの利便性向上と都市の抱える交通渋滞問題・公害問題の緩和につながるのであれば、苦労を厭わずに成し遂げていきたいと私共は考えております。都市交通改革はひとつの社会改革と確信しております。
この度鳩山総理が基準年比25%削減を打ち出された姿は、地球温暖化防止という未来の子孫のために地球規模的な観点から問題提起をされたことであり、閉塞感に覆われた我が国が一時的に苦難の道を歩もうとも、より良い未来に向かって進もうとする全世界への決意表明であると思います。その姿を重ね合わせ、前原大臣であれば私共の都市交通改革の目指すところについてご理解いただけるものと信じてやみません。
タクシーは最も小回りの利く公共交通機関であり、唯一のドアトゥドアでの移動を可能としますので、3人の1人で高齢者を支える高齢化社会の我が国において高齢者の方の外出のお手伝いが出来るタクシーの社会的役割はますます高まります。鳩山総理が提唱される「友愛社会」においては、まさに子供からお年寄りまで全ての国民の幸福を育むために一人一人を大切にする政治のあり方を基本とされると思われます。そのためには大量輸送機関である鉄道や航空以上に一人一人のニーズに応じた対応が可能なタクシーという公共交通機関の最小単位が、もっと利用者から信用され社会的地位を向上させなくてはなりません。
民主党政権として今まさに交通基本法の制定によって「移動する権利」を守りお年寄りや身体の不自由な方の移動する足を確保しようとされております。私共の提唱してきたこと、そして目指すものと同じであります。緊急雇用調整につきましてもタクシーの労働環境の改善と同時に解決へと導くことが出来ます。
タクシーはこれから発展していく成長産業なのです。そのためには昔ながらの行政の護送船団方式によって守られるという時代は終わりを告げたのだと、タクシー経営者は意識を改革し、ドライバー共々社会から信頼を取り戻すために研鑽努力を重ねる必要があります。前原大臣におかれましては今後とも運輸行政にご尽力賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
 末筆ではございますが、前原大臣の今後益々のご活躍とご健勝を祈念申し上げます。

MK新聞 2010年(平成22年)1月1日発行 第757号 9〜12面

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タクシー再規制について 第32回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(32)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

特措法に萎縮しては衰退あるのみ
タクシーは今こそ利用者視点で

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

特措法の影響が大きくのしかかり
やむを得ず札幌、福岡で一部を減車

「出る杭は打たれる」法律―私には本年10月に施行されたタクシー特措法がそのように見えると前号のMK新聞で申し上げましたが、施行から2ヵ月が経過しますますその思いを強くしております。
各都道府県で地域協議会が開催され、運輸局よりその地域の適正台数が示され、およそ2割近い車両数が過剰とされています。特措法施行前に新規参入の経営許可申請を行っていた事業者に対しても、運輸局が申請取下げの指導を行い、既存の事業者には増車監査とそれに続く増車見合わせ勧告、減車勧告が行われるなど事業拡大に意欲ある事業者にとって現実的に大きな壁として立ちはだかっています。
増車予定車両については登録期限を定め、その期限のうちに登録しなければ強制的に減車命令が行われます。そのためMKグループにおきましては予定しておりました福岡MKでの35台の増車、札幌MKでの45台増車のうち25台分の増車をそれぞれやむを得ず減車するという判断に至りました。良質な乗務員の確保が見合わないなかでいたずらに車両数を増やしてしまえば、費用負担だけが重くのしかかり収益に悪影響を与えます。
MKグループ各社は下限割れ運賃として1年間の期限付き運賃認可とされ毎年継続認可を受けなければなりません。開業初年度という先行投資を積極的に行って事業の基盤を固めるべき時期にあるにも関わらず、赤字であれば運賃の継続認可が受けられないために先行投資が出来ないのです。出る杭は打たれる、まさに現実のこととなりました。

寒空でもお待ちいただく方がいる
お客様の期待に添えず忸怩(じくじ)たる思い

企業としてあるべき中期事業計画や長期経営ビジョンもここでは無力と化し、非常に忸怩たる思いであります。まずは各地でMKを選んでいただきご評価いただくお客様には増車がしばらくの間出来ないことが大変申し訳なく、そして創業期の苦労を共にしてきた社員に対しても会社の成長発展の夢を共有出来なくなったことにこの場をお借りしてお詫び申し上げます。
私は去る11月18日より札幌MKに赴き、一日1000件を超える電話注文をいただくコールセンターの忙しさや、MKの接客マナー技術を身につけるために新人教育を一生懸命に受ける新入社員の姿に接し、また社員勉強会でお客様第一主義を貫き通せば必ずお客様はMKを支持していただき、我々自身の売上向上につながるということを訴えました。 札幌の現地視察においてとりわけ印象が強いのは、札幌の繁華街であるススキノに設置したたった2台分のMK専用のりばに夜の凍えるような寒さの中でもたくさんのお客様が列をなしてMKタクシーをお待ちいただいている姿でした。空車の供給が追いつかず本当にご迷惑をおかけし、同時にこれほどまで我々は期待されているという市民の期待の重さに圧倒されました。

時代に逆行するタクシーに
公共交通機関としての使命はあるか

私には今のタクシーの現状について、特措法によってタクシー産業全体が萎縮し、縮小していくように思えます。創意工夫を凝らし利用者利便を高めようとする意欲ある経営者にとってタクシー産業が魅力的な企業活動の場でなくなれば、一体この先にタクシー業界を待つものは何でしょうか。公共交通機関の一翼を担うといいながらも社会からの信用は決して高くもなく、デフレ経済のなかで公然と提供するサービスに不釣合いな値上げを行っていれば、必要とされなくなる日もそう遠くありません。
日本社会は確実に高齢化しており、民主党政権が「交通基本法」の制定を検討するなど、お年寄りや体の不自由な方の足を守ることがこれからのタクシーの役割であるにも関わらず、サービスが悪くて高い乗り物であればニーズを汲み取れないでしょう。高齢者の方の運転免許証の返納を警察行政が促進しようとしても、自家用車に代わる病院や買い物の足がなければ何ともなりません。
タクシーは今こそ社会的視野を広げて自分たちが何をするべきかを考えなければなりません。2002年の規制緩和より昔に戻った戻ったと喜んでいても、社会情勢は過去には戻らずむしろ変化は大きくなっています。時代に取り残されぬようタクシーは進化していかなければなりませんし、利用者視点でとらえたときに障壁となる規制に対してこれからも敢然と立ち向かわなければなりません。「タクシーを必要としない社会」ではなく「自家用車に頼らずとも公共交通機関が充実する社会」の実現を今から考えていき、特措法の期限とされる3年間が終わったときにタクシーとしての社会的役割が残されているようにしなければなりません。
前原大臣におかれましては、今後とも運輸行政へのご尽力を賜りよう何卒宜しくお願い致します。

MK新聞 2009年(平成21年)12月1日発行 第756号 1面

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タクシー再規制について 第31回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(31)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

タクシー特措法についての所感
〜タクシー経営者に何が必要か〜

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

タクシー特措法施行から1ヵ月
まさに「出る杭は打たれる」法律

特定地域にタクシー適正化・活性化特別措置法が施行され1ヵ月が経過しました。まだ新法について実感はなく、法律が実際どのように運用されるかが明らかにならなければ評価はできません。この間の様々な動きをみておりますと、タクシー事業者のなかで対応が二極化しています。監査の減免措置を得るために大阪を中心として近畿では約1500台の減車がなされる一方で、私どもMKグループをはじめとして3年間の原則増車禁止措置に備えて可能な範囲で増車を図る事業者もいます。もちろん大半の事業者は特に動きを見せず、新法の影響がどのように現れてくるか様子を見ているようです。
自動認可運賃の幅につきましても従来約10%幅の上限下限だったものが、当初の5%への圧縮という予想を上回り全国的に3%〜5%になりました。従来より下限割れ運賃であった事業者への監査の強化はもとより、今回の改正で新たに自動認可運賃の下限を下回った事業者へも毎月の収支状況や労働条件についての報告が課され、報告の内容や、また報告を怠ると監査されるという大変厳しい状況になってきました。
増車したり、安い運賃を設定することで監査を呼び込むということは、意欲あることしようとするその意欲をくじく、まさに「出る杭は打たれる」を地で行くような法律といえます。

行政介入より自然淘汰
利用者があれば増車する

新法制定を支持した多くのタクシー事業者は、タクシーは公共交通機関であると主張し、「公共交通機関であるから業界が疲弊してはならない、競争は激化してはならない、だから規制が必要」というメッセージを発信しました。ところが鉄道でいえば関西ではJRにせよ近鉄、阪急、阪神、京阪などの私鉄にせよ、すさまじい企業努力で互いに切磋琢磨しています。航空では貴殿が取り組んでおられる日本航空はいうまでもなく全日空もそれこそ世界中の航空会社と熾烈な競争をしているのです。
公共交通以外の産業に目を向ければガソリンスタンドはこの数年で3分の1ほどが淘汰されました。これは国の政策でも何でもありません。善し悪しは別としてお客様に支持されないスタンド、財務基盤の弱い会社が淘汰されるのです。それではなぜ、タクシーだけ規制しなければならないといわれるのでしょうか。それはタクシー経営者にはまともな判断が出来ないと国(行政)が認識しているからではないでしょうか。
需給バランスとは本来経営者が判断することであり、自社にとって利用者の需要があれば増車しますし、お客様がいなければ増車はできません。市場で売れない商品を延々と作り続けるメーカーがないことと同じです。ここに各社の差が出てきます。全体の需要が下がってきたとしても、毎日100名のご利用ある会社と毎日10名しかご利用のない会社ができるのは、経営者の責任なのです。

新法は個社の差を認めず
トータルとしてとらえる

「タクシーは選択できない」という安易な発想に行政もタクシー事業者も流れてしまい、だから同一地域同一運賃にしなければならないということになります。例えば札幌MKでは繁華街に専用のりばを設けることによって週末には毎晩500台近いご利用があります。お客様が選べる環境を作ればお客様は選択されるのです。その企業努力をしないことを「タクシーは選択できない」こととのお互い理由にしているに過ぎません。
そのためタクシー特措法は、原則として増車は禁止され、行政が提示した適正台数に向けて全員で減車に進めていこうとしています。利用者から選ばれる選ばれないという個社の差を認めず、トータルとしてその地域のタクシー台数とひとまとめにされているという現実に、少なくとも経営者であれば違和感を覚えずにはいられないのではないでしょうか。

お客様が選ぶ環境を作ることが
経営者の役割である

タクシー特措法によって短期的には確かに競争の激化が緩和されたことで得をする事業者が出るでしょう。しかしながら中長期的には「監査が嫌なら減車すればよい」的なモラルハザードが事業者と事業者を監督し育成する立場の行政にも蔓延してしまうのではないかと危惧します。
ドライバーの年収が下がったり会社の財務基盤が悪化したとしても政府は保障してくれませんし補助金を出してくれることもありません。それらはすべて経営者の責任です。何が悪いといったことでなくまずは自分の会社と従業員をどうやって守るか、安かろうまずかろうではなく利用者に評価されるサービスをいかにして提供するかを考え、実践していくことが経営者の務めに他なりません。
冒頭にも述べましたが、これから徐々に新法の影響が現れます。特定地域の指定期間である3年が経過した後にも磐石な経営基盤と利用者に支持されるブランド作りに全力を尽くすとともに、気を緩めると私どもが淘汰されるという危機感を持ち、日々の経営にあたる所存でございます。前原大臣におかれましては、今後とも運輸行政へのご尽力を賜りよう何卒宜しくお願いいたします。

MK新聞 2009年(平成21年)11月1日発行 第755号 1面

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タクシー再規制について 第30回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(30)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

京都の新下限運賃は小型620円に
MKは今の運賃を守り続けます

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

各地で新自動認可運賃が公示
京都は下限が620円に引き上げ

本年10月1日のタクシー適正化特措法の施行にあわせ、タクシー事業に関する公示通達が各地方運輸局で出されています。これまで内容が注目されていた自動認可運賃の新しい幅もあわせて発表されました。従前は上限運賃から下限運賃までの幅が概ね10%で、新法施行にあわせて5%程度に圧縮されるといわれていたものの、結果的にはさらに圧縮されました。京都では従前の小型車運賃で上限640円〜下限570円であったものが、640円〜620円と大幅に下限運賃が引き上げられました。
特に京都ではMKを含め複数のタクシー事業者が620円を下回る運賃を採用しており、これらは下限割れ運賃として扱われ、今後は経営状況や労働条件が悪化していないか当局による厳しい監査対象になります。運輸行政としては各地にあるワンコイン初乗500円運賃をはじめとする下限割れ運賃を自動認可運賃内に収斂させるべく、監査と厳しい運賃継続認可申請の査定を武器にタクシー事業者に圧力をかけます。

監査での処分加重を避けるため
多くの事業者が減車をした

タクシーの供給過剰が問題であるとして、新規参入や増車を認めないタクシー適正化特措法が成立しました。そのため減車を進めていくことが運輸行政の狙いですが、タクシー事業者が減車することにメリットがあるよう減車インセンティブ、逆に増車した事業者には処分を重くする政策をとりました。新法によって特定地域に指定されたほとんどの大都市を含む全国141地域(全国の営業区域の総数は643地域)では、増車した事業者には監査で違反があった場合に定められた処分の3.5倍の処罰をし、増車はしていないが減車もしていない事業者には2倍の処罰。逆に10%以上の減車を行った事業者には長期間監査未実施を理由とする巡回監査の免除、5%以上の減車を行った事業者には処分は1倍のままです。
東京の大手四社の一角である国際自動車(km)が、監査の処分点数の累積により本年9月に事業許可取消処分を受けたことがタクシー業界に大きなショックを与えたことも影響し、減車インセンティブを目的に東京では1000台余り、大阪では500台余りの減車届が出されました。
増車や減車をしたことを理由に全く別の違反事項の行政処分を加重することは、行政手続法違反の疑いがあることが指摘されています。私は本紙上において処分加重の違法性はもとより、このような減車インセンティブは「減車をすれば関係法令に違反しても見つからない」という風潮を生み出し、タクシー事業者のコンプライアンス意識を一層低下させるだけであると主張してきました。取り組むべきは自らの管理体制の見直しであり、意識改革が出来ない事業者は、タクシー業界が自ら望んだ特措法による監査強化の波にさらわれて淘汰されるでしょう。実際のところ監査において調査される帳票類とその記載事項は年々複雑化・詳細化しており、これまで多数の監査を受けた弊社であっても気を抜くことが出来ない状況です。

MKグループは利用者の支持ある限り
現運賃を維持し粛々と事業を進める

このような状況下ではありますが、MKグループはお客様に喜ばれる安い運賃を値上げすることはありませんし、監査を回避するためにタクシー台数を減らすこともいたしません。新法施行前に今後の事業計画とコストを念頭におきながら各社で増車も実行しました。私たちが真摯に耳を傾けるべきはお客様の声であり、行政の方針や業界の意向ではありません。
それどころか今後値上げを強いられた結果、今より売上が低下し収益が下がれば国家賠償請求も辞さない考えです。一昨年の東京地域の初乗710円への値上げによって利用者離れが加速し東京全体の売上がいかに減少したかは周知の通りです。東京MKは値上げせず従前どおり売上を維持しており、利用者から喜ばれております。これは残念ながら東京のタクシーは、総合的な意味で、利用者がその運賃を払ってでも乗りたいと思えるサービスではなかったということではないでしょうか。価格は供給側だけの論理で決めるものではなく、利用者が対価として払うに相応しいものかを考慮しながら決定していくものであり、この厳しい経済環境下では特にその傾向が顕著なのではないでしょうか。

新規参入と増車を認めない
3年間の特定地域指定、その後は

新法では特定地域に指定された営業区域では新規参入は増車が原則として認められていません。そして特定地域の指定は3年とされていますが、私は3年後に再度指定されてこのまま事実上需給規制の復活となる可能性があるのではないかと危惧しております。
タクシーが社会からなくてはならない公共交通機関であると認識されるものへ発展成長していけるよう、貴殿におかれましては3年後のタクシーのグランドデザインをお示しいただきますよう宜しくお願いいたします。

MK新聞 2009年(平成21年)10月16日発行 第754号 1面

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タクシー再規制について 第29回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(29)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 前原誠司殿

お客様アンケート12万通に感謝
お叱りやご意見ご提言もMK発展の原動力

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

タクシー適正化特措法が施行
再規制に時代が逆戻りした

10月1日にタクシー適正化特措法が施行され、タクシー事業は2002年以前の規制時代に逆戻りします。この度国土交通大臣に就任されました貴殿がタクシーを取り巻く今般の法体系の変化をご覧になった時、法律が最も関心を払うべき利用者利便について、どの程度重視されていたとお感じになりますでしょうか。既存事業者のみを保護する再規制ではなく、お客様視点のタクシー改革を弊社が求めてきたのも、お客様視点が全くといってよいほど欠如した議論が進められてきたのではないか、という危惧を持つからです。
健全な競争を阻害するような違法行為は許されることではありません。公正な条件の下で如何にお客様に選ばれるかを競争するために、輸送の安全を大前提としてサービス教育や運賃戦略、独自の乗り場設営やGPSに代表される設備のIT化投資に事業者は創意工夫を凝らします。その結果として利用者利便が向上しますが、この競争に新規参入を目指す方々が参加してはならない理由がどこにあるのでしょうか。MK新聞で度々申し上げておりますように、法令順守を徹底するために監査を強化することは不適当な事業者の退場を促すためにある程度止むを得ない面はあり、このような状況を招いたことはタクシー業界全体が反省すべき点ではありますが、新規参入や増車が出来ないことはタクシー産業にとって衰退の第一歩であると私は考えます。

新法前の準備はお客様の声を聞くこと
MKタクシーの質をさらに高める

MKグループではタクシー適正化特措法の施行を前にグループ各社で50台規模の増車を計りましたが、規模を拡大するだけではなく足元のサービスを見直すためにお客様の率直なご意見、お声をお聞きするアンケートハガキ活動を本年8月より京都MK中心に行いました。
MKグループがとりわけ力を入れていますのが、安全のため後部座席のお客様へのシートベルト着用のお願いです。アンケートハガキにはシートベルト着用のお願いのお声掛けをしましたか、という質問項目をはじめとして接客挨拶の実行、そして本日のお供の満足度のご評価の選択、最後に様々なご意見をお聞かせくださいというフリースペースを設けました。このアンケートハガキをご乗車いただいたお客様にドライバーが直接お渡しいたします。
お客様に直接お渡しすることでこれまで以上に意識して接客サービスを行いますので、私どもはこれが一番の社員教育と考えます。営業所で管理者が指導したり、全員業務集会で役員が講話をすることの何倍もの緊張感と接客意識の見直しをお客様とわずか数秒の「アンケートご協力お願いします」の一言の交流が生み出すのです。

日々2000通が本社に届く
12万通の反響に驚きと感謝

8月1日より開始しましたこのアンケートハガキは毎日約2000通が本社に届き、9月16日現在で9万5682通、9月末までには12万通を超える勢いです。
私どもでは今回のアンケートハガキ活動を行う以前からも同様のハガキは車載しておりましたが、毎月300通程度が送られてくるだけでした。ご乗車回数に対する返信されたハガキ枚数の割合である返信率は0.01〜0.05%(2000〜1万名に1枚)程度でした。ところが直接お客様にお手渡しをすることで返信率が12%(約8名に1枚)にまで増えました。通常このような企業のアンケート活動の反応としては1%程度が平均とされていますので、MKタクシーに対する予想以上のお客様の関心度合いの高さにただただ驚くばかりであり、同時にわざわざ貴重な時間を割いて記入しポストに投函していただいたことに深く感謝しております。

3%のお叱りの声を真摯に受け止め
質の向上の余地があることを痛感

いただきましたアンケートハガキのフリースペースに様々なご意見を頂戴しております。お褒めの言葉を数多くいただきますが、お客様からお叱りや、会社に対するご意見も多数頂戴しております。お叱りの声は全体の3%あり、真摯に受け止め改善を図っていくことともに、お客様のMKに対する改善の期待がこれほどまでに大きいものであることをひしひしと感じており、気が引き締まる思いをいたします。代表的なお客様の声を左記に挙げさせていただきます。
10月1日以降は直接お手渡しではなく、タクシー後部座席から分かりやすい場所に車載する方法に変更いたしますが、お客様におかれましては引き続きお声をお聞かせいただきますよう何卒宜しくお願い致します。

