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MK新聞

今号の紙面

2018年(平成30年)8月1日発行 第865号

865号1面
MK新聞をPDFファイルでご覧になれます。
MK新聞平成30年8月1日付865号(10MB)
1面
拝啓 国土交通大臣 石井啓一殿
今こそ、タクシーの未来を決する分水嶺㉓
 車は持つから使う時代へ
 必要な時に乗れるタクシーに
2面
東京MK タクシー運賃改定のお知らせ
京都府北部豪雨災害 復旧支援ボランティア車両運行
書籍ランキング
3面
もっと知りたい!古典芸能
今日のdinnerはプロの味
 ~小海老とトマトの冷製パスタ 菜の花を添えて~
本だけ眺めて暮らしたい<364>
4面
こんな話あんな話 MK勉強会から
第13回 MKチャリティカップ開催!
5面
フットハットがゆく!<297>
比叡山延暦寺 国宝殿 いま、比叡山に学ぶ
6面
世相と法律 ~手術と病院選び~
7面
葉根たより20
8面
TACPO NEWS cafe&galley Lamp
第32回 世界に通じる「おもてなし」を学ぶ
9面
海外研修レポート⑥
 ~世界の中に自分の仕事を位置づけた留学~
死者の姿が冥界から立ち上がる
10面
8月の運勢
グローバル・ビジネス・レポート <64>
ガーデニング フヨウ(芙蓉)
11面
インフォメーション
頑張れ!!京都サンガFC
プレゼントコーナー
12面
京の海タク



(1面記事より)

拝啓 国土交通大臣 石井 啓一 殿
今こそ、タクシーの未来を決する分水嶺23
車は持つから使う時代へ
必要な時に乗れるタクシーに

エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明


西日本豪雨被災者の方へ 心よりお見舞い申し上げます

 このたびの西日本を中心とした平成30年7月豪雨におきまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。弊社では7月13日、被災のあった京都府下の市町村への京都府職員の方々の応援派遣のご送迎に微力ながら協力いたしましたが、改めて自然災害の猛威について認識するとともに、一民間人として、一企業として、そして公共交通機関の一翼を担うタクシー会社としてはもしもの時にどのようにすべきか、日頃の備えについて深く考えさせられました。
 鉄道が大雨の影響で止まり、駅のタクシー乗り場が大行列となって憔悴する人々の場面をテレビなどで見るにつけ、IT技術を活用して一時的に乗合タクシー化して効率よく運行できれば、タクシーの社会的役割を果たせるのではないでしょうか。法的な問題や鉄道会社やタクシー会社の枠を超えて取り組む問題かと思いますが、一考の価値があるように思います。「必要な時に乗れるのが必要なタクシー」であることを常にわきまえることが私たちには必要です。

乗合タクシー実証実験とダイナミックプライシング

 乗合タクシーの研究開発については様々なIT企業が取り組み、実証実験も行われておりますが、本年関東で行われた実証実験では分母となる利用者数が少なく最適な乗合ルートの組み方に苦慮したと言われています。弊社も約20年に渡り乗合制の空港送迎サービスである「MKスカイゲイトシャトル」を運行しておりますので、効率性や採算性を度外視してよい場合を除き、乗合タクシーの難しさはよく理解しております。最適ルートの割り出しはAIによって瞬時になされるでしょうが、先立つものは利用者総数で、それが少なければ如何にAIが優秀でも与えられた条件のなかでの効率的なルート設定はできますが、経営的に採算性のあるルート設定はかないません。
 その意味において誤解を恐れずに申し上げると先のような多くの人がタクシーを求めて困っているようなときにこそ実証的にデータをとることができる機会であり、次に必要な時に社会にきちんと還元することでご容赦いただくのです。もっともタクシー会社やIT企業からは言いにくいことでありますので行政に主導いただきたいと思います。
 もう一点、最近話題になる「ダイナミックプライシング」について申し上げると、これは世界的なライドシェアアプリ企業が提唱する需給関係に応じた運賃設定方法であり、例えば繁忙時間帯や雨天時で空車タクシーよりも利用希望者数が多ければ割り増し運賃であらかじめ表示され、ドライバーにとっては売上向上につながるものです。これまでにない外の世界から新しい刺激が持ち込まれることは業界活性化のため大いに歓迎しますが、私としては若干違和感があります。モノの価格は需要と供給で決まることは資本主義市場においては当たり前のことですが、ハイヤーなど特別な需要に対するものであれば話は別ですが、不特定多数の誰もが使う通常のタクシーのような公共交通機関にふさわしいでしょうか。

必要な時に乗れるのが必要とされるタクシー

 ドライバー不足が改善される傾向が全くなくタクシーの供給がこの先も減少すると思われます。必要な時に乗れるタクシーであるために、私が提言するのは、前述の二つの事例を組み合わせた「ダイナミックプライシング・乗合タクシー」というべき制度です。需要と供給のバランスが著しく需要に傾いた時、一時的にタクシーの乗合を可能とし、料金はいわゆる「割り勘」ではなく一組一組から通常の運賃相当(もしくは若干の遠回り分を加味した上でのディスカウント)を認めた運賃とすることです。
 タクシーは道路運送法で一個の契約に基づき運行するものですがそれを複数組のお客様を同時にお乗せするには法的な整理が必要です。発生条件や複雑なルート設定や料金計算にはAIの力が必要です。お客様はタクシーが極端に少ないときでもタクシーにお乗りいただき、多少の遠回りはあるかもしれませんが普段と同じくらいの運賃で済み、ドライバーにとっては同じ労働時間で2倍、3倍の売上を上げることができる双方にとってうれしいのではないでしょうか。災害時の市民の移動の足の確保の観点からも是非とも自治体や鉄道会社にもご検討いただきたいことと思います。貨物運送法と道路運送法の垣根がなくなりつつある今、道路運送法のなかで乗用、乗合、貸切の垣根もまた時代に合わせて柔軟に見直していくべきでしょう。これでこそ必要な時に乗れるタクシーとして、普段から社会に必要とされるタクシーになれるのではないでしょうか。

持つから使うへの変化に産業自体も変化する

 脱炭素社会へ突入するなか、車は「持つ」ものから「使う」ものに変わります。それがタクシーなのかレンタカーなのかカーシェアなのかは年を経るにつれて変わると思いますが、選択肢が広がるため圧倒的に消費者優位となるでしょう。その変化を認め我が国の基幹産業である自動車製造業も車両の製造以外の自動車に関する情報分野へと活路を見出しています。かつてフィルム産業の最大手であったコダックがいち早くデジタルカメラを開発したにもかかわらず主力商品の紙焼き写真のフィルムにこだわったためデジカメを封印、その後の市場の動きをとらえられずに破たんしたことが私にとっては今も強く印象に残っています。自動車産業もフィルム産業もこうしなければならないという制約はなく自社の判断でありますが、タクシー事業は許認可事業であり道路運送法の範囲内で事業を行う必要があります。変化の必要のない時代であれば許認可事業に守られた業界は安定しますが、変化の時代に突入した今や縛りによる自滅だけは避けなければならないと強く思う次第であります。