MK新聞 2009年(平成21年)10月1日発行 第753号 1面

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タクシー再規制について 第28回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(28)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

強制値上げで減収なら賠償請求を
新法は事業者の創意工夫を阻害する

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

全国400台規模の増車
拡大路線は一旦終息させる

いよいよタクシー適正化特措法の施行が本年10月1日に迫り、運輸行政も事業者もそれぞれに新しい時代に対する備えにあわただしくしており、全体的に2002年の規制緩和時に似たある種の高揚感に包まれている感がします。2002年は東京MK、京都MKは増車、大阪MKはタクシー事業の開始、名古屋MKの新規許可申請、神戸MKはタクシー事業に先駆けて空港シャトル事業の新規許可申請を行うなど、MKグループとして新しい地域での展開のため一気に拡大した年でした。お客様への良質なサービスの提供と安い運賃で高い評価をいただき、その後の7年間、少しずつではありますが業績を伸ばしてきました。
そして今、再規制を目前としてMKグループでは新しく本年誕生した札幌MK、滋賀MK、福岡MKを含めた全国8都市でそれぞれ50台規模の増車を行ってきます。最後まで判断を待った東京MKについても50台の増車届けを行いました。タクシー適正化特措法下では原則として新たに発生した需要に対してのみ増車が認められる、とされていますが、私どもとしましては基本的にこの1〜2年の間は増車は出来ないものと考えており、現状での採用計画と増車による需要拡大の見込みと収支予測など総合的に判断しての増車です。本来であれば5ヵ年事業計画に基づき徐々に新規進出や増車などで拡大していく計画でしたが、昨年の特定特別監視地域の指定に始まり、この度の新法によってこの1年は大変な駆け足となりました。これまでの拡大路線から一旦軌道修正を行い、今後数年間はグループ約2100台体制で事業を行いことになります。

再規制を機会ととらえて
自らの足元を見直したい

新規参入を阻害し既得権益を保護するのみの再規制に一貫して反対の立場をとる私どもとしては、一連の規制強化により早急な拡大を余儀なくされ大きな負担を強いられましたので、タクシー適正化特措法には大いに不服はあります。しかしながら国会において法律として制定された以上はこの法律を遵守しなければなりません。法の精神を理解し、私どもが何が出来るかを考えた時、タクシー離れを起こした利用者をいかにして引き止めるか、需要を喚起するにはタクシーが消費者にとって厳しい家計から支出をする価値のあるものということをご理解いただけるように知恵を絞り経営努力するしかないのです。
再規制をひとつの機会ととらえ、早急な拡大によりややもすると質の低下を起こしているかもしれないという認識の下、MKタクシーのサービスを我々自身もう一度足元から見直そうと、8月より京都MKほか各社でアンケートハガキを配布しお客様の声を頂戴しております。すでに約7万通を超えるハガキをいただき、多くはお褒めの言葉をいただいておりますが、全体の3%はお叱りであり、これらの声を会社の宝として社員教育に役立てております。

強制的な運賃値上げで
減収減益なら補償請求

我々事業者は、法は法として遵守する立場にあると申し上げましたが、法律に規定されない公示通達や審査基準などの処理方針は運輸行政が法律のなかから作り出した1つの解釈であるという認識を忘れがちです。同一地域同一運賃は道路運送法に定められたものではなく、ひとつの運用方法であったために、弊社の全国初の運賃値下げ裁判において同一地域同一運賃は独占禁止法違反であるという司法の判断が下されました。公示通達は法律ではない、ということが分かった画期的な出来事でした。
この度の運賃政策は可能な限り同一地域同一運賃に近づけようとする意図がありありと見て取れます。まずは自動認可運賃の幅を10%から5%に縮小し、現在の下限運賃を採用する事業者を下限割れ運賃として、下限割れ運賃の審査は厳しくし同時に監査を強化することでワンコインをはじめとする低額運賃の継続認可を断念させて強制的に値上げさせようとするものです。
運賃政策は経営戦略の根幹であり、各社の自由意志のもとに決定すべきものです。国が強制的に運賃を値上げさせることは談合やカルテルなどを通り越し、公正取引委員会が見過ごすはずはありません。
また仮に強制的に運賃値上げを余儀なくされたとき、社員所得も会社利益も維持できていたとして、値上げにより利用者が減ってこれまでより減収減益したとするならば、その責任の所在はどこにあるのでしょうか。私どもとしては差額の補償について国家賠償請求を行うべきものと考えます。

公示通達は法律ではない
利用者利便を基準に判断

タクシーは質の向上という課題を積み残したまま、再び規制時代へと戻りゆきます。各事業者の経営努力や利用者の評価というものを考慮せずに、新法において事業者を十把一絡げに取り扱う運輸行政の手法は社会主義的な発想であり、現在の成熟しつつある消費者市場から目を背けています。
我々は利用者の声を聞きつつお客様の利便と安全を第一に粛々と事業を行いますが、運輸行政の「ひとつの解釈」が利用者利便に反するものであれば、改善を求める行動をとる必要があると痛切に感じております。

MK新聞 2009年(平成21年)9月16日発行 第752号 1面

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タクシー再規制について 第27回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(27)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

タクシー適正化特措法施行まで1ヵ月
気を引き締め再規制時代を乗り越える

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

国交省より関係通達の指針出る
いよいよ再規制が始まる

特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法(タクシー適正化特措法)の施行に向けた一連の作業が進む中、国土交通省は同法の施行に伴い必要となる関連通達に定められる各種措置などについて案を公表し、パブリックコメントを求める手続きに入りました。この指針をもとに各地方運輸局では10月1日の新法の施行までに詳細な公示通達などを定めます。
各種措置案の主なものとしては、新規許可に対する取扱いと、認可制となった増車は新たに発生する輸送需要に対してのみ認めるとすること、減車を行った事業者に対して監査免除と増車事業者に対する監査強化、地域協議会による特定事業計画の認定要領、自動認可運賃の10%の幅の見直し、自動認可運賃の下限を下回る運賃に対しての審査強化と期限付き認可、運賃以外の割引の審査強化、運行記録計の義務付け地域の拡大、などです。

新たに発生する輸送需要であれば
増車は認可されると言うが

新規許可、増車認可についてはタクシー、ハイヤーともに従来の審査基準に加え、「運輸開始後の一定期間における収支計画上の営業収入が申請する営業区域で当該運輸開始後に新たに発生する輸送需要によるものであることが明らかであること」とされています。
それでは「新たに発生する輸送需要」とは一体何を指すのか、そしてそれはどのように証明するのでしょうか。例えば新規出店したMKタクシーには、これまではタクシーは怖くて乗れなかったがMKは安心して乗ることが出来た、というお声を頂きますが、このようなお客様のお声を数えればよいのでしょうか。ですが、それすら事業後に結果として分かった数であり、申請時に単なる見込みとして使える数とは言い難いでしょう。国土交通省におかれましては是非とも新たに発生する輸送需要についての具体例を提示していただきますようお願いします。
お客様から選んで乗りたいと評価していただけるタクシーであれば増車が認可されるということが自然なタクシーの活性化・適正化であると考え、MKグループもより一層サービスと社員教育に努めていきます。

不当競争のおそれとは何か
低額運賃の審査の不透明さ

自動認可運賃の下限を下回る運賃については、「不当な競争を引き起こすこととなるおそれがあるか否かについて、個別の事案毎に、地域における申請を行ったタクシー事業者のシェア、流し営業の比率、運転者の賃金体系を勘案しながら総合的に判断し審査するものとする。 なお、現に実施中の下限割れ運賃について、不当な競争を引き起こすこととなるおそれがあると認められる場合は、事業改善命令により運賃の変更を命ずるものとする」とあります。この「不当な競争を引き起こすおそれ」とは一体何を指すのでしょうか。
前号のMK新聞で私は、国土交通省のタクシー運賃制度研究会(座長:山内弘隆・一橋大学大学院商学研究科教授)が報告をまとめた「今後のタクシー運賃審査のあり方」において、低額事業者が利益を得る一方で他の事業者が採算割れになれば不当な競争であるとしたことは、事業者の創意工夫と経営努力や、利用者の選択する意思を蔑ろにした「お上」的な発想であると指摘しました。このような記述は今回の各種措置案では明文化されていませんでしたが、実際の実務の取扱いにおいて、これらの発想が復活しないことを切に願います。
タクシーは今や値段の高い割にはサービスが良くないものとして消費者に認識されてしまっているのではないでしょうか。厳しい経済状況の中で各家計に占めるタクシー代をいかにして確保するか、高かろう悪かろうのイメージを払拭しなければ、新しい輸送需要など発生しません。新法の求める適正化・活性化、経営の健全化とはまずはお客様が求めるサービスを提供しようとすることがスタートラインなのではないでしょうか。

減車事業者の監査免除は
本末転倒ではないか

昨年、東京・大阪をはじめとした都市圏が特定特別監視地域に指定され、新規参入や増車のハードルが高まりましたが、この特定特別監視地域への指定時のタクシーの台数を「基準車両数」とし、それより増車した事業者については、監査による処分日数が通常の3・5倍になります。監査で違反を指摘されないよう、関係法令を遵守して事業を行うことが本来の事業者としての勤めでありますので、私どもとしてはより一層法令順守に努力するのみです。
しかしながら、基準車両数を10%以上減車した事業者に対して、通常一定時期に行われる監査の対象としないとしていますが、監査の免除をインセンティブとするような政策は利用者保護の観点から、おかしいことではないでしょうか。違反があっても減車すれば違反には目をつぶると行政は宣言しています。これでは違反を指摘されないためには減車をすればよい、という風潮を助長するだけです。あるいはそうして減車を続けて最後には会社ごと消滅することを狙ってのことなのでしょうか。

新法は経営者が汗をかき
知恵を絞るためのものであるべき

これまで国交省から出された各種措置案について見てきましたが、とにかく規制を強化し、事業者の創意工夫を奪い、利用者の選択する意思を否定し、減車すれば処分を逃れられるという安易な風潮を助長するという面について、再考の必要があるのではないかと痛切に感じます。
タクシー事業の適正化と活性化は事業者の努力で成し遂げるものであり、経営者は汗をかき知恵を絞りどのようにすればお客様に喜んでいただき、社員の所得を向上させ、会社を発展させていくかを追求するものです。そして直接お客様と接するドライバーはお客様が運賃に対して満足する接客サービスを心がけ、管理者は安全とお客様の利便向上のため法令順守を徹底することが本分であり、あえて法律によってその本分とするところを明記せざるを得ないところが現在のタクシー事業の在り様なのです。その上でこの度のタクシー適正化特措法は経営者、ドライバー、管理者から本当の意味での労働の尊さを知る機会を奪うものであり、いよいよタクシー産業の衰退化へとつながるのではないかという危機感を抱きます。 MKグループではこの度、全国で約300台規模の増車を行い、再規制時代にも法令順守の徹底と、お客様から選ばれるサービスの向上と新サービスの開発に努めてまいります。

MK新聞 2009年(平成21年)9月1日発行 第751号 1面

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タクシー再規制について 第26回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(26)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

強制的な値上げ制度に反対する
お客様支持ある限り現行運賃で

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

タクシー適正化特措法に連動した
規制強化が徐々に明らかになる

本年10月1日より特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法(タクシー適正化特措法)が施行されることを受けて、国土交通省や各地方運輸局では省令や公示通達などの詳細な取扱いを早ければ8月中にも形に出来るよう急ピッチに作業を進めています。先月7月には昨年に指定されなかった京都、名古屋をはじめとする地域が特定特別監視地域に指定され、新規参入や増車へのハードルが高まりました。
MKグループでは昨年夏より秋にかけて既得権益を保護するだけのタクシー再規制に反対し利用者視点のタクシー改革を求める署名活動を行い、お客様を中心とする約54万名の声を国土交通省に届けました。しかしながらその声は届かず再規制は着実に進行し、国の再規制を嬉々として受け入れ新規参入や事業者同士の切磋琢磨、お客様の喜ぶサービスの提供を拒絶したタクシー業界は、自浄作用を失ったことでこのまま産業としての活力をゆっくりと失っていくのではないかという思いを強くしております。
お客様に信頼され選ばれるサービスを追求することこそ事業発展の原動力であり、お客様満足が従業員満足につながり、それが会社としての発展につながるという当たり前のサイクルを何とかして維持するために、規制が強化されるなかではありますがMKグループ各社は全国で300台規模の増車を行う予定です。本当にお客様が必要としているタクシーはまだまだ市場に供給不足である、と私たちは考えているからです。

運賃への強い規制で
低額運賃がなくなる

国土交通省のタクシー運賃制度研究会(座長山内弘隆・一橋大学大学院商学研究科教授)がこのたび今後のタクシー運賃審査のあり方についての報告をとりまとめました。運賃のあり方は「適正原価に適正利潤を足したもの」として規定され、これまで10%の幅であった自動認可運賃は、その幅は大きすぎるとして幅を狭くすることを挙げました。自動認可運賃の下限を下回る運賃の審査を厳格化し、あわせて重点的に監査を行います。将来的に運賃値上げが行われ、仮に値上げを行わずに運賃据え置きをした事業者が値上げ後の自動認可運賃の幅を下回れば、こちらも厳しい審査にさらされます。
例えば京都MKを含めて自動認可運賃の下限運賃を採用する事業者が比較的多い京都であれば、将来運賃値上げがあれば値上げに同調しなくとも、あいにく適正利潤が出なければ審査をパスできず強制的に値上げになるのです。これら運賃についての規制は利用者に直接的に関わることですが、利用者不在のまま議論が進められたとしか言いようがありません。お客様に気軽にご注文していただきやすくするために、コールセンター設備費やオペレーターの人件費をかけ、違法な路上付け待ちを行わないために専用のりばを設置するなど、様々な面でタクシーの環境整備に投資すればするほど、かえって低額な運賃の継続維持をしにくくなるという制度設計では、利用者利便は低下する一方にならないでしょうか。MKグループ各社はお客様の支持ある限り、今の運賃を守るようより一層経営努力をして参ります。

適正利潤が出なければ値上げ、
利用者獲得すれば不当競争の矛盾

適正利潤が出なければ強制的に値上げになりますので、これまで以上に売上の向上のための需要喚起策を講じなければなりません。お客様に安心してご利用いただくために安かろうまずかろうではなく、この厳しい経済環境下において低価格でも質の高いサービスを提供することで、お客様から支持を得て選ばれることを目指すことがタクシーに限らず企業としての一般的な在り方です。
しかしながら驚くべきことに、これらの経営努力が不当な競争を引き起こすおそれがあるとして否定されるのです。前記とりまとめによると『(〜中略〜)あるタクシー事業者の運賃が、地域の平均的な運賃と比べて低額なものである場合に、当該地域の市場の特性や、運転者の賃金が歩合制主体であることといったタクシー事業の構造的要因から、地域のタクシー事業が以下のような状態に陥るおそれがある場合の運賃についても、不当な競争を引き起こすこととなるおそれがあると認められる場合もありうるものと考えられる。(〜中略〜)地域の利用者の多くが他の事業者から当該事業者に転移し、当該事業者の収益性は確保される一方で、他の事業者は、運転者の労働条件を維持しようとする場合には採算割れの事業者の続出を招き、これを避けるためにこれらの事業者の運転者の労働条件の悪化、サービス水準、安全性の低下等を招くおそれがある場合』

事業者の経営努力が否定され
どうして健全な発展が望めるか

一見すると過当競争を収めることでサービス水準や安全性を確保するためにこのように判断したかのように書かれておりますが、正に企業としての経営努力を否定するものであり、一方で消費者は値段しか見ていないという如何にもお上的な発想ではないでしょうか。事業としての成功と利用者の選択性を認めないのであれば、早々にタクシー事業を国営化してはいかがでしょうか。
私はこれまでタクシー事業の健全な発展のためには、経営者が汗をかき知恵を絞り、いかにしてお客様に選ばれて社員の豊かな生活を実現するかに文字通り命を懸けなければならないと考えてきました。国土交通省はタクシー経営者の意識改革をさせることこそが本来の仕事であり、サービス水準や安全性の低下は経営者自身が自ら首を絞める問題であり、そのようなことをないがしろにする者は利用者のためにも社会のためにも公共交通事業に携わるべきではないことを幾度も申し上げてきました。
国土交通省がこの方針のとおりに今後の運賃審査の制度化を進めていくのであれば、それはタクシー事業そのものの活性化・適正化ではなく衰退の第一歩であることをここに申し上げます。

MK新聞 2009年(平成21年)8月16日発行 第750号 1面

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タクシー再規制について 第25回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(25)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

MKグループ2000台体制へ拡大
これからは質の向上へ転換する

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

本当にお客様が必要としている
タクシーはまだまだ供給不足

去る6月19日に成立した特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法(タクシー適正化特措法)が、とうとう本年10月1日より施行されます。この法律により、タクシーが供給過剰とみなされる地域は「特定地域」に指定され、新規参入、増車が出来なくなります。この法律の目的は、「タクシーが供給過剰となり1台あたりの売上が減少しているので、タクシーがこれ以上増えるのを食い止めて、需要と供給の適正なバランスを図ろうとすることにある」されています。
しかし、この「供給過剰」という認識は、あくまでもタクシー事業者や運輸行政の目から見たものに過ぎず、お客様から見れば本当に安心して乗りたいと考えるタクシーは全国的にまだまだ不足しているのではないか、と私たちは感じます。
例えば札幌は供給過剰と言われていますが、札幌MKではお客様の注文のお電話が鳴り止やみません。週末の夜にはススキノのMK専用のりばから約400組のお客様のご利用があり、長時間お待ちいただくなどご迷惑をお掛けしている状態です。
また、各都市での予約率(全乗車回数における無線配車、専用のりばの割合)ですが、約800台を抱える京都MKでは50%以上、その他各都市では60〜90%にも達しています。
このように、お客様から選ばれるタクシー会社を目指そうとすれば、需要はまだまだ掘り起こす余地があると思わざるを得ないのです。

タクシー特措法で再規制
MKは粛々と増車を進める

そのためMKグループでは東京MKを除き、10月までに一定の増車を行うため各運輸支局に順次増車届を提出しております。京都MK50台、大阪MK58台、神戸MK50台、名古屋MK40台、滋賀MK43台、福岡MK35台、札幌MK65台の増車を予定しており、増車実施後は2057台になります。

拡大だけでは質は劣化する
MK自身とのたたかいが始まる

MKグループは一定の拡大をこの10月までに行いますが、急激な事業規模の拡大は往々にして質の劣化を招くことがあり、ことMKタクシーにとっては致命傷になりかねないことを肝に銘じなければなりません。私たちは、タクシー適正化特措法は既存事業者を保護するだけの再規制であるとして、これに反対の意思表明を行い、54万名様の再規制反対の声を集め貴殿にお届けしましたが、残念ながら、これは国会で成立していまい、事業の拡大路線を継続してゆくことは事実上困難となりました。
そこで、私たちはこの特措法制定を「質の向上」のために与えられた試練と捉え、MKグループ全社をあげて質の向上に取り組みます。
質の向上とは2つあります。1つはお客様に直接サービスを提供するドライバーや電話受注を行うコールセンターの接客内容に対する満足度の向上であり、もう1つは前者の教育体制も含めて運行管理体制の強化や盤石な経営体制を作り上げることなど管理者能力と企業体力の向上です。
規制緩和後に運輸行政は事前審査型から事後チェック型へ方針転換し、監査が行われるようになりました。最近では東京の大手事業者が処分点数の累積により事業許可取消処分がなされるといわれています。MKグループでは規制緩和後増車や拡大申請を行いましたので、通常の事業者より多くの運輸当局の監査が入りました。2002年より8年間で34回もの監査があり、処分を受けたのは3回、その他31回では警告処分(6回)、指摘事項無し(25回)という結果でした(7月25日現在)。
今後は、これまで拡大してきた事業の、さらなる質の向上に向けて、これまで培ってきた顧客サービス、教育、管理体制全ての見直しが経営課題となります。これらは私たち自身に向けられたもので、辛く厳しいたたかいになるはずですが、私たちはこれらの課題に真っ向から取り組んでまいります。

まずは京都MKから改善活動
車内でアンケートハガキを実施

MKではお客様の安心・安全を守るために、後部座席のシートベルト着用のお願いに力を入れております。急な飛び出しがあった場合、たとえ時速10kmで走行していたとしても急ブレーキを踏めば人の身体は跳ね上がります。まずは、後部座席のシートベルト着用のお願いを徹底し、シートベルトをしていなかったことでお客様がお怪我をされるという事態を根絶していくことから始めます。
それに伴いまして、サービスの向上のために8月より京都MKを皮切りにご乗車時の満足度をおうかがいするアンケートハガキに取り組んでいきます。お客様におかれましては、後部座席シートベルト着用にご理解賜りますと共に、アンケートハガキにご協力お願い致します。

MK新聞 2009年(平成21年)8月1日発行 第749号 1面

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タクシー再規制について 第24回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(24)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

タクシー再規制でもMKは利便向上
新規3地域で新サービス続々登場

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

タクシー特措法で再規制へ
需要回復に疑問

前号にて「特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法」が可決され、本年10月より施行される見通しであることを述べました。供給過剰とみなされた地域は特定地域に指定され、新規参入や増車が出来なくなります。
2002年の規制緩和によってタクシー事業には新規参入がおこり、各事業者の創意工夫やサービス向上の努力をするなど切磋琢磨し、タクシーのサービス水準は向上しました。「お客様に選ばれるタクシー」となるために経営者は努力をしていました。
一方で消費者に「タクシーは選んで乗れるもの」という意識が芽生えたことに大きな意義がありました。これまで「タクシーはサービスが悪くて値段が高いのが当たり前」「仕方がない」と諦めておられたお客様は、驚きと喜びをもって変化を感じておられます。実際にMKタクシーが新しく進出した各都市で、「タクシーを安心して乗ることが出来た」「MKタクシーが来たので他社も意識して、タクシー全体のレベルが上がった」というお客様からの声を聞きます。
これらの変化は競争原理があって初めて生まれるものです。この度のタクシー特措法は事業者の自助努力する意欲を失わせるものでしかありません。新規参入と増車を止めることで利用者の需要が回復するとは到底思えません。

タクシー離れをまずは食い止める
家計のなかでタクシー代の地位つくる

それでは需要を回復するためには何をすべきか。弊社は昭和50年代に京都市においてバスとタクシーの有機的結合によって便利で安い公共交通機関をつくる「都市交通改革」を提唱しました。「タクシーにとってバスや地下鉄など他の交通機関はライバルではなく、タクシーを含めた公共交通機関のライバルがマイカーである、しかしながらマイカーが年々増加しているのは今の公共交通機関に魅力がないからだ」と考えました。利用者を公共交通機関に取り戻せば、渋滞問題や環境問題の解決の一助にもなります。
同じことが現在のタクシーをとりまく状況でも言えます。不況下で国民全体の財布の紐がかたくなり、食費、被服費、交際費、遊興費などの出費あるなかでいかにしてタクシーへの支出を確保していただけるかです。タクシーは高いしサービスも良くないから、我慢してでも乗らないでおこう、と消費者が考えてしまわないように手を打つことが最も必要とされることです。まだまだタクシー運賃は、消費者の立場からすれば高いものと感じられていると思います。それではせめてその分、気持ちよくご乗車いただくことでカバーしよう、経営者も社員も汗をかいて社員教育に取り組もう、ご自宅から簡単にタクシーを呼んでいただけるようにGPS配車システムをはじめコールセンターの投資をしよう、車両は新しいものを入れて清掃を欠かさずに気持ちよくご乗車いただこう、このように発想しています。
原価が高騰するにも関わらず、品物の値段は下がることが珍しくなく、現在の経済状況では弊社も含めて従来の手法は通じません。とりわけタクシーの常識は世間の非常識と言われるような商売のやり方では、お客様からどんどん取り残されるでしょう。経営者はもっと本業に知恵を絞り、投資をするべきなのです。
今後各地で出来るであろう地域協議会において、果たしてこのような議論が出来るのであろうか心配しております。

福岡MK5000円超分5割引認可
札幌MK、滋賀MKで空港定額タクシー

本年新たに開業しました福岡MK、滋賀MK、札幌MKは初乗運賃を下げておりますが、様々なシーンでお客様にタクシーを選んでいただくためのメニューを広げてまいります。まず第一弾として、福岡MKでは7月21日より遠距離割引を拡大し5000円超分5割引にします。さらに現在各運輸局に申請中ですが、札幌MKでは札幌市内と新千歳空港の間の定額タクシー運賃、滋賀MKでは同じく関西国際空港、伊丹空港、セントレア(中部国際空港)への定額タクシー運賃がまもなく認可される見通しです。
お荷物の多い方やお体の不自由な方、小さなお子様連れのお客様にとって空港への移動だけでも大変な作業です。そこへタクシーであっても実はこれくらいお得に行くことが出来ますよ、という提案をすることで必要とされる方の需要を掘り起こすことが出来ます。このようなサービスは無論、規制緩和によってもたらされたものです。

需要を高めるには利用者に喜ばれる
サービスの提供しかない

需要を高めるには一言で表すなら「利用者に喜ばれるサービスを提供すること」しかありません。お客様本位という企業姿勢を確立するために弊社も創業から約50年が経過しましたが、未だ道半ば、悪戦苦闘の日々です。超高齢化社会に突入し、唯一のドアトゥドアの公共交通機関であるタクシーはこれからますます重要な役割を担います。タクシー事業者以上に利用者の存在が今後のタクシー事業のあり方にとって鍵となります。
貴殿並びに国土交通省におきましては、タクシー特措法においてカバー仕切れなかった利用者の存在について議論を深めていただきたい所存でございます。

MK新聞 2009年(平成21年)7月16日発行 第748号 1面

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タクシー再規制について 第23回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(23)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

タクシー特措法可決で再規制へ転換
利用者利便と働く権利を阻害する法

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

特定地域では参入増車規制
低運賃の審査も強化

この度「特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法」が6月19日、国会において成立しました。このタクシー特措法の成立は、供給過剰や運賃競争によって起こる1台あたりの運送収入の減少による労働条件の悪化、法令違反や事故の増加などが、2002年の規制緩和によってもたらされたものであり、供給を抑制し運賃を同一地域同一運賃に戻すべきとするタクシー業界を中心とする訴えが背景にありました。
本法により増車は届出制から認可制となり、供給過剰とみなされた地域は「特定地域」に指定され、原則として新規参入や増車が不可能となります。また、自治体や地方運輸局、タクシー事業者、利用者、有識者などによる協議会を各地域に発足させ、タクシー事業の適正化・活性化について地域で取り組むとともに、事業者が協同して減車を行う協同減車の枠組みが作られました。
また自動認可運賃を下回る低額運賃には認可更新時に厳しい審査が行われ、各地に広がった低額運賃が今後認められない可能性を持つようになりました。これから10月の施行に向けて、国土交通省にて省令や告示通達のような運用面での詳細が取り決められていきます。

再規制反対署名54万名の声は届かず
利用者よりも既得権保護が優先される

MKグループでは昨年8月から10月にかけて、規制緩和に逆行する再規制ではなく利用者視点のタクシー改革を求める署名活動を展開し、お客様を中心とする約54万名様の署名を国土交通省に提出しました。昨年7月より規制が強化され新規参入や増車のハードルが高まったことに対し、既得権益を保護するのみではタクシー業界は良くならず、結果として利用者不在の状態は改善されないことを訴えました。
本特措法においては、特定地域に指定された地域において新規参入と増車が規制されれば、新しい発想でタクシーを変革する経営者も、意欲が高く創意工夫によってお客様に選ばれることを追及する事業者も生まれず、利用者にいかにして選ばれるかという競争意識、サービス改善意欲も起こらないのではないでしょうか。それは2002年道路運送法改正までに見られたタクシー業界そのままの世界が繰り返されるのみではないかと危惧いたします。

MKグループ8社は常に危機意識を持ち
社員教育とお客様サービス向上に努める

MKグループでは本年、福岡、滋賀、札幌において相次ぎ開業し、着実に実績を伸ばしております。そこにはMKの基本である教育があり、お客様にいかに満足していただけるか、全社員一丸となって無線配車や専用のりばなどMKを選んでいただくお客様へのサービスに努めています。おかげさまで各社とも無線回数やのりば利用数は伸び続け、売上も高まって増車を行っています。
ドライバー採用の場面においては「タクシーはサービス業であり、きちんとした言葉遣いや挨拶や身なりをしている」「MKの理念を共有しお客様の満足が自分の満足であることを理解出来ること」といった一見すると厳しい選考基準と思われますが、当たり前に常識を身に付けた人材であればタクシー未経験者でも積極的に採用しています。採用後にも厳しい社員教育を通じて接客の基本を身につけます。
何故MKグループがこれだけ社員教育に精力を傾けるかと言えば、教育をおろそかにして現状にあぐらをかけば、瞬く間にMKは信用を失うという危機意識を常に持ち続けているからです。

消費者に評価される職場があるにも関わらず
採用を抑制させ働く権利を不当に制限する

ところが本特措法において特定地域に指定され増車が出来ないとなれば、採用を抑制し、場合によっては雇用する従業員を解雇しなければならないという状況が起こります。本年4月に開業した札幌MKを例にとりますと、社員数は、開業時に65名のドライバー、13名の社内教育中のドライバー、17名の入社を前提として二種免許取得のために自動車学校に通う者の合計95名でした。初日より多くのお客様からの反響をいただきましたので、開業6日目には20台の増車届を提出。昨年7月に規制が一部強化され、これまでは即日増車出来ていたものが、2ヵ月前までに届出しなければならず、増車実行日は6月26日となりました。その間も採用活動は続け、毎週行う会社説明会には毎回20名以上の応募があり、1ヵ月後には合計118名まで増員しました。初月度の売上実績も高く、お客様にご支持いただいていることが分かりましたし、その実績がまたMKで働きたいという求職者を呼び起こしました。
しかしながら増車実施までの2ヵ月間はどれだけ社員数が増えようとも、乗る車がなければ働くことが出来ません。札幌MKではやむを得ず5月中旬の会社説明会を最後に、一旦採用活動を停止せざるを得ませんでした。2ヵ月目の実績は昼勤一稼動売上約1万4500円、夜勤約2万4000円、昼夜平均約1万9000円、1日あたりの無線回数と専用のりば利用の平均回数は約780件と、実績を伸ばし続けております。
このように利用者に支持され、企業側の採用意欲も高くて働ける職場があるにも関わらず、規制があることで働くチャンスを制限することになるのです。完全に増車規制がかかれば、経営者としては断腸の思いで人員の整理に手をつけざるを得ず、十把一絡げに増車規制をかける本特措法は視点を変えれば働く者の権利の阻害にしかなりえません。

新規参入や増車がなければ
自主的に減車し需要は回復するか

本特措法では供給過剰抑制と需要拡大が目的とされていますが、需要喚起やサービス向上は各地域における協議会にて話し合われます。しかしながら新規参入を締め出し、既存事業者だけで果たしてどれだけの効果があるのでしょうか。
例えば今から12年前に東京に進出した東京MKの黒塗り車両は当時としてはもの珍しいものでしたが、今では大手タクシー会社も多数導入しています。MKが進出した地域においては他社のサービスも少し変わってきたというお客様からの声も聞かれます。
お客様が望むタクシーとなれるように経営者は血のにじむような努力をしなければ、タクシーそのものが消費者から排除される未来も想像に難くありません。市場にあふれた車両を減らせば需要が回復することはあり得ないでしょう。需要自体が減らないようにはどうすればよいかを政治家や国土交通省任せにするのではなく、もっとタクシー事業者自身が考えなければなりません。それには新しい発想を持った新規参入がこれからも必要なのです。

国交省の今後の対応を注視し
MKグループは粛々と事業を継続

現時点では国土交通省から運用面での詳細が出されておりませんので、弊社としましてはこれまでと同様に粛々と各地においてお客様に選ばれるタクシー事業を続けてまいります。お客様におかれましては、今後ともご理解ご支援を賜りますとともに、タクシー再規制についてのご意見をお聞かせくださいませ。

MK新聞 2009年(平成21年)7月1日発行 第747号 1面

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タクシー再規制について 第22回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(22)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

福岡MKがお客様に選ばれ始めた
1日無線500件、のりば200件

福岡エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 義明

開業5ヵ月目で確かな手ごたえ
市民生活に溶け込んできた

福岡MKは本年1月30日に50台で開業し、5ヵ月が経過いたしました。MKグループとして約7年ぶりの新規進出となり、同時期に開業した滋賀MKや札幌MKとともに新しい地域において、1日でも早く地域社会に溶け込み「MKが来てよかった」とお客様、市民の皆様に喜んでもらえる存在となるために、日夜努力しております。
「良いもの安くサービス良く」をモットーに、福岡MKでは中型車両や大型車両(エスティマハイブリッド)を導入し清潔な車内を心がけ、初乗500円で一般他社に比べて小型車では加算運賃が10%安く、中型車であれば加算運賃が20%安い設定とし、ドアサービスや挨拶、言葉遣い、制服制帽などのサービスを徹底しております。またMKタクシー専用のりばを中州、天神大名、春吉橋の3ヵ所に設置し、ご利用いただきやすい環境を整えてまいりました。
6月度に入りまして「MKタクシーご指名キャンペーン」を展開し、電話注文や専用乗り場からご乗車される、言わば「MKをご指名していただける」お客様に対しMKグループ200円券を還元しております。

無線500回、のりば3ヵ所で200回
予約率は60%以上の実績

前号のMK新聞にもございましたが、MKグループ全社に共通して「お客様に選ばれる」ことが、サービスの評価を受けることと考えております。無線(電話注文)でご注文いただくことや、専用のりばからご乗車いただくこと、また、MKタクシーの行灯をみて手を挙げていただくということも選らばれることと考えております。
流しや駅前のタクシーのりばで他社と並んで順番にご利用いただくような「たまたまMKタクシーに乗った」お客様も大切です。それ以上に大切にしたいのは「わざわざMKタクシーを選んで注文していただいた」お客様です。
福岡MKでは現在、1日平均で無線配車数500回、市内3ヵ所の専用のりばからのご乗車で200回のご利用がございます。これらの数字は流し営業をあわせた全乗車回数の60%以上を占め、福岡MKがお客様に選ばれていることが見て取れます。無線回数は開業後順調に伸びており、毎月前月比約130%の増加です。
これらは日々お客様からのご指名が増えているということで、大変ありがたく受け止めております。

昼勤1万4500円、夜勤2万1500円
昼夜一稼働売上は平均1万8500円

福岡MKでは1台の車両を2名が担当し、昼勤と夜勤にわかれ24時間運行しております。6月度に入りまして売上実績は高まっており、昼勤の一稼働当り売上が1万4500円、夜勤が2万1500円です。昼夜平均売上は1万8500円(平成21年5月21日〜6月6日実績)です。

増車への備えは万全
5000円超分5割引を申請中

福岡MKでは5000円を超えた金額を5割引する遠距離割引を申請中であり、認可されれば一層福岡MKをお得にご利用いただけます。また、すでに福岡運輸支局に35台の増車届を提出しており、当局による増車監査も問題なくクリアし、準備が整い次第徐々に増車を行ってまいります。  福岡MKは今後とも安心親切な接客応対とお得な運賃で心からのサービス提供に努めてまいりますので、福岡市民の皆様におかれましては何卒よろしくお願いいたします。

MK新聞 2009年(平成21年)6月16日発行 第746号 1面

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タクシー再規制について 第21回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄(21)

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

1日無線500件、のりば200件
札幌MK、給与58万円の社員も

札幌エムケイ株式会社 代表取締役社長 平山 功

開業1ヵ月目にして反響
お客様のご評価に感謝

本年4月22日に開業いたしました札幌MKは、ようやく開業1ヵ月が経過いたしました。参入前には地元のタクシー業界団体である札幌ハイヤー協会が、MKの低運賃はドライバーの犠牲のもとに成り立っているとして許認可差止めの提訴を北海道運輸局に起こすという前代未聞の妨害行為がなされるなど、波乱の幕開けとなりました。
しかしながらMKタクシーとしての気持ちの良い応対や清潔な車両といった基本サービス教育を徹底し、ススキノに専用のりばを設けるなどお客様の利便性を向上する取り組みを続けることによって、札幌市民の皆様より温かい応援の声をいただき、また実際にご利用いただいたお客様からの叱咤激励により、開業1ヵ月ではございますが、着実に評価されてきているという実感がございます。

無線500回、のりば200回
予約率は80%の実績

MKタクシーでは「お客様に選ばれる」ことが、サービスの評価を受けているというひとつのバロメータと考えております。それは無線(電話注文)でご注文いただくことや、専用のりばからご乗車いただくこと、MKタクシーの行灯を見て手を挙げていただくということも含まれます。流しや駅前のタクシーのりばで他社と並んで順番にご利用いただくような「たまたまMKタクシーに乗った」お客様も大切ですが、「わざわざMKタクシーを選んで注文していただいた」お客様を大切にしよう、そして顧客層=MKファンを広げていこうという願いがあります。
札幌MKでは現在、1日平均で無線配車数500回、ススキノ専用乗り場からのご乗車で1日平均200回のご利用ございます。これらの数字は流し営業をあわせた全乗車回数の約80%を占め、札幌MKがお客様に選ばれていることが見て取れます。

創業メンバー64名の
初月度の一稼働売上は
昼夜平均1万8500円

札幌MKでは1台の車両を2名が担当し、昼勤と夜勤にわかれ24時間運行しております。創業メンバー64名の1ヵ月目の実績は昼夜平均売上1万8500円となり、すでに長年にわたり事業を行う京都MKはじめ大阪MK、神戸MK、名古屋MKなどにはやや及びませんが、開業1ヵ月目の実績としては十分今後の成長が期待できます。夜勤者のなかには給与額58万7000円になる者もおりました。
すでに2ヵ月目に入り経過日数3日間(平成21年5月21日〜23日)の実績としては、社員90名で一稼働平均売上が昼勤1万5500円、夜勤2万6500円、昼夜平均2万1000円にまで向上しています。夜勤売上は京都MKに匹敵するようになりました。

20台増車、割引回数券、空港定額運賃
さらに札幌MKが便利になります

このような好調なスタートを切ることになりましたのも、お客様の期待の高さの表れであり、逆に言えば従来の札幌のタクシーに対する満足度の低さだったのではないでしょうか。弊社としましては、より一層身を引き締めてサービス向上に取り組む所存です。
6月末ごろには20台のタクシー増車を予定しており、多くの方より車両が少ないとお叱りをいただいておりましたので、札幌MKをさらにご利用いただきやすくしてまいります。また他都市でもご好評頂いております、500円券21枚綴りを1万円で販売する割引回数券の販売を始める予定であり、空港送迎をお得に安心してご利用いただける空港定額運賃もただいま申請中でございます。 札幌MKはこれからもお客様第一主義の精神で、市民の皆様に札幌のタクシーが信頼できる公共交通機関であると再認識していただけるよう今後とも鋭意努力してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

MK新聞 2009年(平成21年)6月1日発行 第745号 1面

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タクシー再規制について 第20回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄S

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子一義殿

点ではなく線と面でつなぐ利便性
MKタクシーの全国ネットワーク

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

北は札幌から南は福岡まで
各地でMKタクシーがお迎え

MKグループは本年1月に福岡MK、滋賀MK、そして4月に札幌MKを相次いで開業いたしました。これによりMKグループは札幌、東京、名古屋、滋賀、京都、大阪、神戸、福岡の8都市に展開いたしました。
各都市でお客様の足を守ることは当然といたしまして、MKタクシーをご利用いただくお客様が他都市にビジネスや旅行で行かれた際にも、いつもと同じMKのサービスを安心して受けていただくことが出来るようになりました。初めてその都市を訪れた方が最初に触れ合うのがタクシーであることが多いことから、タクシーは都市の顔と言われることがあります。不安な思いをせずに、普段から使っているタクシーを見知らぬ土地でも同じようにお使いいただけることは、タクシーの利便性の最大限の向上と言えるのではないでしょうか。
しかもMKタクシーは一般他社よりもお得な運賃であり、空港から市内中心部へのご移動には特には特にご利用いただきやすくなります。例えば新千歳空港から札幌では約24%お得に、成田空港から東京で約6%、セントレア(中部国際空港)から名古屋で約19%、関西国際空港から京都なら約39%お得になります。

ワンストップサービスで
ご予約をお受けします

MKタクシーでは8社のコールセンターが互いに連携をとっておりますので、例えば普段神戸MKをご利用いただいているお客様が札幌へ行かれる際、新千歳空港から札幌市内のタクシーをご予約される時には、いつもお電話いただいております神戸MKコールセンターへご注文いただければ空港に着かれてからの送迎のご手配をいたします。全国のMKの注文を地元で出していただけるのです。
現在MKグループでは将来的なコールセンターの統合を計画しており、現時点では京都MKコールセンター内において京都、滋賀、東京の受注配車業務を行い、神戸MKコールセンター内において神戸、大阪、名古屋の受注配車業務を行っています。お電話いただくお客様の様々なご要望に出来るだけスムーズな応対が出来るように、お電話注文のワンストップサービス化を進めております。

ともに大切にしたい地域性と
ユニバーサルサービス

MKグループとして全国展開することで、その地域ごとに新しいサービスを提供することがあります。京都では和装振興を目的に着物など和装の方のご乗車運賃を1割引する「きもの割引」や、空港への乗合ジャンボタクシーの「スカイゲイトシャトル」、空港定額タクシーを行っています。名古屋や東京でも空港定額タクシーを運行しており、札幌においても現在申請中です。東京MKで初めて導入したエスティマハイブリッド車は大型車でありながら中型車運賃というサービスが評価され、関西をはじめ、各地のMKにも広がりました。
その一方、MKグループ全社で共通するサービスは、お客様第一主義の精神のもとにご提供するサービスです。親切な応対、挨拶、言葉遣い、ドアサービス、身だしなみ、清潔な車両などは、お年寄りの方やお体の不自由な方、女性の方やお子様がタクシーを安心快適にご利用いただくためのユニバーサルサービスと考えております。
これからも各都市で「なくてはならない身近な存在」としてお客様にご支持いただけるよう、地域性を発揮したサービスと、時代は変わっても根本の部分は変えることの無いサービスの追及に邁進いたします。

地方運輸局の
対応の差に戸惑い

最後に運輸行政におかれましては、タクシー事業がこれまで多分に地域性の強い事業であったために、地方運輸局ごとに申請や届出に対する審査や処理の対応が異なることがありますので、柔軟な対応をとっていただけることをお願い申し上げます。

MK新聞 2009年(平成21年)5月16日発行 第744号 1面

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タクシー再規制について 第19回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄R

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿

札幌MK、反響上々の開業に感謝
お客様視線のサービスを改めて誓う

札幌エムケイ株式会社 代表取締役社長 平山 功

開業までの長い道のり
改めて皆様に感謝します

去る4月22日、札幌MKはMKグループ8都市目の拠点として札幌で開業いたしました。開業までにご協力いただきました関係者の皆様、許認可いただきました北海道運輸局、そして札幌MKに期待をお寄せいただきました札幌市民の皆様に厚く御礼申し上げます。
開業にいたるまでには紆余曲折があり、当初は昨年8月頃より営業譲渡という形で進めてきましたが、交渉がまとまらず、11月7日に新規許可申請に切り替えました。地元の業界団体である札幌ハイヤー協会から許認可差し止めを求めた提訴がなされたことにより審査期間が無用に長引きましたが、本年3月27日に許認可され、その後1ヵ月と無いなかで開業準備を進めてまいりました。
MKタクシーでは質の高いサービスを身に付けるために徹底した教育を行います。これまでのタクシーの「常識」に染まったタクシー経験者ではなく、むしろMK流の教育をゼロから吸収できる未経験者を中心に採用活動を行ってきました。タクシーはサービス業であるという精神を共有できる人材がMK社員なのです。これらの新入社員のなかから少しでもタクシー乗務経験を積ませるために、京都MKにて乗務研修を受けた者もおります。開業前にドアサービスなどの路上教習を行っておりますと、通行人の方から「頑張って」と温かい声をいただくことも多々ございました。
一日ごとに開業日が近付き、私たちもこれまで教習で学んだサービスに自信を深める反面、札幌市民の皆様に受け入れられるかどうか大きな不安もございました。

開業初日から電話注文300件
ススキノ専用のりばで200組

4月22日の開業日、開所式にて社員一同を前に、「私たちはお客様の方を向いて商売をするだけであり、MKタクシーが札幌に来て良かったと言っていただき、さらにはMKタクシーが札幌になくては駄目だと言われるような存在になるために、全社員一丸となって奉仕しましょう」と呼びかけました。
開業時間を待たずにお客様からコールセンターへ予約の電話が鳴り始め、開業初日は電話注文300件、そしてススキノに設置したMKタクシー専用のりばからは200組のお客様にご乗車いただきました。関西でMKタクシーをご利用いただいておりますお客様から、新千歳空港からの送迎のご注文もいただき、MKタクシーの全国ネットワーク化は確実にお客様の利便性を高めていると確信いたしました。この、予想を大きく上回る反響に驚くと同時に、これだけ高いお客様の期待を裏切ることはできないと、非常に気の引き締まる思いをいたしました。

予想以上の確かな手ごたえ
早速20台の増車を届け出

札幌MKの車両数は40台。お客様のご注文に迅速にお応えするためにも今以上に増車を行わなければなりませんが、もし売上が低迷したままで増員増車を図れば会社経営は厳しい状況に立つことになります。しかしながら営業初日から多くのお客様にご用命いただき、増員増車に向けた確かな手ごたえを感じております。
早速、増車に必要な車庫を拡大する申請を北海道運輸局札幌運輸支局に提出するとともに、20台の増車申請を届け出ました。現在新たに空港定額タクシーや割引回数券などの新サービス導入にも動き始めています。

安全運転とサービスを徹底し
お客様に選ばれるタクシーに

札幌MKは一日も早くお客様に選ばれるタクシーになることを目指します。MKタクシーに乗ってさわやかな気分になった、そうお客様に感じていただき、札幌になくてはならないタクシー会社として地域社会に根付いた事業を行ってまいります。お客様におかれましては今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。

報道陣の注目を浴び、初めての営業へ

報道陣の注目を浴び、初めての営業へ

MK新聞 2009年(平成21年)5月1日発行 第743号 1面

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タクシー再規制について 第18回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄Q

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿

札幌MK開業は4月22日に決定
札幌地域経済の活性化をめざす

札幌エムケイ株式会社 代表取締役社長 平山 功

開業が遅れましたことを
市民の皆様にお詫びいたします

札幌MKの許認可につきまして札幌ハイヤー協会からの妨害により審査が延びましたが、運輸当局や労働当局への説明を果たしたことで疑念は払拭されました。これにより当初の予定より遅れましたが、来る4月22日(水)に札幌MKがようやく開業いたします。この場をお借りしまして、札幌市民の皆様には開業が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
これまで多数の激励のお言葉をいただき、期待を寄せられていることを感じており、皆様の期待を裏切ることのないよう「お客様に感動を与えるタクシー」の実現に努めてまいります。私たちはお客様よりご支持があってはじめて社員の所得の向上と会社の発展があると考え、安くてより良いサービスを提供することを責務と考えます。

札幌経済活性化に微力を尽くす
観光分野でも貢献したい

私たちが札幌でタクシー事業を行うことで、様々な面で札幌の活性化につながればと考えており、新規雇用需要の創出や、信頼されるタクシー文化の創出に全力を注いでいきたいと考えます。
開業時点では約80名、40台の体制でありますが、昨年に発表しましたMKタクシー緊急全国雇用創出計画にもとづき、札幌においても約1,000名のドライバーを中心にコールセンタースタッフや管理職なども採用し、早期に450台体制をつくります。
タクシーは唯一のピンポイント送迎ができる公共交通機関です。ドアトゥドアの移動は高齢化社会を迎えた日本社会においてますます高まる輸送ニーズであり、その時に親切な対応で安心してご乗車いただき、しかもご利用いただきやすい適正な価格であることが必要と考えます。人が移動することで経済は活性化します。タクシーはその移動のための毛細血管です。
また京都で培った観光タクシーのノウハウを札幌MKでも実行し、質の高いタクシー観光の提供と、私たち自らも札幌の観光資源の魅力を高め、関西をはじめとする各地のMKタクシーを展開する都市に情報発信してまいります。札幌MKは札幌地域経済の活性化に微力ながら一役を担いたい所存です。

信頼されるタクシー文化と
新しいタクシーサービス

残念ながら全国的に見ても、タクシーは高くてサービスが悪いもの、とお感じの方が多数いらっしゃいます。私たちMKタクシーが目指してきたものは、お年寄りの方や体の不自由な方、女性の方やお子様が一人でも安心してご乗車できるタクシーをつくることです。教育の行き届いたドライバーによる親切丁寧な接客、清掃の行き届いた快適な車両、安い運賃。これらでタクシーの社会的地位を向上させ、タクシーが信頼される公共交通機関としてバスや鉄道と連携することで、マイカーの減少と交通渋滞の緩和をもたらす「都市交通改革」をMKは長年提唱し続けてきました。
京都や神戸においてご自宅まで送迎しつつ高速バス並みの料金の乗合制の空港送迎タクシー(スカイゲイトシャトル)を運行したり、京都において和装の方の移動の手助けにきもの割引(1割引)を実施するなど、マイカーに流れる輸送ニーズをタクシーに向ける取り組みを行っております。

MKタクシーのサービスを
お客様の目で判断してください

札幌MKは4月22日開業ですが、まずは皆様に一度お試しで使っていただき、MKタクシーのサービスをお客様自身の目で確かめていただきたいと考えます。そのためにオープニングキャンペーンとして、お電話でのご注文やススキノのMKタクシー専用のりばからご乗車いただいたお客様には、次回お使いいただける200円券を進呈いたします。
「MKタクシーが札幌に来てよかった」とお客様にご評価いただけるよう、一生懸命に努力してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

MK新聞 2009年(平成21年)4月16日発行 第742号 1面

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タクシー再規制について 第17回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄P

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


札幌MKいよいよ4月下旬開業
第8番目の都市でタクシー改革

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

標準処理期間を大幅に超過し
予定より開業が遅れる

MKグループでは、昨年夏に今後1年間で新たに5都市に進出することを発表し、本年1月30日に福岡MK及び滋賀MKが開業いたしました。そして新規出店では3都市目、MKグループの拠点としては8都市目となる札幌において、いよいよ本年4月下旬に札幌MKを開業いたします(本文は平成21年3月26日に作成しており、間もなく許認可される予定です)。
札幌地域への進出につきましては、札幌ハイヤー協会が北海道運輸局を相手取り札幌MKの許認可差止めを求める訴訟を提起するという、これまで例のない抵抗に遭いました。加えて同協会が「MKの賃金体系は違法であり、MKの低運賃は乗務員の犠牲のもとに成り立っている」といった誹謗中傷を繰り返したことから、北海道運輸局は標準処理期間を超過してまでも異例のヒアリングを行うなど、当初4月上旬に予定していた札幌MKの開業は遅れることになってしまいました。

お客様に感動を与えたい
札幌のタクシー改革を誓う

MKタクシーのサービスの原点は挨拶です。お客様がお乗りになられたら元気に笑顔で挨拶をすることです。徹底した社員教育で丁寧な言葉遣いを心がけ、お年寄りの方やお体の不自由な方に対して安心親切に接客をいたします。制服を着用して身だしなみを清潔にし、車両清掃を徹底していつも快適な状態でご乗車いただきます。そして運賃についても適正な価格でご提供いたします。
このサービス(=ソフト)、車両(=ハード)、運賃(=プライス)を磨くことでお客様に満足いただけるタクシーをご提供することがMKタクシーの企業理念であり、全国各都市で実践しています。札幌市民の皆様から「MKタクシーが札幌に来て良かった」「札幌のタクシーが変わった」と評価していただけるよう全力を尽くしてまいります。

初乗550円で約15%安い
ススキノに専用のりばも設置

札幌MKの運賃は、中型車で初乗1.6q550円と札幌一般他社に比べて約15%安く、遠距離割引5,000円超分5割引とさらにお得になっております。また広々とした車内空間が快適なエスティマハイブリッドも中型車と同じ運賃で運行いたします(※エスティマを指定して注文された場合には、車種指定料として別途1,000円を頂戴いたします)。
さらに、ススキノにMKタクシー専用のりばを設置いたします。お買物、お食事をお楽しみいただいた後にはもちろん、ビジネスにおきましても、是非、安くて安心快適なMKタクシーをご利用くださいませ。

MKタクシー8都市ネットワーク
お出かけ先でも「いつものMKタクシー」

これまで京都、東京、大阪、神戸、名古屋、福岡、滋賀の各都市でMKタクシーをご愛顧いただいておりますお客様におかれましては、札幌へご旅行やビジネスで行かれる際には、是非札幌MKをご利用くださいませ。全国のMKタクシーは同じサービスで皆様をお迎えいたします。「不慣れな土地でも、いつものMKタクシー」の安心をお届けできるよう、今後ともMKタクシーネットワークの充実を図ってまいります。

札幌駅からの運賃比較

MK新聞 2009年(平成21年)4月1日発行 第741号 1面

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タクシー再規制について 第16回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄O

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


札幌ハイヤー協会の回答書
根拠の無い法令違反行為である

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明


札幌ハイヤー協会が札幌MKの
誠意ない回答にはなはだ失望

前号のMK新聞にてお知らせいたしましたとおり、札幌ハイヤー協会が北海道運輸局を相手取り札幌MKの許認可差止めを求める訴訟、及び、MKの賃金体系を違法とし低運賃は乗務員の犠牲のもとに成り立っていると記者会見を開いた問題につきまして、弊社は給与体系の概略を説明して、札幌ハイヤー協会に発言内容の客観的根拠となる資料を求める公開質問状をお送りしました。
平成21年3月2日には回答書を受け取りましたが、回答内容につきましては協会の従前の主張と変わらず、いたずらに弊社の名誉と信頼を失墜させたにもかかわらず、質問に対して何ら説明責任を果たしていない残念なものでした。

標準処理期間の間際になって
北運局が三度目のヒアリング

一連の公開質問状及び賃金規程(抜粋)などは許認可の審査を行う北海道運輸局にもお渡しし、札幌ハイヤー協会の主張するような違反なものはないことを説明しておりましたが、2月下旬になって北海道運輸局から本件についてヒアリングを行う旨の通知がありました。
これまで北海道運輸局のヒアリングは二度(弊社の経験上、通常は一度と理解しております)行われましたが、標準処理期間が3月7日に迫った時期に三度目のヒアリングが行われることに驚くとともに、ヒアリング内容を北海道労働局に照会をかけてその回答を待つ、他の運輸局管轄のMKのことは関係なく、北海道のことは北海道で確認を行うとのことです。これからどれほどの時間がかかるのでしょうか。

全てを北運局に開示しているので
早急に許認可されるよう願います

もちろん弊社といたしましては、ことこまかな資料を呈示し、北海道運輸局の審査にご協力させていただきましたし、何らやましいことはございません。これを機に弊社が適法に事業を行っているということのお墨付きをいただくということも評価できます。しかしながら許認可がそれだけ引き伸ばされれば開業日が遅れ、採用したドライバーの教習日当や事業用地の賃料など無用な費用が発生します。
すでに許認可を受けて新規開業している福岡MKや滋賀MKは既存5社と同じ諸規程を労基に届け出ていることはいうまでもありません。はっきり申し上げますと第三者(札幌ハイヤー協会)からの行為(差止め訴訟)のために、札幌MKの審査が延ばされるということに強い違和感を抱いております。
貴殿におかれましては、北海道運輸局に無用の審査引き伸ばしをせずに、粛々と審査を進め、標準処理期間を遵守するようご指導賜りますようよろしくお願いいたします。(本文は平成21年3月11日に作成しました。それまでに許認可された場合はお詫びいたします)

敬具

MK新聞 2009年(平成21年)3月16日発行 第740号 1面

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タクシー再規制について 第15回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄N

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


福岡MK・滋賀MKに応援の声続々
MKタクシーはお客様とともに成長する

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明


1月30日に同時開業
開業の遅れを取り戻す

この度おかげさまで福岡MK、滋賀MKの両社は、平成21年1月30日にMKグループ第6番目、第7番目の都市として無事開業いたしました。福岡MKは50台、滋賀MKは40台からのスタートで、無線配車、流し、専用のりばなどで初日より多くのお客様のご利用をいただきました。
両社とも運輸局から運賃認可が出されるのが当初の予定より遅れ、特に福岡MKでは開業できない間の教育手当など人件費を中心に約1,000万円以上の損害となりました。これからはMKが培ってきましたサービスを新しい地でお客様にご提供することで、地域で最も信頼されるタクシーとなることをここに誓います。

お客様からの喜びの声も
お叱りの声もいただきたい

MKタクシーをご利用いただいたお客様からは早速ご意見ご感想をいただいておりますので、その一部をご紹介します。
MKタクシーにはアンケートハガキを車載しており、乗務員のサービスやコールセンターの対応などについてのお客様の生の声をいただき、今後のサービスの充実と、至らない点の改善に努めております。MKタクシーをご利用いただきますお客様におかれましてはどうぞ忌憚ない意見をお寄せいただきますようよろしくお願いします。

札幌MK、広島MKは今春開業へ
日本各地でタクシーは生まれ変わる

福岡、滋賀に続き現在開業準備中の都市が札幌と広島ですが、それぞれ本年4月ごろに開業できるよう諸準備を進めております。昨年12月に発表した1万人雇用創出計画にもとづき新規雇用の創出と、新たな都市でお客様に評価される事業展開を実現するべく鋭意努力してまいります。
2002年のタクシー自由化により、MKは京都と東京以外の都市でタクシー事業を始めることができました。この規制緩和が成功であったか失敗であったかを判断するのは、事業者や行政ではなく利用者であるべきです。利用者が実感として規制緩和によってタクシーが便利になったか、サービスが良くなったかを感じ取ればそれは規制緩和の成功と言えます。規制緩和はまだその途についたばかりであり、ようやく利用者のなかにも「タクシーは選ぶもの」という意識が根付き始めました。一時のこととして市場にタクシーが増えはしましたが、これからタクシーは選ばれることを通じて自然と淘汰が進み、より良いタクシー産業が形成されるところでした。MKはタクシーの歴史的な転換点となったその規制緩和の成果に一役を担っているという誇りをもって全国に展開してまいりました。
ところが国土交通省は昨年、局長通達による指定地域制度の導入によって新規参入と増車に対するハードルを上げ、新たな規制を設けるためにまもなく国会で特別措置法の形でタクシー再規制を現実化しようとしています。

タクシー規制緩和を
意味あるものとするために

昨年より私がMK新聞紙上で訴えてきました「タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄」が現実となる日が目前に迫ってきたような感があります。MKグループとしましては残る札幌、広島、横浜への出店と1万人雇用創出計画の遂行のため全社員職員一丸となって今後とも各人の職務を全うしていきます。
貴殿におかれましてはタクシーがこれからも利用者の支持を得られる乗り物であり続けるように運輸行政の舵取りをしていただきますよう宜しくお願いします。

〜お客様の声〜

(中略)
今日、いつものように自宅マンションの下で、流しのタクシーを捕まえようと立ってたら、ハートマークにMKの文字のタクシーが……まさか京都のMKタクシーさん?と思いつつ、手を上げて止めたら、運転席を降りてドアーを開けてくれて……嬉しかったです!! 京都の上賀茂の本社近くに10年、MKファンの私としては感動の出会いでした!! 福岡に会社ができてたなんて全然知りませんでした! やはり、MKさんのタクシー……乗車して気持ち良かったです。乗務員さんは、まだ、接客方法に慣れてないのか、少々ぎこちないように見えましたが、一生懸命さが伝わりました。九州のタクシー会社で早く1になって下さい! 応援します!
あと、貴社の乗務員さんに対しての接客の教育の厳しさをも痛感いたしました! 乗車中に本社センターと他の営業車の無線のやりとりが聞こえてましたが、言葉遣いの悪い乗務員の方みたいで、すぐに帰社させられて、再度、乗務員教育のやり直しをする……と聞こえてきました……素晴らしい限りです。他のタクシー会社が出来ない事を当たり前にされてるところが、全くもってすごいです!
また、MKさんを利用します。会社の上司にも今日のことを報告し、全員が、MKファンになるようにしていきますね!(福岡市在住 近藤様)

敬具

MK新聞 2009年(平成21年)2月16日発行 第738号 1面

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タクシー再規制について 第14回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄M

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


福岡・滋賀の運賃認可の英断に感謝
MKは利用者視点のタクシーを誓う

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明


申請から半年経過の運賃認可
標準処理期間を大幅に超える

昨年申請しておりました福岡MKと滋賀MKの2社について、経営許可申請は昨年末の12月25日に経営許可がおりましたが、運賃認可申請は年内に認可がおりず開業は年越しとなりました。そしてその運賃認可は経営許可から1ヵ月経過した1月22日に福岡MKが、翌23日に滋賀MKが認可されました。
各運輸局は申請の種類毎に標準処理期間を定めており、自動認可運賃を下回る運賃申請は個別審査となって3ヵ月(反対意見があった場合は4ヵ月)としています。弊社はこれまで大阪MK、神戸MK、名古屋MKで幾度となく同じように自動認可運賃を下回る運賃を申請してきましたが、申請から認可に6ヵ月もの期間がかかることはありませんでした。それだけに貴殿が昨年7月に局長通達によって出された規制の強化が様々な面で影響を及ぼしていることを痛感いたしました。

開業日の遅れにより
福岡MKは1千万円の損失

運賃認可を受けて両社ともに開業日を平成21年1月30日と定めましたが、福岡MKはもともと昨年12月22日の開業を予定し、それに向けて準備を進めておりました。特に経営許可を得るためにはあらかじめ必要数の乗務員を採用していなければならないとされ、福岡MKでは約80名の採用を行い、そのうち早期に採用した40名は神戸MKや大阪MKで乗務し、12月に入ってから採用した残り40名は開業日に照準を合わせて福岡現地で新人教育をしておりました。
ところが認可がおりないため開業することも出来ず、売上がない状態で日々教育手当をはじめとする人件費など諸経費が発生し、1ヵ月間の開業遅れによって約1千万円の損失が出ました。行政の審査基準に従って人の採用や事業用地の契約もあらかじめ行ったにも関わらず、許認可が延びることで発生した損失は一体誰が補償してくださるのでしょうか。

全国10都市で新規雇用を生み出し
利用者利便を向上させます

MKタクシーは福岡、滋賀の開業を皮切りに今後全国10都市で展開します。広島と札幌はこの春開業を予定しており、横浜は申請準備中ですが、既存の5地域においても昨年末に発表したMKグループ全国緊急雇用創出計画に従って1万人の新規雇用を生み出します。乗務員のみならず事務職員や整備工、管理職の採用も行っていく予定であり、国をあげて雇用問題に取り組むなかで、何卒国土交通省として弊社の活動にご理解を賜りますようお願いいたします。
超高齢化社会に突入した日本社会においてタクシーは点から点へピンポイント送迎が出来る唯一の公共交通機関であり、交通バリアフリーの実現には、タクシーが今まで以上に利用者が安心して気軽に利用できるものにならなくてはなりません。MKタクシーでは、安全運転、挨拶、美化、親切という4つの約束をMKタクシー憲章として定め、お年寄りやお体の不自由な方、女性やお子様も安心してご利用いただけるよう努めてまいります。

特定地域のタクシー増車は認可制
時代を逆行する新法案には反対する

昨年1年間をかけ議論された交通政策審議会タクシー事業を巡る諸問題に関する検討ワーキンググループからの答申を受け、国土交通省はタクシーを再規制するべく道路運送法改正準備を進めており、まもなく改正案を国会に出されます。新法案の「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」によると、国交省が定めた特定地域において、地域で構成された協議会がタクシーの適正化・活性化のための地域計画を策定し、それに沿ってタクシー事業者が特定事業計画を策定し、国が認定することで合法的に減車をすすめることが出来ます。
さらにこの特定地域において増車は届出制から認可制とする案となっており、大きく規制強化になっている点は見逃せません。新法の主旨にのっとりタクシーがこれからも社会から必要とされる公共交通機関として発展していくためには意欲と創意工夫が必要であり、そうした取り組みを通じてお客様から支持されているタクシーに規制をかけることは本末転倒です。貴殿におかれましては今一度新法案の意図するところと利用者のニーズをお考えいただければ幸いに存じます。

敬具

MK新聞 2009年(平成21年)2月1日発行 第737号 1面

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タクシー再規制について 第13回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄L

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿
    厚生労働大臣 舛添 要一 殿


MKタクシー緊急全国雇用創出計画
全国MK10社で1万人の正規雇用

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

 

一層進むデフレ経済
緊急の雇用対策が必要

2008年の後半はサブプライムローン問題を端緒にアメリカを発信地とする世界的な経済不況が日本にも多大な影響を与えております。世界的企業として名だたるトヨタ自動車をはじめとする日本の最大手メーカーも、派遣社員や契約社員など非正規雇用の雇い止めを次々と行い、さらには正社員もがリストラの対象になるという報道が連日なされております。数千、数万の失業者が増えることが確実視され、政府も雇用促進対策に追われております。
2009年は消費者心理がさらに冷え込むことでモノが今以上に売れなくなり、その結果さらなる人員整理がなされることは想像に難くなく、一層デフレ経済へ進むのではないでしょうか。

若年層、中年層の雇用の受け皿
安定した収入を得る教育体制

さて、私どもMKタクシーグループ(エムケイ株式会社、東京エムケイ株式会社、大阪エムケイ株式会社、神戸エムケイ株式会社、名古屋エムケイ株式会社、福岡エムケイ株式会社、滋賀エムケイ株式会社、札幌エムケイ株式会社、広島エムケイ株式会社、横浜エムケイ株式会社(設立予定))10社はこの度、今後1年間を目標に全国で合計約1万人の正社員雇用を行い、特に若年層、中年層の雇用の受け皿となると同時に、タクシー・ハイヤー・バス事業のさらなる活性化に取り組んでまいります。
MKタクシーグループでは本年7月に東名京阪神以外の全国5都市に新たに進出することを決定し、タクシー事業の許可申請を行い、福岡エムケイが本年12月、滋賀エムケイが年明け1月に開業する予定であり、残る3社も順次申請を進めております。前述のとおりデフレ経済下では「安くて質の高いサービス」が消費者に支持され選ばれます。新規進出するエリアでも利用者が利用しやすいような運賃設定と誰もが近距離でも安心してご乗車いただけるような親切なサービスを心がけております。
超高齢化社会へと突入するわが国で老人の方が安心してお使いいただけるタクシーや、国土交通省が推進するVisit Japanキャンペーンによる海外からの旅行者に対応する語学が出来るドライバーの育成や、自治体との協議によるジャンボタクシーやマイクロバスを使ったコミュニティ送迎などの新しい交通体系の確立など、タクシー・ハイヤー・バス事業には大きな社会的役割が期待されています。各地に進出したMKタクシーがこの度の不況の影響で職を失わざるを得ない方々の新しい活躍の場として正社員雇用と徹底した教育で、一流のサービスドライバーへと成長し、一家の生活を守るだけの収入を得られるようになることは、社会に大きな示唆を与えます。

タクシー再規制は
雇用計画の妨げに

国土交通省は来年度国会でタクシーを再規制するべく道路運送法改正準備を進めております。新規参入や意欲ある事業者の増車が規制されることになれば、本雇用計画に重大な支障をきたすばかりでなく、規制緩和以前の護送船団方式に戻り今より利用者離れが加速することは明らかです。監督官庁である国土交通省は事業者を守るのではなく、利用者に向いた商売を行うよう経営者が意識改革するよう指導監督することです。そしてそのことが将来のタクシー産業の隆盛につながるのです。
これから日本経済はさらなるデフレ経済へと突入し、消費心理はますます冷え込むことでしょう。その一因として不安定な雇用状況があり、それによってモノは売れず企業は売上を低下させ、さらに雇用調整を行う、という負の連鎖につながります。この負の連鎖を止めるためには雇用の促進は欠かせません。今、この厳しい状況の中であえてMKグループは新規雇用と全国で新しいタクシー・ハイヤーを使ったマーケットの創造に取り組もうとしております。
国土交通省並びに厚生労働省におきましては、「MKグループ緊急全国雇用創出計画」にご賛同賜りますとともに、ご支援ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。

社員数推移

MK新聞 2008年(平成20年)12月16日発行 第734号 1面

敬具

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タクシー再規制について 第12回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄K

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


あらゆる経営努力で給料を前年比プラス
社員を守るのは國ではなく経営者である

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。

京都MK11月度給料が前年比プラス
会社、労働組合がバックアップ

タクシー事業は経済不況によって年々売上の減少を招いていると言われております。弊社といえどもその影響を完全に免れることはありませんが、わずかな減少で食い止める努力を全社一丸となって行っております。売上は夏ごろより前年比約4%減少し、原油価格の高騰がさらなる追い討ちをかけようとしていました。
タクシーの売上を高めるために行うことは至ってシンプルです。出勤日数やハンドル時間管理といった労務管理を徹底することはもちろんのこと、このような時期だからこそ社員はサービスの基本に立ち返り一人一人のお客様を大切にして次回の利用につなげ、コールセンターは1本でも多くの電話をとって配車を行います。
そうした日頃の行いの上で、弊社では社員の給料を守るために10月度より燃料代補助としてLPガス手当を支給しております。同時に労働組合も主旨に賛同し、組合費を一部減額し、会社と労働組合が一体となった取組みを行いました。
その結果、京都MKでは11月度のドライバー給与において、新入社員を除いた昼勤の皆勤者の給与支給実績が前年比を金額ベースで253円上回る32万3,151円(前年同月32万2,898円)の実績となりました。売上低迷と言われる環境のなかで、社員の給料を前年より高めることが出来たのです。

国に再規制をせがむだけでは
社員の所得は増やせない

タクシーの売上は景気が悪化すると真っ先に影響されることから、景気の動向をつかむひとつの指標として見られることがありますが、だからといって経営者としては売上の増えた減ったを、すべて外部環境に責任を押し付けることは出来ません。どのようにして自分の会社の社員の所得を減らさないかを考え、実行することが経営者の唯一の役割です。
 弊社の場合は、一人あたり1万5,000円の手当を支給するに当たり、支給原資は約2,000万円必要です。この原資を捻出するために会社として全額を利益から吐き出すということは出来ません。全国のコールセンターの統合やグループ企業の管理本部の統合など様々な経費の見直しでコスト削減を行いますが、直接的な方法として私のような役員、幹部をはじめとする管理職で二種免許を所持するものが業務の合間に自らハンドルを握って売上をあげて原資としています。経営者自らが汗をかいて、と言うと大げさかも知れませんが、それくらい自分の会社の社員の生活を守るためにはまずは自分たちで真剣に取り組まなければなりません。先のLPガス手当は今現在目に見える取組みの一部であって、その背景にはこれまで40年以上にわたって創り上げた教育の仕組みと、社員の所得向上のために何が出来るかを常に考える会社の意識があるのです。
もしも国土交通省が売上が減った分だけ、利益が減った分だけ保証していただけるというのであれば、私も喜んで規制でも何でも受け入れます。ですが現実としてそのようなことは不可能です。それであるならば売上を増やす努力をしようとする者の手足を縛るような、商売の邪魔はしないでいただきたい、と申し上げるのです。

国交省は経営者育成が本来の役目
市場を規制すればタクシーに未来ない

弊社は先だって国土交通省に再規制反対を求める53万9,008名の署名を提出しました。既得権益の保護ではなく、利用者視点のタクシー改革を求めるものです。
国土交通省は、タクシー経営者が意識改革しない限り、新規参入を排除し護送船団方式に戻せば、規制緩和前の利用者不在のタクシーに逆戻りとなることは自明の理であることを理解すべきです。タクシーだけが特殊な産業ではありません。苦しいのはどこも同じです。苦しくなったら自助努力せずに「お上」に頼む、そのようなタクシー経営者のメンタリティを作ってきたのは国土交通省であり、まず国がなすべきは「まっとうな」経営者を指導し育成することであって、国がマーケットを育成しようと法規制を持ち出すのは本末転倒です。国土交通省はタクシー産業の未来のために長期的な視点に立って、独り立ちする経営者を育成することこそが本来の役目であるとご認識ください。
貴殿におかれましては、何卒利用者のためのタクシー行政を行っていただきますようよろしくお願いいたします。

MK新聞 2008年(平成20年)12月1日発行 第733号 1面

敬具

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反対署名フリップ
タクシー再規制反対を求める署名を提出いたしました。
539,008名もの署名が集まりました。市民の皆様のご協力に感謝いたします。

2008.11.11

 

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タクシー再規制について 第11回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄J

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


再規制反対署名
54万名分を国交省に提出
〜既得権益保護でなく利用者視点の改革を〜

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。

53万9千名の再規制反対の利用者の声
国土交通省はどのように受け止めるか

前号で申し上げましたように、MKグループでは本年8月5日より10月31日までお客様を中心にタクシー再規制反対の署名活動を行ってきました。最終集計は53万9,008名分が集まり、去る11月11日に国土交通省自動車交通局旅客課宛に署名を提出いたしました。
これだけ多くのお客様から賛同を得られるとは署名活動開始当初は思いもよらず、タクシー利用者の関心の高さを知らされるとともに、改めて利用者視点のタクシーのサービス作りを我々事業者は肝に銘じていかねばならないと思いを新たにいたしました。

特特地域指定の7・11通達は
既得権を保護し自由競争を阻害する

すでに国交省は7月11日付局長通達によって特定特別監視地域を定め、最低車両数の引き上げや、2ヵ月前までの増車届出制と増車監査による罰則の加重など、実質的な再規制を始めています。
これらの問題点は一言で申し上げるならば、自由競争の阻害であります。具体的にMKグループの例に置き換えますと、本年7月から8月にかけて福岡、滋賀、札幌に事業許可申請を行いました。最低車両数が10台から40台へ引き上げられたことにより初期投資としておよそ2億円は必要となり、申請日より許認可日まで確保しておかなければなりません。さらに許認可を得るためにはあらかじめ乗務員を60名から80名程度確保しなければならず、事業開始までの間の売上をあげることは出来ずに人件費が大きくのしかかる状態となり、よほどの大資本のある企業か、他社タクシー会社からの大量引き抜きでもしない限りは、参入する意欲があっても出来ません。弊社は、例えば福岡MKであれば開業までの間、福岡で雇用した者を神戸MKや大阪MKで乗務することが出来るために負担は軽減できましたが、そのような地盤のない新規参入希望者は一体どうなるのか全く想像できません。
さらに昨年改正されたタクシー業務適正化特別措置法により、東京、大阪以外の政令指定都市にも乗務員登録制度が始まりましたが、登録のために必要な研修受講について、最低車両数引き上げによって大量の新入社員を受講させなければならないにもかかわらず、受講定員の都合で開業予定日までに受講出来るかどうか分からないというような問題も起こっております。様々な手段を用いて新規参入事業者の参入阻害を図っているとしか思えないような制度的な問題があります。
現在の通達に基づく規制強化だけでこれだけ新規参入に困難がつきまとうのであれば、今後貴殿らが進めようとする道路運送法改正においては、新規参入は事実上不可能な代物となるのではないでしょうか。

何故タクシー業界のみが保護されるか
すべては経営者の問題である

国交省は供給過剰がタクシー業界を疲弊させる原因だと言いますが、これも地域差があり、実際大阪では登録車両台数は増加しているものの乗務員登録数は減少し、車両の稼働率は規制緩和前を下回っています。単価は下がったものの全体的な実車キロ数は増えていますので、ワンコインや遠距離割引などの創意工夫によって利用者が増えているのではないでしょうか。反対に昨年値上げした東京は、値上げをしたのに売上が前年より低下しており、利用者を無視した値上げがいかに業界の論理がまかりとおったものであるかを物語っています。無論値上げをしなかった東京MKは前年より売上が高まっています。経済成長率の低い時代に安易な値上げをすれば利用者離れを起こすのみで、まずはどのようにして実車率を高めるかを考えるのが経営者の使命であるというMKの昭和50年代からの主張が、そのまま時代を経ても国交省やタクシー業界団体にはご理解いただけていないようです。不況の時代に苦しいのはタクシーだけではありません。あらゆる産業が試練に直面しており、サービス改善など何ら努力することなしに値上げが認可されたり行政により保護を受けたりすることの是非を国民に問わなければなりません。
規制緩和を業界からの視点のみで評価してはなりません。新規事業者の参入でサービス競争が発生し全体のレベルが上がった、台数が増えてすぐに来てくれるし選べるようになった、安い運賃で乗れるようになった、さらには乗合タクシーや子育て支援タクシー、緊急通報支援タクシーなど社会的意義のある新しいサービスも生まれました。そしてタクシー規制緩和は新規雇用需要を生み出しましたし、これから超高齢化社会に向けてタクシーの役割は重要性を増していきます。これらの「功」の部分や将来の責務をよくよく考え、タクシー業界が昔の護送船団方式の時代に回帰することだけは避けなければなりません。今ようやくタクシーは「利用者が安心して選ぶことが出来る」時代になろうとしているのです。
貴殿におかれましては、再規制反対の54万人の声を真摯に受け止め、どうかタクシーの未来のためにご賢明な判断を下されることをお願いいたします。

署名を渡す弊社社長の青木(右)

多くの報道陣が詰めかけた

MK新聞 2008年(平成20年)11月16日発行 第732号 1面

敬具

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タクシー再規制について 第10回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄I

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


再規制反対署名に35万名以上の賛同
利用者視点のタクシー改革を望む

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。事業者の創意工夫によってようやく多様なサービスが生まれ始めてきたタクシーが、今後も利用者のための利便性の高い乗り物として発展成長出来るか、その鍵は利用者の声にいかに耳を傾けるかにかかっています。

署名活動に35万名超が協力
再規制を憂うお客様の声に感謝

MKグループでは本年8月より、タクシーをご利用いただくお客様を中心に、この度の既存事業者の既得権益を守り、新規参入や意欲ある事業者が創意工夫を発揮できないような再規制に反対し、より利用者視点でのタクシー改革を進めることを貴殿宛に請願する署名活動を行ってきました。
おかげをもちまして現在37万4611名(平成20年10月28日現在。署名活動は10月末まで実施)の方々より賛同の署名をいただいており、月末までには40万名に届こうという勢いです。

国土交通省はどちらを向いて
タクシーの将来を形作るか

再規制の問題については、交政審のタクシー問題ワーキンググループにおいて検討がなされており、本年12月には答申の決定がなされます。ワーキンググループのメンバーは学識者が中心でありますが、タクシー関係者としては全乗連や労働組合団体のみであり、再規制推進の立場の方々です。私が危惧しますのは、タクシー利用者の声を代弁する方が圧倒的に少ないのではないかということと、規制緩和を肯定的にとらえて創意工夫を凝らして経営努力をしていこうとする事業者が含まれていないということです。
貴殿におかれましては、タクシー関係者の声がすべて再規制を求める声であるとは考えないようご留意いただきたく存じます。そして今回の署名活動で明らかになった35万名の声を真摯に受け止めていただきたい所存です。

タクシー業界団体の声がすべてではない
再規制反対の声は全国にある

弊社が去る9月29日の規制改革会議の公開討論会に参加したことをきっかけに、広島県福山市の田島タクシー有限会社の谷川壽オーナー様より、タクシー再規制反対に賛同する旨のご意見を頂戴し、署名活動にもご協力いただきました。田島タクシーは規制緩和前より事業を行っており、それまでは事業区域拡大や増車がままならないなかで、お客様からのご注文に応えきれないことがあったとのこと。規制緩和によって500円運賃導入や増車拡大でお客様の期待に応えることが出来たといいます。
谷川オーナー様が感じておられることは、再規制反対という意見はMKのような事業者であれば声高に主張する機会があるが、小規模な事業者であればそのような機会がなく、声は届かない、まだまだ全国には同様に再規制に反対する事業者は多い、とのことでした。下記に田島タクシーが提出された規制改革会議宛の意見書を掲載いたします。

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規制改革会議殿

田島タクシー有限会社
取締役 谷川 壽

タクシー事業の再規制に関して

私は、タクシー事業の経営陣に属していますが、現在国土交通省が進めているタクシー事業への新規参入や増車に対する再規制強化に向けた動きに関し、次のとおり意見がありますので、述べさせていただきたく存じます。

1.当社の経緯について
当社は、平成14年の道路運送法の改正前から、当地においてタクシー事業を経営してきました。当時営業区域拡張や増車申請を幾度となく行ってきたにもかかわらず、ことどとく却下され、事業の拡大が出来なかったばかりか、地域住民の要望にも応えきれず苦慮していました。
しかしながら平成14年の法改正以後は、区域拡張や営業所の新設、さらにはワンコイン運賃を始めとする多様な運賃設定が認可されるようになり、そのことが地域住民から多大な支援を得て、現在に至っています。
今後も高齢者割引や妊婦割引等の工夫をして、旅客需要の掘り起こしに努めていこうとしていた矢先、この度の再規制の方針を知った次第です。

2.再規制について
規制強化によりタクシー台数が制限されることで、運転手の給与減少や事故が防げるという論法を聞きますが、果たしてそうでしょうか。
当社では、現在のところ実働率からみて適切な車両数に落ち着いていますが、実働率が落ちれば減車し、上がれば増車したいという要望を持っています。つまり、需要の減少や運転手不足で車両が余っているようなら経費節減のため減車する、あるいは反対に需要が上向き、旅客をさばききれないようになれば、運転手を雇い入れるとともに増車(減車の復活)をする、という方法で柔軟に対応したいと常々考えています。
ところが、再規制によって増車が難しくなれば、無理をしてでも減車せずに現状で我慢する、という事になります。
つまり、規制を強化することで、運転手の給与減少や事故を防ぐどころか、逆に、給与が減少し事故リスクが増えるという論理も成り立つわけです。
バスやトラックの事業者においては、増減車が比較的柔軟に行われているように思われます。これは、増車について施設や人材の他には制限を設けていないからで、事業者においても安心して必要な減車を行っています。ひるがえってタクシー事業者の間では、過去の経験でいつ増車ができなくなるかわからないという恐怖心に近いものがあり、なかなか減車に踏みきれないのが実情です。ましてやこの度のようにわずか数年で供給規制が復活することが明らかになれば、必要に応じて減車する事業者は極めて少ないことでしょう。

3.需要開拓とタクシー業界の発展のために
全乗連を始めとして、既存事業者は規制強化に賛同するかのような情報もありますが、当社を始め零細事業者の多くは再規制に反対の立場です。また多くの事業者は零細業者です。
多様な運賃を始めとする多様なサービスを工夫し提供することで、旅客需要を開拓してきたのもこれら零細業者の力に負うところが大きいと存じます。
「積極的に客を増やす工夫が成功の鍵である。客が歩くかタクシーに乗るか迷うような短い距離では、初乗り料金を細分化すれば確実に客は増える。……深夜割増料金があるなら朝夕の時間を除いた昼間割引があっても良いし、定額料金制をもっと普及させる必要がある。……せっかく進み始めたタクシー会社の相違と工夫への努力に水を差すような供給制限は業界の発展を損ねる」と八代尚宏国際基督教大学教授が喝破されていますように、利用者利便の観点からも業界発展の観点からも再規制には反対です。
最後に、MKタクシーのような事業者でもなければ、このような意見を表明する機会はほとんどありませんでしたが、この度規制改革会議の存在を知り、書面をお送りさせていただきました。全国にはまだまだ私たちのような事業者がいるということを申し添えます。  以上

MK新聞 2008年(平成20年)11月1日発行 第731号 1面

敬具

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タクシー再規制について 第9回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄H

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 金子 一義 殿


規制改革会議公開討論会に出席
タクシーには経営者の意識改革が必要

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。タクシーが真に公共交通機関として国民が安心して利用できるものに生まれ変わることが出来るか、また過去の利用者不在のタクシーへと逆戻りしていくか、正念場を迎えてまいりました。

規制改革会議の論点整理
国交省の考えに因果関係薄い

 政府の規制改革会議(議長 : 草刈隆郎・日本郵船会長)は、去る平成20年9月29日に、タクシー事業を巡る諸問題についての公開討論会を開催しました。規制改革会議の交通担当である中条潮委員の司会進行のもと、国土交通省をはじめ全国乗用自動車連合会、全自交労連とともに事業者代表として私も出席させていただきました。
 本公開討論会はあらかじめ規制改革会議から論点があげられており、本年7月に国土交通省が出した特定特別監視地域指定の通達について、国土交通省が規制の理由としてあげる「規制緩和による増車が事故率や賃金低下を招いたために、解決には参入・増車抑制が必要」という考えには因果関係が薄いとして、
@規制緩和のメリットを考慮すべき
A事故対策は参入増車抑制ではなく事故を起こした者への行為規制で対応すべき
B労働条件改善は事業者の責任であるとともにタクシー事業単体でなく、より広い社会政策のなかで考えるべき
C優れた事業者の創意工夫を活かすためにより一層の規制緩和を進めるべき
D今回の規制が法律や政令でなく一府省内の手続きである通達のみでなされたことは不適切
E最低車両数引き上げは新規参入を抑制し、安全対策は行為規制によってなされるべき
F高度なサービス提供のため上限運賃撤廃など一層の運賃の規制緩和
G柔軟な営業活動のためにタクシー営業区域の撤廃などが提示されました。

国交省、業界団体、労働団体は
再規制の必要を主張

 本会はまず各出席者がそれぞれ意見を述べ、その後に自由討論という形がとられました。最初に国土交通省の本田勝自動車交通局長が「規制緩和により日車営収が改善している地域もあればそうでない地域もあり野放しできなくなった」「事故防止や労働改善は行為規制や経営者だけでは不十分」「行政通達での対応は法の許す範囲で対処すべきと考えた」と述べられました。
 続いて全国乗用自動車連合会の富田昌孝会長からは「タクシーを規制緩和の学問理論の実験の場にしてはならない」「悪貨が良貨を駆逐している」という意見が、全自交労連の待鳥康博書記長からは「事故は高止まり、賃金は下げ止まり」「事故が起こってからでは遅く、事故を起こさない環境にすること」「限られたパイのなかでの値下げは他社から奪っているだけ」という意見が出されました。

再規制で需要が喚起されるか
利用者視点と経営者意識改革が必要

 私は規制緩和について論じるには、利用者視点に立ってみて規制があった頃と今とでどちらがお客様にとってタクシーを使いやすくなったかが大切であり、需要喚起が必要だが果たして国土交通省通達でそれができるのかは疑問であると述べました。
 弊社の調べでは、規制緩和前の平成13年と平成19年とで比較しますと、東京では車両数106%の増加、大阪では112%の増加ではありますが、実際に営業している稼働率は両地域とも推計99%で減少していることが分かります。また大阪に至ってはタクシーセンターに登録する乗務員数は93%に減少しており、供給過剰と呼ばれている実態は不明確です。私はそのような状況の中で、ドライバー教育はもちろん必要であるが、そのドライバーを教育する管理者、ひいては経営者自身の教育による意識改革が必要ではないか、そこから新しいものや需要が生まれてくると指摘しました。

罰則加重の通達に疑義の指摘
いまだ官主導のパターナリズムが

 続く自由討論では、中条委員より規制緩和と事故数の関連についてなどを問われると、本田自動車局長は平成14年の規制緩和だけが今日の状況を起こしたのではないとし、平成14年以前の道路運送法に戻すつもりはない、としながらも、需要喚起がまず一番だが、その前に供給過剰の対策がいると答えました。中条委員からさらに、飲食店なら廃業だがタクシーはそうでない、なぜ行政が特別な市場介入をしなければならないのかという追及があると、本田局長は利用者に直接サービスするドライバーの待遇が事故の問題に直結しているからと説明しました。
 各出席者の意見を引き取った草刈議長からは「タクシーのみではなくあらゆる産業に需給の良い悪いがあって、それらは行政の責任ではなく経営者の問題であって、そのことを経営者に分からせることが行政の役割であり、官主導のパターナリズムがまだ生きている」「賃金問題は労使でやるべきで、行政がやってくれると思っている」「事故の問題は経営者の教育の問題で、自己責任でやるべきで、台数を減らせば事故が減るとは短絡的な考え」という総評があり、福井秀夫委員(政策研究大学院大学教授)からは、特定特別監視地域指定の通達について、増車見合わせなど行政指導に従わない場合は罰則が強化されることは行政手続法上疑義があると指摘しました。

タクシーは特殊な産業なのか
利用者不在の規制は産業を衰退させる

 討論会後に規制改革会議が行った記者会見では、タクシーが特殊であるという国交省や業界・労働側の主張に違和感を感じたと述べています。
 規制緩和によって利用者が望むサービスを提供できる環境ができ、実際に利用者の声を受け止め、運転者の接遇や運賃などに反映させている事業者は全国に生まれてきています。そしてそのような事業者はサービス水準が上がることで需要が増え、運転手の増員や車両の増車ができるようになります。そこには「選ばれる」タクシーと「選ばれない」タクシーという事業者間の格差が生まれますが、これは法改正の趣旨がもたらす当然の結果であり、同じ条件で営業を行っている訳ではないのに同じものとして評価されることは不自然ではないでしょうか。
 国土交通省は供給過剰を前提としていますが、そもそも増車は需要の変化や運転者の充足状況に応じて自然に発生するものであり、売上確保のために無理に行われるような恣意的なものではありません。恣意的に増車をし、十分なサービスを提供できない運転者が増加しているためタクシー離れが加速しています。その結果賃金の低下や事故を引き起こしているのは、事業者・経営者の責任であり市場全体の責任ではないのではないでしょうか。
 それゆえ規制改革会議の感じる「タクシーが特殊な産業と言われることへの違和感」について、私はもっともなことであると考え、タクシー事業者が意識改革しなければタクシー産業全体が衰退するという危機感を抱きます。
 末筆でございますが、貴殿におかれましては広く利用者の意見にも耳を傾け、タクシーの未来をご検討くださいますようよろしくお願いいたします。以上

規制改革会議の会場

規制改革会議の会場

MK新聞 2008年(平成20年)10月16日発行 第730号 1面

敬具

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タクシー再規制について 第8回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄G

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 中山 成彬 殿


セントレア、関空に営業所開設へ 全国に広がる「空港送迎はMK」

 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。
弊社は、タクシーがこの度行政が進める再規制によって、真に利用者に評価される自己練磨の機会を永遠に失い、旧態依然とした業界へと逆戻りすることを危惧しております。

都市機能の利便性を高める
規制緩和だから出来ること

 弊社は本年7月に新たに福岡、滋賀、札幌、横浜、広島への新規参入を発表し、既存の京都、東京、大阪、神戸、名古屋に加えた10都市にサービスエリアを広げ、安くて質の高いサービスのタクシーを運行いたします。
 タクシーの役割はお客様を安全快適に目的地までお供することですが、その目的地によっては特徴的なサービスが編み出され、そのひとつとして空港送迎タクシーが生まれました。昨今、新たな空港は海上埋立地に建設され、比較的都市部から離れており、そこに高速道路や鉄道線が敷かれ、様々なアクセス方法がありますが、まだまだ空港送迎の手段としては鉄道や高速バスがよく知られるところです。
 MKでは平成9年より初めて乗合制のジャンボタクシーによる運行で、バス並みの運賃で自宅からドアトゥドアのタクシーの利便性を兼ね備えた「MKスカイゲイトシャトル」を京都↑↓関空間で始めました。現在は京都↑↓伊丹、神戸↑↓関空間の送迎も増えて月間約4万名以上にご利用いただき、空港アクセスの一手段として根付いています。この空港乗合タクシーが実現したのは、今から考えると規制緩和の第一歩であったのかもしれません。
 さらに現在では、京都↑↓関空・伊丹間や東京↑↓成田間、名古屋↑↓セントレア間で、エリア内であれば一定運賃となる「定額タクシー」を導入したり、長距離の乗車をゆったりくつろいでいただくために各都市で大型タクシー(エスティマハイブリッド)の導入を進めています。
 空港へのアクセスの選択肢を増やし、利用者に旅やビジネスなど本来の目的への集中や、重い荷物や子連れの大変さへの手助けをすることが、タクシーとして出来る役割です。

名古屋MKセントレア営業所開設
関西国際空港でもまもなく

空港送迎のニーズに迅速に対応するためにMKでは各空港に近接したエリアに営業所を設立しています。すでに東京MKでは平成18年に成田空港の送迎のため成田営業所を設立し、羽田空港に近い東京都品川区に大崎営業所を先日開設しました。関西では神戸MK本社がポートアイランド内にあって神戸空港に近接しています。
 去る平成20年9月23日には中部圏の空の玄関口となるセントレア(中部国際空港)に近接する常滑市に名古屋MKセントレア営業所を5台のタクシー台数(中型タクシー3台、ジャンボタクシー2台)で開設しました。同時にセントレア発の中部圏一円への定額タクシーのサービスも開始いたしますので、岐阜、三重、静岡のお客様でもお得な価格での送迎が可能となります。
 また、関西圏では平成20年11月予定で関西国際空港送迎を中心とした関空MK株式会社が、大型タクシーのエスティマハイブリッド5台で開業します。関空から近畿一円への送迎を行います。
 その他にも本年12月には福岡MKが開業し福岡空港をカバーし、平成21年には伊丹空港をカバーするため大阪MK豊中営業所を開設する予定です。このように各都市の空港をMKタクシーはカバーします。「空港送迎ならMKタクシー」と利用者から認められるようエリアとサービスを拡大する所存です。

「空港送迎ならMKタクシー」
全世界から認められる日本企業に

空港は国内の長距離移動の拠点であると同時に、海外から日本を訪れる入口でもあります。飛行機を降りて最初に接する日本のサービスがタクシーであることも多々あります。そしてその出会いは日本の第一印象として深く脳裏に刻み込まれます。
MKタクシーでは海外からのお客様の対応のため英会話ドライバーを育成し、目的地までのアテンドから観光案内までを一貫して務めます。「最上級のおもてなし」を合言葉に接客技術を磨き、日本の印象を良いものとして母国へお帰りいただくことが願いです。
 空港営業所を拠点とすることにより、航空会社や旅行会社との連携の上でより効率性の高いタクシー配車が出来ることもメリットのひとつです。規制緩和によって営業所の新規設立や弾力性ある運賃設定が出来るからこそ、このような空港営業所戦略を実現することが出来るのです。
そしてその結果、お客様により利便性の高いサービスを提供出来る、ということもまた規制緩和の成果のひとつであると言えるのではないでしょうか。
 貴殿におかれましては、今後とも規制緩和がもたらす成果を失わせることのない行政を形作っていかれますよう何卒よろしくお願いいたします。

成田空港 東京MK
成田営業所
開設済み
羽田空港 東京MK
大崎営業所
開設済み
セントレア営業所 名古屋MK
セントレア営業所
平成20年9月開設
関西国際空港 関空MK 平成20年11月開設予定
大阪伊丹空港 大阪MK
豊中営業所
平成21年開設予定
神戸空港 神戸MK
本社営業所
開設済み
福岡空港 福岡MK 平成20年12月開設予定

MK新聞 2008年(平成20年)10月1日発行 第729号 8面

敬具

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タクシー再規制について 第7回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄F

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 谷垣 禎一 殿


規制緩和の「成果」を全国へ MKがタクシー改革を実現する

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。
わずか6年でタクシー行政は規制緩和から一転し再規制へと逆戻りし、弊社はそれに反対する立場からMK新聞紙上において社会に広く訴えかけております。

福岡、滋賀、札幌への新規参入申請
横浜、広島へも準備中

弊社は現在、既に事業を行っている京都、東京、大阪、神戸、名古屋の五都市に加えて、新たに福岡、滋賀、札幌、横浜、広島への新規参入の方針を掲げており、既に本年7月には福岡と滋賀への事業許可申請を行い、8月には支援打診のあった札幌の事業者との間でタクシー事業の譲渡申請を行うなど、着実に開業準備を進めているところです。
 安心親切な接客サービスと安い運賃によりMKタクシーは各都市でおかげさまで高く評価されご利用いただいておりますが、京都のタクシー会社であったMKが他都市でタクシー事業を行うことが出来るのも、当時運輸省の規制緩和の方針のためであり、平成14年の道路運送法改正による参入自由化の賜物です。
門戸を開き事業者間の競争と創意工夫によるタクシー事業の活性化と利用者利便の向上が目的であった法改正の主旨を、私たちは愚直に実践してきました。徹底した教育によって、「タクシーはサービス接客業である」ということやお客様に対して挨拶を行うという常識的なことを継続して教育し実践することで各地のお客様の信頼を得ることが出来ました。
また、現在の経済環境のなかではたとえどれほどサービスが優れたものであっても料金が高い乗り物であれば(そう感じれば)、相対的な判断のなかで利用者はタクシーを選びません。MKタクシーは各地で安い運賃にすることで利用しやすいタクシーとしたこともまた、お客様から評価される要素であったと考えます。
 この、サービスが良くて運賃も安い「商品」であれば必ずや利用者に支持されると私は信じており、新たに進出する福岡、滋賀、札幌も初乗り500円を中心に質の高いサービスを提供していきますし、横浜、広島についても現在検討しているところでございます。

事業者ではなく
規制緩和によって利用者がどれだけ
利便性向上を感じたかが論点

この度の再規制の強化は、このような企業努力の一切を無に帰すものです。お客様に信頼されるタクシーとするために企業努力を惜しまず、絶え間ない乗務員教育と新サービスの提供を行うことで、MKで働く従業員の生活水準を向上させ、その結果会社も規模が拡大して利益を生み残す。この企業活動として当たり前のサイクルが阻害されるのです。
新規参入と増車への障壁を高くすることは既存事業者を保護することに他ならず、そのような環境下でどうしてタクシーの質の向上が図れるでしょうか。約半世紀に及ぶ護送船団方式がもたらした結果が今日のタクシー業界の姿です。
 私は常々、タクシー規制緩和によって、ようやく「お客様がタクシーを選ぶ」時代になろうとしている、と考えています。それは規制緩和の成果であり、今時計の針を戻してはタクシー事業全体が国民感情から遠く離れたものとなるに違いありません。
規制緩和から6年が経過し一部地域で供給過多と言われていますが、それは一時的な過渡期としての現象に過ぎません。
新規参入が相次ぐのは、まだまだ方法によっては魅力ある商売として認識されているのです。規制緩和の成果を計るには、利用者がどれだけタクシーの利便性向上の恩恵を受けたかをもっと見つめなくてはなりませんし、長い目で見て利用者のタクシー離れを起こさないような産業構造に変換していかなければなりません。なぜタクシー事業だけが苦しくなったから規制を戻しましょう、という議論になるのでしょうか。

質を高める努力をすることで
タクシー市場全体が拡大する

原油価格が高騰しタクシー事業は経営が厳しくなっていると言われています。もちろん弊社にとっても利益を圧迫する大きな問題となっていますが、そのようなピンチの状況にこそチャンスがあります。
タクシー事業者同様にマイカーを所持する個人にとってもガソリン代高騰は大きな負担であり、それがマイカー離れとなり、タクシーを利用する機会が増えることもあり得るのです。今こそタクシーが安くて便利な乗り物だということを認知してもらえるチャンスが到来したのです。ここではずみをつけ、これから訪れる超高齢化社会においてタクシーが最も信頼される公共交通機関として受け入れられれば、タクシー市場全体が発展するのです。
そしてそれはタクシー事業者一人一人の企業努力にかかっているのです。
 貴殿におかれましては、再規制のなかでも利用者利便の向上のために新規参入する事業者がいるということをご認識いただきますとともに、今般の再規制のはらむ問題点について再検証していただきますよう、何卒宜しくお願いいたします。

MK新聞 2008年(平成20年)9月16日発行 第728号 1面

敬具

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タクシー再規制について 第6回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の破棄E

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 谷垣 禎一 殿

8番目の都市、札幌へMK進出
来春には500円タクシー登場

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、運輸行政にご尽力賜り誠にありがとうございます。
さて、国土交通省はわずか6年で規制緩和の方針を転換し、再規制へ時計の針を逆回転させています。MK新聞8月16日号では政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が、これらの再規制に反対する見解を出したことをあげ、貴殿の考えを問いました。

規制改革会議への出席
そして再規制反対署名活動へ

去る平成20年7月31日に政府の規制改革会議がこの度国土交通省が進める再規制について、参入・増車抑制は、経営努力をしてこなかった事業者を利する一方で、優れた事業者の創意工夫を不当に制約する恐れがある等の見解を発表したことを受け、弊社は去る平成20年8月6日に規制改革会議によるヒアリングに出席しました。
ヒアリングの席上、私は国民にとって本当に規制緩和はタクシーのサービスの質を低下させたのかどうかが論点であるべきで、最終的には経営者の姿勢の問題だと申し述べました。
また、8月よりMKグループ全社において安易な再規制に反対を唱える署名活動を開始しました。利用者視点のタクシー改革を望む全国の利用者の声を貴殿にお届けしたい所存です。

福岡、滋賀に次いで札幌に進出
MKグループ5ヵ年事業計画を推進

再規制が強化され反対意見を表明するなかで、MKグループにおきましては先日発表しました「MKグループ5ヵ年事業計画」に従って準備を進め、去る平成20年8月25日に札幌経済記者クラブにおいて札幌進出の計画を発表する記者会見を行いました。これに先立ち同月22日には北海道運輸局(窓口 : 札幌運輸支局)に、エムケイ観光バス株式会社を譲受人とし、札幌のタクシー会社である有限会社リンクアップ(屋号 : クローバー交通)を譲渡人とした「一般乗用旅客自動車運送事業の譲渡譲受認可申請」を提出しました。
本申請によりMK(エムケイ観光バス株式会社)はクローバー交通の小型タクシー18台を引き継いで、本年12月頃に札幌でタクシー事業に参入します。これまで当社は現地法人を設立しゼロから独自で事業を立ち上げておりましたが、この度の札幌進出については事業譲渡によります。これは、本年7月にクローバー交通より当社に事業支援の打診があり、精査したなかでクローバー交通が顧客を大切にする経営理念を実践し、札幌で実績を上げていることが分かり、MKが札幌において事業を行うためのビジネスパートナーとしてふさわしいと判断したことによります。
その後の交渉により事業譲渡という形になりましたが、クローバー交通をご愛顧いただいておりましたお客様には新たにMKタクシーとしてより一層サービスに努め、札幌市民の皆様にも広くご利用いただき信頼されるタクシーとなるべく努力し続ける所存です。

来春には500円タクシー登場
専用のりばや大型ハイブリッドも導入

譲渡後はクローバー交通の運賃を引き継いで営業いたしますが、その後MKとしましては各都市のMK同様に値下げを行う予定です。札幌の一般他社が普通車(中型・小型共通)で初乗1.6q650円のところ、札幌MKでは初乗1.6q500円とし、その後の加算運賃も概ね23%安い運賃設定を予定しており、順調に推移すれば来春にはお得な運賃のタクシーが札幌に登場します。
加えて東京MKはじめ京阪神でもご好評いただいております大型タクシー、エスティマ・ハイブリッドも普通車と同じ運賃での導入を行う予定です。札幌の繁華街であるすすきのや札幌駅前などにMK専用のりばを開設し、新千歳空港との間は安くて便利な定額タクシーの運行も検討しております。札幌MKとしては初年度にタクシー40台をめざし、5年間で約150台の規模に拡大する計画です。
貴殿におかれましては、再規制のなかでも利用者利便の向上のために新規参入する事業者がいるということをご認識いただきますとともに、今般の再規制が抱える問題点について再検証していただきますよう何卒宜しくお願いいたします。

敬具

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申請内容の概要

事業譲渡申請(平成20年12月頃認可予定)
 小型タクシー     18台
 初乗(1.6km)    650円
 加算(309m毎)   80円
 5,000円超分3割引


譲渡後予定(平成21年春頃)
 小型・中型タクシー 40台
 大型ハイブリッド    2台
 (運賃は小型・中型タクシーと同じ)
 初乗(1.6km)    500円
 加算(252m毎)   50円
 5,000円超分3割引


一般他社より約23%安い

MK新聞 2008年(平成20年)9月1日発行 第727号 1面

平成20年9月1日

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タクシー再規制について 第5回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の破棄D

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 谷垣 禎一 殿

規制改革会議が再規制に異議提唱
MKでは100万人署名活動を開始

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。貴殿におかれましては、冬柴前国交相よりバトンタッチされ、これから運輸行政を大いに発展させていただきますよう今後ともご尽力願います。
さて、着任間もないことではございますが、国土交通省がわずか6年でタクシー再規制へ方針転換されたことは、貴殿の目にはどのように映りますでしょうか。

国交省のやり方は見直されるべき
規制改革会議から反対の声が

去る平成20年7月31日に政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は、各分野において民間の力を活かして規制緩和を推進する立場から、今回の国交省の再規制について参入規制強化に反対する「タクシー事業を巡る諸問題に関する見解」を発表しました。
発表された見解においては、規制緩和には新たな雇用創出や多様なサービスの登場など「消費者利益の向上に貢献してきたというプラスの側面を忘れてはならない」とし、国交省が規制緩和のために事故が増えサービスが低下したという点を再規制の根拠としたことについては、「統計データを見る限り、その根拠は薄弱である」と指摘しています。加えて、「参入・増車抑制は、経営努力をしてこなかった事業者を利する一方で、優れた事業者の創意工夫を不当に制約する恐れがある」、「タクシー事業に関する一層の規制緩和を検討・推進すべきである」としています。また、法改正前に局長通達によって新規参入と増車に規制をかけたことは「極めて不適切で速やかに見直されるべき」と断じています。
これら規制改革会議の考えは、これまで弊社がMK新聞紙上で再三申し上げてきた「安易な再規制は既得権益の保護のみであって、タクシー事業は良くならない」という主張と軌を一にするものであると捉えており、改めて国交省の企図する再規制が利用者を無視した拙速なものであるということがうかがえます。

規制改革会議でMKをヒアリング
全ては経営者の姿勢の問題だ

これをうけて弊社は、去る平成20年8月6日にこの規制改革会議の提言に中心的な役割を果たした中条潮慶応義塾大学商学部教授との意見交換を目的として、内閣府規制改革会議においてヒアリングに出席いたしました。
ヒアリングにおいて、中条先生からは、行政が安全性や労働環境をたてに恣意的に規制強化がなされる懸念や、せっかく消費者に選ばれる経営が生き残る環境になってきたのに業界はなぜ再規制を求めるのか、といった問題が提議され、私は国民にとって本当に規制緩和によってタクシーのサービスの質が低下したのかどうかが論点であるべきで、業界全体をひとまとめにして規制をかけるのではなく数値をもとに個々の事業者ごとに対応するべき。増車や運賃などは事業者のフリーハンドにするべき。日本の消費者は最先端であるので、お客様が選ぶという感覚を行政も事業者も持つべきで、最終的には経営者の姿勢の問題だと申し述べました。

再規制反対を求める
100万人署名運動開始

国交省が進める利用者を無視した拙速な再規制に反対の声を全国的にあげるため、弊社では8月5日「タクシーの日」に再規制反対を求めるパレードを実行し、加えて「再規制反対を求める100万人署名運動」を始めました。タクシー利用者や全国にある弊社と同様に再規制反対の立場をとる事業者に協力を求めていく所存です。
貴殿におかれましては、国交省の進める拙速な再規制を国民の視点からもう一度冷静にご判断いただき、法による規制を強化する点と事業者の創意工夫に任せることで質を高められる点とを丹念に検証していただきますよう何卒宜しくお願いいたします。

 

規制改革会議委員一覧

議  長 草刈 隆郎 日本郵船株式会社代表取締役会長
議長代理 八田 達夫 政策研究大学院大学学長
委  員 有富 慶二 ヤマトホールディングス株式会社取締役会長
     安念 潤司 中央大学法科大学院教授
     翁  百合 株式会社日本総合研究所理事
     小田原 榮 東京都八王子市教育委員長
     川上 康男 株式会社長府製作所取締役社長
     木場弘子 キャスター・千葉大学特命教授
     白石 真澄 関西大学政策創造学部教授
     中条  潮 慶応義塾大学商学部教授
     冨山 和彦 株式会社経営共創基盤代表取締役CEO
     福井 秀夫 政策研究大学院大学教授
     本田 桂子 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン ディレクター
     松井 道夫 松井証券株式会社代表取締役社長
     米田 雅子 慶應義塾大学理工学部教授
           NPO法人建築技術支援協会常務理事
※委員は50音順
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/

敬具

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署名にご協力をお願いいたします

左上:署名にご協力をお願いいたします。 右上:タクシーステッカーで再規制反対を呼びかける 下:ヒアリング風景

MK新聞 2008年(平成20年)8月16日発行 第726号 1面

平成20年7月31日

規制改革会議の「タクシー事業を巡る諸問題に関する見解」について

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平成20年7月31日、規制改革会議が発表されました「タクシー事業を巡る諸問題に関する見解」につきまして、弊社としまして、次の通り考える次第でございます。

1.国土交通省が平成20年7月11日に局長通達として出した新規参入の最低車両数引き上げや、増車の事前届出制から60日前までの届出制への変更については、新規参入の実質的な規制であり、既存事業者でも拡大を目指す事業者にとって大きな足かせであることから、規制緩和の逆行と考えます。これらの規制は単に既存事業者の既得権益保護のみであり、護送船団方式の復活であり、利用者利便が向上するとは全く考えらません。また、かような重大な規制を通達という行政裁量でもって行うことは、同一地域同一運賃が司法によって独禁法違反と指摘されたように、行き過ぎた行為とであることを、弊社はかねてから指摘して参りました。

2.本日の規制改革会議が発表された見解につきましては、弊社も同意見であります。少数規制緩和によって生まれた多様なサービスによって、タクシーのサービスは底上げされ、ようやく「タクシーは選択するもの」という意識が利用者に浸透しつつあり、これからタクシーはさらに良くなるものと考えます。しかるにサービスの向上を妨げる規制強化には反対します。事例にあげられた事故率につきましても、弊社では規制緩和後に、ドライブレコーダー導入や安全運転教育の徹底により事故発生率は約6割に減少しています。

3.弊社は、「タクシーは基本的に差がない」という考えには与しません。運輸行政が同一地域同一運賃に代表される護送船団方式によって、事業者に加えて消費者にもそのように思い込ませてきた結果であるからです。利用者に評価される「差」を作るためにこそ経営者は汗を流して経営努力をするものであり、経営努力を無に帰すがごとく規制をかけるような産業は早晩衰退することは間違いなく、規制改革会議をはじめとする有識者の方々、利用者、意欲ある事業者などが協力して、この安易な再規制に反対の声をあげなければなりません。

以上

タクシー再規制について 第4回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の破棄C

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 冬柴 鐵三 殿

MKが規制緩和の試金石となる覚悟
全国5都市への進出を決定

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。また、運輸行政の発展にご尽力賜りまして誠にありがとうございます。
さて、前号のMK新聞において平成20年7月11日付けで国土交通省はわずか6年でタクシー再規制の方針を固め、来年の国会において道路運送法の改正を目指し、その前段階として局長通達によって全国約100地域を特定特別監視地域に指定し、新規参入の最低車両数の引き上げや、増車までにかかる期間を2ヵ月に延長するなど参入規制の強化をはかりましたが、これらの措置は規制緩和の成果を途中で止め、ただただ既得権益の保護に他ならないことを指摘しました。

タクシーの新時代への変革を
国交省の再規制が阻む

規制緩和により、それまでの護送船団方式から事業者それぞれが創意工夫を活かし利用者に選ばれるタクシーとなる企業努力が要請されましたが、このこと自体は通常の商売であれば当たり前であり、タクシー事業だから企業努力を押し付けられるのは理不尽であるという議論は、そこにサービスを享受する利用者という存在を想定すると到底通じません。ところがタクシー業界では当初より大部分の事業者が再規制を求め、時代が変革したことを受け入れずに既得権益の保護を訴え続けました。
安い運賃の導入や増車を行う事業者、新規参入事業者の登場など規制緩和後数年間に起こりうる制度や規模の面での変化や、一部事業者の淘汰が一通り出尽くしたあとタクシー事業者が知ったことは、真に選ばれるタクシーとなるためには「利用者が満足できる総合的なサービスの質を高めること」というシンプルで且つ一朝一夕には実現しようのない結論でした。私はこれから規制緩和は次なるステージに入り、利用者に「ブランド」として信頼され支持されるタクシーへと変革できるものだけが生き残る時代になると考えます。それはタクシーを利用者が選択できる時代です。MKと言えども企業努力を怠れば潰れるという覚悟をもって事業に臨む所存です。それだけにこの度の国土交通省の再規制方針に警鐘を鳴らさざるを得ません。

MKグループ5ヵ年事業計画策定
新たに5都市進出3,000台へ

MKグループでは規制緩和後、京都、東京、大阪、名古屋、神戸で事業展開を行ってきましたが、お陰様で各社ともお客様より高い評価を受け、事業は軌道に乗りました。そのため次の展開として当初3年から5年をかけて新しい政令指定都市への進出を計画しておりました。
ところが今回の再規制と来年の道路運送法改正の方針が出されたことによりMKグループとしましては計画を前倒しすることに決定し、本年度を初年度として新たにMKグループ5ヵ年事業計画を策定しました。
今後5年間でタクシー事業は既存5都市での拡大を含め、福岡、滋賀、札幌、横浜、広島への新規参入により現在の全国1,500台から3,200台へ拡大と、同時にドライバーの所得3割向上を目指します。観光バス事業は新たに東京、滋賀、福岡、横浜へ参入。アミューズメント事業部は再来年より毎年2店舗の新規開店で5年後には12店舗。MK石油はスタンドの統廃合と大型セルフスタンド化を行い現在より大幅にスタンド数を絞り込み10店舗体制で売上増を目指します。

福岡MK、滋賀MKを申請、12月開業へ
近畿では京阪神滋の営業区域統合も求める

MKグループでは、去る平成20年7月23日に九州運輸局に対して福岡MKの経営許可申請を、続く7月25日に近畿運輸局に対して滋賀MKの経営許可申請を行いました。MKグループとしましては6番目、7番目の都市への参入であり、本年12月の開業を目指します。
いずれも初乗り500円というご利用いただきやすい運賃設定とし、すでに5都市で展開している質の高いサービスを提供します。

効率的な車両運用で
利用者利便をさらに拡大

また滋賀MKの申請と同日、エムケイ、大阪MK、神戸MKはそれぞれ営業区域を京都市域交通圏、大阪市域交通圏、神戸市域交通圏、大津市、湖南交通圏の5つの営業区域に拡大統合を求める申請を行いました。これにより、例えば京都MKの車両が大阪や神戸で区域外営業になることなく大阪や神戸で営業が可能となることを目的としています。従来区域の外への長距離輸送は空車で回送することが求められてきましたが、無駄を省き効率的な車両運用をすることや、大阪や神戸ではMK車両が少なくお客様の要望に応え切れていない現状があります。逆に春秋の観光シーズンには京都MKの車両が少なくなり、大阪MKや神戸MKの車両が京都のお客様の足を守ることが出来ます。利用者利便の向上と、エネルギーの無駄を排除することからMKが考えた車両運用法です。近畿運輸局によって本申請の趣旨が理解され認可されることを強く求めます。

ここに、近畿運輸局へ滋賀MKの経営許可申請書に記載した参入理由書の全文を掲載します。

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滋賀MK 参入理由書(全文)
弊社は、京都、東京、大阪、名古屋、神戸、福岡(申請中)でタクシーハイヤー事業と観光バス事業を行うMKグループの滋賀における現地法人です。MKグループは京都での創業から約50年間「お客様第一主義」と「タクシー乗務員の社会的地位向上」という経営理念のもとに、徹底した乗務員教育を行い、親切な応対、挨拶、ドアサービス、清掃の行き届いた車両などのサービスで京都市民に信頼され評価されてきました。
相次ぐ値上げでタクシー離れが進み実車率が低下した昭和50年代には、ただ一社値上げに反対し、タクシー運賃値下げ裁判において、「同一地域同一運賃は独占禁止法違反」という司法の判断を引き出し、平成5年に全国初のタクシー運賃値下げを実施しました。
その間MKグループとしましては、経営者は利用者利便を高めるために創意工夫を凝らし経営努力しなければならないという訴えをしながら規制緩和を求め、平成14年の改正道路運送法へと運輸行政が転換される一助を担いました。
段階的規制緩和の平成9年には東京、大阪へ進出し、自由化となった平成14年には神戸、名古屋に進出し、各地で親切なサービスとご利用いただきやすい低運賃で利用者に喜ばれました。「それまでタクシーが怖くて乗れなかったが、MKタクシーは安心して乗れる」といった声を頂くなどこれまでタクシーを敬遠していた新しい需要の開拓も行いました。お客様からの評価は高く、MKを指名する無線予約率は各地で50%以上、一稼働運収も他社より高く、乗務員の給与所得もトップクラスです。
自由化当初よりMKグループでは全国展開の方針を掲げ、政令指定都市から順次参入を果たして参りましたが、滋賀県のお客様からは長年にわたりMKの進出の声を頂いており、京都MKと距離的にも近くMKブランドが浸透しやすいこと、また昨今大学や企業の進出など経済発展が見られることなどから、この地域への参入を決めました。去る平成20年7月23日にMKグループでは九州進出の足掛かりとして福岡エムケイ株式会社を設立し経営許可申請を行いましたので、MKグループ第7番目の都市となります。
なお、滋賀進出につきましては当初は10台での参入を予定しておりましたが、平成20年7月11日付け局長通達により新規参入は大津市では最低車両数30台に、また増車は60日前までの届出制となりました。MKグループとしましてはこれらの措置を、新規参入の締め出し、発展的にタクシー事業を伸ばしていこうとする事業者への締め付けと捉え、規制緩和の逆行であると受け止めております。
再規制の流れのなかで弊社の申請がどのように運輸行政に取扱いされるか、そして事業開始後に利用者にどのように評価されるか、ここが規制緩和の分水嶺であるという認識を強くするとともに、全国的に見て弊社が試金石としての重責を担うことに気の引き締まる所存です。役職員社員一同、これまで運輸行政が創り上げた規制緩和の成果を充分に発揮できるよう全社一丸となって鋭意努力して参ります。

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内容申請の概要

敬具

MK新聞 2008年(平成20年)8月1日発行 第725号 1.8面

タクシー再規制について 第3回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の破棄B

MK新聞バックナンバーより

拝啓 国土交通大臣 冬柴 鐵三 殿

国土交通省が規制緩和を逆行
新規参入と増車は実質不可能に

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。平素は運輸行政の発展にご尽力賜りまして誠にありがとうございます。
さて、前号、前々号のMK新聞にて、本年5月から6月にかけて、自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟(古賀誠会長)による、タクシー増車と新規参入を一時的に停止させる議員立法を本年秋の臨時国会へ提出の動きや、民主党による国土交通省への「タクシー問題に関する緊急提言」として、緊急調整地域の指定要件を見直しや下限割れ運賃の全廃などの緊急提言が行われたことを紹介しました。
そのような動きを受けて、国土交通省は去る7月3日にタクシー再規制にかかる中間整理案を提示し、年明けの通常国会での道路運送法の改正をめざす準備に取りかかりました。

国土交通省が再規制の案を提示
規制緩和以前に戻してはならない

貴殿の諮問機関である交通政策審議会の「タクシー事業を巡る諸問題に関する検討」ワーキンググループに国土交通省としての現時点の考え方として提示された中間整理案には、
1.「利用者ニーズに合致したサービスの提供」としてさらなる利用者ニーズの把握やサービス開発のための環境整備や制度を見直す
2.「供給過剰への対策」としてタクシーの諸問題の根本的原因と位置づけて供給過多の地域への新規参入や増車への規制をかける
3.「過度な運賃競争への対策」として労働条件の悪化や事業の収益基盤の悪化を防止するための方策をとる
4.「悪質事業者対策」として事前チェックを強化し、新規参入や増車の厳格化や監査による減車命令などの行政処分を強化する
など、規制を強化する方向で4点があげられました。特に供給過剰に対する参入障壁の強化については、全国を三つに分類し、 @供給過剰が深刻な地域 A供給過剰とみられる地域 B問題のない地域 で、それぞれ対応を変えて新規参入・増車の要件を厳格化したり減車を促す制度を設けるとのことです。
これらは明らかなタクシーの再規制であり、平成14年に法改正され規制緩和となったタクシーにわずか6年で再び規制がかけられるということは残念でなりません。例えば一つめの項目の「利用者ニーズに合致したサービスの提供」について、国土交通省が具体例として「弾力的な運賃設定を可能にするための運賃制度の見直し」をあげているのはどのような意図からでしょう。地域の供給状態によって三分類するとはいえ、その分類基準の設け方ひとつによって、日本全国を厳しい規制下におくことが出来ます。国土交通省は規制緩和を逆行するおつもりでしょうか。 

新規参入・増車の規制でどうして
既存事業者の質の向上が図れる

規制緩和によって事業者は自由に創意工夫を活かしたサービスを行い、その結果、利用者に支持されれば規模を拡大しています。MKタクシーでは規制緩和前に京都、東京、大阪で約1000台の車両だったのが、現在では神戸、名古屋と拠点も増えて約1500台にまで拡大しています。徹底した教育による挨拶とマナーと清潔な車両、安い運賃は利用者に評価され、安心し乗ることが出来るという声を多数頂戴しております。これも平成14年に規制緩和となったからこそ実現したことであり、私どもとしましては、規制緩和を積極的に評価しております。
ところが今回のような再規制は、従来の利用者を無視した護送船団方式に戻るだけではないかと懸念しております。タクシー業界の質を高めて利用者の信頼を得るために安全について事業者に義務付けを行ったり、悪質な事業者を速やかに退場させるような規制であれば、国民のみならず事業者の理解も得られます。しかしながら新規参入や増車を規制するだけで、どのようにして質の向上をなしえるのでしょうか。
今回の再規制のための法改正について、貴殿は7月4日の記者会見で「規制緩和という大きな流れを止めるつもりは全くありません」と前置きし、「優良な新規事業者の参入を排除するようなことであってはならない」と明言されております。貴殿の思いがそのまま国土交通省の政策となって表れることを願ってやみません。

規制緩和によって質の底上げが出来た
全国の事故件数は実は横ばい

今回の国土交通省の規制案が出された7月3日当日に、テレビ朝日「報道ステーション」より取材がありました。私はそのなかで、規制緩和後の自由競争のなかで、安全運転をしなければならない、お客様にきちんと挨拶をしなければならない、車をきれいにしなければならないといったタクシーの質の部分は底上げが出来ている。商売としてごく当たり前のことが今ようやくタクシー業界に根付いてきており、それは選ばれる努力をしなければならないからであって、経営が苦しくなったからお上に助けてください、というのは論外であると述べました。
一例をあげますと、国土交通省が前述のワーキンググループ討議の資料として作成した全国の事故発生件数のデータを見ますと、規制緩和の弊害として事故が増えたという論調が一部でありますが、実際のところ事故件数は規制緩和が始まる2年前からほぼ横ばいです。それでも大阪のタクシー業界のように規制緩和が原因で事故件数が増えた増えたと言っている地域がありますが、それらは安全対策を怠る経営者の責任であり、そのように事故を多発するような事業者こそ退場するルールを作るべきであって、新規参入や増車を止めようというのは本末転倒の議論です。MKでは安全運転教育やドライブレコーダーの導入などの対策を進め、事故発生率は10年前と比べると40%に、規制緩和前と比べると64%に減っており、さらなる事故防止の取り組みを続けています。

事故件数の推移

規制緩和がなされた金融業界においても、中小の金融機関が次々と廃業し、大手中堅であっても三大メガバンクに再編されていきましたが、その時、経営が苦しい事業者を国が保護しましょうという議論は一切ありませんでした。逆に利用者に支持され経営基盤が磐石であればたとえ小さくとも存在感を放つ金融機関もあります。タクシーだけがどうして事業者が苦しいから規制を戻してという論理が通じるでしょうか。

議論の前に規制強化を実行する国交省
法の趣旨に反する矛盾した行為に疑問

「規制緩和の流れを止めない」「優良な新規事業者の参入を排除しない」と貴殿は言いながら、その1週間後の7月11日、全く逆のことを行いました。この日、国交省は新規参入や増車を厳しく規制する「特定特別監視地域」への地域指定をこれまで6ヵ所だったものから東京や大阪など全国の主な都市がほとんど入るよう109ヵ所に増やし、さらに規制の内容も強化しました。

経営判断の増車は二ヵ月後に実行
新規参入できるのは資金力ある者だけ

事業者が増車を行う際、従前は届出制によって届け出れば即日増車することが出来、乗務員数にあわせたスピーディで効率的な増減車を行っておりました。新しい特定特別監視地域における規制では増車は60日前までの届出となっています。経済環境の変化が激しいなかでどのようにして事業者は2ヵ月後の予定を立てていくのでしょうか。一方で経営効率とサービスの質の向上を求め、一方でそれと全く逆のことを迫る国土交通省の考えは矛盾に満ちています。
新規参入においても大きく規制がかけられ、これまで新規参入時の最低車両数が10台であった都市は、政令指定都市で40台、30万人都市で30台にまで一気に跳ね上がりました。これでは莫大な投資が出来る大手企業のみしか参入する意欲が出せず、実質的に新規参入のストップを迫るものです。言い換えれば、新規参入は事業者のサービスの質の高さや創意工夫ではなく、申請者のバックボーンとなる企業の規模の大小によって判断されるということです。貴殿の言う「優良な新規事業者」とは資金を潤沢に持つ者のことでしょうか。

重要な規制を法律ではなく局長通達で済ませる
国交省は法も国民も無視している

しかもこの特定特別監視地域にかかる規制は何ら前触れなく7月11日に突然出され、各地方運輸局長が局長通達として運用面を決めています。つまりタクシー業法である道路運送法に規定されるものではなく、行政が自分たちで作ったものです。平成14年改正道路運送法で認められた新規参入や増車を行政が著しく制限することは、果たして法の趣旨に則ったものでしょうか。
また冒頭で述べた交通政策審議会においては今まさにこの問題について国民の代表が貴殿の諮問によって議論しあっている最中なのです。その議論を尊重せずに途中で行政の判断で規制を強化することに疑問を呈します。開かれた議論をしているように見せながら、行政は既成事実を次々と作り出していく、まさに旧態依然とした監督官庁の体質が現れてきました。

貴殿には既得権益者と闘い
利用者の声に耳を傾けてほしい

貴殿は7月4日記者会見でさらに、タクシーが抱える諸問題について「経営方針、経営組織そのものがどうあるべきなのか、これは非常に重要な視点だ」という発言もなさいました。貴殿の問題意識はまさに私どもが考えることと同じであり、規制緩和は真に利用者にとって利益になるため事業者が創意工夫をこらし切磋琢磨することです。
冒頭に述べた与野党のタクシー再規制を求める動きは、業界団体と労働組合の代弁であることは知らぬ人はないでしょう。その勢いを利用して再び監督官庁としてのタクシー行政に強い権限を復活させたいという官僚らしい考えが透けて見えます。
これからはもっと利用者や規制緩和を肯定的にとらえる事業者の声を聞いていただきたいと切に願います。

末筆ではございますが、貴殿の今後益々のご活躍を祈念いたします。

MK新聞 2008年(平成20年)7月16日発行 第724号 1.8面

タクシー再規制について 第2回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の破棄A

MK新聞バックナンバーより

拝啓 内閣総理大臣 福田康夫 殿

公共交通機関の使命は利用者利便の向上
MKは規制とたたかいサービスの質を上げた

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。前号のMK新聞にて、自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟(古賀誠会長)が、タクシーの増車と新規参入を一時的に停止させる議員立法を本年秋の臨時国会に提出することを決めたことについて、質を問わない単なる総量規制は、旧来の利用者利便を無視した護送船団方式の時代への回帰であることを申し述べました。さらにこの間、民主党も6月11日に「タクシー問題に関する緊急提言」として、緊急調整地域の指定要件を見直して新規参入と増車の停止を機動的に行うことと、ダンピングのおそれのある自動認可運賃を下回る下限割れ運賃の全廃などを国土交通大臣に提出しました。

神風タクシーの時代に MKだけがお客様に挨拶

 弊社は昭和35年に創業し、48年間お客様第一主義の姿勢で事業に取り組んできました。創業期にはご乗車いただいたお客様に「ありがとうございます」と挨拶を徹底すると、周囲の同業者からは「挨拶をするなんてMKは非常識だ」と言われました。昭和47年に「タクシーを市民に返す運動」を展開し、乗車拒否が横行していた当時に「MKは乗車拒否をしません」と宣言し、タクシー無線がないため深夜のけが人や急病人に電話でかけつける深夜緊急配車を行い、全国の公共交通機関に先駆けて身体障害者優先乗車を行いました。このような取り組みは京都市民に「MKは親切だ」と評価されました。
 質の高いサービスを行うために、まずは社宅を建てるなど社員の住環境を整備し、飛躍的に所得が高まる給与体系を導入しました。その上でお客様に親切にするサービスを提供する社員教育を徹底しました。家庭においても社業への理解を深めるためにMK婦人会を結成し、街頭アンケート活動など様々な会社行事に協力を求めました。昭和52年には「MK運賃四つの挨拶運動」を展開し、挨拶をしなければ運賃はいただきませんという姿勢を打ち出しました。
 タクシーのサービスの質を高めることが結果的に売上にも反映し、お客様満足、従業員満足、そして会社の利益向上につながることを弊社は学びました。たゆみない教育こそが質を落とさずに常に向上させる唯一の方法なのです。MK会員制度も発足し、多数のお客様がMKを指名してご乗車くださるようになりました。

京都の一タクシー会社であっても 社会に示唆を与えることが出来る

 昭和50年代に市バスの赤字問題と渋滞問題をきっかけに、弊社は「都市交通改革案」としてバスとタクシーの有機的結合による安くて便利な公共交通機関をつくりあげ、マイカー削減を訴える提言を市や府に対して行いました。輸送力の高いバスは市中心部に集中させ、周辺部は運行経費がバスより安いタクシーが乗合運行し、運行コストを抑制しながら多便化をはかることで利便性を向上させる取り組みです。この提言は後に行政や市民を巻き込んだ有識者による「京都の都市交通懇話会」を発足させ、毎月1日は市バスに乗る運動などの活動に発展していきました。
 また当時、2年おきにタクシー運賃は値上げされ利用者離れが加速しました。同一地域同一運賃の原則のもと、各都市一斉の値上げが行われますが、弊社は値上げによって売上が下がることを懸念し、ただ1社値上げに反対しました。その後行政の圧力によって値上げに同調しますが、予想通りの売上の悪化を目の当たりにし、弊社は全国初の値下げ申請を行いました。値下げ申請は却下されますが、処分を不当として大阪地裁に提訴し、昭和60年には同一地域同一運賃は独占禁止法違反という司法の判断が出される弊社の全面勝訴に終わりました。その後国とは和解し、平成5年に細川内閣の規制緩和第1号として全国初のタクシー値下げが認可されました。
 この一連の流れは利用者利便の向上のためには護送船団方式ではなく事業者に創意工夫の場を与える規制緩和へとつながり、段階的な規制緩和がなされて平成 14年の改正道路運送法が実現したのです。お客様からの要望でタクシーの増車をしたくともなかなか認められない時代が終わりました。MKグループは京都から全国へ展開し、各地でお客様から信頼されサービスの質の高さを評価されるようになりました。

お客様に選ばれる企業努力で 着実に広がる需要と実績

 MKグループでは「お客様に選ばれるタクシー」を目指し規制緩和後も着実に成長を遂げてきました。規制緩和前となる平成14年に京都、東京、大阪の3都市で1,003台であったタクシー・ハイヤー台数は、現在では神戸、名古屋が新規開業し1,491台に拡大しました。新規開業の都市では今なおお客様より増車の要望があり、注文に配車が追いつかないなどのご迷惑をおかけしています。
 お客様からの配車注文に迅速確実に対応するため平成13年に京都MKで導入したGPS自動配車システムにより、導入前4,500回が限界であった1日当たり配車件数は現在1万1,000回以上に増えました。それだけMKタクシーを選んでお乗りいただいているという証です。京都MKの流し営業とGPS無線配車との割合は約50%であり、約半分がお客様からの予約営業と言うことが出来ます。大阪MK、神戸MK、東京MKではこの無線比率が約60%、神戸MK に至っては約90%が無線予約営業です。
 タクシー以外にも新規需要の開拓として、ご自宅と空港をドア・トゥ・ドアで結ぶ定額の乗合制スカイゲイトシャトルを運行し、京都から関空・伊丹路線、神戸から関空路線の計3路線で毎月約3万名のご利用をいただいています。平成20年からはMKに長年勤めた優秀なドライバーがMKの行灯をつけて個人タクシー許可をとる「個人タクシーMKパートナー制度」を発足。初年度は1名が開業し、来春に向けて新たに8名が名乗りをあげています。  また、MKタクシーで培った信頼はタクシー事業のみならず、スクールバスの運行、観光バス、乗務員派遣、警備業、人材派遣業などの分野にも活かされ、「MKであれば安心」とご利用をいただいています。

単なる総量規制では サービスの質は改善されない

 MKグループでは質の高いサービスを維持し向上させるため徹底した教育を行います。それでもまだお客様からのお叱りの声を多数頂戴しますが、MK であれば改善するだろうという期待の裏返しと受け止め、真摯に対応しています。いただいた声は「お礼状苦情集」という1冊の本にまとめ、社員教育に役立てています。このような努力と創意工夫は公共交通機関の一翼を担うタクシー事業者としては当然の取り組みであると考えます。挨拶が非常識と言われた時代から今や常識的なこととして認識される時代へ、MKのサービスを他社タクシーが取り入れることも珍しくなくなりました。お客様からの声援によってタクシー業界の慣習と闘い、行政の規制と闘い、現在のMKタクシーがあります。
 この度の増車・新規参入のストップという規制の復活は、果たしてサービスの質の改善になるものでしょうか。経営者の立場から申し上げれば、規制をかけようが全ては経営者次第です。お客様と従業員と向き合って商売をしているかどうかの一言に尽きます。ここで規制をかければ、何かあったらお上が助けてくれるという旧態依然とした体質から抜け出すことが出来ずに、タクシー事業は早晩衰退していくことでしょう。
 貴殿におかれましては何卒ご賢明な判断を下していただきますよう宜しくお願い申し上げます。

車両数推移

車両数推移

MK新聞 2008年(平成20年)7月1日発行 第723号 8面

タクシー再規制について 第1回
タクシー再規制は事業者の創意工夫の破棄@

MK新聞バックナンバーより

拝啓 内閣総理大臣 福田康夫 殿

タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄
今こそ質の高いタクシーで国民の信頼得る好機

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 信明

 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。わが国のみならず世界的に影響を及ぼしている原油価格の高騰は、この半年のうちにガソリン価格の暴騰に見られるよう国民生活にも直接的な影響を与えています。これから先も経済全体が急激に好転することはなく、むしろこの状況が当たり前であると認識し、我々民間企業は今まで以上に創意工夫を凝らして成長への基盤固めをしていかなくてはなりません。MKタクシーグループも規制緩和6年を迎え、さらなるサービス拡充に努め、お客様に選ばれるタクシーとなるべく従業員一同鋭意努力してまいる所存です。

増車参入の時限停止は 利用者不在の時代への逆戻り

 さて、去る平成20年5月30日、自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟(古賀誠会長)は、タクシーの増車と新規参入を一時的に停止させる議員立法を、本年秋の臨時国会に提出することを決めました。
 平成14年に改正道路運送法が施行され、タクシーの増減車と新規参入が認められ、運賃も弾力的な取扱いが出来るようになるというタクシー行政の大きな転換が行われました。行政の強力な規制による護送船団方式の弊害として、競争のないタクシー業界ではいつの時代もサービスの質の低下が指摘されていました。オイルショック後にはほぼ2年おきにタクシー運賃の値上げが行われ、利用者離れはこの時代に一気に加速しました。タクシー運転者の所得向上を理由とした運賃値上げがかえって自分たちを苦しめた理由は、運輸行政の厚い庇護の下、タクシー事業者が利用者を無視しサービスの質の向上を忘れたからです。MKタクシーはただ1社運賃値上げに反対し、業界団体や行政など四面楚歌の中、京都市民の声援を受けて国とたたかい、全国初のタクシー運賃値下げを勝ち取りました。その後、運輸行政はゆっくりと規制緩和へ舵を取り、平成14年の法改正にたどり着いたのです。
 この度の議員立法の動きは、またしても利用者不在のタクシー業界の旧態依然とした体質への逆戻りとなることを懸念しやみません。

高齢化社会、ガソリン高騰 今こそタクシーが必要とされる時代

 規制緩和後、平成19年1月現在、全国で新規参入会社は627社あり、弊社もまた大阪、神戸、名古屋に進出しました。新規参入があるということは、そこに事業としての可能性を見出しているからです。今や日本は超高齢化社会に突入し、平成26年には4人に1人が65歳以上の高齢者といわれています。そのためタクシーはドアトゥドアの唯一の公共交通機関であり、これからの社会でますます重要な役割を担うことは間違いありません。お年寄りの方や体の不自由な方が安心して乗れるサービスを提供しなければなりません。  また冒頭で述べたガソリン代の未曾有の値上げは人々をマイカーから遠ざけます。これは私たちタクシー事業者にとって千載一遇のチャンスなのです。タクシーがマイカーに比べて安くて便利な乗り物であるということを理解いただきマイカー抑制につながれば、タクシーやバスの利用者は増え、都市が抱える渋滞問題や公害問題の解決にもなります。今こそタクシーに対する国民の信頼を取り戻すべき時なのです。しかしながら現在の状況を苦境と捉えるか機会と捉えるか、これがタクシー事業者の体質が変わることのない本質的な問題と言えます。

総量規制では何も改善されない 質を高めることが本質的課題

 何故ならたとえ「総量規制」というかたちで増車や新規参入を止めようとも、タクシー事業者が根本的に考え方を改めなければタクシーを取り巻く状況は一向に改善しないからです。自由資本主義社会においては自然な淘汰が起こりますが、仮にどうしても「規制」をかけるのであれば、お客様に不快感を与える悪質なドライバーや、違法・脱法事業者を早期に退場させるよう「質的規制」をかけることこそが最も必要なのではないでしょうか。そのためには異業種からであっても新規参入を積極的に受け入れ、タクシーが生まれ変わらなければなりません。
 規制緩和によって事前審査型から事後チェック型になり、自由に参入可能であってもルールを逸脱するものは退場するという自己責任のルールが貫かれています。法令を遵守しお客様に評価され選ばれるタクシーとなるように事業者自身が意識改革しなければならないときに、大多数の事業者がいつまでも「お上が守ってくれる」という意識のままであれば、タクシーは国民の信頼を永遠に失うことでしょう。

利用者の声を中心に据えれば タクシーはさらに良くなる

 貴殿におかれましては、この度の総量規制が利用者利便の向上をはじめとするタクシーの質の改善には寄与せず、旧態依然としたタクシー業界へ戻る第一歩となりますことを、何卒ご理解賜りますよう宜しくお願いいたします。なお、本紙においては次号よりさらにこの問題について展開してまいる所存でございます。

MK新聞 2008年(平成20年)6月16日発行 第722号

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